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茨城県 O様 FootJoy アイコンモデル スパイクレス化オールソール交換修理

茨城県 O様 FootJoy アイコンモデル スパイクレス化オールソール交換修理

~伝統的なゴルフシューズを軽快なスパイクレス仕様に再生~

■ ご依頼の背景

今回ご紹介するのは、茨城県にお住まいのO様からお預かりした FootJoy(フットジョイ)・アイコンモデル の修理事例です。

FootJoyはゴルフシューズブランドの中でも世界的に知られた存在で、長年プロゴルファーから絶大な信頼を得ています。中でも「アイコン」シリーズは、クラシカルなデザインと高級感のあるレザーを用いたモデルで、伝統的なゴルフシューズのスタイルを色濃く残しています。

しかし、いかに高級靴であっても避けられないのが ソールの経年劣化 です。今回お預かりしたアイコンモデルも、アウトソール表面に多数のひび割れが発生し、グリップ力も低下。快適にプレーするには修理が必要な状態でした。

O様からは「スパイク付きのままではなく、普段履きや練習場でも使いやすいスパイクレス仕様にしたい」というご要望をいただきました。そこで私たちは、オリジナルの雰囲気を残しながらも、現代的なスパイクレスソールへと生まれ変わらせる修理プランをご提案しました。


■ 修理前の状態

実際に靴を確認すると、アッパーのレザー部分はまだまだ良好でツヤも保たれていましたが、ソール部分は明らかに寿命を迎えていました。

  • アウトソール全体に ひび割れ

  • 部分的に 硬化 しており屈曲に追随できない

  • グリップピンや凹凸も摩耗し、滑りやすい状態

ゴルフシューズのソールは歩行だけでなく、スイングによるねじれにも耐えなければならないため、ひび割れは致命的です。そのまま使用を続けると、ソールがさらに割れて剥がれるだけでなく、アッパーへの負担も大きくなります。

幸い、フットジョイのアイコンはアウトソールが一体型でボンド接着されている構造のため、分解や交換作業が比較的行いやすい設計になっています。ここから、新たなソール構築作業へと移っていきます。


■ 修理の方針

O様のご要望を踏まえ、今回の修理方針は以下の通りです。

  1. スパイクレス化
     グリーン保護の観点からもスパイクレスは一般的になりつつあります。練習場や日常履きとしても使える仕様へ。

  2. 軽量化とクッション性向上
     従来のソールより軽く、疲れにくい履き心地を目指す。

  3. 耐久性とグリップ力の両立
     ゴルフ用としての機能性を維持しつつ、長く履ける仕上がりにする。

これを実現するため、以下の工程を組み立てました。

  • 劣化したソールを分解し除去

  • EVAスポンジミッドソール を新規製作し、マッケイ縫いで取り付け

  • 同素材でヒールを追加し、傾斜を調整してバランスを確保

  • 最後に Vibram419Cスパイクレスソール を装着し、仕上げる


■ 修理工程

1. 分解作業

まずは古いソールを剥がす作業から。フットジョイのアイコンは、アウトソールが一体型のボンド接着で取り付けられているため、分解は比較的スムーズに進みました。

劣化したソールは触るとカサつき、押すと簡単に割れてしまう状態。全体をきれいに取り除き、アッパー側の接着面を研磨して、新しいソールを取り付ける下準備を整えます。


2. EVAスポンジミッドソールの製作

次に、新しいミッドソールを作成します。素材に採用したのは EVAスポンジ

EVAは、軽量・柔軟・耐水性に優れ、加水分解の心配がほとんどありません。従来のゴルフシューズによく使われていたウレタン素材の弱点を克服できるため、リペア用として最適です。

切り出したEVAスポンジを靴型に合わせて成形し、マッケイ縫い でしっかり固定。接着だけでなく縫い付けることで、耐久性が飛躍的に向上します。


3. ヒールの取り付けと傾斜調整

次に、同じEVAスポンジでヒールを製作し、取り付けます。ゴルフシューズにとってヒールの高さと傾斜は非常に重要で、安定感やスイング時の姿勢に直結します。

O様のシューズは元々クラシカルなヒール形状をしていましたが、今回はスパイクレス化に合わせてややフラットに近い形へ調整。それでいて踵の安定感を失わないよう、絶妙な角度を持たせて取り付けました。


4. Vibram419Cスパイクレスソールの装着

最後に装着するのは、Vibram419C

このモデルはゴルフ向けに設計されたスパイクレスソールで、芝の上でのグリップ力と、アスファルトなど硬い地面での歩行性の両立が図られています。独自のパターンがしっかりと地面を捉え、滑りにくさを実現。耐久性にも優れており、練習場からラウンド、タウンユースまで幅広く対応できます。

ソールを接着後、圧着・乾燥を経て仕上げ。側面の仕上げを整え、全体のバランスを最終チェックして完成となります。


■ 修理後の状態

修理を終えたFootJoyアイコンモデルは、クラシックな雰囲気を残しつつも、現代的で実用的な一足に生まれ変わりました。

  • EVAミッドソールで 軽量化とクッション性向上

  • 傾斜調整したヒールで 安定感と歩行性アップ

  • Vibram419Cで 芝・舗装路どちらでも安心のグリップ力

  • 見た目はシンプルで、普段履きにも使える落ち着いたデザイン

O様からも「まるで新しい靴になったようだ。これなら練習場でもタウンユースでも履ける」と大変ご満足いただけました。


■ 今回の修理のポイント

  1. スパイクレス化 による利便性向上
     ラウンド以外でも気軽に履ける仕様へ。

  2. EVAスポンジ+マッケイ縫い
     耐久性と軽量性の両立。加水分解の心配もなし。

  3. Vibram419Cの採用
     ゴルフ専用のスパイクレスソールで、機能性と安心感を確保。


■ まとめ

フットジョイのアイコンモデルはクラシカルなデザインと高級感で多くのゴルファーに愛されています。しかしソールの経年劣化は避けられず、特にゴルフシューズはプレーの動作特性上、ソールの負担が大きい靴です。

今回のように スパイクレス化を伴うオールソール交換修理 を行えば、従来の雰囲気を残しつつも、現代的な快適性と実用性を備えた一足に再生できます。

「まだ履きたいけれど、ソールが劣化して困っている」という方も、修理によって再び現役の一足として蘇らせることが可能です。

O様の靴もこれから新たなステージで活躍してくれることでしょう。スコアアップのお手伝いになれば、職人としてこの上ない喜びです。


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東京都 S様 ECCO スパイクレスゴルフシューズ オールソール交換修理

東京都 S様 ECCO スパイクレスゴルフシューズ オールソール交換修理

~赤いソールから黒へ。加水分解したウレタン層をEVAスポンジとVibram419Cで再生~

■ ご依頼の背景

今回ご紹介するのは、東京都にお住まいのS様よりお預かりした ECCO(エコー)製スパイクレスゴルフシューズ の修理事例です。

ECCOはデンマーク発のシューズブランドで、独自のコンフォート設計と高品質レザーを用いた靴作りで知られています。特にゴルフシューズ分野では世界的に高い評価を得ており、多くのプロゴルファーが愛用していることでも有名です。

今回お預かりしたのは、ECCOらしい赤いアウトソールが印象的なスパイクレスゴルフシューズでした。しかし経年によってソールのミッド層が劣化し、いわゆる 加水分解 によって割れてしまった状態でした。


