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青森県K様ご依頼|Clarks デザートトレック 生ゴムソールからVibram4014へ

「耐久性」を徹底的に高めたオールソール交換修理事例

今回ご紹介するのは、青森県にお住まいのK様よりご依頼をいただいた、
Clarks(クラークス) デザートトレックのオールソール交換修理事例です。

デザートトレックは、クラークスを代表する名作モデルのひとつで、
独特のスクエアトゥと、カジュアルながらも上品さを併せ持つデザインが特徴です。
年齢やスタイルを問わず長く愛されてきた一足ですが、
その一方でソールの耐久性については、使用環境や履き方によって
悩みを抱える方も少なくありません。

今回K様からは、
「履き心地はとても気に入っているが、ソールの劣化が進み、この先も安心して履ける状態にしたい」
というご相談をいただきました。


オリジナルの生ゴム(クレープ)ソールが抱える耐久性の課題

デザートトレックのオリジナルソールには、
天然生ゴムを使用したクレープソールが採用されています。

クレープソールの最大の魅力は、

・柔らかく足当たりが良い
・屈曲性が高く、歩行時のストレスが少ない
・独特の風合いと雰囲気がある

といった点です。

しかしその反面、耐久性という視点で見ると、
いくつかの弱点も存在します。

まず、摩耗が非常に早いこと。
アスファルトやコンクリートの上を日常的に歩く日本の生活環境では、
クレープソールは削れやすく、
気付いた時にはソールが薄くなっている、というケースも珍しくありません。

さらに、
・ベタつき
・汚れの付着
・経年による硬化やひび割れ

といった症状も起こりやすく、
長期間履き続けるには、どうしてもメンテナンスや交換が必要になります。

K様のデザートトレックも、
履き込まれたことでソール全体が薄くなり、
耐久面・安定性の低下が見受けられる状態でした。


今回の修理方針|「長く、安心して履ける一足へ」

今回のオールソール交換修理で最も重視したポイントは、
デザインを損なわずに、耐久性を大幅に向上させることです。

そこで選択したのが、
Vibram(ビブラム)4014ソール。

Vibram4014は、
・高い耐摩耗性
・安定したグリップ力
・適度なクッション性
を兼ね備えた、非常にバランスの良いラバーソールです。

特に、日常使い・街履き・長時間歩行を想定した場合、
クレープソールと比較して圧倒的な耐久性を発揮します。


ソール交換だけでは終わらせない

中底(インソール)も本革へ交換

今回の修理では、アウトソール交換に加え、
中底(インソール)もフェルトから本革へ交換しています。

オリジナルのフェルト中底は、
軽量で柔らかい反面、

・ヘタリやすい
・湿気を溜め込みやすい
・長期使用で形状が崩れやすい

といった特徴があります。

そこで今回は、
耐久性・安定性に優れた本革中底を新たに作成し、交換しました。

本革中底のメリットは、

・踏み込むほどに足に馴染む
・型崩れしにくい
・長期間使用しても腰が抜けにくい
・靴全体の剛性が向上する

という点にあります。

これにより、
ソールだけでなく、靴の「土台」そのものが強化され、
安心して長く履き続けられる一足へと生まれ変わりました。


白いVibram4014が生む、爽やかで上品な印象

今回K様が選ばれたのは、
ホワイトカラーのVibram4014。

デザートトレックの明るいアッパーカラーと非常に相性が良く、
全体の印象を重くすることなく、
むしろ軽快で清潔感のある仕上がりになっています。

耐久性重視の修理というと、
「ゴツくなる」「雰囲気が変わる」と心配される方もいますが、
Vibram4014はシンプルなデザインのため、
デザートトレック本来の魅力を損なうことがありません。


オールソール交換で得られる、本当の価値

今回のようなオールソール交換修理は、
単に「底を新しくする」だけではありません。

・耐久性の向上
・歩行時の安定感アップ
・靴全体の寿命延長
・愛着のある靴をこれからも履き続けられる安心感

これらすべてが揃って、
初めて本当の価値が生まれます。

K様のデザートトレックも、
これから先、数年単位で活躍してくれる一足になることでしょう。


お気に入りの靴を「消耗品」で終わらせないために

靴は、履けば必ず消耗します。
しかし、適切なタイミングで、適切な修理を施すことで、
その寿命は大きく伸ばすことができます。

「もう履けないかもしれない」
そう思った靴でも、
オールソール交換という選択肢によって、
再び主役として足元に戻ってくることは珍しくありません。

大切な一足を、
これからも長く、安心して履き続けたい方は、
ぜひ一度ご相談ください。

福岡県T様のECCO婦人ショートブーツ・オールソール交換修理事例 加水分解しました

福岡県よりお預かりしたT様のECCO(エコー)婦人用ショートブーツの修理が、無事に完了いたしました✨
このたびは大切な一足をお任せいただき、誠にありがとうございます。

