埼玉県にお住まいのH様より、ASICS(アシックス)製 XXIO(ゼクシオ)スパイクレスゴルフシューズのオールソール交換修理をご依頼いただきました。

今回お預かりしたのは、アシックスが展開するゴルフラインの中でも人気の高いゼクシオのスパイクレスモデルです。軽量性と安定性のバランスに優れ、歩行量の多いゴルフプレーにおいても足への負担が少ない構造が特徴の一足ですが、その反面、アウトソールの摩耗が進むと性能低下が顕著に表れてしまうという側面もあります。

実際に拝見した状態は、かなり履き込まれており、スパイクレスシューズ特有のアウトソール底面の突起パターンが、全体的にすり減ってしまっている状況でした。特に母趾球から前足部、そしてかかと外側にかけては、突起がほぼ消失している箇所もあり、スパイクレス本来のグリップ性能が十分に発揮できない状態と判断しました。
スパイクレスシューズは、金属スパイクがない分、アウトソールの形状とゴム素材の性能によって、芝生の上でのグリップ力を確保しています。そのため、突起が摩耗してしまうと、スイング時の踏ん張りや斜面での安定性に不安が生じやすくなります。H様も「滑りやすさを感じるようになった」とのことで、今回はオールソール交換修理をご希望されました。

アウトソールには、Vibram(ヴィブラム)社製の「Vibram 419C」を使用します。Vibram 419Cは、スパイクレスゴルフシューズ向けに設計された高性能ラバーソールで、芝生・土・濡れた路面など、さまざまな環境下でも安定したグリップ力を発揮するのが大きな特徴です。ソールパターンも非常に緻密で、体重移動やスイング時の横方向の力にも強く、プレー中の足元のブレをしっかりと抑えてくれます。
まずは、既存のソールを分解する作業から始めます。接着されているアウトソールを、熱を加えながら慎重に剥がし、靴本体を傷めないように分離していきます。ゴルフシューズは、内部構造が複雑なものも多く、無理な力を加えるとアッパーや中底に歪みが出てしまうため、状態を確認しながら丁寧に進めます。
ソールを取り外した後は、劣化した接着剤や残留物をきれいに除去し、次工程に備えて下地処理を行います。この下処理が不十分だと、どれだけ良いソールを使っても耐久性が落ちてしまうため、時間をかけて丁寧に仕上げます。

次に、EVAスポンジ製のミッドソールを新たに作製し、靴本体に縫い付けていきます。今回は、マッケイ縫いによる縫い付け構造を採用しています。マッケイ縫いは、靴の中底からアウトソールまでを一体で縫い込む製法で、接着だけに頼らない分、剥がれにくく、実用性の高い修理方法です。特にゴルフシューズのように、横方向の力が頻繁にかかる靴には非常に相性の良い製法と言えます。

EVAスポンジは、軽量でクッション性に優れており、長時間の歩行でも足への負担を軽減してくれます。さらに、加工性が高いため、ヒール部分の高さや形状を細かく調整することが可能です。今回は、元のバランスを大きく崩さないように注意しながら、安定感を重視したヒール形状に整えています。
ミッドソールの縫い付けが完了したら、ヒール部分をEVAスポンジで成形し、全体のバランスを確認します。ゴルフシューズは、立った状態だけでなく、前傾姿勢での安定性も重要になるため、前後の高さや接地感を細かくチェックしながら調整を行います。

その後、Vibram 419Cアウトソールを接着・圧着し、最終仕上げへと進みます。圧着後は十分な時間を置き、接着が完全に安定してから、ソール周りの仕上げ作業を行います。側面のラインを整え、見た目にも違和感のない自然な仕上がりになるよう丁寧に削り出します。

完成した状態を確認すると、見た目はもちろん、機能面でも大きく生まれ変わった一足となりました。Vibram 419Cならではの高い滑り止め効果により、芝生の上でもしっかりと地面を捉え、スイング時の安定感が格段に向上しています。スパイクレスでありながら、安心して踏み込める感覚を得られる仕上がりです。

H様のXXIOスパイクレスシューズは、今回のオールソール交換修理によって、まだまだ現役で活躍できる状態へと再生しました。足元を気にすることなくプレーに集中できるのは、ゴルフにおいて非常に大きなメリットです。お気に入りの一足を長く使い続けたい方にとって、オールソール交換修理は非常に有効な選択肢だと改めて感じさせてくれる事例となりました。
このたびは、いずみ靴店に修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。