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兵庫県のお客様よりお預かりした Zamberlan(ザンバラン)登山ブーツ

―― オールソール交換修理で、街から自然まで対応する一足へ ――

今回ご紹介するのは、兵庫県にお住まいのお客様よりお預かりした、
イタリア発の本格アウトドアブランド
**Zamberlan(ザンバラン)**の登山ブーツ修理事例です。

ザンバランといえば、
登山・トレッキング・ハイキングといったアウトドアシーンで高い評価を得ている老舗ブランド。
堅牢な作りと足をしっかり包み込むホールド感、
そして長時間歩行を前提とした設計が魅力です。

今回お預かりした一足も、
アウトドアブーツでありながら、
どこか洗練されたデザイン性を持つ、とてもおしゃれなモデルでした。

お客様からのご相談は、
「まだアッパーは元気なので、これからも街歩きや軽いハイキングで使いたい」
というもの。

しかし、長年の使用により、
靴底には明らかな摩耗と劣化が見られ、
このまま履き続けるには不安が残る状態でした。


■ 修理前の状態:アウトソールの摩耗とクッション性の低下

まずは、修理前の状態を詳しく確認します。

アウトソールは、

  • 地面との接地部分が大きく摩耗

  • トレッドパターン(溝)が浅くなり、グリップ力が低下

  • 歩行時に硬さを感じる状態

特に、かかとから前足部にかけては、
街歩きでの使用頻度が高かったこともあり、
均一にすり減っている印象でした。

また、ミッドソール部分も経年によって、

  • クッション性が落ちている

  • 反発力が弱くなっている

  • 長時間歩くと疲れやすい

といった症状が出ていました。

アッパーの革や縫製状態は非常に良好で、
「ここで手を入れれば、まだまだ長く履ける」
そんなポテンシャルを十分に感じる一足です。


■ 修理方針:街歩き+軽いハイキングに最適化する

今回のオールソール交換修理で、
私たちが重視したポイントは次の3点です。

  1. 街歩きでも疲れにくい快適性

  2. 軽いハイキングに対応できるグリップ力

  3. ザンバランらしい雰囲気を損なわない仕上がり

本格的なアルパイン用途ではなく、
あくまで「街と自然の両方で使える一足」という方向性を明確にし、
ソール構成と素材を選定していきました。


■ アウトソール選び:Vibram 063 を採用

今回アウトソールに採用したのは、
Vibram(ビブラム)063

Vibram 063は、

  • 適度なボリューム感

  • フラットすぎない安定した接地感

  • 街歩きでも違和感のないトレッドパターン

といった特徴を持ち、
タウンユースとライトアウトドアの中間に位置する、非常にバランスの良いソールです。

ゴツすぎず、しかし頼りなさもない。
ザンバランの上質なアッパーとの相性も良く、
今回の用途にはまさに理想的な選択でした。


■ ソール分解作業:慎重さが求められる工程

オールソール交換修理では、
まず既存のソールをすべて取り外す必要があります。

登山ブーツは構造が複雑なことが多く、
無理な力をかけると、

  • アッパーを傷める

  • 縫製を切ってしまう

  • 靴全体のバランスが崩れる

といったリスクがあります。

そのため、
接着層を一層ずつ確認しながら、
慎重に分解作業を進めていきました。


■ ミッドソール構成:合成ゴム+EVAスポンジ

今回の修理で特にこだわったのが、
ミッドソール部分の作り直しです。

● 合成ゴムを縫い付けて強度を確保

まず、土台となる部分には合成ゴムを使用し、
接着だけでなく、縫い付けによって固定しました。

これにより、

  • 剥がれにくい構造

  • 長期間使用しても安心感のある耐久性

  • 重量を抑えつつ、必要な剛性を確保

といったメリットが得られます。

● EVAスポンジでクッション性をプラス

その上に、EVAスポンジを組み合わせることで、
歩行時の衝撃をしっかり吸収。

EVAスポンジは、

  • 軽量

  • クッション性が高い

  • 反発力があり、歩行がスムーズ

という特性を持っており、
街歩きや長時間の散策でも足への負担を軽減してくれます。


■ 縫製と接着:登山ブーツだからこその安心感

ミッドソールとアウトソールの接合には、
接着剤だけに頼らず、
縫製と接着を併用しています。

アウトドアブーツは、

  • 路面状況が変わりやすい

  • 荷重が不規則にかかる

  • 横方向の力が入りやすい

という特徴があるため、
構造的な強さがとても重要です。

「安心して歩ける」という感覚は、
こうした地味ですが確実な工程の積み重ねから生まれます。


■ 仕上がり:街でも自然でも映える一足へ

完成したザンバランは、

  • 全体のシルエットが引き締まり

  • 適度なボリューム感でコーディネートしやすく

  • 歩き出した瞬間から違いを感じる履き心地

へと生まれ変わりました。

街中の舗装路ではクッション性と安定感を、
公園やハイキングコースでは確かなグリップ力を発揮し、
**「歩くことそのものが楽しくなる」**一足に仕上がっています。


■ お客様へ、そしてアウトドアブーツを愛用されている皆さまへ

大切な靴が、
再び新しい冒険へ出発するその瞬間をサポートできること。
それは、私たち靴修理職人にとって、何よりの喜びです。

ザンバランをはじめ、
高品質なアウトドアブーツは、
ソールを直せば、驚くほど長く履き続けることができます

「まだ履けるか分からない」
「修理する価値があるか迷っている」
そんな時こそ、ぜひ一度ご相談ください。

お客様の用途・歩き方・ライフスタイルに合わせて、
最適な修理方法をご提案いたし

埼玉県e様 ジョーヤ ウォーキングシューズ オールソール交換修理事例

埼玉県のE様よりお預かりした、ジョーヤ(Joya)のウォーキングシューズのオールソール交換修理事例をご紹介いたします。

ジョーヤといえば、「足にやさしい靴」として世界的にも知られているスイス発祥のブランドで、独自構造のソールによるクッション性と安定感が大きな特徴です。特にウォーキングシューズとして愛用されている方が多く、長時間歩いても疲れにくい履き心地を評価されています。E様もこのジョーヤの履き心地を大変気に入られており、「できることなら、これからもずっと履き続けたい」という思いから、今回の修理をご依頼くださいました。

