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東京都 S様 ECCO スパイクレスゴルフシューズ オールソール交換修理
~赤いソールから黒へ。加水分解したウレタン層をEVAスポンジとVibram419Cで再生~
■ ご依頼の背景
今回ご紹介するのは、東京都にお住まいのS様よりお預かりした ECCO(エコー)製スパイクレスゴルフシューズ の修理事例です。
ECCOはデンマーク発のシューズブランドで、独自のコンフォート設計と高品質レザーを用いた靴作りで知られています。特にゴルフシューズ分野では世界的に高い評価を得ており、多くのプロゴルファーが愛用していることでも有名です。
今回お預かりしたのは、ECCOらしい赤いアウトソールが印象的なスパイクレスゴルフシューズでした。しかし経年によってソールのミッド層が劣化し、いわゆる 加水分解 によって割れてしまった状態でした。

■ 修理前の状態
靴底を確認すると、赤いアウトソール自体はまだ大きな摩耗が見られないものの、その下に配置されている ウレタン製ミッドソール層 が完全に劣化し、ぱっくりと割れていました。

ウレタン素材は軽量かつクッション性に優れる一方で、湿気や経年による劣化に弱いという性質を持っています。新品当初は柔らかく弾力性があるのですが、数年が経つと次第に硬化し、最後には割れたり粉状になって崩れてしまうのです。
ゴルフシューズは特に芝の上での歩行やスイング動作による屈曲が多いため、ソールの劣化が進むと破損が一気に広がってしまいます。今回も、ミッドソールのウレタン層が靴全体の構造を支えられなくなり、履けない状態となっていました。
■ 修理の方針
S様のご希望は、
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これからもゴルフ用として安心して使えること
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耐久性と安定感を確保しつつ、軽量であること
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見た目はシンプルで落ち着いた印象に仕上げたい
というものでした。
オリジナルの赤いアウトソールと同じ部材は入手できないため、今回は次のようなプランで修理を進めることにしました。
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劣化したウレタン層を完全に除去
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本革のトウガード(つま先補強) を縫い付けて接着跡を隠しつつ補強
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ベージュのEVAスポンジ を用いて新しいミッドソールを製作
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ヒールに厚みを持たせ、安定性のある ウェッジソール形状 を再構築
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ゴルフ専用の Vibram419C スパイクレスソール を黒で装着
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全体を マッケイ縫い で縫い付け、強度と耐久性を高める
これにより、オリジナル以上の耐久性・軽量性・グリップ性を備えた一足へと生まれ変わらせます。
■ 修理工程
1. 分解作業

まずは加水分解してボロボロになったウレタンミッドソールを取り除きます。指で押すと粉状に崩れるほど劣化が進んでおり、完全に剥離させるまでに時間を要しました。接着剤の残りや汚れもきれいに削り落とし、新しいソールを取り付けるための準備を整えます。
2. つま先ガードの製作

ソールを分解した後のアッパー部分には、古い接着跡や縫製の痕がどうしても残ります。これを隠すと同時に補強の役割を持たせるため、本革でトウガードを製作。カップ状に成形した革をつま先部分に縫い付け、自然に馴染むよう仕上げます。これにより見た目が整うだけでなく、つま先の耐久性も大きく向上します。
3. EVAスポンジミッドソールの製作

次に、新しいミッドソールを製作します。
素材には EVAスポンジ(ベージュ) を採用。EVAは軽量でクッション性があり、加水分解の心配がないため、ウレタンに代わる素材として最適です。ベージュカラーを選んだことで、黒のアウトソールとのコントラストが柔らかく、落ち着いた雰囲気になります。
また、S様の要望を踏まえ、ヒールに向かって厚みを増すように削り出し、ウェッジソール形状 に加工しました。これにより、スイング時の安定感や歩行時のバランスが改善されます。
4. マッケイ縫いで固定
新しいEVAミッドソールは接着だけでなく、マッケイ縫い を施しました。マッケイ縫いはアッパーとミッドソールを直接縫い付ける構造で、接着だけでは得られない強度を確保できると同時に、靴底の柔軟性も残せます。スポーツ用途の靴には特に有効な修理方法です。
5. Vibram419C スパイクレスソールの装着

最後にアウトソールを取り付けます。採用したのは Vibram419C。
このソールはスパイクレスゴルフシューズ用に開発されたモデルで、芝の上でのグリップ力はもちろん、コンクリートやクラブハウス内の床でも歩きやすいパターンが施されています。
オリジナルは赤いソールでしたが、今回は取り扱いがなかったため 黒を採用。その結果、全体が落ち着いたシックな印象になり、むしろ普段履きにも使いやすい仕上がりになりました。
6. 最終仕上げ

全体のバランスを確認し、ソール側面を整えて完成です。縫製部分や革ガードとの境目も自然に馴染むよう調整し、見た目にも違和感のない状態に仕上げました。
■ 修理後の状態
修理後のECCOスパイクレスゴルフシューズは、オリジナルの印象を残しながらも、より実用的で長く履ける仕様に生まれ変わりました。
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EVAスポンジ採用で 軽量化とクッション性向上
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ウェッジソール形状で 安定感を確保
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Vibram419Cで 芝・アスファルト両方に対応できるグリップ性能
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黒ソールに変更することで 落ち着いた大人の雰囲気
S様からも「オリジナルよりも履きやすくなった。ゴルフ以外でも履けそう」と大変ご満足いただけました。
■ 今回の修理ポイント
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加水分解への対策
ウレタンからEVAへ変更することで、再び同じ劣化が起こるリスクを回避。 -
デザイン性と実用性の両立
本革トウガードで仕上げを整えつつ補強。黒ソールでシックに仕上げ。 -
スポーツ用途に対応した設計
マッケイ縫い+Vibram419Cで、強度と柔軟性を兼ね備えた構造に。
■ まとめ
ECCOのスパイクレスゴルフシューズは、履き心地の良さと独特のデザインで人気ですが、加水分解によるソール劣化が避けられない弱点もあります。メーカーでは修理が難しいケースでも、適切な素材と技術を用いることで、オリジナル以上の耐久性と快適性を備えた靴に再生することが可能です。
今回のS様の靴も、新たなソールによって再び現役のゴルフシューズとして活躍できる状態に生まれ変わりました。お客様の「まだ履きたい」という思いを形にできたことが、私たち職人にとっても大きな喜びです。
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