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岡山県津山市 U様 Ferragamo スニーカーオールソール交換修理 加水分解

岡山県津山市にお住まいのU様よりお預かりした、Ferragamo(フェラガモ)のスニーカーを、オールソール交換修理にて丁寧に再生いたしました。


場所は中国地方北部に位置する自然豊かな津山市
。日常使いの一足として長く愛用されてきたことが伝わる状態で、靴そのものに刻まれた履き込みの歴史からも、U様にとって大切な存在であることが感じられました。


■ ご依頼時の状態 ― 塩ビソールの加水分解による破損

今回の最大のトラブルは、塩ビ系素材のアウトソールに見られた加水分解です。
一見すると外観は保たれているように見える部分もありましたが、ソール内部で素材が劣化しており、荷重がかかった瞬間に「パカッ」と割れてしまう状態でした。

加水分解は、湿気や経年変化によって樹脂素材の分子構造が壊れてしまう現象で、特にポリウレタンや塩ビ系ソールでは避けて通れない経年劣化の一つです。見た目以上に内部の強度が失われるため、歩行時の安全性にも大きく影響します。

U様のスニーカーも例外ではなく、ソール中央部に明確な亀裂が生じ、踏み込むと内部が浮くような感触がありました。このままでは修理ではなく交換が必須と判断し、オールソールによる再構築をご提案しました。


■ 特徴的なヒールデザインが再現の難易度を高める

このフェラガモのスニーカーは、一般的なフラット構造とは異なり、
ヒールを包み込むようにソールが立ち上がる独特の意匠が採用されています。

このデザインは見た目の高級感を演出する一方で、修理においては大きな課題となります。
既製のフラットソールをそのまま取り付けると、

  • シルエットが大きく変わる

  • ヒール側面に接着跡が露出する

  • ブランド特有の雰囲気が損なわれる

といった問題が生じるため、単純な交換では完成度が著しく下がってしまいます。

そこで今回は、オリジナルのラインを尊重しながら見た目の違和感を最小限に抑えることを最優先に設計を行いました。


■ 接着跡を隠すための本革カバー処理

ソールを取り外すと、ヒール周囲にはどうしても接着面の段差や跡が残ります。
特に今回のように「巻き上げデザイン」の靴では、この部分がそのまま露出すると仕上がりの印象を大きく左右します。

そこで、ヒール外周に沿って本革を丁寧に縫い付けるカバー処理を実施しました。

この工程にはいくつかの目的があります。

  1. 見た目の美しさを保つ

  2. 接着跡を自然に隠す

  3. ソールとの境界をなじませる

  4. 強度を補強する

革は質感と色味を慎重に選定し、アッパーの雰囲気に溶け込むトーンで仕上げています。
縫製ラインもできる限り控えめに配置し、「後から付けた感」が出ないよう細部まで調整しました。


■ EVAスポンジによるウェッジソールの構築

次に、ミッドソールには軽量かつクッション性に優れるEVAスポンジを採用。

今回の修理では、元のソール構造を参考にしながらも、
耐久性と履き心地の向上を目的にウェッジ形状で成形しています。

EVAを使用するメリットは次の通りです。

  • 軽量で疲れにくい

  • 衝撃吸収性が高い

  • 加水分解しにくい

  • 成形の自由度が高い

特に今回のような立体的シルエットでは、削り出しによる微調整ができるEVAが最適です。
何度も仮合わせを行いながら、接地バランスと見た目のラインを両立させました。


■ アウトソールにはVibram1030を採用

最終的な接地面には、世界的に信頼されるソールメーカー
**Vibram**の「Vibram1030」を使用しました。

このソールは

  • 耐摩耗性

  • グリップ力

  • 柔軟性

のバランスに優れており、タウンユースから長時間歩行まで幅広く対応できます。

フェラガモの上品なデザインを損なわないよう、
厚みと輪郭を微調整しながら接着・仕上げを行い、機能性と外観の調和を図りました。


■ オリジナルより厚みは増加 ― しかし性能は大幅向上

完成後のソールは、オリジナルと比較するとやや厚みが増しています。
これは耐久性とクッション性を優先した設計によるもので、

✔ 衝撃吸収性の向上
✔ 長時間歩行時の疲労軽減
✔ ソール寿命の延長

といった実用面で大きなメリットがあります。

見た目のボリュームはわずかに増していますが、
全体のプロポーションを整えることで違和感のない自然な仕上がりとなりました。


■ 修理を終えて ― 大切な一足をこれからも

今回のオールソール交換は、単なる「底の交換」ではなく、
デザイン・機能・耐久性のバランスを再構築する作業でした。

ブランドスニーカーは既製パーツの流用が難しいケースも多く、
一足ごとに設計を組み立てる必要があります。

その分、完成したときの達成感は大きく、
履き主のこれからの時間を支える一足として再び歩き出せることが、修理職人として何よりの喜びです。

U様のフェラガモも、これからまた日常の中で活躍してくれることでしょう。
履き込むほどに革の表情が深まり、今回のソールも足に馴染んでいきます。


もし同じように

  • ソールが割れた

  • 加水分解している

  • ブランド靴の修理を断られた

といったお悩みがあれば、状態に合わせた最適な方法をご提案できます。

靴は消耗品でありながら、同時に思い出を刻む道具でもあります。
適切な修理を行えば、その寿命は大きく延ばすことが可能です。

大切な一足を、これからも安心して履き続けていただけるよう、
これからも一足一足と丁寧に向き合ってまいります。

東京都のN様の大切なJoyaウォーキングシューズが加水分解したためオールソール交換修理しました

東京都のN様、この度は大切なウォーキングシューズの修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。長く愛用されてきた一足を再び快適に履いていただける状態へと蘇らせるお手伝いができ、私たちも大変嬉しく思っております。

今回お預かりしたのは、足腰への負担を軽減する独自のクッション構造で知られるスイス発のコンフォートシューズブランド、Joya のウォーキングシューズです。柔らかな履き心地と安定感を兼ね備え、日常の散歩から長時間の歩行まで幅広く活躍するモデルで、N様が日々の生活の中で大切に履いてこられたことが、靴全体の風合いから伝わってきました。

しかし、ウォーキングシューズはその性質上、歩行時の衝撃を吸収するために柔らかい素材が多く使われています。そのため長年の使用により、ソール部分にへたりや劣化が生じやすく、クッション性の低下やバランスの崩れが起こることがあります。今回のシューズも、ミッドソールの弾力が弱まり、アウトソールの摩耗も進んでいたため、本来の快適さが十分に発揮できない状態となっていました。