■ 修理前の状態

靴底を確認すると、赤いアウトソール自体はまだ大きな摩耗が見られないものの、その下に配置されている ウレタン製ミッドソール層 が完全に劣化し、ぱっくりと割れていました。

ウレタン素材は軽量かつクッション性に優れる一方で、湿気や経年による劣化に弱いという性質を持っています。新品当初は柔らかく弾力性があるのですが、数年が経つと次第に硬化し、最後には割れたり粉状になって崩れてしまうのです。

ゴルフシューズは特に芝の上での歩行やスイング動作による屈曲が多いため、ソールの劣化が進むと破損が一気に広がってしまいます。今回も、ミッドソールのウレタン層が靴全体の構造を支えられなくなり、履けない状態となっていました。


■ 修理の方針

S様のご希望は、

  1. これからもゴルフ用として安心して使えること

  2. 耐久性と安定感を確保しつつ、軽量であること

  3. 見た目はシンプルで落ち着いた印象に仕上げたい

というものでした。

オリジナルの赤いアウトソールと同じ部材は入手できないため、今回は次のようなプランで修理を進めることにしました。

  • 劣化したウレタン層を完全に除去

  • 本革のトウガード(つま先補強) を縫い付けて接着跡を隠しつつ補強

  • ベージュのEVAスポンジ を用いて新しいミッドソールを製作

  • ヒールに厚みを持たせ、安定性のある ウェッジソール形状 を再構築

  • ゴルフ専用の Vibram419C スパイクレスソール を黒で装着

  • 全体を マッケイ縫い で縫い付け、強度と耐久性を高める

これにより、オリジナル以上の耐久性・軽量性・グリップ性を備えた一足へと生まれ変わらせます。


■ 修理工程

1. 分解作業

まずは加水分解してボロボロになったウレタンミッドソールを取り除きます。指で押すと粉状に崩れるほど劣化が進んでおり、完全に剥離させるまでに時間を要しました。接着剤の残りや汚れもきれいに削り落とし、新しいソールを取り付けるための準備を整えます。


2. つま先ガードの製作

ソールを分解した後のアッパー部分には、古い接着跡や縫製の痕がどうしても残ります。これを隠すと同時に補強の役割を持たせるため、本革でトウガードを製作。カップ状に成形した革をつま先部分に縫い付け、自然に馴染むよう仕上げます。これにより見た目が整うだけでなく、つま先の耐久性も大きく向上します。


3. EVAスポンジミッドソールの製作

次に、新しいミッドソールを製作します。
素材には EVAスポンジ(ベージュ) を採用。EVAは軽量でクッション性があり、加水分解の心配がないため、ウレタンに代わる素材として最適です。ベージュカラーを選んだことで、黒のアウトソールとのコントラストが柔らかく、落ち着いた雰囲気になります。

また、S様の要望を踏まえ、ヒールに向かって厚みを増すように削り出し、ウェッジソール形状 に加工しました。これにより、スイング時の安定感や歩行時のバランスが改善されます。


4. マッケイ縫いで固定

新しいEVAミッドソールは接着だけでなく、マッケイ縫い を施しました。マッケイ縫いはアッパーとミッドソールを直接縫い付ける構造で、接着だけでは得られない強度を確保できると同時に、靴底の柔軟性も残せます。スポーツ用途の靴には特に有効な修理方法です。


5. Vibram419C スパイクレスソールの装着

最後にアウトソールを取り付けます。採用したのは Vibram419C
このソールはスパイクレスゴルフシューズ用に開発されたモデルで、芝の上でのグリップ力はもちろん、コンクリートやクラブハウス内の床でも歩きやすいパターンが施されています。

オリジナルは赤いソールでしたが、今回は取り扱いがなかったため 黒を採用。その結果、全体が落ち着いたシックな印象になり、むしろ普段履きにも使いやすい仕上がりになりました。


6. 最終仕上げ

全体のバランスを確認し、ソール側面を整えて完成です。縫製部分や革ガードとの境目も自然に馴染むよう調整し、見た目にも違和感のない状態に仕上げました。


■ 修理後の状態

修理後のECCOスパイクレスゴルフシューズは、オリジナルの印象を残しながらも、より実用的で長く履ける仕様に生まれ変わりました。

  • EVAスポンジ採用で 軽量化とクッション性向上

  • ウェッジソール形状で 安定感を確保

  • Vibram419Cで 芝・アスファルト両方に対応できるグリップ性能

  • 黒ソールに変更することで 落ち着いた大人の雰囲気

S様からも「オリジナルよりも履きやすくなった。ゴルフ以外でも履けそう」と大変ご満足いただけました。


■ 今回の修理ポイント

  1. 加水分解への対策
     ウレタンからEVAへ変更することで、再び同じ劣化が起こるリスクを回避。

  2. デザイン性と実用性の両立
     本革トウガードで仕上げを整えつつ補強。黒ソールでシックに仕上げ。

  3. スポーツ用途に対応した設計
     マッケイ縫い+Vibram419Cで、強度と柔軟性を兼ね備えた構造に。


■ まとめ

ECCOのスパイクレスゴルフシューズは、履き心地の良さと独特のデザインで人気ですが、加水分解によるソール劣化が避けられない弱点もあります。メーカーでは修理が難しいケースでも、適切な素材と技術を用いることで、オリジナル以上の耐久性と快適性を備えた靴に再生することが可能です。

今回のS様の靴も、新たなソールによって再び現役のゴルフシューズとして活躍できる状態に生まれ変わりました。お客様の「まだ履きたい」という思いを形にできたことが、私たち職人にとっても大きな喜びです。


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愛媛県 O様 ルイ・ヴィトン スニーカー オールソール交換修理 加水分解

愛媛県 O様 ルイ・ヴィトン スニーカー オールソール交換修理

~加水分解で割れたウレタンソールを、EVAスポンジとVibramで軽快に再生~

■ ご依頼の背景

今回ご紹介するのは、愛媛県在住のO様よりお預かりした LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン) のスニーカー修理事例です。
ルイ・ヴィトンのスニーカーはラグジュアリーブランドらしい独自性のあるデザインが特徴で、日常のファッションにラグジュアリーな雰囲気を添えてくれます。その一方で、独特なソール構造を採用しているモデルが多く、修理や交換の際に大きな課題となるケースも少なくありません。

今回お持ちいただいたスニーカーは、特に特徴的なソールデザインを持っていました。

  • 厚みのある白いウレタン製ミッドソール

  • 厚手のハーフソールラバー

  • さらに同じ素材で構成されたヒール部分

という三層構造で、かなり重量のある設計になっています。新品当時は迫力のある見た目で存在感抜群ですが、履き込むうちに問題が浮かび上がってきました。


■ 修理前の状態

お持ち込み時の状態は、白いウレタン層(ミッドソール部分)が 加水分解 によりぱっくりと割れてしまっていました。
ウレタン素材は軽さとクッション性に優れていますが、経年劣化に弱く、湿気や温度変化の影響で分子構造が崩れ、粉状になったり割れたりする性質があります。特にヴィトンやハイブランドのスニーカーに用いられるウレタンは見た目の美しさを優先していることが多く、耐久性の面では10年も経たずに寿命を迎えることが珍しくありません。