■ ご依頼時の靴の状態

お持ち込みいただいた靴は、見た目には比較的きれいな状態でした。実はアウトソールについては、過去に一度交換修理を行っているとのこと。底面の摩耗自体は大きな問題ではなく、「なぜか最近、履き心地が急に悪くなった」「柔らかさがなくなり、歩くと違和感がある」というのがE様のお悩みでした。

そこで靴を詳しく確認すると、原因はミッドソール部分にありました。ジョーヤの多くのモデルでは、ミッドソールにポリウレタン素材が使用されています。ポリウレタンは軽量でクッション性に優れた素材ですが、経年劣化により“加水分解”という現象を起こすことがあります。

加水分解とは、空気中の水分などの影響で素材が化学的に分解され、弾力を失ったり、ボロボロと崩れたりする現象です。見た目では分かりにくくても、内部ではスポンジ状の組織が壊れてしまい、本来のクッション性能を発揮できなくなります。今回のジョーヤも、まさにその状態でした。

■ オールソール交換修理を選択した理由

ミッドソールが加水分解している場合、部分的な補修では根本的な改善ができません。表面だけを直しても、内部の劣化が進行していれば、再び不具合が出てしまいます。そのためE様とご相談のうえ、アウトソール・ミッドソールを含めた「オールソール交換修理」を行うことになりました。

ジョーヤの履き心地の要となるのは、やはりソール全体のバランスです。ただ単に新しい底を付ければ良いわけではなく、「柔らかさ」「安定感」「自然な体重移動」をいかに再現するかが重要になります。

■ 既存ソールの分解作業

まずは、現在付いているソールを丁寧に分解していきます。過去に一度アウトソール交換がされているため、接着層や素材の状態を慎重に見極めながら作業を進めました。

分解してみると、ミッドソールのポリウレタンは予想通り、指で触ると崩れるほど劣化していました。これでは、いくらアウトソールが新しくても、快適に歩くことはできません。劣化したポリウレタンを完全に取り除き、靴本体側をきれいな状態に整えます。この下処理が、仕上がりと耐久性を大きく左右する重要な工程です。

■ EVAスポンジによる新しいミッドソール作成

今回、新しいミッドソール素材として採用したのは「EVAスポンジ」です。EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)は、軽量でありながら耐久性とクッション性のバランスが非常に良く、近年のスニーカーやウォーキングシューズでも広く使用されている素材です。

EVAスポンジの大きな利点は、加水分解を起こしにくい点にあります。ポリウレタンと比べると経年劣化が緩やかで、長期間にわたって安定した履き心地を保ちやすいのが特徴です。長く履き続けたいE様のご要望にも、非常に適した素材だと判断しました。

今回はEVAスポンジを3層構造で貼り合わせ、しっかりとした厚みを持たせています。ただ厚くするだけではなく、ジョーヤ特有の曲線的なソール形状を再現するため、層ごとに微調整を行いながら削り出しました。

歩行時には、かかとから着地し、足裏全体へ体重が移動し、つま先で蹴り出すという一連の流れがあります。この体重移動が自然に行えるよう、前後の高さや丸み、土踏まず周辺のボリューム感を意識しながら、立体的に仕上げていきました。

■ アウトソールにはTOPY社クロコ柄ソールを採用

ミッドソールが完成した後、仕上げとしてアウトソールを取り付けます。今回使用したのは、TOPY(トピー)社製のクロコ柄ソールです。

このソールは、耐摩耗性に優れているだけでなく、グリップ力も高く、ウォーキング用途に非常に適しています。また、クロコダイル調の模様が施されており、機能性だけでなくデザイン性も兼ね備えているのが特徴です。

シンプルになりがちなウォーキングシューズですが、足元にさりげない表情が加わり、「修理した靴」ではなく「生まれ変わった靴」という印象に仕上がりました。E様にも、見た目の変化を大変喜んでいただけました。

■ 仕上げと最終チェック

ソールを接着後、圧着・乾燥の工程を経て、最終仕上げに入ります。接地面のバランスを確認し、左右差やガタつきがないかを細かくチェック。実際の歩行を想定しながら、細部を微調整して完成となります。

完成後のジョーヤは、クッション性がしっかりと戻り、足を入れた瞬間に「ふわっとした安心感」が感じられる仕上がりになりました。それでいて、沈み込みすぎない安定感も確保できており、長距離歩行でも疲れにくい構造です。

■ 修理を終えて

E様からは、「新品のときよりも、むしろ今の方が歩きやすい気がする」「また安心して長く使える」と嬉しいお言葉をいただきました。大切に履いてこられた靴を、もう一度現役としてお返しできることは、私たち修理職人にとって何よりの喜びです。

ウォーキングシューズは、日々の健康を支える大切な道具です。ソールの劣化を我慢して履き続けると、足や膝、腰への負担にもつながります。「最近、履き心地が変わった」「柔らかさがなくなった」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

今回のように、EVAスポンジを用いたオールソール交換修理によって、お気に入りの靴を再び快適に履き続けることが可能です。これからも、お客様の足元を支えるお手伝いができれば幸いです。

大阪府m様 フットジョイ・アイコン フルリニューアル修理事例  加水分解を原因に

こんにちは。今回は、大阪府にお住まいのM様よりお預かりした、フットジョイの名作ゴルフシューズ「アイコン(ICON)」モデルのフルリニューアル修理事例をご紹介します。

クラシックな佇まいと上質な作りで、長年多くのゴルファーに愛されてきたフットジョイ・アイコン。しかし、どれほど完成度の高い靴であっても、経年劣化だけは避けて通れません。今回お預かりした一足も、外観は比較的きれいな状態を保っていたものの、内部では素材の劣化が静かに、しかし確実に進行していました。

■ ご依頼のきっかけと靴の状態

M様からのご相談内容は「ソールが劣化してきたので、これからも安心して履けるように修理したい」というもの。詳しく拝見すると、ミッドソールに使用されているポリウレタン素材が加水分解を起こしており、内部ではボロボロと崩れ始めている状態でした。

ポリウレタンは、クッション性や軽さに優れる一方で、水分や湿気の影響を受けやすく、一定の年数が経過すると加水分解によって劣化してしまう性質があります。特にゴルフシューズは、芝生の水分や雨、保管環境の影響を受けやすいため、こうした症状が出やすいジャンルの靴でもあります。

