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総社市 S様 Danner(ダナーライト)ソール張替え修理

総社市 S様 Danner(ダナーライト)ソール張替え修理

―EVAスポンジで高さ補正、Vibram148ソールにて再構築―

今回ご依頼いただいたのは、総社市にお住まいのS様よりお預かりした「Danner(ダナーライト)」のソール張替え修理です。


ダナーライトといえば、アメリカ・オレゴン州発祥のアウトドアブーツブランド「Danner」の代表的モデル。ゴアテックス防水ライニングを採用し、堅牢なつくりと履き心地の良さを両立した名作として、登山からタウンユースまで幅広く愛されています。

S様のブーツは、長年履き込まれており、アウトソールのかかと部分が大きく削れていました。さらに、アウトソールだけでなく、その下にある「ミッドソール(スポンジ層)」までもが摩耗しており、靴全体のバランスが崩れてしまっていました。こうなると単純に底ゴムを張り替えるだけでは修理が完結しません。削れた分を補う“高さ補正”を行い、靴としての正しい姿勢と接地角度を取り戻す必要があります。


■ 状態確認と分解

お預かりした時点で、かかと外側の削れがかなり進行しており、ソールの厚みが左右で違って見えるほどでした。ミッドソールに使用されているスポンジ材(EVA系)、一緒に削れていました。

まずは古いアウトソールを丁寧に剥がし、ミッドソールの状態を確認します。摩耗している部分は斜めにえぐれるように削れており、左右の高さ差は約3〜4mmほど。人間の歩行においてはこの差が大きく、履き続けると姿勢や足首への負担につながります。

このため、EVAスポンジを使ってミッドソール部分を再構築し、元の形状とバランスを復元する作業を行うことにしました。


■ EVAスポンジによる高さ補正

EVA(エチレン・ビニル・アセテート)スポンジは軽量でクッション性があり、登山靴やスニーカーのミッドソールに多く使われる素材です。削れた箇所に合わせてEVA板を加工し、厚みを慎重に調整します。

今回は、元のミッドソール色に近いものを探しましたが、同色のEVAスポンジは現行で入手が難しく、ややトーンの違うものを採用しました。後ろから見ると補修部分が少し明るめに見えますが、強度や弾性は同等です。修理前にS様にも色味の違いについてご説明し、ご納得いただいたうえで作業を進めています。

EVA素材の貼り合わせは、温度や圧力管理が重要です。接着剤を塗布した後、適切な圧力で圧着し、しっかりと固着させます。これを怠ると使用中に剥離を起こすリスクがあるため、圧着後は数時間しっかりと養生時間を取りました。


■ 新しいアウトソールの選定 ― Vibram148 ―

アウトソールには「Vibram(ビブラム)148」を使用しました。
Vibram148は「Kletterlift(クレッターリフト)」という名称でも知られるモデルで、登山靴やハンティングブーツなどに多く採用されている定番のソールです。ダナーライトのオリジナルソールとしても相性がよく、グリップ力・耐久性ともに非常に優れています。

このソールの最大の特徴は、深いラグパターンによる高いトラクション性能と、かかと部分のショック吸収構造。滑りやすい岩場や舗装路でも安定した歩行が可能です。また、ソールのゴム硬度が絶妙で、タウンユースでも減りが穏やか。日常使いにも適した万能タイプと言えるでしょう。

修理では、ミッドソールに補強したEVAスポンジをベースにVibram148を貼り合わせ、圧着・成形を行います。靴底のアーチラインに沿って均一に貼るため、位置決めは慎重に。特にダナーライトはヒールカーブが大きく、少しでもズレると歩行時の重心がブレるため、経験と感覚が問われる工程です。


■ 加工と仕上げ

補修したEVAスポンジ部分の色味はやや明るめですが、違和感なくまとまっています。靴全体のバランスも元に戻り、接地面もフラット。履いたときの安定感が格段に向上しています。


■ 修理後の履き心地と今後のメンテナンス

修理完了後、試し履きを行ってみると、着地時の沈み込みが適度に復活し、クッション性が明らかに改善されていました。削れによる左右の高さ差も解消され、歩行時の姿勢も安定します。

お客様にもお渡しの際に確認していただき、「新品のときよりも履き心地がいい」とのお言葉をいただきました。EVAスポンジの弾性とVibram148ソールの硬度の組み合わせがちょうどよく、登山はもちろん、街中での長時間歩行にも十分対応できます。

今後も長く履いていただくためには、定期的なブラッシングとオイルケアをおすすめします。アッパーの革部分はゴアテックス仕様で水を弾きますが、ステッチ部分からの浸水を防ぐためにも防水スプレーを併用すると安心です。また、かかとが再び大きく削れてきた際は、早めの補修を行うことで靴本体へのダメージを防ぐことができます。


■ 修理を通して感じたこと

ダナーライトのような名靴は、構造がしっかりしているため、一度ソールを張り替えればまた何年も履き続けることができます。今回のように、ミッドソールが部分的に削れてしまっても、EVAで補修し、Vibramソールで再構築すれば、機能・耐久ともに新品同等のパフォーマンスを取り戻すことが可能です。

ただ、EVAスポンジの色味や風合いはメーカーや時期によって微妙に異なるため、完璧に同一の見た目に仕上げることは難しい場合があります。その点を丁寧にご説明し、ご納得の上で修理を進めることが大切です。いずみ靴店では、見た目の美しさと機能のバランスを常に意識し、「履き心地を最優先にした修理」を心がけています。


ダナーライトは「修理しながら一生履ける靴」の代表格です。
今回のように、EVAスポンジで高さ補正を行い、Vibram148ソールでしっかりと組み直すことで、再びタフに活躍できる状態に生まれ変わりました。

S様、この度はご依頼ありがとうございました。
ぜひまたガンガン履いていただき、次の修理のタイミングで再びお手伝いできればと思います。


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