ソール全体が重いため、割れた部分からさらに大きく崩れていくリスクもあり、このままではとても履き続けることはできない状態でした。


■ 修理の方針

O様のご希望は、

  1. 長く履けるように耐久性を高めること

  2. できる限り軽量化し、普段使いしやすい靴にすること

  3. 色味は茶系で仕上げて欲しい

というものでした。

純正ソールと同じものは入手できないため、今回は以下の方法でオールソール交換を行うことにしました。

  • 劣化したウレタンを完全に撤去

  • EVAスポンジを用いて新しいミッドソールを製作

  • ヒールに向かって厚みを増すように加工し、自然な ウェッジソール形状 を再構築

  • ソール全体を マッケイ縫い で縫い付け、強度と耐久性を確保

  • 最後にアウトソールとして Vibram1030 を装着し、軽量で耐摩耗性に優れた仕様に仕上げる


■ 修理工程の詳細

1. 分解作業

まずは靴底をすべて分解します。
加水分解したウレタンは見た目以上に脆く、少し力を加えるだけでボロボロと崩れ落ちます。アッパーを傷めないように丁寧に削ぎ落とし、接着面をきれいに整えます。ここでしっかりと下処理をしておくことで、後の接着強度と仕上がりの美しさが大きく変わります。


2. EVAスポンジミッドソールの製作

次に、新しいミッドソールを製作します。
使用するのは EVAスポンジ素材。EVAは軽量で柔軟性があり、衝撃吸収性に優れているため、加水分解に弱いウレタンの代替材として修理業界でもよく用いられます。さらに今回は、O様のご希望で 茶色のEVA を選択しました。これにより、見た目にも落ち着いた雰囲気が出て、ヴィトンのアッパーとも相性良く仕上がります。

EVAスポンジを積層し、ヒール側に向かって厚みを増すように削り出していきます。これによって自然なウェッジソールの形状が生まれ、オリジナルに近い見た目を維持しつつ履き心地を改善できます。


3. マッケイ縫いによる固定

新しいミッドソールをアッパーに縫い付ける工程です。
マッケイ製法は、アッパーとミッドソールを直接縫い付ける構造で、接着だけに頼るよりも強度が高く、修理後の再カスタムも容易になるというメリットがあります。厚手のEVAに専用の溝を切り、縫製ラインを確保したうえで八方ミシンを使い、確実に縫い込んでいきます。


4. Vibram1030アウトソールの装着

ミッドソールが完成したら、仕上げにアウトソールを貼り付けます。
採用したのは Vibram 1030。ビブラム社のソールは世界中の靴メーカーや修理職人から信頼を得ている高品質素材で、その中でも1030はグリップ力と耐摩耗性に優れ、タウンユースにもアウトドアにも対応できる万能ソールです。

デザインもすっきりとシャープで、厚みのあるウェッジソールに合わせることで「ゴツすぎず、すっきりした印象」に仕上げることができます。


5. 仕上げ作業

ソールのサイドラインを均一に整え、茶色のEVAとアッパーの境界を自然になじませます。コバ仕上げを施し、全体のツヤ感と立体感を調整して完成。見た目も自然で、ブランドスニーカーらしい高級感を損なうことなく仕上げることができました。


■ 修理後の状態

完成したスニーカーは、オリジナルの重たい印象から一転、軽快で履きやすい仕様へと生まれ変わりました。

  • EVAスポンジの採用で 軽量化 を実現

  • Vibram1030による 耐久性とグリップ性能の向上

  • ウェッジソール形状による 自然な履き心地と安定感

  • 茶色のミッドソールで、ヴィトンのアッパーとの相性が良い落ち着いたデザイン

O様からも「以前より履きやすく、デザインも気に入った」とのお言葉をいただきました。


■ 今回の修理のポイント

  1. 加水分解対策
     劣化の進みやすいウレタンをEVAに置き換えることで、耐久性を格段に向上。

  2. 軽量化
     オリジナルの重いソール構造を見直し、長時間履いても疲れにくい仕様に。

  3. デザイン性の維持
     茶色のEVAとシャープなVibram1030を組み合わせ、ブランドスニーカーにふさわしい上質な仕上がり。

  4. 実用性の向上
     マッケイ縫い+接着の複合構造で強度を確保。雨天時や長時間使用にも耐える仕様。


■ まとめ

ルイ・ヴィトンのスニーカーは、デザイン性の高さゆえに修理が難しい一面があります。特に加水分解を起こしたソールは純正交換ができず「寿命」と判断されることも多いのですが、適切な素材と加工を選ぶことで、むしろオリジナル以上に快適で長持ちする靴へと生まれ変わらせることが可能です。

O様のスニーカーも、今回の修理によって新しい命を吹き込まれました。ブランドの価値を大切にしながらも、実用性を高める修理ができることが、私たち職人の大きなやりがいです。


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愛知県 M様 ルイ・ヴィトン スニーカー オールソール交換修理事例

 

愛知県 M様 ルイ・ヴィトン スニーカー オールソール交換修理事例

~加水分解で割れた塩ビ系一体型ソールを、革とEVAスポンジ、Vibramで新たな命へ~

1. ご依頼の背景

今回ご紹介するのは、愛知県在住のM様からお預かりしたルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のスニーカーです。
M様はこのスニーカーをとても気に入っておられ、旅行や普段のお出かけでも頻繁に使用されていたそうです。しかし、靴底の素材が経年劣化を起こし、ついに「加水分解」によって大きく割れてしまった、というのがご相談のきっかけでした。

加水分解とは、ポリウレタンや塩ビ系のソール素材に含まれる可塑剤や成分が、空気中の水分と化学反応を起こして分子構造が崩れる現象です。新品の状態ではしなやかさや弾力性があり、足への衝撃を和らげる優れた素材ですが、製造から数年が経つと、見た目は無事でも内部は劣化が進行しており、ある日突然、ボロボロと崩れてしまうことがあります。特にルイ・ヴィトンなどの高級ブランドスニーカーは、デザイン性を優先するため独自の一体型ソール構造を採用していることが多く、劣化すると交換が難しいのです。

M様も「修理して履けるものなら、できるだけ長く使いたい」との強いご希望をお持ちでした。私たちもその思いに応えるべく、最適な修理プランを提案するところから作業が始まりました。


2. ソール構造と問題点の確認

お預かりしたスニーカーのソールは、塩ビ系素材の一体型構造でした。つまり、つま先からヒールまでの底全体が一体成形されており、アウトソール(地面に接する部分)とミッドソール(クッション部分)、さらにサイドの装飾パーツまでもがひとつの塊として作られているタイプです。
このようなソールは製造工程も特殊で、市販されている汎用ソールと互換性がありません。そのため、「元と同じソールを新品に交換する」という修理はほぼ不可能です。メーカー修理でも生産終了モデルの場合は対応不可となることが多く、結果として「廃棄せざるを得ない」となるケースも珍しくありません。

今回も純正ソールの入手は不可能でした。そこで、オリジナルの雰囲気を損なわず、さらに耐久性と履き心地を向上させるために、

  • つま先部分に本革を縫い付け、加水分解跡を完全に隠す

  • EVAスポンジ素材で新しいミッドソールを製作し、縫い付ける

  • ヒールをやや高めに設定し、ウェッジ形状に調整

  • アウトソールには耐摩耗性に優れたVibram1030を採用

というカスタム型のオールソール交換を行うことにしました。


3. 修理工程の詳細

(1) 分解

まずは劣化したソールの除去です。加水分解した素材は一見硬く見えても、指で押すとボロボロと崩れ落ちる状態でした。剥がす際には靴本体のアッパー素材を傷めないよう、慎重に溶剤と手作業を併用して分離していきます。この段階で、底面のステッチ跡や接着跡も確認し、後工程での精密なフィッティングに備えます。