今回は部分修理では根本的な解決にならないと判断し、思い切ってオールソール交換によるフルリニューアルをご提案しました。

■ スパイクレス化という選択

もうひとつの大きなポイントが「スパイクレス化」です。オリジナルはスパイク付きのゴルフシューズですが、M様からは「普段の練習やラウンドで、より歩きやすく、汎用性の高い仕様にしたい」というご要望がありました。

そこで今回は、スパイクを使わないスパイクレス仕様に変更することに。これにより、ゴルフ場はもちろん、移動時や練習場でも扱いやすく、現代的な使い方ができる一足へと生まれ変わります。

■ ソール分解作業

まずは既存ソールの分解から作業を開始します。フットジョイ・アイコンは、比較的一体型の構造で、ソールはボンド接着が主体となっています。

この構造のおかげで、熱を加えながら慎重に作業を進めることで、比較的スムーズにソールを分解することができました。ただし、内部のポリウレタンは想像以上に劣化が進んでおり、触れると粉状になって崩れ落ちる状態です。

加水分解した素材を中途半端に残してしまうと、再接着や縫い付けの強度に悪影響を及ぼすため、劣化部分は徹底的に除去します。地味ですが、仕上がりと耐久性を左右する非常に重要な工程です。

■ EVAスポンジミッドソールの製作とマッケイ縫い

次に、新しいミッドソールの製作に入ります。今回採用したのは、加水分解の心配がほとんどないEVAスポンジ素材です。

EVAは、軽量でクッション性に優れ、なおかつ経年劣化に強いという特性を持っています。ゴルフシューズのように長時間歩行する靴には、非常に相性の良い素材です。

このEVAスポンジを靴の形状に合わせて成形し、マッケイ縫いで靴本体に直接縫い付けていきます。マッケイ縫いは、足裏の感覚がダイレクトに伝わりやすく、屈曲性にも優れる製法です。

見た目はシンプルですが、ミシンの角度やテンション管理が難しく、確かな技術が求められます。クラシックな靴の雰囲気を損なわず、かつ実用性を高めるために最適な選択と言えるでしょう。

■ ヒール部のEVA成形

ミッドソールに続いて、ヒール部分もEVAスポンジで新たに製作します。既製品をそのまま使うのではなく、元のシルエットやバランスを意識しながら、丁寧に削り出して高さや形状を調整しました。

ゴルフシューズにおいてヒールの安定感は非常に重要です。スイング時の体重移動や歩行時のバランスを考慮し、過不足のないボリュームに仕上げています。

■ Vibram 419C スパイクレスソールの装着

アウトソールには、Vibram(ヴィブラム)社の419Cスパイクレスソールを採用しました。このソールは、グリップ力と耐久性のバランスに優れ、ゴルフ用途としても非常に評価の高いモデルです。

芝生の上でもしっかりとした安定感を発揮しつつ、スパイク特有の硬さがないため、歩行時の快適性も向上します。クラシックなアイコンの雰囲気とも相性が良く、違和感のない仕上がりになりました。

接着後は、全体のバランスや接地感を細かくチェックし、必要に応じて微調整を行って完成です。

■ 修理を終えて

こうして完成したフットジョイ・アイコンは、見た目こそクラシックなままですが、中身は現代的で実用性の高い一足へと生まれ変わりました。加水分解の不安から解放され、これからも長く安心して履いていただけます。

M様にも仕上がりをご確認いただき、「これならまた何年も使えそうですね」と嬉しいお言葉を頂戴しました。職人として、これ以上ない瞬間です。

古き良きものに新たな命を吹き込み、持ち主の思い出とともに未来へつなぐ。それこそが、私たち靴修理職人の使命だと改めて感じた一足でした。

倉敷市 A様 加水分解した ブランドストーンの靴底をオールソール交換修理しました

倉敷市にお住まいのA様より、ブランドストーン(Blundstone)サイドゴアブーツの修理をご依頼いただきました。


日常使いから街歩きまで幅広く活躍するブランドストーンのサイドゴアブーツは、履きやすさと耐久性を兼ね備えた人気モデルです。A様も長年このブーツを愛用されており、日々の生活の中で欠かせない一足として大切に履かれてきたそうです。

今回のご相談内容は、靴底の剥がれ
確認させていただいたところ、アウトソールだけでなく、内部のポリウレタン製ミッドソールが加水分解を起こしている状態でした。ポリウレタン素材は、クッション性や軽さに優れる一方で、経年や保管環境によって劣化が進みやすいという特性があります。

加水分解とは、空気中の湿気と化学反応を起こすことで、素材の分子構造が壊れてしまう現象です。
この症状が進行すると、ソールがボロボロと崩れたり、今回のように接着が効かなくなって剥がれてしまったりします。履いていなくても劣化が進む場合があるため、「久しぶりに履こうとしたら突然壊れた」というご相談も少なくありません。

A様のブーツも、外見上は比較的きれいな状態でしたが、内部では確実に劣化が進んでいました。
このようなケースでは、部分的な貼り替えや応急処置では根本的な解決にはなりません。そのため今回は、劣化したソールをすべて取り除き、新たに作り直すオールソール交換修理をご提案しました。

まずは既存ソールの分解作業から始めます。
加水分解したポリウレタンは非常に脆く、粉状になったり、粘ついたりと状態が安定しません。無理に剥がすとアッパー(甲革)を傷めてしまう恐れがあるため、状態を見極めながら、慎重に取り外していきます。

ソールを完全に除去した後は、靴底全体の下処理を行います。
劣化した素材の残りや古い接着剤を丁寧に取り除き、次に取り付けるミッドソールがしっかり密着するよう、底面を整えていきます。この工程は完成後には見えなくなる部分ですが、耐久性と履き心地を左右する非常に重要な作業です。

新たなミッドソールとして採用したのは、EVAスポンジ素材
EVAスポンジは軽量でクッション性が高く、加水分解のリスクが低い素材として知られています。歩行時の衝撃を和らげ、長時間歩いても疲れにくいため、街歩きや日常使いのブーツには非常に相性の良い素材です。

このEVAミッドソールは、接着だけに頼らず、マッケイ縫いによって靴本体にしっかりと固定しています。
マッケイ縫いは、インソールからアウトソールまでを一気に縫い通す製法で、軽さと屈曲性に優れるのが特徴です。サイドゴアブーツのように、脱ぎ履きが多く、歩行時の柔軟性が求められる靴には最適な構造と言えます。

