ブランドストーンのソール加水分解は、オールソール交換で修理できます。劣化ソールを除去し、EVAミッドソールを新規製作、マッケイ縫いで補強してVibram1136へ。雰囲気を残したまま蘇らせた修理実例を、岡山県倉敷市のいずみ靴店が解説します。
「ソールがボロボロ…」ブランドストーンに多い“加水分解”とは

お気に入りのブランドストーンが、ソールの加水分解で履けなくなってしまった——そんなお悩みは、オールソール交換で解決できる場合があります。本記事では、岡山県からご依頼いただいた実例をもとに、なぜブランドストーンのソールはボロボロになるのか、そして職人がどうやって蘇らせるのかを、実際の工程とともに解説します。

岡山県からご依頼いただいたS様のブランドストーンのブーツです。今回は、ソールが加水分解によって劣化してしまい、オールソール交換で修理しました。
加水分解とは、EVAやポリウレタンといったクッション性ソールの素材が、空気中の水分と長年反応し、内部からポロポロと崩れていく化学的な劣化現象のこと。消しゴムのように粉になってツブレたり、ソールが剥がれたりする症状の原因の多くがこれです。
ブランドストーンは、両側の伸縮性サイドゴアと、軽量でクッション性のあるEVA系ミッドソールを組み合わせた構造が魅力ですが、このソール素材は快適さの反面、経年による加水分解を避けられません。ブランドストーン公式も、平均6年程度で加水分解を起こす可能性があると案内しています。湿気の多い場所での保管や、ソールに負担のかかる履き方は、劣化を早める要因になります。

さらに同ブランドは、もともと修理を前提とした革靴の構造(ウェルトなど)を持たない、接着主体の作りです。そのため「ソールだけ貼り替えれば終わり」という修理ができず、ミッドソールごと一体で劣化が進むぶん、修理には専門的な技術と設備が必要になります。
加水分解したソールの治し方|オールソール交換という選択肢
オールソール交換とは、アウトソール(本底)からミッドソールまでを、新しいものへ作り替える本格的なソール修理です。
加水分解が進んだソールは、そのまま履き続けるのが難しいだけでなく、歩行中に欠けたり剥がれたりして危険もあります。新しい一足に買い替える選択肢もありますが、アッパーの革に馴染んだシワや履き心地は新品には戻りません。「この一足の味・履き心地を手放したくない」という方にこそ、オールソール交換は最適な選択肢です。
実際の施工工程を解説
① 劣化ソールの除去とアッパー確認 加水分解したソールをすべて剥がし、ミッドソール部分を取り除きます。ここでアッパー(革)とインナーの状態をチェックし、補修できるかを最終判断。ワックスコア(縫い糸を収める溝)を整え、縫い付けの土台をつくります。

② EVAスポンジのミッドソールを新規製作 ブランドストーン特有の「軽くて沈み込むようなクッション」を再現するため、EVAスポンジからミッドソールを新しく製作します。既製品を当てはめるのではなく、この一足の足型・ソール形状に合わせて削り出すのが、履き心地を左右するポイントです。
③ マッケイ縫いで縫い留める 新製したミッドソールを、マッケイ縫いでアッパーと中底ごとしっかり縫い留めます。もともと接着主体で作られているブランドストーンは、ソールが剥がれやすい構造。縫いで機械的に固定しておくことで、セメントだけの補修より格段に強度の高い仕上がりになります。
④ Vibram1136(ブラック)をアウトソールに圧着 アウトソールには、耐久性とグリップ性に定評のあるVibram1136をブラックで採用。登山靴のリペアにも使われるラバーソールで、タウンユースからアウトドアまで、雨の日も安心して歩ける足元に変わります。

⑤ 仕上げ・最終検査 縫い目、接着面、左右のバランスを確認して完成です。
なぜVibram1136を選んだのか
ソール選びで重視したのは「耐久性」と「グリップ性」。ブランドストーンは毎日の履き使いから山歩きまで、幅広く履かれるブーツです。
Vibram1136は、耐摩耗性に優れるラバー配合と、泥や濡れた路面をつかむ積極的なパターンが特徴。一方で見た目はブラックでシンプルにまとまるため、ブランドストーンらしい雰囲気を壊しません。
「見た目の雰囲気はそのままに、これからもガシガシ履けるタフな一足に」——このご要望に応える組み合わせが、EVAミッドソール新造+マッケイ縫い+Vibram1136です。
修理後の履き心地と、長持ちさせるコツ

完成したブーツは、見た目の雰囲気を大きく変えることなく蘇っています。ソールはビブラムラバーに変わったぶん、元モデルよりもハードな使い方に耐えられる足元に生まれ変わりました。
せっかく修理した一足を長く使うためには、①濡れたまま放置しない、②靴紐を緩めてから脱ぐ(かかとを潰さない)、③定期的にソールの状態を点検する——の3つを意識すると、ソール・アッパーともに寿命が延びます。
よくあるご質問
Q. ソールが加水分解しても、もう履けないのでしょうか? A. いいえ。アッパーの革が健康であれば、オールソール交換で蘇る可能性は十分あります。まずは靴の状態を確認させてください。
Q. 費用や期間はどのくらいですか? A. ソールの崩れ具合、ミッドソールの製作範囲、ご希望の仕上げによって変わるため、実物を拝見したうえでのお見積り・ご相談となります。
Q. 他店で「修理できません」と言われました。 A. ブランドストーンは一般的な革靴と構造が異なるため、断られるケースは少なくありません。当店はミッドソールごと新規製作する方法で対応しています。
岡山県倉敷市の靴修理・いずみ靴店へご相談ください
「ソールがボロボロになった」 「ソールが加水分解してしまった」 「お気に入りのブランドストーンをまだ履きたい」
ソールの劣化や加水分解が進むと、そのまま履き続けることが難しくなりますが、あきらめる前にオールソール交換という方法があります。
靴の状態を確認したうえで、できるだけ元の雰囲気を活かしながら、用途やご希望に合わせた修理方法をご提案します。
お気に入りの靴を長く。 これからもガシガシ履いていただける一足へ。
岡山県倉敷市の靴修理【いずみ靴店】 ブランドストーンのソール交換・オールソール交換・加水分解修理など、お気軽にご相談ください。
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