今回ご依頼いただいたECCOのショートブーツは、上品なシルエットと安定感のある履き心地が魅力のモデルで、日常使いからお出かけまで幅広く活躍してくれる一足です。T様も長年ご愛用されていたとのことで、アッパーの革はとても良い状態を保っており、「まだまだ履き続けたい」というお気持ちが伝わってくるブーツでした。

しかし、靴底を確認させていただいたところ、ミッドソール部分のポリウレタン素材が加水分解を起こしており、全体的に劣化が進んでいる状態でした。


ポリウレタンは、軽さやクッション性に優れた素材で、多くの靴に使用されていますが、空気中の湿気や経年によって分子構造が壊れ、ひび割れや崩れが起きてしまう特性があります。特に、履く頻度が少なかった靴ほど、気づかないうちに加水分解が進行しているケースも少なくありません。

T様のブーツも、見た目では大きな損傷がないように見えましたが、実際にソールを触診すると内部から劣化が進んでおり、このまま履き続けると突然ソールが割れてしまう可能性が高い状態でした。
そこで今回は、部分修理ではなく、オールソール交換修理をご提案させていただきました。

まずは、元のソールを丁寧に分解・除去する作業からスタートします。
加水分解したポリウレタンは粉状になりやすく、無理に剥がすとアッパーを傷めてしまうため、慎重に状態を見極めながら作業を進めていきます。靴本体側に残った劣化素材や接着剤もきれいに取り除き、次の工程へ備えます。

新しいソール構成には、EVAスポンジ素材を使用しました。
EVAスポンジは、軽量でありながら適度な弾力があり、耐久性にも優れた素材です。ポリウレタンのように加水分解しにくく、長く安心して履いていただけるのが大きなメリットです。歩行時の衝撃をやわらかく吸収し、足への負担を軽減してくれるため、婦人靴との相性も非常に良い素材と言えます。

さらに、アウトソールにはペダラ柄のゴム入りソールを採用しました。
このソールは、グリップ力と安定感に優れており、特に冬場の路面や少し濡れた地面でも安心して歩いていただけます。見た目にも主張しすぎず、ECCOらしい上品で落ち着いた印象を損なわない点も、今回のブーツにぴったりでした。

ソールの厚みやヒールの高さについては、T様のご希望も踏まえ、オリジナルのデザインをできる限り忠実に再現しています。
修理後に「雰囲気が変わってしまった」と感じることがないよう、横から見たシルエットや履いたときのバランスにも細心の注意を払いながら仕上げました。婦人用ショートブーツは、わずかな高さやラインの違いで印象が大きく変わるため、特に慎重な調整が求められます。

接着・圧着工程を経て、最終仕上げでは全体のバランスを確認し、細部までチェックを行います。アッパーとソールの境目も自然に馴染み、修理跡が目立たない美しい仕上がりとなりました✨
完成したブーツは、見た目はほぼ元のまま、それでいて中身はより丈夫で快適な仕様へと生まれ変わっています。

今回の修理によって、T様のECCOショートブーツは、これから迎える冬の季節にも安心して履いていただける一足になりました☃️✨
ブーツは、寒い季節のおしゃれを支える大切なアイテム。お気に入りの靴を修理して履き続けることは、見た目の満足感だけでなく、足に馴染んだ快適さをそのまま維持できるという大きなメリットがあります。

「もう履けないかもしれない」と思っていた靴が、修理によって再び日常に戻ってくる瞬間は、私たちにとっても大きな喜びです。
靴は単なる消耗品ではなく、履いた時間や思い出が積み重なった大切な存在。だからこそ、一足一足と丁寧に向き合い、最適な修理方法をご提案しています。

ECCOをはじめ、加水分解してしまった靴底の修理やオールソール交換をご検討中の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください🛠️😊
「まだ履けるか分からない」「修理できる状態か見てほしい」といったご相談も大歓迎です。

お気に入りの靴と、これからも長く、心地よい毎日を。
新しく生まれ変わった一足で、T様の冬のおしゃれがさらに楽しいものになりますように✨

長野県o様 クラークス ネイチャー2 オールソール交換修理事例

長野県よりご来店いただいたO様より、長年ご愛用されているクラークスの名作モデル「ネイチャー2」のオールソール交換修理をご依頼いただきました。

クラークス ネイチャー2といえば、足を包み込むような柔らかな履き心地と、シンプルで飽きのこないデザインが特徴の定番モデルです。発売から長い年月が経った現在でも、根強いファンが多く、「一度履くと手放せない」とおっしゃるお客様が非常に多い靴でもあります。O様の一足もまさにその典型で、長年にわたり日常使いとして大切に履き続けられてきたことが、靴全体の表情からしっかりと伝わってきました。