アウトソールには、Vibram(ビブラム)528Kソールを使用しました。
このソールは、軽量でありながら耐摩耗性に優れ、安定したグリップ力を持つモデルです。街中のアスファルトやタイル路面でも安心して歩けるため、日常使いを想定した今回の修理内容にぴったりの選択となりました。

仕上がりは、見た目にも自然で、ブランドストーン本来のシンプルで実用的な雰囲気を損なうことなく完成しました。
履き心地も軽やかで、修理前よりも歩きやすく感じていただける仕上がりになっています。

靴は、私たちの日々の歩みを支える大切な道具です。
消耗品であることは確かですが、適切なタイミングで修理やメンテナンスを行えば、驚くほど長く使い続けることができます。特に今回のように、構造から見直したオールソール交換は、靴に新たな寿命を与える修理と言えるでしょう。

新品に買い替えるのではなく、履き慣れた靴を修理して使い続けることは、経済的なメリットだけでなく、環境への配慮にもつながります。
そして何より、足に馴染んだ一足をこれからも履き続けられるという安心感は、何ものにも代えがたいものです。

A様のブランドストーンも、今回の修理によって再び安心して街へ出かけられる相棒として生まれ変わりました。
これからも、日々の歩みを支える一足として、存分に活躍してくれることと思います。

この度は、大切なブーツの修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。
靴の修理やメンテナンスについて、気になる点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

Foot Joy ドライプレミアム スパイクレス化オールソール交換修理事例(東京都i様)

こんにちは。岡山県倉敷市で靴修理を行っております。当店では、革靴からスニーカー、ブーツ、ゴルフシューズまで、幅広いジャンルの靴修理を承っております。今回は、東京都よりご依頼をいただいた I様の FootJoy(フットジョイ)ドライプレミアム の修理事例をご紹介いたします。

今回の修理は、ハーフソールラバーおよびソフトスパイク部分の加水分解が進行してしまったことをきっかけに、スパイクレス化を含むオールソール交換修理を行った内容となります。ゴルフシューズならではの構造や、修理にあたっての注意点、仕上がり後の変化についても詳しくご紹介していきますので、同様のお悩みをお持ちの方はぜひ参考になさってください。


ご依頼の靴について

今回お預かりしたのは、FootJoyの中でも高い評価を受けている「ドライプレミアム」シリーズのゴルフシューズです。防水性・フィット感・安定性に優れ、長時間のラウンドでも疲れにくい設計が特徴で、多くのゴルファーに愛用されているモデルです。

I様もこの靴を大変気に入っておられ、長年大切に履かれてきたとのことでした。しかし、ある時から歩行時に違和感を覚えるようになり、ソール周りを確認したところ、ハーフソールラバーとソフトスパイクが劣化し、ボロボロと崩れてきている状態に気づかれたそうです。


加水分解によるトラブル

ゴルフシューズに多く使用されているラバーやポリウレタン系素材は、経年や保管環境の影響により「加水分解」を起こすことがあります。加水分解とは、空気中の水分と化学反応を起こし、素材が分解・劣化してしまう現象です。

今回のドライプレミアムも例外ではなく、ハーフソールラバーは弾力を失い、触ると崩れ落ちる状態でした。ソフトスパイクも固定力が低下し、プレー中の安定性に影響が出る恐れがある状況です。この状態では部分修理では対応が難しく、オールソール交換修理が最善と判断しました。


スパイクレス化という選択

I様とのご相談の中で話題に上がったのが、「スパイクレス化」という選択肢です。従来のソフトスパイク仕様は、芝生でのグリップ力に優れる反面、スパイク部分の劣化や交換の手間が発生します。

一方、スパイクレスソールは、

  • 軽量で足運びが楽
  • 歩行時の違和感が少ない
  • メンテナンス性が高い
  • 普段履き感覚で使いやすい

といったメリットがあります。最近ではプロ・アマ問わずスパイクレスを選ぶゴルファーも増えており、実用性の高さが評価されています。

I様も「これを機に履き心地を重視したい」とのご希望をお持ちだったため、スパイクレス仕様でのオールソール交換をご提案し、施工することとなりました。


修理工程のご紹介

まずは、劣化したアウトソール・ハーフソールラバー・スパイク関連部材をすべて取り外します。加水分解した素材は非常にもろく、無理に剥がすとアッパーを傷めてしまうため、状態を見極めながら慎重に分解作業を進めます。

次に、靴底全体の下地処理を行います。古い接着剤や劣化素材の残りを丁寧に除去し、平滑な状態を作ることで、新しいソールとの接着強度を高めます。この工程を怠ると、せっかく新しいソールを取り付けても剥がれの原因となるため、非常に重要な作業です。

下地が整った後、選定したスパイクレスソールを取り付けます。接着には専用の強力な接着剤を使用し、圧着・乾燥を十分に行うことで、ゴルフシューズとして求められる耐久性と安定性を確保します。


仕上がりと履き心地の変化

修理完了後のドライプレミアムは、見た目にもすっきりとした印象に生まれ変わりました。スパイクがなくなったことで、ソール全体の一体感が増し、非常にスマートな仕上がりです。

実際に履いた際の変化として、

  • 靴全体が軽く感じられる
  • 歩行時の動きがスムーズ
  • 足裏の当たりが柔らかい

といった点が挙げられます。I様からも「以前よりも足が自然に前に出る感じがする」「ラウンド後の疲れが軽減されそう」と嬉しいご感想をいただきました。


修理で得られるもう一つの価値

靴修理の魅力は、単に「壊れた部分を直す」だけではありません。今回のように仕様を変更することで、履き心地や使い勝手を向上させることができる点も大きなメリットです。

お気に入りの靴を買い替えることなく、自分のライフスタイルや用途に合わせてアップデートできる。それこそが、修理ならではの価値だと私たちは考えています。


最後に

今回ご紹介した FootJoy ドライプレミアムのスパイクレス化オールソール交換修理は、加水分解によるトラブルを解消すると同時に、履き心地を大きく向上させる結果となりました。

ゴルフシューズのソール劣化や、スパイクのトラブルでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。状態やご希望に応じて、最適な修理方法をご提案いたします。

倉敷市の靴修理店として、これからも一足一足と真摯に向き合い、**「安心して長く履ける靴」**をお届けしてまいります。お気に入りの一足を、もう一度快適に蘇らせてみませんか。