そこで今回の修理では、ソール全体を作り直す「オールソール交換」を実施し、履き心地を根本からリフレッシュする方法を選択しました。単なる貼り替えではなく、元の構造と歩行バランスを考慮しながら再構築することで、より自然で安定した履き心地を目指しています。

ミッドソールには、軽量で衝撃吸収性に優れたEVAスポンジを採用しました。EVA素材は弾力性と耐久性のバランスが良く、ウォーキングシューズの再生において非常に相性の良い素材です。今回は厚みや硬度の異なるEVAを複数層に分けて積み重ねることで、元のクッション感を再現しつつ、歩行時の沈み込みや安定性を細かく調整しています。

積層構造にすることで、単一素材では再現しにくい「柔らかさと支え」の両立が可能になります。下層には適度な硬さのEVAを配置して安定感を確保し、上層には柔らかめの素材を用いることで足当たりを優しく仕上げました。この構造により、歩き始めの柔らかさと、踏み込んだ際のしっかりした支えを両立させています。

アウトソールには、耐摩耗性とデザイン性を兼ね備えたTopy社のクロコ柄ラバーソールを採用しました。クロコダイル調の型押しパターンは見た目のアクセントになるだけでなく、接地面の細かな凹凸がグリップ力を高め、滑りにくさにも貢献します。街中の舗装路から屋内の床面まで幅広い環境で安心して歩ける仕様となっています。

修理工程では、まず劣化したソールを慎重に分解し、内部の状態を確認します。ウォーキングシューズの場合、見た目以上に内部のクッションが崩れていることも多いため、必要に応じて不要な素材を取り除き、土台を整えることが重要です。下地をしっかり整えたうえで新しいEVAを成形し、接着・圧着を行いながら一体感のある構造へと仕上げていきます。

その後、アウトソールを貼り合わせ、コバ周りのラインを整形。全体のバランスを確認しながら細部を仕上げ、歩行テストを想定した最終チェックを行って完成となります。見た目の美しさだけでなく、実際に履いた際の感覚を重視することで、修理後の満足度を高めています。

仕上がったシューズは、外観が引き締まりスタイリッシュな印象に変わると同時に、足を入れた瞬間に感じる柔らかさと安定感が大きく向上しています。歩行時の衝撃吸収が改善されることで、長時間の外出でも疲れにくく、ウォーキング本来の楽しさを再び感じていただける状態になりました。

また、ソールを新しくすることで耐久性も向上しており、これから先も安心して履き続けていただけます。適切なタイミングでメンテナンスを行えば、コンフォートシューズは長く活躍してくれるアイテムです。履き慣れた靴を修理して使い続けることは、足への負担が少ないだけでなく、環境負荷の軽減にもつながるサステナブルな選択と言えるでしょう。

靴のリペアは「まだ履きたい」という気持ちを形にする方法です。新しい靴に買い替えるのではなく、今の一足を再生することで、履き心地や足への馴染みを保ったまま、機能だけを新しくすることができます。特にウォーキングシューズは足に馴染んでいるほど快適さが増すため、修理との相性がとても良い靴種です。

長く快適に履くためのポイントとしては、
・使用後に湿気を逃がす
・定期的にインソールを乾燥させる
・摩耗が進む前にソールを点検する
といった日常的なケアが効果的です。これらを意識していただくことで、今回の新しいソールもより長く良い状態を保てます。

今回の修理によって、N様のシューズは再び日常を支える頼もしい一足へと生まれ変わりました。これからも散歩やお出かけの時間を、より快適に楽しんでいただければ幸いです。履き慣れた靴が再び活躍する瞬間は、私たちにとっても何よりの喜びです。

改めまして、東京都のN様、この度はご依頼いただき誠にありがとうございました。これからもお客様の大切な一足一足に寄り添いながら、最適な修理とメンテナンスをご提案してまいります。

ソール交換やクッション補修、カスタムなど、靴に関するお悩みがございましたらいつでもお気軽にご相談ください。お気に入りの靴を長く快適に履き続けるためのお手伝いを、これからも心を込めてさせていただきます。👟✨

広島県 T様 Timberland ショートブーツ カスタム オールソール交換修理しました

広島県にお住まいのT様よりお預かりした、大切なショートブーツ。ブランドは世界的アウトドアフットウェアブランドとして知られるティンバーランド。無骨さと上品さを併せ持つデザインで、タウンユースからアウトドアまで幅広く活躍してきた一足です。

しかし今回ご相談いただいたのは、「ソールが剥がれてきた」「カップソールが硬くなり、色も変わってきた」というお悩みでした。


■ 経年劣化によるカップソールの硬化と変色

オリジナルのカップソールは、見た目の一体感や軽量性、クッション性に優れています。しかし、素材の特性上、長年の使用や保管環境の影響を受けると、徐々に硬化が進みます。

特にポリウレタン系素材やラバーコンパウンドは、湿気や紫外線の影響を受けやすく、

  • 弾力の低下

  • 接着力の弱まり

  • 側面の黄ばみや変色

  • ひび割れや剥離

といった症状が現れます。

T様のブーツも、まさにその状態でした。アッパーはまだ十分に美しく、革も良好なコンディションを保っているのに対し、ソールだけが寿命を迎えている状況。これは非常にもったいない状態です。

「アッパーが元気なら、靴はまだまだ蘇る」

それが私たち靴修理専門店の考えです。


■ 同じカップソールが入手できないという現実

今回の修理で大きな課題となったのは、オリジナルと同じカップソールが入手できないという点でした。

ブランド専用の純正パーツは、一般の修理業者には流通しないことが多く、たとえ似た形状のものがあっても、

  • サイズが合わない

  • 側面の意匠が異なる

  • 色味が違う

  • フィット感が変わる

といった問題が生じます。

そこで私たちは発想を転換しました。

「再現できないなら、より美しく進化させる」

今回の修理は、単なる交換ではなく、カスタムオールソールという形で生まれ変わらせる方向へと舵を切りました。


■ 側面に本革を縫い付ける大胆なアプローチ

カップソールを取り外した後、側面には接着跡や段差が残ります。そのまま新しいソールを装着すると、見た目に違和感が出てしまいます。

そこで採用したのが、側面に本革を巻き、縫い付ける方法です。

これは単なる装飾ではありません。

  • 視覚的な美しさの回復

  • 強度の補強

  • 新旧素材の違和感をなくす調整

  • デザインの再構築

という、機能と意匠の両立を目的とした工程です。

丁寧に革を裁断し、厚みを調整し、アッパーとの色味バランスを考慮しながら縫製。縫い幅やピッチにも気を配り、ブーツ本来のタフな印象を損なわないよう仕上げました。

その結果、元のカップソール仕様よりも、むしろクラフト感のある上質な佇まいへと昇華しています。


■ ミッドソールはマッケイ縫いで堅牢に固定

今回の修理の要となるのが、ミッドソールの固定方法です。

採用したのはマッケイ製法

マッケイ縫いは、アッパー・中底・ミッドソールを貫通して一本の縫い糸で縫い上げる構造です。

この製法のメリットは:

  • 屈曲性が高い

  • 軽量

  • 足馴染みが良い

  • 返りが自然

特にショートブーツのように歩行頻度が高い靴には適しています。

接着だけに頼らず、縫いで固定することで、将来的な剥離リスクを大幅に軽減。見えない部分こそ丁寧に仕上げることで、長く安心して履いていただける仕様へと再構築しました。


■ アウトソールにはVibram4014を採用

そして仕上げに選んだのが、世界的に評価の高いソールメーカー、VibramVibram 4014です。

Vibram4014は、いわゆる“クリスティタイプ”の白いフラットソール。

特徴は:

  • 優れたクッション性

  • 軽量設計

  • 安定したグリップ力

  • 柔らかく快適な歩行感

ワークブーツやカジュアルブーツとの相性が非常に良く、見た目も爽やかで都会的な印象になります。

T様のティンバーランドは、もともとやや無骨な雰囲気がありましたが、白い4014を組み合わせることで、重厚感の中に軽快さが加わりました。

「タフ × クリーン」

そんな絶妙なバランスに仕上がっています。


■ 分解から仕上げまでの工程

今回の作業工程を簡単にご紹介します。

  1. 既存カップソールの慎重な分解

  2. 接着剤や劣化素材の完全除去

  3. 中底の状態確認と補強

  4. 側面革巻きの設計・縫製

  5. ミッドソール作成・マッケイ縫い

  6. Vibram4014装着

  7. コバ仕上げ・最終バランス調整

特に重要なのは「古い接着剤を完全に除去する工程」です。これを怠ると、新しいソールの密着性が落ち、数年後に再び剥がれる原因になります。

見えない部分こそ、妥協しない。

それが耐久性を左右します。


■ 履き心地の変化

修理後の履き心地は、元の状態とは明らかに異なります。

  • 硬化していた衝撃が和らぐ

  • 歩行時の返りが自然

  • 足裏への負担軽減

  • 軽やかな足運び

特に白いVibram4014は衝撃吸収性に優れ、長時間の歩行でも疲れにくい仕様です。

T様にも「まるで新しいブーツのようだ」と喜んでいただけました。


■ “修理”ではなく“再設計”

今回の事例は、単なる修理ではありません。

素材の選定
構造の再設計
デザインの再構築

まさに一足の再創造です。

同じ部品が手に入らないからといって、諦める必要はありません。

むしろそこからが、職人の腕の見せどころです。


■ 大切な靴を、これからも長く

お気に入りの靴には、思い出や時間が詰まっています。

履き込んだシワ
刻まれた傷
足に馴染んだ革

それらは新品では決して得られない価値です。

ソールが寿命を迎えただけで手放してしまうのは、本当にもったいないこと。

適切な修理とカスタムを施せば、さらに何年も活躍できます。


広島県のT様、この度は大切な一足をお任せいただき、誠にありがとうございました。

新しく生まれ変わったティンバーランドのショートブーツで、これからもたくさんの場所へ歩んでください。

もし同じように、

  • ソールが剥がれた

  • 加水分解で崩れた

  • 純正パーツが手に入らない

  • カスタムして雰囲気を変えたい

そんなお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。

プロフェッショナルの技術で、あなたの大切な靴に新たな命を吹き込みます。

#靴修理
#ティンバーランド修理
#オールソール交換
#カスタムブーツ
#Vibram4014
#広島靴修理

東京都S様のジャーマントレーナー/加水分解によるオールソール交換修理事例

東京都S様 ジャーマントレーナー

加水分解したソールをオールソール交換で再生した修理事例

今回ご紹介するのは、東京都にお住まいのS様よりお預かりした、ジャーマントレーナーのオールソール交換修理事例です。
シンプルで無駄のないデザイン、そして軍用トレーニングシューズをルーツに持つ機能美で、長年多くのファンに愛されてきたジャーマントレーナー。S様もまた、この一足を大切に履き続けてこられたとのことでした。

しかし、見た目にはまだ履けそうに見える状態でありながら、靴底内部では深刻な劣化が進行していました。その原因が、多くのスニーカーやカジュアルシューズに見られる「加水分解」です。


見えないところで進行する「加水分解」という劣化

ジャーマントレーナーをはじめ、現代の靴に多く使用されているミッドソール素材には、ポリウレタンが使われていることが少なくありません。
このポリウレタンは、軽さやクッション性に優れる反面、水分や湿気、経年によって化学的に分解される性質を持っています。

これがいわゆる「加水分解」と呼ばれる現象です。

加水分解が進行すると、

  • ソールが硬化する

  • 内部がボロボロと崩れる

  • 靴底が剥がれる、割れる

  • 履いていないのに劣化が進む

といった症状が現れます。
S様のジャーマントレーナーも、まさにこの状態でした。表面上はまだ形を保っていましたが、実際に分解してみると、ミッドソール部分は指で触れるだけで崩れてしまうほど脆くなっていたのです。

この状態では、部分的な補修や接着だけでは対応できません。
そこで今回は、オールソール交換修理をご提案しました。


劣化したソールを完全に取り除く分解工程

オールソール交換修理の第一歩は、既存のソールをすべて取り外すことです。
加水分解したソールは、見た目以上に内部が弱くなっているため、慎重に分解作業を進めます。

無理な力をかけると、アッパー(甲革)側を傷めてしまう恐れがあるため、

  • 接着面を少しずつ剥がす

  • 劣化した素材を丁寧に除去する

  • 古い接着剤を完全に取り除く

といった工程を、時間をかけて行います。

特にジャーマントレーナーは、アッパーのラインが美しく、側面の処理が仕上がりに大きく影響します。
この下準備をどれだけ丁寧に行うかで、最終的な完成度が決まると言っても過言ではありません。


側面の接着跡を本革でカバーする理由

今回の修理で特徴的なのが、側面の接着跡処理です。
オールソール交換を行うと、どうしても元のソールを剥がした痕跡が側面に残りやすくなります。

そこで今回は、側面全体に本革を縫い付ける処理を施しました。

この方法には、いくつものメリットがあります。

  • 接着跡を自然に隠せる

  • 見た目に高級感が出る

  • 靴全体の耐久性が向上する

  • 修理後のデザインとして完成度が高い

単に「直した靴」ではなく、**「ひとつ上の仕上がり」**を目指すための重要な工程です。
縫い付ける位置や革の厚み、色味のバランスにも細心の注意を払い、ジャーマントレーナー本来の雰囲気を損なわないよう仕上げています。