お預かりした時点での状態を確認すると、アッパーの革は大きな破れや致命的なダメージはなく、定期的にお手入れされてきたことが分かる良好なコンディションでした。一方で、アウトソールは経年と使用による摩耗がかなり進行しており、特に接地面は滑りやすくなっている状態でした。クラークス ネイチャー2は履き心地の良さが魅力である反面、オリジナルソールは摩耗が進むとグリップ力が低下しやすく、安全面でも不安が出てきます。

今回はO様より「これからも安心して長く履きたい」というご要望をいただき、オールソール交換修理をご提案しました。単なる修理ではなく、これからの使用シーンや履き心地も考慮した“リフレッシュ”を目指した内容です。

まずは既存のソールを丁寧に分解・除去していきます。長年履き込まれた靴の場合、ソールとアッパーの接着部分に負担がかかっていることも多いため、革を傷めないよう慎重に作業を進めます。分解後は、中底や内部の状態を細かくチェックし、必要な補強や調整を行います。

今回の修理では、中底に本革素材を使用しました。本革の中底は、耐久性に優れているだけでなく、履き込むほどに足型に馴染んでいくという大きなメリットがあります。合成素材に比べて通気性も良く、長時間の歩行でも快適さを保ちやすいのが特徴です。O様のネイチャー2も、この本革中底によって、より一層“育てる楽しみ”のある一足へと生まれ変わります。

アウトソールには、Vibram(ビブラム)2060を採用しました。カラーはサンドベージュをお選びいただき、オリジナルの雰囲気を活かしつつも、さりげなく個性を感じさせる仕上がりを目指しています。Vibram 2060は、軽量性とクッション性、そして適度なグリップ力のバランスに優れたソールで、日常使いから長時間の歩行まで幅広く対応できるモデルです。

特にネイチャー2のようなカジュアルシューズとの相性が良く、見た目の違和感が少ない点も大きな魅力です。サンドベージュカラーを選択することで、全体の印象が重くなりすぎず、柔らかく軽やかな雰囲気に仕上がりました。冬場の落ち着いたコーディネートから、春先の軽快なスタイルまで、季節を問わず活躍してくれる一足になると思います。

ソールの取り付け後は、接地バランスや反り具合を細かく調整し、実際に履いた際の歩行感をイメージしながら最終仕上げを行います。見た目だけでなく、履き心地や安全性も含めて完成度を高めることが、オールソール交換修理では非常に重要です。

完成したネイチャー2は、これまで歩んできた時間の“味”を残しつつ、新しい命を吹き込まれたような佇まいになりました。アッパーに刻まれたシワや風合いは、O様がこの靴と共に過ごしてきた年月そのものです。そこに、新しいソールと中底が加わることで、これから先の時間をまた一緒に歩んでいける状態へと生まれ変わりました。

靴は消耗品である一方、きちんと手を入れれば何年、何十年と履き続けることができる道具でもあります。特に、ネイチャー2のような作りの良い靴は、オールソール交換という選択によって、快適さと安心感を取り戻すことができます。

O様、この度は長野県から足を運んでいただき、誠にありがとうございました。新しくなったネイチャー2で、これからもたくさんの時間と景色を共に歩いていただければ幸いです。

皆様も、「まだ履けるけれど、ソールが気になる」「滑りやすくなってきた」「お気に入りだからこそ、長く使いたい」と感じている靴がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。靴の状態やご希望に合わせて、最適な修理・ご提案をさせていただきます。

東京都N様ご依頼|NIKE エアフォース・ワン ソール内部クッション(加水分解)交換修理事例

― 白・黒2足を同時修理。履き心地と耐久性を両立した再生修理 ―

今回ご紹介するのは、東京都のN様よりご依頼いただいた「ナイキ エアフォース・ワン」2足(ホワイト・ブラック)の修理事例です。
長年愛用されてきたエアフォース・ワンですが、見た目はまだきれいな状態にもかかわらず、「歩くと違和感がある」「クッションが沈みすぎる」「履き心地が明らかに悪くなった」という症状が出始めたとのことで、当店にご相談くださいました。

スニーカーは外観がきれいでも、内部構造が劣化しているケースが非常に多いのが特徴です。特にナイキのスニーカーに多く採用されているエアーバッグやウレタン系クッション素材は、経年によって「加水分解」という劣化現象を起こします。
今回の2足もまさにその典型例でした。


■ 加水分解とは?スニーカー内部で起きている問題

加水分解とは、空気中の水分や湿気と反応して、ウレタン系素材が分子レベルで崩壊していく現象です。
この現象が起こると、

  • クッション材がボロボロと崩れる

  • 粉状になって内部に溜まる

  • 弾力を失い、沈み込む

  • エアーバッグが破裂・変形する

といった症状が現れます。

エアフォース・ワンは丈夫なスニーカーというイメージがありますが、内部のクッション構造は消耗品です。
N様の2足も、アウトソールやアッパーはまだ十分使用できる状態である一方、ソール内部のクッションが完全に寿命を迎えていました。