広島県 M様 ASICS バレーボールシューズ ソール張替え修理事例

今回ご紹介する修理事例は、広島県よりご依頼をいただいたM様のASICS(アシックス)製バレーボールシューズのソール張替え修理です。


バレーボールシューズは、競技特性上、前後左右への急激な動きやストップ動作が非常に多く、一般的なスニーカーと比べてもアウトソールへの負担が大きい靴です。特に体育館の床面では、適度なグリップ力が求められる一方で、摩耗が進むと一気に滑りやすくなり、プレーの質だけでなく怪我のリスクにも直結します。

M様からは「底面がかなり削れてきて、以前よりも滑る感じが出てきた」とのご相談をいただきました。実際に靴を拝見すると、アッパーや内部構造には大きなダメージはなく、全体的にはまだまだ使用可能な状態です。しかし、アウトソールの接地面は摩耗が進み、特に踏み込み時に力のかかる前足部を中心に、溝が浅くなり平滑化していました。こうした状態では、見た目以上にグリップ性能が低下しており、プレー中の踏ん張りが効かなくなってしまいます。

今回のケースでは、ソール本体(ミッドソールや靴底構造)はしっかりしており、加水分解や内部劣化は見られませんでした。そのため、靴全体を解体するオールソール交換ではなく、「底面のみを削り、新しいラバーソールを貼り替える」ソール張替え修理をご提案しました。これは、靴の寿命を無駄なく延ばし、費用と性能のバランスを取るうえで非常に有効な方法です。

まずは下準備として、既存のアウトソール底面を慎重に削り込んでいきます。この工程は単純に削ればよいというものではなく、元のソール形状を崩さないようにしつつ、新しいソールを確実に接着できる「平滑で均一な接着面」を作ることが重要です。削りが甘いと接着不良の原因になりますし、削りすぎると履き心地や安定性に影響が出ます。靴の状態を見極めながら、ミリ単位で調整していきます。

接着面が整ったら、次に使用するソール素材の選定です。今回はVibram(ビブラム)930Cを採用しました。Vibram930Cは、比較的薄手ながらも高い耐摩耗性とグリップ性能を持つラバーソールで、スポーツ用途や日常使いの靴にも幅広く対応できる素材です。特に注目すべき点は、配合されている「MEGA GRIP(メガグリップ)」というコンパウンドです。これは、濡れた路面や滑りやすい床面でも安定したグリップ力を発揮することで知られており、アウトドアシューズや高機能スポーツシューズにも使用されている素材です。

体育館の床は、一見すると滑りにくそうに見えても、ワックスや湿気の影響で意外と滑りやすい環境になることがあります。そのため、適度なグリップ力を持つソール素材の選択は非常に重要です。Vibram930Cは「止まりすぎず、しかし滑らない」というバランスの取れた特性を持っており、バレーボールのような競技にも相性が良いと判断しました。

ソール材を靴の形状に合わせてカットし、位置決めを行ったうえで、専用の接着剤を使用して圧着します。接着後は十分な時間をかけて乾燥・硬化させ、剥がれや浮きが出ないように慎重に仕上げます。その後、側面のラインを整え、接地面の仕上げ加工を行い、見た目と機能性の両立を図ります。

仕上がった状態では、摩耗していた底面は一新され、しっかりとしたグリップ感が期待できる状態になりました。ソール本体を活かした修理のため、履き慣れたフィット感やクッション性はそのままに、安心してプレーできる性能が戻っています。M様にも「これならまだまだ使えそうだ」と安心していただけました。

スポーツシューズは消耗品ではありますが、状態を見極めて適切な修理を行うことで、性能を取り戻し、長く使い続けることが可能です。特に今回のように、アッパーや内部構造が健全な場合は、ソール張替え修理が非常に有効です。滑りが気になり始めた段階でのご相談は、怪我の予防という意味でもおすすめです。

いずみ靴店では、競技内容や使用環境に応じたソール素材の提案を行い、一足一足の状態に合わせた修理を心がけています。スポーツシューズのソール摩耗や滑りでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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総社市 M様 NIKE エア・ジョーダン1.5 カスタムオールソール交換修理

総社市 M様 NIKE エア・ジョーダン1.5 カスタムオールソール交換修理

総社市にお住まいの M様より NIKE エア・ジョーダン1.5 の修理ご依頼をいただきました。
長年大切に履かれてきたそうで、アウトソール全体のすり減りやクッション性の低下が目立ち、歩行時にも地面の硬さを感じるようになってきたとのこと。
「このまま履けなくなるのは惜しいので、しっかりと直して今後も長く履いていきたい」という強いご希望で、オールソール交換修理のご相談をいただきました。


■ エア・ジョーダン1.5とは

エア・ジョーダン1.5は、1984〜85年頃のトランジションモデルと呼ばれ、アッパーはAJ1の雰囲気を残しつつ、ソールはエア・ジョーダン2へと移行するための試作的な設計を採用している珍しいモデルです。
その構造ゆえに、一般的なAJ1と比べて カップソール構造が独特で、修理部材の互換性がほとんどない ことが修理難易度を上げる要因となっています。

現在国内では 純正形状の交換用カップソールの入手は不可能 に近いため、従来と同じ形での復元修理は現実的には不可能です。
そこで今回は、機能面と耐久性を重視した カスタムオールソール方式 を採用しました。


今回の修理内容のポイント

項目 内容
修理内容 カスタムオールソール交換
ミッドソール 薄手の素材で新規作成し、マッケイ縫いで固定
側面 接着跡を本革で覆い、美観を向上
アウトソール Vibram 4014 白(タンクソール)
仕上げ カスタムデザインとして耐久性と安定性を強化

修理前の状態

靴をお預かりした段階で、アウトソール全体に広い摩耗が見られ、ヒール部分はかなりすり減った状態でした。
ミッドソールはクッション性が落ち、沈み込みが大きくなり、歩行時には衝撃がダイレクトに伝わるほどの劣化が進んでいました。