EVAスポンジで作るウェッジソール

新しく作成するミッドソールには、EVAスポンジを使用しました。
EVAは、軽量でクッション性が高く、さらに加水分解を起こしにくい素材として知られています。

今回は、EVAスポンジを積み上げることで、

  • 元のシルエットに近い厚み

  • 自然な傾斜を持つウェッジ形状

  • 長時間歩いても疲れにくい履き心地

を実現しています。

削り出しによって細かなラインを整え、横から見た時のフォルムにも妥協はありません。
見た目と機能性、その両方を高いレベルで成立させることを意識しました。


アウトソールはVibram1220で最終仕上げ

アウトソールには、Vibram1220を採用しています。
このソールは、

  • 適度なグリップ力

  • 街履きに適した耐摩耗性

  • ジャーマントレーナーと相性の良いデザイン

といった特長を持ち、日常使いから長時間の歩行まで幅広く対応できます。

EVAミッドソールとの相性も良く、軽快な履き心地を損なうことなく、安心感のある足取りをサポートしてくれます。


「もう履けない」から「まだまだ履ける」へ

修理完了後のジャーマントレーナーは、見た目にも、履き心地にも、新しい命が吹き込まれました。
加水分解によって寿命を迎えかけていた一足が、これから先も長く履き続けられる靴へと生まれ変わった瞬間です。

S様にも仕上がりをご確認いただき、大変喜んでいただくことができました。


思い出の詰まった靴を、これからも

靴は、ただの履物ではありません。
歩いてきた時間、過ごしてきた日常、そのすべてが刻まれています。

私たちは、そんなお客様の思い出が詰まった一足一足を大切に、丁寧に修理しています。
加水分解してしまったからといって、諦める必要はありません。

「これはもう無理かも…」
そう思う前に、ぜひ一度ご相談ください。

岡山市 N様 joyaウォーキングシューズ 加水分解したソールの修理事例

岡山市の皆様、こんにちは。靴修理専門店として日々さまざまな一足と向き合っている私どもですが、今回は多くのファンを持つ〈Joya(ジョーヤ)〉のウォーキングシューズ修理事例をご紹介いたします。

Joyaといえば、独自構造によるクッション性と安定感で「長時間歩いても疲れにくい靴」として高い評価を受けているブランドです。医療・健康分野からの支持も厚く、ウォーキングや日常使いはもちろん、立ち仕事の方にも愛用者が多いのが特徴です。その一方で、構造上ミッドソールにポリウレタン素材が使用されているモデルも多く、経年による“加水分解”という避けられない問題を抱えています。

■ ご相談内容 ― 加水分解によるソール崩壊
今回お預かりした岡山市のお客様のJoyaウォーキングシューズも、まさにその加水分解が進行している状態でした。見た目は一見まだ履けそうに見えるものの、ソール側面には細かなひび割れが入り、指で触れるとポロポロと崩れ落ちてしまうほど。歩行時には不安定さを感じ、いつ完全に壊れてもおかしくない状況でした。

お客様からは「履き心地がとても気に入っているので、できれば買い替えではなく修理でまた履きたい」というご相談をいただきました。この言葉こそ、私ども靴修理職人にとって何より嬉しい瞬間です。そこで、靴の状態を細かくチェックし、オールソール交換による修理をご提案しました。

■ 修理方針 ― オリジナルの履き心地を目指して
Joyaの修理で最も重要なのは、“ただソールを新しくする”のではなく、オリジナルが持つ独特の履き心地をいかに再現するか、という点です。クッション性、厚み、足運びの自然さ、そのすべてが絶妙なバランスで成り立っています。

まずは劣化したポリウレタン製ミッドソールを完全に取り除く作業からスタートします。加水分解を起こした素材は非常にもろく、無理に剥がすとアッパー(靴本体)を傷めてしまう恐れがあります。そのため、状態を見極めながら、時間をかけて丁寧に分解していきました。

■ EVAスポンジによるミッドソール再構築
次に行うのが、新しいミッドソールの製作です。今回は耐久性と軽さ、そしてクッション性に優れたEVAスポンジを使用しました。単に一枚貼るのではなく、複数層を積み上げながら厚みと曲線を調整していきます。

Joya特有の“揺りかごのようなローリング構造”を意識し、前足部から踵にかけてのラインを何度も確認。削っては合わせ、また削るという工程を繰り返しながら、できる限りオリジナルに近いフォルムを再現しました。この工程こそが、履き心地を大きく左右する職人技の見せどころです。

■ Topy社クロコ柄ソールで仕上げ
アウトソールには、信頼性の高いTopy(トピー)社製のクロコ柄ソールを採用しました。適度なグリップ力があり、日常のウォーキングに最適な素材です。デザイン面でも高級感があり、Joyaの上品なアッパーと非常によくマッチします。

ミッドソールとアウトソールをしっかりと接着・圧着し、細部を整えたら仕上げ工程へ。コバ周りを美しく整え、全体のバランスを確認して、ようやく完成となります。

■ 修理後 ― 再び始まるウォーキングライフ


完成した一足は、見た目にも美しく、何より安心して履いていただける状態へと生まれ変わりました。加水分解の心配が少ない素材構成に変更したことで、これからも長くご愛用いただけます。

お引き渡しの際、お客様から「またこの靴で歩けるのが嬉しい」というお言葉をいただき、私どもも胸が熱くなりました。靴は単なる消耗品ではなく、思い出や日常に寄り添う大切な相棒。その価値を修理によってつなぐことが、私たちの使命だと改めて感じさせていただいた事例です。

■ 買い替えではなく“修理”という選択肢


Joyaに限らず、加水分解で履けなくなった靴を「もう寿命だ」と諦めてしまう方は少なくありません。しかし、構造を理解した上で適切な修理を行えば、履き心地を保ったまま再生することは十分可能です。

岡山市で靴修理をご検討の方、特にウォーキングシューズや健康靴でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。状態を確認し、最適な修理方法をご提案いたします。

愛用の靴を、もう一度あなたの足元へ。
快適な履き心地とともに、新しいウォーキングライフをお楽しみいただければ幸いです。

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兵庫県Y様ご依頼|Clarks(クラークス)ナタリー オールソール交換修理事例

EVAスポンジ×Vibram1030で履き心地と耐久性を両立

今回は兵庫県のY様よりご依頼をいただいた、
Clarks(クラークス)ナタリーのオールソール交換修理について、詳しくご紹介いたします。

クラークス ナタリーは、長年にわたり多くのファンに愛され続けている定番モデルです。
カジュアルでありながら上品さも併せ持ち、普段履きから少しきれいめなスタイルまで幅広く活躍する一足として知られています。