(2) つま先カップの製作

オリジナルソールが覆っていたつま先部分は、劣化跡や接着跡が目立つため、そのままでは仕上がりが美しくありません。そこで、上質な本革を成形し、カップ状に加工して縫い付けることで、跡形を隠しつつ補強も兼ねる仕様にしました。この革カップは見た目の高級感を高めるだけでなく、つま先の型崩れ防止にも役立ちます。

(3) EVAスポンジミッドソールの製作と縫い付け

クッション性を確保するため、軽量で衝撃吸収性に優れたEVAスポンジを新しいミッドソールとして採用しました。オリジナルよりも若干厚みを持たせ、さらにマッケイ縫いでしっかりと固定します。これにより接着だけでは得られない強度と長期耐久性を実現しました。

(4) ヒール形状の調整

M様のご希望で「やや高めのヒール感」を意識し、ウェッジ形状に加工しました。これにより、かかとから土踏まずにかけての支えが強化され、長時間の歩行でも疲れにくくなります。

(5) Vibram1030アウトソールの装着

アウトソールにはVibram(ビブラム)社製の1030ソールを採用しました。Vibram1030は耐摩耗性が非常に高く、滑りにくいパターンが施されているため、街歩きから軽いアウトドアまで幅広く対応します。また、やや厚みのある設計でクッション性能も確保できるため、今回のカスタム仕様との相性が非常に良い素材です。

(6) 最終仕上げ

全体のバランスを見ながらコバ面(ソール側面)を整え、エッジ部分に丁寧な仕上げ処理を行います。革カップとミッドソールの境目も自然に馴染むよう調整し、見た目も自然な一体感が出るようにしました。


4. 修理後の仕上がりと履き心地

完成したスニーカーは、オリジナルよりも全体的に厚みが増し、ややゴツめの印象になりました。しかしその分、クッション性が大きく向上し、足への負担が軽減されています。ヒール高も若干アップしたことで、姿勢が整いやすく、歩行時の安定感が増しました。耐久性も、加水分解しやすい塩ビソールから、摩耗に強いVibram素材へと変わったことで大幅に改善されています。


5. お客様の反応

M様からは「見た目の変化も気に入ったし、履き心地が柔らかくなった」と喜びのお声をいただきました。特に本革のつま先カップは「新品のような高級感が戻った」とご満足いただけたようです。
高級ブランドスニーカーは修理が難しいというイメージがありますが、このように素材や構造を工夫することで、長く愛用できる一足に生まれ変わらせることが可能です。


6. まとめ

今回の修理は、単なるオールソール交換ではなく、「履き心地の改善」と「デザインの再構築」を同時に行ったカスタムリペアでした。純正部品が入手できない場合でも、適切な素材選びと加工技術があれば、靴は再び現役として活躍します。
「お気に入りだからこそ、簡単には手放せない」というお客様の想いに応えるのが、私たち職人の役目です。


使用素材

  • 本革(つま先カップ用)

  • EVAスポンジミッドソール(マッケイ縫い固定)

  • Vibram1030アウトソール

施工方法

  • オパンケ縫い(革カップ固定)

  • マッケイ縫い(ミッドソール固定)

  • 接着+縫製による複合固定構造


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東京都 S様 紳士厚底ショートブーツ ソール高さカスタム事例

東京都 S様 紳士厚底ショートブーツ ソール高さカスタム事例

今回ご紹介するのは、東京都在住のS様からご依頼いただいた紳士用厚底ショートブーツのソールカスタムです。
元の状態は、まるで婦人靴のハイヒールを思わせるような極端に高いソール構造で、足元にかなりの存在感を与える一足でした。しかし、S様のご希望は「一般的な紳士靴と同等のソール高さに変更し、日常的に履きやすくすること」。さらに雨の日にも対応できる仕様が求められました。


■ 修理・カスタム前の状態

お預かりしたブーツは、ソール全体が非常に厚く、ヒール高も大きい作りでした。見た目のインパクトは抜群ですが、実用面ではいくつかの課題がありました。

  1. 歩行バランスの問題
     厚底構造により足の重心が高く、安定性が低下。長時間の歩行で疲労が溜まりやすい状態でした。

  2. ヒールの高さによる前傾姿勢
     婦人靴のハイヒール並みの傾斜角があり、つま先への負担が大きく、紳士靴としては実用性に欠けていました。

  3. 重量
     厚底と高ヒールの組み合わせは重量も増し、日常使いには不向きな面もありました。

これらを踏まえ、S様からは「全体的に高さを落としつつ、見た目のバランスは崩さず、雨の日にも履ける仕様」にするよう依頼をいただきました。


■ 作業方針

今回のカスタムのポイントは次の3点です。

  1. 厚底を分解し、適正な高さのソール構造に組み直す

  2. マッケイ縫いによる確実なミッドソール固定

  3. 雨の日にも対応するアウトソール材の採用

さらに、ヒールとソールのバランスを取るため、つま先側にもEVAスポンジを積み上げ材として挟み込み、自然な履き心地を実現する計画です。


■ 作業工程

1. 分解作業

まずはブーツを分解します。
この厚底ブーツは靴底がボンド接着のみで取り付けられており、釘や縫製は施されていません。そのため、溶剤を接着部に浸透させ、接着剤を柔らかくしたうえで、力を加えて分離します。
厚底ブーツは分解時に力のかけ方を誤るとアッパーやミッドソールを傷つける危険があるため、慎重な作業が必要です。


2. 新しいソール構造の準備

分解後、アッパーの底面を整え、ミッドソールを新たに製作します。
今回は耐久性と安定感を重視し、ミッドソールをマッケイ縫いでアッパーに直接縫い付けます。
マッケイ製法は、ソールの柔軟性を保ちながらもしっかりとした固定力を得られるため、日常履きのブーツには適しています。


3. アウトソールの装着

アウトソールはS様のご要望により、雨の日対応仕様としました。
選定したのはVibram 430ソール。ビブラム430は、耐摩耗性とグリップ力に優れ、濡れた路面でも滑りにくいことで知られています。特にブロックパターンが安定した歩行をサポートしてくれるため、全天候型の靴底として高い信頼性があります。

今回は耐久性を重視しつつ、アウトソールはボンド接着のみで取り付けました。雨の日用に仕上げる場合、接着面の防水処理も重要なポイントで、作業時にしっかりと下処理を行っています。


4. ヒール高さとつま先バランスの調整

元の構造ではブロックヒール単体で高さがあったため、そのままではつま先部分が極端に浮いてしまい、履き心地に大きな違和感が生じます。
そこで、つま先側にはEVAスポンジを積み上げ材として挟み込みました。EVA素材は軽量かつクッション性が高く、足への負担を軽減してくれるため、長時間の歩行でも疲れにくくなります。


5. 仕上げと最終確認

全てのパーツを取り付けた後、接着部分のはみ出しや縫い目の乱れを整えます。
さらに全体の高さバランス、左右の重量差、アウトソールの接着強度を確認。最終的には磨きと防水スプレー仕上げを行い、完成となりました。