さらに、ソール側面は元々接着のみで固定されていたため、分解作業を行うと 接着跡が大きく残る構造 となっており、このままでは見た目の美しさに欠けます。


修理工程の詳細

### ① 旧ソールの分解

ソールを丁寧に剥がし、接着跡を除去します。
ジョーダン1.5は通常の縫い付け構造ではないため、内部構造を傷つけないよう慎重に作業を進めます。


### ② 接着跡を本革で側面処理

分解後は側面に広い接着跡が残りますが、
そこに薄手の本革を巻くように貼り込み、自然な1枚革のように見えるよう加工します。

これにより、

  • 接着跡が完全に隠れる

  • 耐久性アップ

  • 高級感のある雰囲気に

というメリットが生まれます。
この工程は見た目に大きく影響するため、カスタム修理では重要な作業となります。


### ③ 新しいミッドソールを縫い付け

薄手のミッドソールを新規作成し、
**マッケイ縫い**で靴本体にしっかり縫い付けます。

これにより

  • 接着のみの不安定さを解消

  • 長く履いてもソールの剥がれが起きにくい構造へ

  • 屈曲性と安定感を向上

オパンケ縫いを施すことで、カスタムモデルのような力強い印象が生まれます。


### ④ Vibram 4014 白ソールを装着

今回はごつめのタンクソールとして人気の Vibram 4014(白) を選択。
ワークブーツでも使われるほどの耐久性で、グリップ力や安定感にも優れています。

元の見た目とは変わりますが、より無骨で安定した履き味へと変化します。


修理後の仕上がり

完成後のジョーダン1.5は、見た目にグッと力強さが増し、
「スポーツスニーカー」から「ストリート感のあるカスタムプロダクト」へ生まれ変わった印象になります。

実際にM様にお渡しした際、

「新品を買い替えるより良かった!かなりカッコよくなりましたね!」
と嬉しいお言葉をいただきました。


今回のカスタム修理のメリット

  • 耐久性が大幅に向上

  • これまでより安定した歩行が可能

  • 剥がれの心配が少ない縫い付け構造

  • 革の側面処理により、見た目のクオリティアップ

  • 同じ症状で困っている方の選択肢として有効

純正部品が入手困難な現代のスニーカー修理では、
こうしたカスタムオールソール方式が大変有効です。


同じ症状でお困りの方へ

エア・ジョーダンシリーズやジョーヤ、ニューバランス、ECCOなど
加水分解・剥離・すり減りの症状でお困りの方はお気軽にご相談ください。

構造上難しい靴でも、カスタムや縫い付けで再生できる場合があります。


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浅口市 鴨方町 M様 和ゾーリ かかとゴム交換修理

浅口市 鴨方町 M様 和ゾーリ かかとゴム交換修理

— いずみ靴店 修理事例 —

今回ご紹介するのは、浅口市鴨方町にお住まいの M様よりご依頼いただいた和ゾーリのかかとゴム交換修理です。草履は日本の伝統的な履物であり、四季を通して履かれる方もいらっしゃいますが、特に夏場の外出用として愛用されている方も多いアイテムです。

和ゾーリは一般的なスニーカーや革靴とは異なり、構造や素材、製法が特殊です。そのため修理する際も、靴とは違った知識と技術が必要になります。
今回お預かりした草履は、長年大切に履かれてきたもので、かかとのゴム部分だけが劣化し割れている状態でした。特に湿気や経年変化による劣化でゴムが硬化し、歩行時にカチカチと滑るような感触が出てしまっていたとのことです。


■ 修理前の状態

お預かりした時点では、かかとのゴムがひび割れ、部分的に欠けてしまっていました。
和ゾーリに使われているかかとゴムは、通常の靴底素材と違い、クッション性・摩耗耐性・見た目のバランスが重視されています。しかしながら、長期間使用されたり、湿度の高い場所に保管されると、ゴムは次第に硬化し弾力を失ってしまいます。

さらに、ゴム部分に負荷が集中する 着地ポイントから崩れることが多く、今回もまさにその典型的な症状でした。

歩行していると気づかないうちにゴムが削れ、気付いた時には修理が必要な状態になってしまうケースは少なくありません。


■ 修理方法について

和ゾーリの修理は、ただ古いゴムを剥がして新しいものを取り付けるだけではありません。
使用されている台の材質、縫製方法、底材の接着方式などをみながら、元の構造にできるだけ負担をかけず修理を進める必要があります。

今回の修理では、まず古いかかとゴムを丁寧に剥がし、底面のバランスが崩れないよう形状を整えました。その後、和履きの草履に適した柔らかめの新しいゴムを選び、強力な接着処理を施し取り付けています。

接着後は圧着しながら固定し、完全に乾燥させるため一定時間置く必要があります。これによって使用中に剥離するリスクを大幅に減らすことができます。


■ 修理後の状態

交換後のかかとゴムは新品のようにきれいな仕上がりとなり、これまでよりも安定した歩行ができるようになりました。

草履の場合、かかとまで踏み込む歩き方をする方もいれば、前重心で歩く方もおられ、摩耗の進み方に個性が出ます。
M様の場合は歩行時にかかとがしっかり接地するタイプでしたので、今回の交換により履き心地が改善し、また長くご使用いただける状態になったと思われます。


■ 和ゾーリ修理の重要性

和ゾーリは修理できないと思われる方も多いですが、実は 多くの箇所が修理可能です。

例えば、

  • 鼻緒の交換や調整

  • かかとゴム交換

  • 底面補修(滑り止め加工など)

  • 表面素材の補強

など、適切な素材を選ぶことで、履き慣れた草履を長く履き続けることができます。

特に、今回のようなかかとゴム交換は草履修理の中でも依頼が多く、**「滑りやすい」「歩くと硬く感じる」「音がカツカツする」**といった症状が出てきたタイミングが交換の目安です。


■ 修理納期・費用について

和ゾーリのかかとゴム交換は、靴修理に比べ作業工程が特殊なため、状態や素材に応じて納期が変わります。
一般的には数日~1週間程度をいただいておりますが、お急ぎの場合は可能な範囲で対応いたしますので、ご相談ください。

費用については、素材・サイズ・構造により異なりますが、今回の修理では標準的な価格帯での施工となりました。


■ 最後に

靴や草履は消耗品ではありますが、直しながら丁寧に使うことで、より長く愛着を持って履き続けることができます。
特に和装用品や思い出の品、履き慣れたものは買い替えるより修理する方が良い場合も多くあります。

このたび修理をご依頼いただいたM様、誠にありがとうございました。
今後もお困りの際はお気軽にお持ち込みください。


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山梨県 T様 NIKE エアジョーダン1 ソール内クッション交換とヒールカウンター交換修理