しかし、その独特な履き心地を生み出しているクレープソールは、
・摩耗が早い
・加水分解や劣化が起きやすい
・ベタつきや剥がれが出やすい
といった弱点もあり、長く履き続けるうえではオールソール交換修理が必要になるケースが少なくありません。


クラークス ナタリーのソール劣化について

今回お預かりしたY様のクラークス ナタリーも、
長年の使用によりアウトソールの摩耗が進み、グリップ力の低下や歩行時の不安定さが見られる状態でした。

ナタリー特有のクレープソールは、柔らかく足当たりが良い反面、
・地面との摩擦で削れやすい
・汚れやすく見た目が悪くなりやすい
・日本の気候では劣化が進みやすい
という特徴があります。

「気に入っている靴なので、できるだけ元の履き心地を残しつつ、もっと丈夫にしたい」
というのが、Y様のご要望でした。


修理方針|オリジナルのフィーリングを損なわないことを最優先

当店では、クラークス ナタリーの修理において
**「見た目」だけでなく「履き心地の再現」**を非常に重要視しています。

単純に硬いゴムソールを貼ってしまうと、
・クッション性が失われる
・歩き心地が別物になってしまう
・ナタリーらしさがなくなる
といった問題が起こりがちです。

そこで今回は、
EVAスポンジを使用してウェッジソールを一から作成し、
その上にフラット系のVibramアウトソールを組み合わせる構成をご提案しました。


EVAスポンジを使ったウェッジソール製作

EVAスポンジは、
・軽量
・クッション性が高い
・耐久性に優れる
という特性を持つ素材で、スニーカーやウォーキングシューズのミッドソールにも広く使われています。

今回の修理では、このEVAスポンジを積み上げながら削り出し、
**オリジナルのクレープソールに近い厚みと傾斜(ウェッジ形状)**を再現しました。

特にナタリーは、
・つま先側の丸み
・土踏まずからヒールにかけての自然な高さ
といったシルエットが重要なため、
左右のバランスを見ながら細かく成形していきます。

この工程を丁寧に行うことで、
見た目だけでなく、履いたときの感覚も「ナタリーらしさ」を残すことができます。


Vibram1030を採用|耐久性とグリップ力を大幅向上

アウトソールには、Vibram(ビブラム)1030を使用しました。

Vibram1030は、
・フラット系で癖が少ない
・地面をしっかり捉えるグリップ力
・摩耗に強く長持ち
といった特徴を持つソールです。

クラークス ナタリーのカジュアルなデザインとも相性が良く、
街歩き・普段使い・旅行など、さまざまなシーンで安心して履いていただけます。

また、クレープソール特有の
「雨の日に滑りやすい」
「減りが早い」
といった不満点も、Vibram1030に交換することで大きく改善されます。


本革を使用したデザイン再現へのこだわり

今回の修理では、つま先とヒール部分の独特なデザインを再現するため、
本革を使用して仕上げを行いました。

クラークス ナタリーは、
ソール周りのボリューム感や立体感もデザインの一部です。

単にソールを貼り替えるだけでは、
・のっぺりした印象になる
・純正とは違う安っぽさが出る
ことがあります。

そこで、本革を使ってラインを整え、
違和感のない自然な仕上がりになるよう工夫しました。


修理後の仕上がりと履き心地

修理完了後のナタリーは、
・見た目はオリジナルの雰囲気をしっかり維持
・クッション性はEVAスポンジで向上
・耐久性とグリップ力はVibram1030で大幅アップ
という、非常にバランスの取れた一足に生まれ変わりました。

Y様からも
「履き心地が良く、安心して歩けるようになった」
と嬉しいお言葉をいただいております。


クラークス ナタリーは修理で長く履ける靴です

クラークス ナタリーは、
オールソール交換修理を行うことで、まだまだ長く履き続けることができる靴です。

・ソールがすり減ってきた
・ベタつきや剥がれが気になる
・純正クレープソールに不満がある
といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

当店では、
靴の状態やお客様のご希望に合わせて、
最適なソール構成をご提案いたします。

お気に入りの一足を、これからも快適に履き続けるために。
クラークス ナタリーのオールソール交換修理は、ぜひ当店にお任せください。

東京都 H様 Dubarry(デュ・バリー)ブーツ 加水分解によるオールソール交換修理事例

— 側面跡形処理を伴う本格再構築 —

今回ご紹介する修理事例は、東京都にお住まいのH様よりご依頼いただいた Dubarry(デュ・バリー)ブーツのオールソール交換修理 です。
アイルランド発祥のデュ・バリーは、防水性と耐久性に優れたブーツを多く展開しており、アウトドアやタウンユースを問わず愛用されているブランドですが、使用されている素材の特性上、避けて通れない経年劣化も存在します。

■ ご依頼時の状態 ― ミッドソールの加水分解

お持ち込み時のブーツを確認すると、ミッドソール部分に明確な加水分解症状 が見られました。
ポリウレタン素材特有の劣化により、ミッドソールが脆くなり、部分的に剥がれと崩れが生じています。

加水分解は、空気中の水分と反応することで内部から分子構造が壊れていく現象で、見た目にはまだ使えそうに見えても、内部では確実に進行しています。
特にデュ・バリーのように、ミッドソールにポリウレタンを広範囲に使用している構造 の場合、この症状が出始めると部分補修では対応できず、オールソール交換修理が必須 となります。

さらにアウトソール部分も、長年の使用により 全体的に大きく摩耗 しており、グリップ力の低下も顕著でした。
これらの状態を踏まえ、今回はミッドソールからアウトソールまでをすべて作り直す、本格的なオールソール交換修理をご提案しました。


■ 修理の難所 ― 側面に残る「跡形」の問題

今回の修理で特に注意が必要だったのが、側面構造の処理 です。

このブーツは、ミッドソールのポリウレタンが 側面に幅広く貼り付けられている構造 になっています。
加水分解したミッドソールを除去すると、その下から接着跡や段差、素材の境目などがそのまま露出してしまいます。

この「跡形」をそのままにして新しいソールを取り付けてしまうと、

  • 側面の見た目が著しく損なわれる

  • 後付け感が強くなり、全体のバランスが崩れる

  • 耐久性や防水性にも悪影響が出る

といった問題が生じます。

そのため今回は、単なるソール交換ではなく、側面処理を含めた再構築修理 を行うことにしました。


■ 本革による側面処理 ― オパンケ縫いを採用

まず、加水分解したポリウレタンミッドソールを完全に除去し、残った素材や接着剤を丁寧に処理します。
下地を整えたうえで、側面の跡形を覆うために本革を新たに成形 し、靴本体に縫い付けていきます。

