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倉敷市 H様 NIKE エア・ジョーダン1.5 ソール剥がれ修理

倉敷市 H様 NIKE エア・ジョーダン1.5 ソール剥がれ修理

― ボンド劣化による剥がれをオパンケ縫いで強化補修 ―

今回の修理事例は、倉敷市にお住まいのH様よりお預かりした「NIKE AIR JORDAN 1.5(ナイキ エア ジョーダン1.5)」のソール剥がれ修理です。
このモデルは、バスケットボールシューズの歴史を語る上で特別な存在。エアジョーダン1とエアジョーダン2の中間に位置する希少な復刻版で、クラシックな外観と現代的なクッション性を兼ね備えています。

しかし、長年の経年変化により、ソールを固定しているボンド(接着剤)が劣化し、アウトソールが全体的に剥がれてきていました。
特にジョーダン1.5は、ジョーダン1のようにソールをアッパーに縫い付けていない構造のため、接着剤の劣化が進むと一気に剥がれが広がってしまうのです。


■ ソール剥がれの状態

修理前の状態を確認すると、つま先からかかとまで広範囲にわたってソールが浮き上がり、内部の白いミッドソール層が露出していました。
加水分解こそ起きていなかったものの、接着面に残る古いボンドは粉のように崩れており、接着力を完全に失っている状態。軽く力を加えるだけでペリペリと剥がれるほどでした。

このような状態のまま使用を続けると、ソール内部に砂や水分が入り込み、ミッドソールのスポンジが傷みやすくなります。また、接着面にゴミが入り込むと、再接着の際に密着が妨げられるため、剥がれたら早めの処置が肝心です。

H様からは「まだまだ履きたいので、しっかり直してほしい」とのご要望。
そこで今回は、単なる接着修理ではなく、“縫い付け補強”を併用して強度を高める方法をご提案しました。


■ 一旦分解し、下処理を徹底

まずはソール全体を丁寧に分解します。
アウトソールとミッドソールを無理に剥がすと、内部のフォーム材(クッション層)を破損してしまうため、専用の温風機で温めながら慎重に分離しました。

古いボンドが完全に劣化しているため、接着面はザラザラとした粉状。これをすべて削り落とす必要があります。
ワイヤーブラシやサンドペーパーを使って、古い接着剤を除去し、素材表面を均一に荒らします。この工程を「下処理」と呼びます。
靴修理において下処理は最も重要な工程のひとつで、ここを丁寧に行うかどうかで修理の寿命が決まります。

下処理が完了したら、新しい接着剤(ウレタン系ボンド)を均一に塗布。乾燥後にもう一度熱をかけ、両面を圧着していきます。


■ オパンケ縫いによる補強

今回のジョーダン1.5は、オリジナルの構造ではソールが縫い付けられていません。つまり接着だけで固定されています。
この構造は軽量化には優れていますが、経年でボンドが劣化するとどうしても剥がれやすいという弱点があります。

そこでH様には、「オリジナルの仕様とは異なるが、縫い付けを追加することでより強度を高める」方法をご提案し、ご納得のうえで施工を進めました。

縫製方法には「オパンケ縫い」を採用しました。
オパンケ縫いとは、ソールの側面から糸を通し、アッパーとソールをぐるりと縫い付ける製法。スニーカーやカジュアルシューズの補強に用いられることが多く、外観的にもクラフト感が加わります。

この縫い方の利点は、単なる装飾ではなくソール剥がれを物理的に防止できること
ボンド接着だけで支えていた構造に、縫製という“機械的な固定”を加えることで、加水分解や接着劣化が起きても靴底が完全に剥がれ落ちることを防ぎます。


■ 修理後の状態と履き心地

H様にお渡しの際、実際に履いていただいたところ、「前よりも安定している」「足裏がしっかり支えられる感じがする」とのお言葉をいただきました。
接着と縫い付けを併用することで、ソールの“浮き”が解消され、着地時のぐらつきがなくなったのが大きな改善点です。

また、オパンケ縫いによってサイドラインにほんのりクラフト感が加わり、ファッション的にも味のある雰囲気に仕上がっています。
修理によって見た目が変わることを心配される方も多いですが、ジョーダンシリーズのデザインには縫いラインが自然に馴染むため、違和感はほとんどありません。


■ 今後のメンテナンスについて

ボンドはどんなに強力でも、年月とともに少しずつ硬化・劣化していきます。特にナイキのスニーカーに多いウレタン系ミッドソールは、湿気や温度変化で素材自体が脆くなることもあります。
今回のように縫い付けを加えておけば、仮にボンドが劣化しても“完全に剥がれ落ちる”という事態を防ぐことができます。

保管時には、直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い場所で保管してください。
長期間履かない場合でも、月に一度ほど陰干しをして湿気を逃がしておくと、加水分解の進行を遅らせることができます。


■ 修理を終えて

エアジョーダン1.5は、ジョーダン1のクラシックなルックスに、ジョーダン2のソール技術を組み合わせた“ハイブリッドモデル”。そのため構造的にも独特で、修理には通常のスニーカー以上の注意が必要です。

今回のように、オリジナルの仕様に縫いがない靴でも、「少しでも長く履けるように」というお客様のご希望に沿って、必要に応じて補強を追加することができます。
靴の修理とは単に“直す”ことではなく、使う人の履き方や思い出を残しながら“再構築”していく仕事です。

H様のジョーダンも、ソールの剥がれをしっかり補強したことで、また長く履いていただける状態に戻りました。
バスケットコートでの使用はもちろん、街履きとしても十分な強度と安心感があります。


■ まとめ

  • 症状:ボンド劣化によるソール全体の剥がれ

  • 対応:一旦分解 → 下処理 → 再接着 → オパンケ縫いによる補強

  • 使用機材:八方ミシン、ポリエステル強化糸

  • 修理後:強度・安定性が大幅に向上。外観も自然に仕上がり。


H様、この度はご依頼ありがとうございました。
これでまたジョーダン1.5を安心して履いていただけます。
履き心地の変化を楽しみながら、ぜひこれからもガンガン活躍させてください。


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