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倉敷市u様 紳士革靴 オールソール交換修理 詳細レポート

倉敷市 U様 紳士革靴 オールソール交換修理

今回ご紹介するのは、倉敷市よりご来店いただいたU様の紳士革靴、オールソール交換修理の事例です。長年にわたり大切に履き続けてこられた一足で、全体的に履き込みの跡がはっきりと見て取れる状態でした。革の風合いにはまだ十分な魅力が残っている一方で、靴底は限界を迎えており、修理によって今後も安心して履ける状態へと再生していきます。


修理前の状態について

お預かりした時点で、アウトソールには明確な穴あきが確認できました。特につま先から土踏まずにかけての摩耗が進行しており、地面との直接接触が避けられない状態です。このまま履き続けると、雨水の侵入や中底・本底へのダメージがさらに広がり、靴の寿命を大きく縮めてしまいます。

また、外からは見えにくいものの、歩行時の違和感や底の柔らかさから判断すると、内部構造にも影響が出ている可能性が高いと考えられました。そのため、部分的な補修ではなく、オールソール交換修理をご提案し、ご了承をいただきました。


ソール分解と内部状態の確認

既存のソールを慎重に分解していくと、やはり予想どおり、靴本体側の吊り込み部分にも穴あきが見られました。吊り込みとは、アッパー(甲革)を中底に引き込み、靴の形状を固定する重要な工程・部位です。この部分にダメージが及んでいる場合、単に新しいソールを取り付けるだけでは不十分で、必ず補強処置が必要になります。

吊り込み部分の革が薄くなり、部分的に欠損している状態でしたので、耐久性のある補強用の革を新たに用意し、傷んだ箇所に貼り付けて補修を行いました。この工程によって、靴本体の強度を回復させ、今後の使用に耐えられる下地を整えます。


新しく取り付けるソールについて

今回使用したアウトソールは、Vibram(ビブラム)430です。Vibram430は、紳士靴やワークブーツなど幅広いジャンルで使用されている定番ソールで、耐摩耗性とグリップ力のバランスに優れています。過度にゴツくなりすぎず、革靴の雰囲気を損なわない点も、大きな魅力の一つです。

まずは、補強を施した靴本体に対して、ボンド接着を行い、確実に密着させます。接着が安定した後、マッケイ縫いミシンを使用して縫い付けを行いました。マッケイ製法は、ソールとアッパーを直接縫い合わせる構造で、返りの良さと軽快な履き心地が特徴です。U様の靴にもともと適した製法であり、仕上がりの違和感もありません。


ヒール交換と全体のバランス調整

ヒール部分には、アウトソールと同じくVibram430のヒールを取り付けました。ソールとヒールの素材を統一することで、見た目の一体感が生まれるだけでなく、摩耗の進み方も均一になります。高さや角度も元の靴のバランスを確認しながら調整し、歩行時に違和感が出ないよう仕上げています。


滑り革(すべり革)の補修について

今回の修理依頼内容には含まれていませんでしたが、作業の途中で靴内部の状態を確認したところ、かかと内側の滑り部分が破れており、ヒールカウンターがむき出しになっていることが分かりました。

滑り革とは、かかと内側に貼られている革のことで、足入れを良くし、歩行時の摩擦から靴本体を守る役割を担っています。この部分が破れてしまうと、見た目の問題だけでなく、かかとが擦れて痛くなったり、靴下が傷みやすくなったりします。また、内部にあるヒールカウンターが露出すると、そこからさらに内装が傷み、修理範囲が広がってしまう原因にもなります。

そこで今回は、靴を長く履いていただくことを優先し、サービス対応として滑り革の補修を行いました。新しい滑り革を適切な形に成形し、内側にしっかりと貼り込みます。これにより、かかとのフィット感が回復し、見えない部分ではありますが、履き心地と耐久性の両面で大きな改善が得られます。


修理後の状態と今後の注意点

すべての工程を終え、全体をチェックしたところ、ソールの安定感、返りの良さ、ヒールの接地感ともに良好な仕上がりとなりました。補強を行った吊り込み部分もしっかりと支えられており、通常使用であれば当分の間、安心して履いていただける状態です。

ただし、今回のようにソールに穴が開くまで履き込んでしまうと、靴本体へのダメージは避けられません。結果的に補修工程が増え、修理費用や作業時間もかかってしまいます。理想としては、アウトソールが薄くなってきた段階、もしくはヒールの減りが目立ってきた時点で修理に出していただくことです。そうすることで、靴本体を傷めることなく、より良い状態を長く保つことができます。


革靴は、適切なタイミングで修理とメンテナンスを行えば、何年、何十年と履き続けることができます。今回のU様の一足も、オールソール交換と各部の補強・補修によって、再び現役として活躍できる状態へと生まれ変わりました。これからも大切に履いていただければ幸いです。


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