ここで採用したのが オパンケ縫い です。

オパンケ縫いは、側面から革を立ち上げて縫い付ける製法で、

  • 側面を立体的に整えられる

  • 跡形を自然に隠すことができる

  • 強度が高く、ハードユースにも耐える

といった特徴があります。

見た目の処理だけでなく、構造的な補強 としても非常に有効なため、今回のような修理には最適な方法と言えます。


■ EVAスポンジミッドソールの縫い付け ― マッケイ縫い

側面処理が完了した後は、新しいミッドソールの取り付けです。
今回は EVAスポンジ素材のミッドソール を採用しました。

EVAは、

  • 加水分解しにくい

  • 軽量でクッション性が高い

  • 加工がしやすく、修理向き

という特性があり、今後長く履いていただくための素材として非常に優れています。

このEVAミッドソールは、マッケイ縫い によって靴本体に直接縫い付けています。
マッケイ縫いは、底付けの安定性が高く、修理後のトラブルが少ない製法で、オールソール交換修理では定番かつ信頼性の高い方法です。


■ アウトソール ― Vibram1136を選択

仕上げとなるアウトソールには、Vibram1136 を使用しました。

Vibram1136は、

  • 厚みがあり耐摩耗性が高い

  • 悪路でも安定したグリップ力を発揮する

  • ブーツとの相性が非常に良い

といった特徴を持つソールです。

デュ・バリー本来のタフなイメージを損なわないよう、実用性重視のソール選定 を行っています。


■ 修理後の仕上がりと評価

完成したブーツは、修理前と比べると 全体的にごつく、無骨な印象 になりました。
しかしこれは決してマイナスではなく、

  • 構造的に強くなった

  • ハードな使用にも耐えられる

  • 今後の再修理もしやすい

という、実用靴として非常に優れた状態に生まれ変わっています。

見た目だけを元に戻す修理ではなく、これから先も安心して履き続けられること を最優先に考えたオールソール交換修理です。


■ まとめ

デュ・バリーのブーツは高品質で魅力的な反面、ポリウレタン素材の加水分解という宿命を抱えています。
しかし、適切な修理方法を選択すれば、寿命を大きく延ばすことが可能 です。

今回のように、

  • 側面跡形を本革で処理

  • オパンケ縫いとマッケイ縫いを使い分け

  • 加水分解しにくい素材へ置き換える

ことで、単なる延命ではなく「再構築」と言える修理が実現します。

同様の症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。


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東京都K様 Joya(ジョーヤ)ウォーキングシューズ ポリウレタンミッドソール加水分解によるオールソール交換修理事例

今回ご紹介する修理事例は、東京都よりご依頼いただいたK様の Joya(ジョーヤ)ウォーキングシューズ のオールソール交換修理です。
Joyaはスイス発のコンフォートシューズブランドとして知られ、柔らかく衝撃吸収性に優れた独自構造のソールが特徴で、長時間の歩行や立ち仕事をされる方から高い支持を得ています。

しかし、その履き心地の要となっているポリウレタン素材のミッドソールは、経年劣化による「加水分解」という避けられない問題を抱えています。
今回お持ち込みいただいたK様の靴も、まさにその典型的な症状が現れていました。


■ ご入荷時の状態 ― ポリウレタン加水分解によるソール崩壊

靴を拝見すると、アウトソール自体は大きな摩耗があるわけではないものの、
ミッドソール部分のポリウレタンが粉状・スポンジ状に崩れ始めている状態でした。

ポリウレタンは、製造から一定年数が経過すると空気中の水分と反応し、
・ベタつく
・ひび割れる
・指で押すと潰れる
・最終的にはボロボロと崩れる
といった症状を起こします。

これは履いていなくても進行するため、「見た目はきれいなのに、突然履けなくなる」というケースが非常に多い素材です。
Joyaをはじめ、コンフォートシューズや高機能スニーカーでは避けて通れない問題でもあります。


■ 修理方針 ― オリジナル構造を尊重しつつ、実用性を重視

Joyaの純正ソールは特殊構造のため、同一形状・同一素材の交換用ソールは入手不可能です。
そのため今回は、

  • ポリウレタンは使用しない

  • 今後加水分解しない素材を採用

  • できる限りオリジナルのシルエットと曲線を再現

  • 実用的で長く履ける構造にする

という方針で、フルオールソール交換修理を行うことにしました。


■ ソール分解と下処理

まずは劣化したソールを慎重に分解します。
ポリウレタンは劣化が進むと粘着力が落ちているため、
熱を加えながら無理な力をかけずに剥がしていきます。

分解後は、靴本体側に残ったポリウレタンの残骸を徹底的に除去
この工程を疎かにすると、後の接着不良や再剥離の原因になります。

特にJoyaのように側面に丸みのあるデザインでは、
**ソール側面の跡形処理(成形痕の処理)**が非常に重要です。
ここを丁寧に整えることで、後から取り付けるミッドソールの仕上がりが大きく左右されます。