■ 修理後の状態と効果

高さを落としたことで、ブーツの見た目は落ち着いた印象になり、紳士靴として自然なシルエットに生まれ変わりました。
ヒールの高さが抑えられたため、歩行時の前傾姿勢も改善し、重心が安定。EVAスポンジの効果でクッション性も向上しています。
さらにVibram 430ソールの採用により、雨の日の路面でも安心して歩くことができます。


■ 今回のカスタムのポイント

  1. 極端な厚底を日常仕様に最適化
     高すぎるヒールを適正高さに落とし、歩行の安定性と快適性を確保。

  2. マッケイ縫いによる耐久性向上
     ミッドソールを直接縫い付けることで、長期間の使用にも耐える構造に。

  3. EVAスポンジでつま先の自然な傾斜を確保
     前後の高さバランスを整え、クッション性を追加。

  4. 全天候対応のVibram 430ソール採用
     雨天時の滑り防止と耐久性を両立。


■ まとめ

厚底ショートブーツはファッション性が高い一方で、歩きやすさや日常利用のしやすさに欠ける場合があります。
今回のようなカスタムを施せば、デザインの雰囲気を残しながらも実用性を大幅に向上させることが可能です。
特に雨の日対応のソールやクッション性の高い素材を組み合わせることで、快適さと安全性の両立が実現できます。


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栃木県N様 New Balance 576 ヒールカップ交換・アウトソール再接着修理事例

栃木県N様 New Balance 576 ヒールカップ交換・アウトソール再接着修理事例

今回ご紹介するのは、栃木県にお住まいのN様よりご依頼いただいた、New Balance(ニューバランス)576の修理事例です。


N様はこの576を長年にわたり愛用されており、その履き心地や足への馴染みに強い愛着をお持ちでした。ですが、経年によるパーツの劣化が進み、このままでは使用が難しい状態になっていました。


■ 修理前の状態

今回の576では、大きく二つの不具合が発生していました。

1. ヒールカップの加水分解による劣化

ニューバランス576のかかと外側には、**樹脂製のヒールカップ(外付け補強パーツ)**が装着されています。
このパーツは、かかとの形状保持とサポート力の向上、デザイン上のアクセントという役割を担っており、特にクラシックモデルではブランドを象徴する意匠の一部ともいえます。

しかし、N様の576ではこの樹脂製ヒールカップが経年によって加水分解し、表面に亀裂や割れが生じていました。加水分解はポリウレタンや樹脂素材では避けられない経年劣化現象で、湿気や温度差の影響により分子構造が崩れて脆くなってしまいます。

見た目の問題だけでなく、割れた部分からさらに破損が広がると、かかとのホールド感が低下し、歩行時の安定性にも影響が出てきます。


2. アウトソールの接着剥がれ

もう一つの不具合は、アウトソール(靴底)の接着剥がれです。
576はEVA素材のミッドソールとラバーアウトソールが接着で一体化されており、この接着剤が経年劣化や湿気の影響で接着力を失うと、ソールが浮いたり剥がれたりします。

今回の靴では、かかと部分だけでなく前足部にも剥がれが見られました。放置するとさらに剥がれが進行し、歩行中の不安定さや水分の侵入を招く恐れがあります。


■ 修理方針の決定

お客様のご要望は「できる限り元の雰囲気を保ちながら、安心して長く履ける状態にしてほしい」というものでした。

しかし、純正の樹脂製ヒールカップは部品単体での入手ができません。また、経年劣化した樹脂をそのまま補修しても強度が回復せず、短期間で再び破損してしまいます。

そこで今回は、本革で代替のヒールカップを製作し、縫い付けて固定する方法を採用しました。本革であれば加水分解の影響を受けず、耐久性と質感を長期にわたり維持できます。

同時に、アウトソールの剥がれについては、全面再接着処理を行うことにしました。


■ 修理工程

1. ヒールカップの取り外し

まずは劣化した樹脂製ヒールカップを取り外します。
樹脂が加水分解して脆くなっているため、無理に剥がすとアッパーの生地を傷める危険があるため、専用工具で慎重に分解。接着剤の残留も丁寧に削り落とし、土台となる部分を平滑に整えます。


2. 本革製ヒールカップの製作

取り外した純正パーツを参考に、576特有の曲線や高さに合わせて型紙を作成します。
使用する革は、適度な厚みとコシを持ち、耐摩耗性に優れたタンニン鞣しの牛革。これにより、長期間使用しても型崩れしにくく、かつ履き込むことで足に馴染む特性を持たせることができます。

型紙に沿って革を裁断し、立体的なフォルムを作るために曲げ加工を施します。
その後、576のアッパーに沿わせながら仮止めを行い、最終的な形を微調整します。


3. 八方ミシンによる縫製固定

革製ヒールカップは、八方ミシンを使用してアッパーに直接縫い付けます。
八方ミシンは靴のような立体物の縫製に特化しており、カーブのきついかかと部分でも均一な縫い目を実現できます。

接着だけではなく縫製で固定することで、耐久性が飛躍的に向上。加えて縫い目がデザインのアクセントにもなり、オリジナルにはないクラフト感が生まれます。


4. アウトソールの再接着

続いて、アウトソールの剥がれ修理に着手します。
まずアウトソールを完全に取り外し、ミッドソール・アウトソール双方の接着面を研磨して古い接着剤を除去します。

次に、高耐久ウレタン系の専用接着剤を均一に塗布し、接着力を最大化するためにオープンタイムをしっかり確保。最後に高圧プレス機で圧着し、接着強度を確保します。


5. 仕上げと最終チェック

全てのパーツを取り付けた後、外観を整え、縫製部分や接着部に不具合がないか入念に確認します。
最終的には磨き上げを行い、全体を引き締まった印象に仕上げて完成です。


■ 修理後の状態

修理後の576は、かかとの外観が一新され、革特有の質感が加わったことで高級感が増しました。本革製ヒールカップは履き込むほどに足に馴染み、使い込んでも割れや変色が起こりにくいのが特長です。

また、アウトソールの再接着によって歩行時の安定感が戻り、接着剥がれの心配なく使用できる状態になりました。


■ 今回の修理ポイント

  1. 外付けヒールカップの代替製作
     純正パーツが入手できなくても、形状・機能を忠実に再現可能。

  2. 素材選びの工夫
     本革を採用することで、加水分解の心配をなくし、長期耐久性を確保。

  3. 八方ミシンによる固定強化
     接着だけに頼らない縫製構造で耐用年数を大幅に延長。

  4. アウトソールの全面再接着
     下処理を徹底し、接着力を新品同様に回復。


■ まとめ

ニューバランス576は、クラシックなデザインと快適な履き心地で多くのファンを持つ名作モデルです。しかし、外付け樹脂パーツや接着剤の劣化は避けられず、メーカー修理が難しい場合もあります。
今回のように素材を置き換えることで、オリジナルの雰囲気を保ちながら、むしろ耐久性と質感を向上させることが可能です。


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埼玉県 M様 NIKE Jordan Superfly2 ソール剥がれ修理事例

埼玉県 M様 NIKE Jordan Superfly2 ソール剥がれ修理事例

~オパンケ縫いで強度アップ!バスケットシューズに蘇る実用性と安心感~


バスケットボールという競技において、フットワークの安定性や俊敏な動きへの追従性は、プレイヤーのパフォーマンスを大きく左右します。今回ご依頼いただいた「NIKE Jordan Superfly2」は、バスケットボールシューズとしての性能を追求して作られた、ナイキの技術の粋を結集したモデルです。その軽量性とクッション性、そして圧倒的なグリップ力に魅了されて購入された方も多いことでしょう。