山梨県 T様 NIKE エアジョーダン1

ソール内クッション交換とヒールカウンター交換修理

山梨県よりお預かりしたのは、ナイキの名作「エアジョーダン1」。
1985年に登場して以来、スニーカー史を代表するモデルとして今なお人気の衰えない一足です。スポーツシューズとしての性能はもちろん、ファッションアイコンとしても地位を確立しており、まさに“履ける名作”といえるモデルです。

今回T様のエアジョーダン1は、一見するとまだまだ履けそうな状態でしたが、実際にソールを押すと「ペコペコ」とした不自然な感触。さらに、ヒールまわりには深いシワが入り、内部に本来あるはずの“硬い芯”の存在が感じられませんでした。


見た目以上に内部が傷んでいる典型的な症状であり、長年の経年劣化と素材の加水分解が疑われます。


■ ソール内部のクッション、加水分解で崩壊

まずはソールを分解して内部を確認します。


エアジョーダン1は本来、ソールの中に衝撃吸収用のクッション材が封入されています。古いモデルや長期間保管されたものでは、このクッションがウレタン系素材である場合が多く、湿気や温度変化により加水分解を起こしてしまいます。

今回もまさにそのケース。
ソールを剥がした瞬間、内部のクッション材がボロボロと崩れ落ち、粉末状になっていました。指で触れると粘着質の残留物が付着するほどの劣化ぶり。ここまで進行してしまうと、もはや機能は失われており、クッション性はゼロどころか、内部空間がスカスカになることで履き心地のバランスを崩してしまいます。

加水分解とは、空気中の水分を吸って化学的に分解されていく現象で、ウレタンや樹脂系の素材では避けて通れない宿命です。使用頻度に関わらず、時間の経過とともに進行していくため、「大切に保管していたのにいつの間にか壊れていた」というケースが多いのも特徴です。


■ ヒールカウンターも粉々に

次に問題となっていたのが、かかと部分の「ヒールカウンター」。


これは靴の後方を内側から支える“芯材”で、かかとをしっかりホールドし、型崩れを防ぐ重要なパーツです。

内張り(ライニング)をめくって内部を確認すると、予想通り樹脂製のカウンターが粉末状になっており、指で触るとサラサラと崩れ落ちる状態でした。これも加水分解による典型的な劣化です。
樹脂カウンターは成型時には非常に硬く安定した形を保ちますが、経年で内部に含まれる可塑剤が揮発し、やがて分子構造が壊れて脆くなります。その結果、履き皺とともにパリパリと割れ、ついには粉状に崩壊してしまうのです。

この状態では、かかとが支えを失い、履くたびに左右にぐらつくような不安定さが出ます。履き口まわりのシワや型崩れも進行してしまい、放置するとアッパーそのものが歪み、元のフォルムを保てなくなってしまいます。


■ 本革製ヒールカウンターで再構築

樹脂製カウンターは再利用できないため、新たに本革製のヒールカウンターを製作して交換します。


本革は熱成型によって柔軟かつ強靭に形状を保つことができ、何より経年変化に強いのが特徴です。革は時間とともに硬化することはあっても、樹脂のように粉々に崩壊することはありません。

足に当たる裏面にはライニングを貼り直し、革カウンターとの間に適度なクッション層を設けて、履き心地とホールド感を両立させています。
T様のジョーダン1も、これによって再び“かかとの芯”を取り戻しました。見た目だけでなく、足を入れたときの安定感もまるで新品のように甦ります。


■ ソール内クッションをEVAスポンジで再生

続いて、ソール内のクッション交換です。


オリジナルのウレタン系素材は加水分解して使用不能のため、代替としてEVA(エチレン酢酸ビニル)スポンジを使用しました。

EVA素材は軽量で反発性に優れ、しかも加水分解しにくいという大きな利点があります。
スポーツシューズやサンダルのミッドソールにも多く採用されており、長期的な安定性という点では、ウレタンよりもはるかに信頼できます。

クッション性を保ちながらも沈み込みすぎず、程よい弾力を持たせるため、厚みと密度を慎重に調整しました。足裏の沈み込みが均一になるよう整形し、アッパーとの接合部分もピタリとフィットさせます。ここでの精度が悪いと、履いたときに内部で異音がしたり、部分的な圧迫が生じることもあるため、見えない部分こそ職人の腕が問われる工程です。


■ ソールを再接着し、オパンケ縫いで補強

内部の補修が完了したら、ソールを再度取り付けます。


ジョーダン1のソールはもともと接着主体ですが、当店では耐久性を高めるために「オパンケ縫い」で補強を施します。

オパンケ縫いとは、ソールの側面から底面にかけて、ぐるりと縫い付けて固定する伝統的な手法で、靴の構造的強度を格段に高める方法です。
単なる装飾ではなく、アッパーとソールを物理的に一体化させることで、再剥離のリスクを最小限に抑えます。

この縫製には「八方ミシン」という特殊なミシンを使用します。
一般的な靴ミシンでは届かない立体的な箇所にも針を通すことができ、ブーツやスニーカーの厚みある構造にも対応できる優れものです。


八方ミシンによる縫い上げは、力強く均一で、見た目にも美しいステッチラインを描きます。


■ 修理後の仕上がりと履き心地

仕上げ後のエアジョーダン1は、見た目こそ修理前と変わらないものの、履いた瞬間にその違いが分かります。
沈み込みのない安定したクッション性、かかとを包み込むしっかりとしたホールド感。
これらはすべて、内部構造を丁寧に再構築したからこその成果です。

スニーカーの修理というと、外側のソール張替えや接着補強が中心と思われがちですが、実は「内部の再生」こそが最も重要な要素のひとつ。
加水分解してしまったクッションやヒールカウンターを放置すると、見た目はまだ履けても、足には確実に負担がかかります。
内部構造を新品同様に再生することで、靴本来の機能性が甦り、結果的により長く快適に履くことができるのです。


■ エアジョーダンの修理で大切なこと

エアジョーダンシリーズは、モデルによってソール構造や素材の仕様が大きく異なります。
初代ジョーダン1は比較的シンプルなカップソール構造ですが、後期のモデルではエアユニットや樹脂パーツが組み込まれ、修理の難易度が格段に上がります。

特にウレタン系素材はどんなに見た目がきれいでも、経年で内部から劣化が進むため、長期保管品は要注意。
湿気の少ない場所に保管し、ときどき風通しをしてあげることが、加水分解を遅らせる最も有効な方法です。