■ EVAスポンジミッドソールの製作とマッケイ縫い

ミッドソールには、加水分解しないEVAスポンジ素材を採用しました。
EVAはポリウレタンほどの柔らかさはありませんが、

  • 軽量

  • 適度なクッション性

  • 経年劣化に強い

  • 実用靴として安定性が高い

といったメリットがあります。

このEVAミッドソールを靴本体にマッケイ縫いで取り付けます。
マッケイ縫いは、底付けとしては比較的軽量で、屈曲性を確保しやすい縫製方法です。

また、縫いを入れることで接着だけに頼らない構造となり、
長期使用時の剥がれリスクを大幅に軽減できます。


■ ミッドソール2層積み上げによる厚みと曲線の再現

Joya特有の厚みと、なだらかな曲線を再現するため、
EVAスポンジをさらに2層積み上げて高さを確保します。

積み上げた後は、
・前足部からかかとにかけての流れるようなライン
・ウォーキング時に自然に足が運ばれる形状
を意識しながら、手作業で削り込み成形を行います。

この削り込み作業は、見た目だけでなく履き心地にも直結する重要な工程です。
削りすぎれば安定感を失い、削りが足りなければ野暮ったい印象になります。


■ TOPY社 クロコ柄アウトソールの装着

アウトソールには、TOPY(トピー)社製のクロコ柄ソールを採用しました。

このソールは、

  • 耐摩耗性が高い

  • グリップ力が安定している

  • ウォーキング用途に適した硬度

  • 落ち着いたデザイン性

といった特徴があり、今回の修理内容に非常に相性の良い素材です。

ミッドソールとの接着面を丁寧に下処理し、
確実な圧着を行ったうえで仕上げます。


■ 仕上がりと履き心地について

完成後のシルエットは、
オリジナルのJoyaが持つ丸みのあるボリューム感と曲線的なデザインを、可能な限り再現できたと思います。

正直なところ、
**ポリウレタン特有の「ふわっと沈み込むような柔らかさ」**を完全に再現することはできません。
しかしその分、

  • 安定感

  • 耐久性

  • 長期使用時の安心感

は大きく向上しています。

「履き心地の方向性は近づけつつ、実用性を重視した修理」
それが今回のオールソール交換修理の最大のポイントです。


■ 修理を終えて

加水分解は避けられない劣化ですが、
適切な素材と構造を選べば、靴は再び日常使いに戻すことができます。

K様にも
「これでまたウォーキングを続けられます」
とお伝えし、修理を完了しました。

大切に履いてこられたJoyaが、
これからも健康的な歩行のお供として活躍してくれれば幸いです。


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広島県 F様 紳士ウェスタン系ブーツ ハーフソールラバー交換・かかとゴム交換

広島県 F様 紳士ウェスタン系ブーツ ハーフソールラバー交換・かかとゴム交換

今回ご依頼いただいたのは、広島県にお住まいのF様よりお預かりした、スエード素材の紳士ウェスタン調ブーツです。
ブランド名やモデル名の記載はなく詳細は不明でしたが、全体のシルエットやヒール構造から見るに、アメリカのウェスタンブーツをベースにしたデザインで、現代的にアレンジされたファッションブーツと見られます。
やや長めの筒とスマートなトウシルエット、そしてステッチワークや装飾性を備えた独特の雰囲気。スエードの質感がほどよく使い込まれ、味のある仕上がりになっていました。


■ 修理前の状態

お預かり時の状態を確認すると、つま先側のハーフソールラバーが大きく剥がれていました。
歩行時の屈曲や地面との摩擦で端からめくれるように浮き上がり、そのまま全体的に接着が弱くなっている状態です。
また、ハーフソールの下にはもう一枚、合成ゴム素材のハーフソールが縫い付けられており、こちらはデザインの一部として機能していました。
赤い糸で縫い付けられたこの部分は、見た目のアクセントにもなっており、オリジナルの印象を崩さないように残してほしいというのがF様のご希望でした。

ソール全体を張り替えるフルソール交換という選択肢もありましたが、まだ中底やウェルト周りの状態は良好でしたので、今回は部分補修として「ハーフソールラバー交換」と「かかとゴム交換」で対応することになりました。


■ ハーフソールラバー交換の工程

まずは、既存のハーフソールを慎重に剥がすところから作業が始まります。
ウェスタンブーツの場合、ソールの先端部分がやや反り上がっているため、強引に引っ張ると中の層を傷めてしまう恐れがあります。
古い接着剤をしっかり除去し、下地を整えることが次の接着の持ちを左右します。

下処理を終えた後、新しいハーフソールラバーを選定します。
今回は、耐摩耗性に優れた「タンクパターン」の合成ゴムソールを採用しました。
タンクソールとは、登山靴やワークブーツなどに使われるブロック状の凹凸があるパターンで、グリップ力と耐久性が高いのが特徴です。
本来のウェスタンブーツは、フラットで滑らかなソールが多いですが、街履きやアウトドアでの使用を考えると、滑りにくいタンクパターンのほうが実用性に優れています。

既存の赤ステッチ付き合成ゴムソール部分はデザインとして残すため、上に重ねる形で新しいハーフラバーを裁断します。
微妙な厚みやトウカーブを合わせながら、左右のバランスを調整し、形を整えます。
貼り合わせの際は、専用の強力ボンドを使用し、接着面を加熱して圧着します。
最後にプレス機で圧力をかけ、密着度を高めてから余分な部分を削り落とし、仕上げ研磨でラインを整えました。

もともと施されていた赤いステッチがアクセントとして活き、黒いタンクソールが重なったことで、ブーツ全体の印象が引き締まりました。
オリジナルデザインを損なわず、機能性と耐久性を両立した仕上がりです。


■ ヒール(かかと)部分の状態と修理

続いてヒールの交換作業です。
今回のブーツは、ヒールベース(積み上げ部分)がすでに地面と擦れて削れていました。
かかとゴムだけを新しく貼っても、基礎が不均一なままでは長持ちしません。
そのため、一段分の積み上げ革を新たに製作し、交換することにしました。

積み上げ材には、適度な硬さと弾力を持つ天然革を使用。
これを元の積み上げに合わせて整形し、接着後に釘で固定します。
ヒールの高さや角度は、左右でわずかな違いでも履き心地に大きく影響するため、特に慎重に調整を行いました。

当初、F様のご希望は「元のような平面な板状ヒールの復元」でしたが、全体の高さバランスを再計測すると、平面型ではやや低くなり、前後のラインが不自然に感じられました。
そのため、今回はデザイン性と機能性の両面から「登山靴型ヒール(ブロックヒール)」に変更。
ハーフソールと統一感のあるタンクパターン仕様に仕上げました。

この構造により、地面への接地面積が広がり、安定感が増しています。
特に街中での歩行や雨天時には滑りにくく、快適に履ける仕様です。


■ デザイン面での仕上がりと印象

仕上がり後の印象は、もともとのウェスタン調のスマートさに、やや「ワークブーツ」的な力強さが加わった印象です。
タンクパターンのハーフソールとブロックヒールが下半分に重厚感を与え、上のスエード素材の柔らかさと対照的なコントラストを生み出しています。

「見た目が少しゴツくなった」と感じる方もいるかもしれませんが、スエード素材の上品な質感がそれをうまく中和してくれています。
結果として、無骨すぎず、むしろバランスの取れた仕上がりになりました。
F様にも「履いた時の安定感が違う」とお喜びいただけました。


■ 今後のメンテナンスについて

今回の修理で、靴底まわりはしっかりと再構築できましたが、スエード素材は油分や汚れに弱いため、定期的なケアをおすすめします。
防水スプレーを軽く吹きかけ、ブラッシングで毛並みを整えることで、長く美しい風合いを保てます。
また、ラバーソールは経年で硬化したり、接着剤が劣化することがありますので、数年ごとにソールの状態を点検されると安心です。


■ まとめ

ウェスタンブーツの修理というと、一般的にはフルソール交換やウェルト縫い直しが多いのですが、今回はデザインを活かしながら部分補修で見事に蘇らせることができました。
古いパーツをすべて交換するのではなく、「残す部分を見極めて活かす」ことで、オリジナルの個性と履き心地を守るのが修理職人の腕の見せ所です。