埼玉県にお住まいのM様からご依頼いただいたのは、そんなJordan Superfly2の「ソール剥がれ修理」でした。ご愛用のスニーカーが加水分解などの経年劣化によりソールが剥がれ、履けない状態になってしまったということで、お困りの様子でした。M様からは「また履けるようにしてもらえるなら、ぜひ」と、当店いずみ靴店にご相談いただきました。


■ 修理前の状態:ガバッと剥がれたソール

お預かりしたシューズを拝見すると、アウトソールがつま先からかかとにかけて大きく剥がれており、ミッドソールからゴムパーツが完全に浮き上がった状態でした。こうした「ガバッ」と剥がれたソールは、加水分解が主な原因です。特にこのSuperfly2のように、軽量性を追求したウレタン素材や接着剤が多く使われているスニーカーは、経年により素材が硬化・劣化して接着力を失う傾向にあります。

バスケットシューズは特に「横方向への動き」「着地の衝撃」などが頻繁に加わるため、ソール剥がれが起きると非常に危険であり、修理の必要性は高いといえます。


■ 分解・クリーニング:再接着のための下準備

まずは、剥がれたソールの状態を確認し、再利用が可能かどうかを慎重に判断しました。今回はアウトソール自体に大きな損傷がなかったため、オリジナルのソールを再接着する方向で作業を進めることになりました。

ソールの接着作業では、元の接着剤や劣化したウレタン素材をしっかり除去しなければ、どれだけ強力なボンドを使っても、すぐに剥がれてしまいます。そのため、表面の古い接着剤や硬化した部分を削り落とし、丁寧にクリーニングを行いました。靴本体の側も同様に、アウトソールと接する面を整えておきます。


■ 接着作業:高強度のボンドと加圧による密着

使用する接着剤は、靴修理専用の高強度・高弾性のもの。これは単に貼り合わせるだけでなく、スポーツ用途の高い衝撃に耐え、ある程度の伸縮性も備えたボンドです。

ソールと本体の接着面に均一に塗布した後、温度と湿度管理をしながら、適切な時間を置いてから圧着。さらに専用の加圧機でしっかりと圧をかけ、ソールと本体の間に隙間ができないよう密着させます。

この加圧工程は非常に重要で、圧が弱いと見た目はくっついていても、すぐに剥がれてしまいます。ここはいずみ靴店の熟練の職人技が光る工程です。


■ オパンケ縫いで補強:外周を縫って強度アップ

今回は、ただ接着するだけではなく、「オパンケ縫い」という特殊な縫製技法を用いて、さらに強度を高めることにしました。

オパンケ縫いとは、ソールの側面をアッパー(靴本体)に対して手縫いまたはミシンで縫い付ける技法で、古くからヨーロッパの伝統的な製靴技術として用いられてきました。現代ではあまり多く見かけませんが、その耐久性と信頼性の高さから、激しい使用環境に耐える修理には非常に効果的な手法です。

縫い位置や糸のテンションには熟練の調整が求められますが、このひと手間により、単なる「応急処置」ではなく、「信頼してまた履ける」レベルの修理に仕上げることができるのです。


■ 修理完了:安心して踏み出せる一足へ

修理後、靴全体を清掃・仕上げしてお客様にご返却いたしました。ソールはしっかりと接着され、さらに縫い付けで補強されているため、再びスポーツや日常で安心してお使いいただける状態になっています。

「以前のように不安なく履けるようになって、本当に嬉しいです!」と、M様からもありがたいお言葉を頂戴しました。


■ 修理に込めた想い:靴に再び「命」を吹き込む

NIKE Jordan Superfly2は既に生産が終了しており、市場での入手は困難になっています。こうした思い入れのある一足を、修理によって再び履ける状態にすることは、単に物を直すというだけでなく、「過去の思い出」や「日常の安心感」をも取り戻す作業でもあります。

当店いずみ靴店では、こうしたスニーカーの修理にも対応しており、ソール交換や加水分解への対処など、多くの経験とノウハウを積み重ねてまいりました。今回のようにソールが丸ごと剥がれてしまっていても、状態を見極め、素材を活かし、必要に応じて縫製処理を加えることで、しっかりとした修理が可能です。


■ 最後に:修理をご検討中の方へ

もしご自宅に、ソールが剥がれてしまったり、加水分解で履けなくなってしまったNIKEやアディダス、リーボックなどのスニーカーがあれば、捨ててしまう前にぜひ一度、当店にご相談ください。

「もう履けないかもしれない」と思っていた靴が、「まだまだ活躍できる一足」として蘇るかもしれません。あなたの大切な一足に、再び命を吹き込むお手伝いができれば、これ以上の喜びはありません。


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【修理事例紹介】静岡県 S様/Timberland FieldBoots|履き口スポンジの加水分解と本革張り替え修理

【修理事例紹介】静岡県 S様/Timberland FieldBoots|履き口スポンジの加水分解と本革張り替え修理

今回ご紹介するのは、静岡県のS様よりお預かりした「Timberland(ティンバーランド) Field Boots(フィールドブーツ)」 の修理事例です。

Timberlandといえば、イエローブーツに代表される頑丈でタフなブーツブランド。特に今回の「Field Boots」は、山道やアウトドアに対応するハイブリッドモデルで、履き心地の良さと耐久性を兼ね備えた人気シリーズです。

S様の一足も長年の愛用が感じられる風合いがあり、しっかりメンテナンスされてきたことが見て取れましたが、「履き口部分」に大きな劣化が見られました。


■修理のご相談内容:「履き口がボロボロに剥がれてきた」

S様からのご相談はこうでした。

「履き心地は気に入っていて長く履いているのですが、履き口のところだけがボロボロと剥がれてきて、粉みたいなものがズボンや靴下につくようになりました。履くたびに気になってしまって……修理できますか?」

現物を確認すると、履き口に巻かれていたスポンジクッションの表皮(合成皮革)部分が加水分解を起こし、表面が剥がれ、ウレタンが浮き出ている状態でした。


■加水分解とは?なぜ表皮だけが劣化するのか

このような症状は、Timberlandに限らず、スポンジ入りの履き口を備えたブーツやスニーカーに多く見られます。とくに使用されている**「合成皮革」**が加水分解しやすい素材であることが主な原因です。

合成皮革(PUレザー)の表面は、ウレタン樹脂でコーティングされていますが、湿気や汗、空気中の水分と反応して加水分解が進みます。すると、表面がベタついたり、ポロポロと剥がれたり、ひび割れが起きるようになります。

アッパーやソールは無事でも、このスポンジの表面だけが劣化するというのは、こうした素材特性によるものなのです。


■修理の方針:劣化した合皮→本革に張り替え、耐久性アップ

今回のようにスポンジ構造自体は健在で、問題が表面層に限定されている場合、修理方法としては以下のような手順を取ります。

  1. 劣化した表皮を含むスポンジパーツを一旦取り外す

  2. 加水分解した表皮をすべて剥がし、下地を整える

  3. 新たに“本革”を使って表皮を張り替える

  4. 補修済みスポンジパーツを再度靴本体に接着し直す

  5. 八方ミシンで縫い付けて強度を確保する

このように表皮を合成皮革から天然皮革(本革)へと変更することで、今後の加水分解のリスクを大幅に低減し、耐久性も数段アップします。


■修理工程の詳細解説

1. スポンジパーツの取り外し

まずは履き口周囲の縫製を解き、劣化したスポンジパーツを慎重に取り外します。ティンバーランドのブーツは製造段階でスポンジとアッパーが一体縫製されていることが多いため、剥がす際は糸目を傷めないよう注意を払いながら作業を進めます。