■ まとめ

今回の修理内容は以下の通りです。

  • ソール内クッション交換(EVAスポンジ製作)

  • ヒールカウンター交換(本革製)

  • 内張り再接着

  • ソール再接着+オパンケ縫い補強

外観を崩さず、構造的な耐久性と履き心地を取り戻す修理でした。
見えない部分の再生こそ、靴修理職人の技の見せ所です。

T様、このたびは遠方よりご依頼ありがとうございました。
エアジョーダン1が再び快適に活躍してくれることを願っております。


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岡山県津山市 I様ご依頼 Timberland(ティンバーランド)フィールドブーツ オールソール交換修理

岡山県津山市 I様ご依頼

Timberland(ティンバーランド)フィールドブーツ オールソール交換修理


靴修理専門店「いずみ靴店」にて承った、岡山県津山市のI様からのご依頼事例をご紹介いたします。今回はアウトドアブランドとして世界的に有名な Timberland(ティンバーランド)フィールドブーツ のオールソール交換修理です。

ティンバーランドといえば、イエローブーツを代表とするワークブーツやアウトドアブーツの印象が強いブランドですが、今回お預かりしたのは少し珍しい仕様の フィールドブーツ。ソールの構造が一般的なティンバーランド製品とは異なり、修理方法の選定に工夫が必要でした。

以下では、修理前の状態や施工方法、仕上がりについて詳しくご紹介いたします。ティンバーランドのブーツを愛用されている方、また靴底の剥がれや加水分解でお悩みの方の参考になれば幸いです。


■ 修理前の状態:ソール剥がれと特殊な製法

I様のフィールドブーツは、長年の使用によりソール部分が剥がれてきていました。通常、ティンバーランドの定番ブーツは縫い付けや加硫製法によって強固に取り付けられていますが、今回のモデルは少し珍しい構造でした。

具体的には、

  • ソール自体はボンド接着で取り付け

  • コンバースのキャンバススニーカーのように、側面にゴム製の腰巻き(サイドテープ)がぐるりと巻かれている

という仕様になっており、通常のティンバーランドとは異なる「スニーカー的な構造」に近いものでした。

そのため、純正に近い製法での修理を再現することは難しく、いかに自然に、かつ耐久性のある形でソールを再構築するか が課題となりました。


■ 修理プランの検討

このように特殊な製法のブーツでは、単純に「同じソールを交換する」だけでは対応できません。特に側面を覆っていたゴムテープは入手困難であり、また再利用することもできないため、別の方法で仕上げる必要があります。

そこで当店では、次のようなプランを立てました。

  1. 側面に本革を巻き付けて縫い付け
     → 剥がれ跡や接着痕を隠しつつ、強度と高級感を持たせる。

  2. ミッドソールを新設
     → 白系のEVAスポンジを用い、軽量でクッション性を確保。さらにマッケイ縫いで本体と固定。

  3. アウトソールにVibram528Kを採用
     → 白色のソールを選び、デザイン性とグリップ力を両立。

この3ステップにより、純正とは異なるものの「違和感のない自然な仕上がり」と「実用性の高い履き心地」を実現できると判断しました。


■ 修理工程の詳細

1. 分解作業

まずは既存のソールをすべて取り外すところから始めます。
接着のみで取り付けられていたため、加水分解や剥がれが進行しており、比較的スムーズに分解できました。

側面のゴムテープは経年劣化により硬化しており、そのままでは再利用不可。完全に除去し、アッパーのレザー部分をきれいに整えました。


2. 本革の腰巻き縫い付け

純正のゴムテープの代替として、今回はナチュラルな本革パーツを製作。
側面に巻き付け、丁寧に縫い付けを行うことで、単なる「接着跡隠し」以上に、デザインの一部として活かす仕上げにしました。

革を使用することで見た目の高級感も増し、また耐久性もゴム以上に優れています。履き込むほどにエイジングして味わい深くなる点もメリットです。


3. EVAスポンジミッドソールの新設

次に、靴本体とアウトソールの間に挟むミッドソールを製作しました。
素材には軽量で弾力のある EVAスポンジ を採用。色はホワイト系を選択し、爽やかな印象を残しています。

単に接着するだけでなく、マッケイ縫いにより本体としっかり固定。縫製による一体感を持たせることで、履き心地の安定感が大きく向上します。


4. Vibram528Kアウトソール装着

最後に、アウトソールには Vibram社の528Kソール を選択しました。
こちらはホワイトカラーのラバーソールで、グリップ力が高く、ストリートからアウトドアまで幅広く対応できるのが特長です。

純正に比べるとやや厚みがあるため、見た目には「少しゴツい」印象に仕上がりましたが、その分クッション性が格段に向上。I様にも「歩きやすくなった」と感じていただけると思います。


■ 修理後の仕上がり

完成したブーツは、もともとのデザインを大きく損なうことなく、むしろ「カスタムブーツ」のような存在感のある一足となりました。

  • 側面の本革パーツが高級感をプラス

  • 白系EVAスポンジとVibramソールの組み合わせで軽快かつ快適な履き心地

  • ソール全体の厚みが増し、ワークブーツらしい重厚感を演出

純正の再現こそできませんでしたが、それを超える「実用性」と「オリジナリティ」を兼ね備えた仕上がりとなったのではないでしょうか。


■ いずみ靴店のこだわり

当店では、単に「靴を直す」だけでなく、お客様の靴に込められた思いを尊重し、より快適に履いていただけるよう工夫を凝らしています。

ティンバーランドのような有名ブランドの靴であっても、純正部品が手に入らなかったり、同じ製法を再現できないケースは少なくありません。そうした場合でも、

  • デザインを損なわない工夫

  • 機能性を高めるための素材選び

  • 将来的なメンテナンス性を考慮した構造

を大切にしながら、一足一足最適な方法で修理をご提案しています。


■ まとめ

今回ご紹介した岡山県津山市 I様のティンバーランド・フィールドブーツ修理は、

  • ソール剥がれによる使用困難な状態から復活

  • 側面を本革でカバーすることで耐久性とデザイン性を両立

  • EVAミッドソール+Vibram528Kにより、クッション性とグリップ力を向上

という成果を得ることができました。

I様には「想像以上の仕上がり」と大変ご満足いただきました。ティンバーランドをはじめ、ブーツやスニーカーの修理でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。


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