ハーフソールラバーの交換とヒール再構築により、耐久性・グリップ力・安定感が大きく向上しました。
また、スエードの上品な風合いと、力強いタンクパターンソールの組み合わせが、独特の存在感を放っています。

いずみ靴店では、今回のように「見た目のバランス」と「機能性」を両立した修理を心がけています。
同じようにウェスタンブーツやワークブーツの底剥がれ、摩耗、ヒール割れなどでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。


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倉敷市K様 FootJoy ICON ソフトスパイク交換式オールソール修理事例

倉敷市K様 FootJoy ICON ソフトスパイク交換式オールソール修理事例

ゴルフシューズの最高峰ブランドのひとつとして知られる FootJoy(フットジョイ)。その中でも「ICON(アイコン)」シリーズは、多くのゴルファーから支持される伝統的なモデルです。今回、倉敷市にお住まいのK様より、このフットジョイ・アイコンの修理依頼を承りました。

K様のシューズは、長年の使用によりソールが加水分解を起こし、靴底全体に多数の亀裂が入っている状態でした。ゴルフシューズは芝や土の上を歩くため、耐水性とグリップ力が非常に重要ですが、経年劣化でソールが弱ると滑りやすくなるだけでなく、ラウンド中の安定性やスコアにも悪影響を及ぼします。

K様からは「スパイクレスではなく、従来のようにソフトスパイク交換式の仕様でオールソール修理をお願いしたい」とのご要望をいただきました。今回はその工程を詳しくご紹介いたします。


1. 修理前の状態確認

まず靴の状態を確認したところ、アウトソールに無数の亀裂が走っており、踏み込み部分には剥離も見られました。典型的な加水分解による劣化であり、部分補修では再発する可能性が高いため、オールソール交換が必須と判断しました。

フットジョイ・アイコンは一体型のソール構造を採用しており、元々ボンドによる接着で組み立てられています。そのため、分解作業自体は比較的スムーズに行うことが可能です。


2. 分解工程

まずはソールを慎重に剥がします。アイコンモデルは接着構造のため、切り離し自体は容易ですが、アッパーに傷を付けないように細心の注意を払いながら作業を進めます。

この段階で、アッパーの縫い糸やミッドソールの状態も確認します。長年履き込まれているため、縫い糸の劣化や革の乾燥も見受けられました。必要に応じて補強やクリーニングを行い、次の工程に備えます。


3. ソール素材の選定 ― 本革ソールを選ぶ理由

今回の修理で重要なのは、ソフトスパイク交換用のメスネジを確実に取り付けられるアウトソールを用意することです。

一般的なラバーソールやEVAスポンジでは、強度が不足してスパイク取り付け部が摩耗・破損してしまいます。そのため、今回は耐久性と加工精度に優れた 本革ソール を採用しました。

本革ソールは、ゴルフ場の芝や土にしっかりと対応できる上、座刳り(ネジを埋め込むための穴あけ加工)を施す際にも適度な硬度と保持力を発揮します。まさに、ソフトスパイク交換式の仕様にするには「一択」と言える素材です。


4. 座刳り加工とメスネジの取り付け

続いて、本革ソールに 座刳り加工 を行います。専用のドリルを用いて、ソフトスパイクを取り付けるための窪みを正確に掘り込みます。

加工位置は、元のソールの配置を参考にしつつ、踏み込み時の力のかかり具合を考慮して慎重に決定します。ズレが生じると、スイング時のバラン

スに影響するため、ミリ単位の精度が求められる作業です。

加工後、それぞれの座刳り部分に金属製のメスネジを埋め込み、強力に固定します。これにより、今後ソフトスパイクを何度も交換できる耐久性が確保されます。


5. ソール接着とマッケイ縫い

メスネジの取り付けを終えた本革ソールを、アッパーと接着します。強力なボンドを用いて圧着し、乾燥させた後、さらに マッケイ縫い を施します。

マッケイ製法は、アッパー・中底・アウトソールを一体化させる縫い付け方法で、強度を高めるだけでなく、靴全体の返り(柔軟性)も良くなります。ゴルフシューズにおいては、歩行時の快適さとスイング時の安定性の両立が重要ですので、この工程が非常に意味を持ちます。


6. ヒール部分の積み上げと加工

次にヒール部分の修理です。まず本革を積み上げて形を整え、トップリフト(かかと部分のゴム)に座刳り加工を行います。ここにもメスネジを埋め込み、しっかりと固定しました。

仕上げに、ヒール全体をボンドで接着し、釘を打ち込んで強度を確保します。これにより、ソール全体が一体化し、ゴルフラウンドでの激しい動きにも耐えられる仕様となりました。


7. ウェルトの仕上げ

今回はウェルト(靴底周囲の縁部分)を 革色のまま 残す仕上げを選択しました。これによりクラシックな風合いが引き立ち、さりげないお洒落感を演出しています。

ゴルフシューズはどうしてもスポーティーな印象になりがちですが、本革ウェルトのナチュラルな色味が加わることで、大人の落ち着きを感じさせる一足となりました。


8. 修理後の状態と履き心地

完成したシューズは、外観こそオリジナルに近いものの、内部構造とソールの強度は新品同様に蘇っています。

ソフトスパイク交換式にすることで、今後スパイクの摩耗があっても簡単に交換が可能になり、長期にわたり愛用いただけます。

本革ソール特有のしなやかさと堅牢さにより、歩行時には自然な屈曲が得られ、スイング時にはしっかりとした安定感を実感していただけるはずです。


9. 修理を終えて

K様には「これでまた安心してゴルフを楽しめます」と大変ご満足いただけました。

今回のように、フットジョイ・アイコンのような高級ゴルフシューズは、単なる消耗品ではなく「相棒」として長く付き合いたい一足です。ソールの劣化で諦めてしまう方も多いのですが、適切な修理を行えば再びラウンドで活躍してくれます。

私たち靴修理店としても、ただ履けるようにするだけでなく、「より快適に」「より長持ちするように」という観点で最適な方法をご提案しています。

ゴルフシューズに限らず、靴のトラブルでお困りの際にはぜひご相談ください。


まとめ

  • フットジョイ・アイコンのソールが加水分解し亀裂多数

  • ご要望により「ソフトスパイク交換式」でオールソール修理を実施

  • 本革ソールに専用の座刳り加工を施し、メスネジを埋め込み

  • ボンド接着+マッケイ縫いで強度と柔軟性を確保

  • ヒールも積み上げ加工し、トップゴムにメスネジを取り付け

  • ウェルトは革色のままで、クラシックな雰囲気を演出

仕上がったシューズは、新品同様の安定感と履き心地を取り戻しました。これからもK様のゴルフライフをしっかり支えてくれる一足となるでしょう。


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