このパーツは内部に柔らかいウレタンクッションが内蔵されており、履き口の肌あたりを良くするための重要な役割を担っています。


2. 劣化した表皮の除去と下地処理

外したパーツから、加水分解した合皮表面をすべて剥離します。触るとすぐ崩れるほどに脆くなっており、布状の下地からペリペリとめくれていきます。

完全に除去した後、残った接着剤のカスやウレタンの浮き層などもきれいに削り、新しい表皮が安定して接着できるように下処理を行います。この下地処理が仕上がりの美しさと接着強度に大きく影響します。


3. 新たな本革による張り替え

今回は修理後の耐久性と見た目の質感を考慮し、厚みのある本革(牛革)を選定して使用。Timberlandのブーツに馴染むようなマットな質感の革を丁寧にカットし、立体的なスポンジにしっかりとフィットさせながら接着していきます。

この作業では革の伸びや癖を見極めながら成型する必要があり、ただ貼るだけでなく“包む”ようにして角を丸く滑らかに仕上げる技術が求められます。


4. 再接着と八方ミシン縫製

新たな表皮で覆ったスポンジパーツを、もとの位置にぴたりと合わせて再接着。そして最後に、特殊なカーブや厚みのあるブーツでも対応できる「八方ミシン」で、しっかりと縫い付けていきます。

八方ミシンは、立体構造を持つ靴の履き口や踵など、通常の平面ミシンでは縫えない箇所に対応可能な業務用ミシン。縫い目が乱れないよう、縫い進めながら絶えず角度と圧力を調整し、元の縫製ラインに沿うよう丁寧に仕上げました。


■修理後の仕上がりと効果

仕上がったフィールドブーツは、劣化した合皮の質感から一転して、自然なツヤとしっとりとした手触りをもつ本革仕様に。見た目もグレードアップし、元より高級感のある印象となりました。

また、本革は合成皮革に比べて通気性・耐久性・経年変化への耐性が高く、しっかりとお手入れすれば何年にもわたって美しい状態を維持できます。


■お客様のご感想

修理完了後、S様からは次のようなご感想をいただきました。

「履き口の部分が新品のように綺麗になっていて驚きました。触り心地もよく、今後はもう剥がれてこないと思うと安心して履けます。お願いしてよかったです」


■まとめ:見落としがちな「履き口」も、丁寧に直せば長く履ける

靴の修理というと、どうしてもソールやアッパーのダメージが目立ちやすく、履き口のような“縁の部分”は見過ごされがちです。しかし、この「履き口」は履き心地に直結するパーツであり、快適さ・美観・清潔感を保つうえでも非常に重要な部分です。

合皮素材は加水分解に弱く、どうしても数年単位で劣化しますが、今回のように本革で張り替えることで、劣化を気にせず末永くご使用いただけるようになります。

「靴の履き口がボロボロしてきた」「粉が出てくる」「見た目がみすぼらしい」――そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ当店にご相談ください。


いずみ靴店
所在地:岡山県倉敷市
全国対応・郵送修理歓迎

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大阪府 K様/FootJoy MyJoys ゴルフシューズ|加水分解したソールをスパイクレス化オールソール修理

【修理事例紹介】大阪府 K様/FootJoy MyJoys ゴルフシューズ|加水分解したソールをスパイクレス化オールソール修理

今回は、大阪府にお住まいのK様からご依頼いただいた「FootJoy(フットジョイ)」のカスタムオーダーモデル MyJoys(マイジョイズ) の修理事例をご紹介します。

MyJoysは、FootJoyのフラッグシップモデル「ICON(アイコン)」をベースに、アッパー素材やカラー、ステッチ、ネーム刻印などを自由にオーダーできるシリーズで、所有者の個性を反映した“世界に一足だけ”のゴルフシューズを作れるのが魅力です。

今回ご依頼いただいたK様のMyJoysも、他にはない配色と素材感を備えた、まさに無二の一足。しかし、経年使用によりソールが深刻なダメージを受けていました。


■ご依頼内容:「愛用の靴をこれからも使いたい」

K様からのご相談内容は以下の通りです。

「長年愛用してきたMyJoysのソールが割れてしまい、スパイクも脱落してしまった。この靴でこれからもゴルフを楽しみたいので、修理して使えるようにしてほしい」

現物を確認したところ、ソールの素材が経年劣化により加水分解を起こし、ひび割れや剥離が多数見られました。また、ソールに埋め込まれていたスパイク固定用のメスネジ部分が複数脱落しており、スパイクの保持機能が失われていました。

純正ソールのままでは修理や交換が困難であり、仮に同等部材を取り寄せられたとしても再び加水分解するリスクが残ります。そこで今回は、「スパイクレス化」+「オールソール交換」 という方法で、靴を新たな形に生まれ変わらせることにしました。


■修理の方針:スパイクレス化による軽量化と実用性向上

今回の修理では、単にソールを交換するのではなく、ゴルフ場内外で使える汎用性の高いスパイクレス仕様 にすることを提案しました。

スパイクレス化には以下のメリットがあります。

  • 芝を傷めにくく、練習場やクラブハウス内でも気兼ねなく歩ける

  • ソールの凹凸が浅めで、街履きとしても利用可能

  • スパイク交換の手間やコストが不要

  • 軽量化により足の負担が軽減

特に今回使用する Vibram 419C ソールは、柔軟性と耐摩耗性を兼ね備え、濡れた芝やカート道路でも安定したグリップ力を発揮するスパイクレス用ラバーソールです。


■作業工程の詳細

1. 旧ソールの除去

まずは、加水分解で崩れた純正ソールをすべて取り外します。FootJoy ICONベースのMyJoysは、アッパーとソールの接着面積が広く、さらにスパイク用金具や中底構造が特殊なため、剥がし作業は慎重に進めます。

剥がす際、加水分解した素材は粉状になって靴内部や縫い糸に入り込んでいるため、これらも徹底的に除去し、新しいソール接着のための下地を整えます。


2. ミッドソールの製作とマッケイ縫い

純正ソールを除去すると、中底はフラットで硬い構造が残ります。このままではクッション性が失われるため、新たに EVAスポンジ製のミッドソール を製作します。

EVAスポンジは軽量でありながら適度な弾力を持ち、歩行時の衝撃を和らげる優れた素材です。切り出したEVAミッドソールを靴底に合わせて成形し、マッケイ縫い によりアッパーへ直接縫い付けます。この縫製工程は、接着だけでは得られない一体感と耐久性を確保する重要な工程です。


3. ヒールパーツの追加

ミッドソールだけでは踵の高さが不足するため、同じくEVAスポンジ素材を使用してヒール部分を積み上げます。これにより、歩行姿勢やスイング時のバランスを崩さないよう調整し、オリジナルに近い履き心地を再現します。


4. Vibram419Cスパイクレスソールの装着

Vibram 419C は、ゴルフやアウトドアに適した耐摩耗性ラバーを使用しており、パターンは浅めながらもグリップ性能が高く、芝や舗装路どちらにも対応できます。

ミッドソールとヒールの上にVibram419Cを丁寧に接着し、圧着機で密着させます。その後、ソール周囲をトリミングし、エッジ部を自然に仕上げて全体の一体感を高めます。


■仕上がりと見た目の変化

完成したMyJoysは、オリジナルのスパイク付きソールから一新され、より軽量でフラットなスパイクレス仕様へと生まれ変わりました。

高級感は純正のスパイクソールに比べやや控えめになりますが、シンプルで実用的な見た目は、むしろ現代的なゴルフシューズらしい印象です。

  • 軽量化効果:長時間歩いても疲れにくい

  • グリップ性能:濡れた芝や舗装路でも安定感がある

  • メンテナンス性:スパイク交換不要でランニングコスト削減


■お客様の声

修理後、K様からは次のようなお言葉をいただきました。

「以前より軽くなって、歩くのが楽になりました。芝でも滑らず、練習場からラウンドまで安心して使えます。大事な一足なので、これからも長く履きたいです」


■まとめ|カスタムシューズも修理で長寿命化

MyJoysのようなカスタムオーダーシューズは、世界に一足しかない特別な存在です。ソールが劣化しても、アッパーが健在であれば今回のように再生可能です。

特にゴルフシューズは、雨や湿気、芝の露など厳しい環境で使用されるため、ソールの劣化が早い傾向があります。しかし、スパイクレス化や素材変更などのリペアを施すことで、機能面・デザイン面の両方をアップデートしながら寿命を延ばすことができます。


いずみ靴店
所在地:岡山県倉敷市
全国対応・郵送修理可能

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東京都 U様/ECCO TRACK 紳士カジュアルシューズ|加水分解 Vibram1136

【修理事例紹介】東京都 U様/ECCO TRACK 紳士カジュアルシューズ|加水分解したソールを本格再生

今回は、東京都にお住まいのU様よりご依頼いただいた、ECCO(エコー)の定番シリーズ「TRACK(トラック)」の修理事例をご紹介します。

「ECCO TRACK」は、エコー独自の快適な履き心地と実用性を備えた、アウトドアテイストのカジュアルシューズとして長年人気を集めているモデルです。頑丈かつ柔軟性のあるソールと、ナチュラルレザーによるアッパー構造が特徴で、通勤・アウトドア問わず幅広く活用されている靴です。

しかしこのたびご依頼いただいた一足は、経年劣化による“加水分解”が進行し、ソール全体が割れや剥がれといった深刻なダメージを抱えていました。


■ご依頼のきっかけ:「底が割れてしまった」「まだ履きたい」

U様から当店へのご相談内容は以下のようなものでした。

「ソールがバキバキに割れてしまい、つま先の方まで大きなヒビが入ってしまった。気に入って履いていた靴なので、どうにか修理してまた履けるようにしたい」

現物を拝見すると、まさに「加水分解」の典型的な症状が出ており、ソールのEVA素材が劣化してボロボロに崩れていました。特につま先からサイドにかけてのひび割れが進行しており、オリジナルソールのまま再使用するのは不可能な状態でした。

このモデルに限らず、EVAやPUといった発泡素材は経年により水分を取り込み、数年〜十数年で加水分解を起こすリスクがあります。外見に大きな損傷がないようでも、底材内部から劣化が進んでいることがあるため注意が必要です。


■修理の方針:オリジナルに近づけつつ、実用性と強度を重視

今回の修理では、ソール全体をオールソール交換する必要がありました。ただし、ECCOのオリジナルソールは一体型かつ専用設計のため、メーカー純正の部材による交換は困難です。

そこで当店では以下の方針で修理を進めることにしました。

  1. 劣化したソール・ミッドソールのすべてを撤去

  2. 新たにEVAスポンジ製のミッドソールを作成・縫い付け

  3. アウトソールにはVibram社製の「1136」ユニットソールを使用

  4. ソールとアッパーの継ぎ目は、本革パーツを縫い付けて補強&意匠処理

この方針により、オリジナルの履き心地に近づけながらも、耐久性・グリップ力・修理性を大幅に向上させることが可能になります。


■作業工程の詳細紹介

1. 旧ソールの除去と下処理

まずは劣化してしまった元のソールを慎重に剥がします。エコーの靴は多くが一体構造で接着されており、強固な糊付けがされているため、焦らず丁寧に削り取りながら処理していきます。

アッパー側には経年の糊跡や、ソールの崩れによる汚れが付着していたため、これも可能な限りクリーニングし、後の接着や縫製に支障のないよう整えます。

2. ミッドソールの再構築

オリジナルのミッドソールは劣化していたためすべて除去し、新たにEVAスポンジ材を切り出して成型。これをアッパー底面にマッケイ縫いでしっかり縫い付けます。柔軟性がありながらも程よく硬さのあるEVAは、履き心地と衝撃吸収性の両立に優れており、登山靴などにも使われる素材です。

3. Vibram1136ソールの装着

アウトソールには、Vibram(ビブラム)1136を採用。このモデルは深めのブロックパターンを備えたタフなソールで、アウトドアや雨天時でもしっかりグリップが利くのが特徴です。やや“ごつめ”の見た目になりますが、ソールとしての性能は申し分ありません。

成型したミッドソールの上に、このVibram1136をしっかりと接着し、端部は丁寧に削り落として一体感を出します。

4. 側面の革巻き仕上げ(意匠&補強)

ソールの交換にあたり、元のソール側面との境目が目立ってしまう場合があります。そこで今回の修理では、本革パーツを側面に縫い付ける「オパンケ縫い」風の処理を施し、視覚的な違和感をカバーしながら、接合部の補強も兼ねました。

これにより、外見上の自然さが保たれるだけでなく、今後の耐久性も格段に向上しています。


■修理後の仕上がり:タフな印象へアップグレード

完成後の靴は、オリジナルよりやや武骨な印象となりましたが、全体的なバランスは良好です。Vibram1136の力強いアウトソールが、むしろカジュアルなECCO TRACKにマッチしており、よりアウトドアテイストが強まったともいえます。

また、底面の構造自体が見直されたことにより、クッション性・耐摩耗性・防滑性が大幅に向上。雨の日や悪路でも安定感のある歩行が可能です。


■お客様のご感想

修理完了後、U様からは以下のようなお声をいただきました。

「新しくなったソールは以前よりもしっかりしていて、安心感があります。見た目も自然で、修理とは思えない仕上がりです。これからも長く履き続けたいと思います」

当店としても、靴本体の状態が良好だったこともあり、しっかりとした再生ができたことを嬉しく思います。


■あとがき|「もう履けない」とあきらめる前に

加水分解によるソールの崩壊は、多くの靴に起こりうる経年劣化ですが、アッパーがしっかりしていれば「再生」することは可能です。

今回のように、専用ソールが手に入らないモデルであっても、素材選定と技術力によって機能的にも美観的にも新たな価値を加えてよみがえらせることができます。

ECCO、Clarks、Mephisto、Timberlandなど、カジュアル系・コンフォート系の靴は、構造に独特の癖があるため修理を断られることも多いですが、当店ではこれまで数多くの事例に対応してまいりました。

「お気に入りの靴だけど、もう無理かも…」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。


いずみ靴店
所在地:岡山県倉敷市
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