■ 修理方針:エア構造を廃し、EVAスポンジへ置き換え

 

今回の修理では、単なる「部分補修」ではなく、内部クッションを根本から再構築する修理を行っています。

劣化したエアーバッグやウレタン素材は、再利用が不可能です。
そのため当店では、

  • 劣化したクッション材をすべて除去

  • 内部を完全にクリーニング

  • 耐久性と安定性に優れたEVAスポンジを新たに成形・組み込み

という工程を採用しました。

EVAスポンジは、
✔ 軽量
✔ クッション性が安定している
✔ 加水分解しにくい
✔ 長期間性能が変わりにくい

という特長を持ち、「これから長く履く」ことを前提とした修理に非常に適した素材です。


■ ソール分解作業:慎重さが求められる工程

エアフォース・ワンは、見た目以上にソール構造が複雑です。
特に内部にエア構造を持つモデルは、熱を加えすぎても、逆に足りなくても分解が難しいため、経験と感覚が問われます。

今回も、
ソール全体に適切な温度管理を行いながら、アッパーを傷めないよう慎重に分解しました。

内部を確認すると、
白・黒どちらのペアも、エアーバッグは変形・劣化し、ウレタン素材は粉状になっている状態。
歩行時の違和感は、この劣化が原因で間違いありません。


■ EVAスポンジの成形と接着

内部を完全に清掃した後、
エアフォース・ワンの元の履き心地とシルエットを損なわないよう、厚み・硬さ・反発力を計算したEVAスポンジを成形します。

この工程で重要なのは、

  • 単に「柔らかくしすぎない」こと

  • 長時間歩行でも沈み込みすぎないこと

  • 左右差が出ないよう精密に合わせること

当店では、ボンド接着前に何度も仮合わせを行い、足裏全体で均等に体重を受け止められる構造を作ります。

その後、専用の強力接着剤を使用して圧着。
この時点で、すでに履き心地の改善は明確に感じられます。


■ オパンケ縫いによる最終仕上げ

接着のみで終わらせず、今回はオパンケ縫いを施しました。

オパンケ縫いとは、
ソールとアッパーを一体化させる伝統的かつ非常に強度の高い縫製方法で、

  • 接着剤の劣化を補う

  • ソール剥がれを防止

  • 修理後の耐久性を大幅に向上

といったメリットがあります。

スニーカーにこの工程を取り入れることで、
「見た目はそのまま、内部構造は大幅に強化された一足」へと生まれ変わります。


■ 修理完了後の仕上がり

修理後のエアフォース・ワンは、

  • 見た目の違和感なし

  • クッションは安定感があり、フワフワしすぎない

  • 長時間履いても疲れにくい

  • 加水分解の心配が大幅に軽減

という、実用性重視の仕上がりになりました。

N様からも
「新品のときより安心して履けそう」
「また長く使えるのが嬉しい」
とのお言葉をいただいています。


■ スニーカー修理は「捨てる」前にご相談を

スニーカーは消耗品というイメージがありますが、
実際には修理によって寿命を大きく延ばすことが可能です。

特に、

  • 思い入れのある一足

  • 廃盤モデル

  • もう手に入らないカラー

  • 足に馴染んでいる靴

こういったスニーカーほど、修理の価値があります。

当店では、
「ただ直す」のではなく、
これからも安心して履ける状態へ再生する修理を心がけています。


■ お手持ちの靴でお困りの方へ

・歩くと違和感がある
・クッションが効いていない
・ソールが崩れてきた
・加水分解が心配

そんな時は、ぜひ一度ご相談ください。
長年培ってきた職人の技術で、あなたの大切な一足を、再び現役へと蘇らせます。

お気に入りの靴を、これからも末永く楽しんでいただくために。
私たちが全力でお手伝いいたします。

長野県A様ご依頼|NIKE エア・ジョーダン1 加水分解によるエアークッション崩壊 ― オパンケ縫いで蘇らせた一足

長野県にお住まいのA様より、大切に履き続けてこられたNIKE エア・ジョーダン1の修理をご依頼いただきました。
今回お預かりした一足は、外観こそ比較的良好な状態を保っていたものの、経年劣化によるソール内部の深刻な加水分解が進行しており、歩行時には靴底から細かな粉が吹き出すような状態となっていました。

エア・ジョーダン1は、スニーカー史において極めて重要なモデルであり、単なる履き物以上の価値を持つ存在です。A様にとっても、長年履き込んできた思い入れのある一足であり、「可能な限り長く履き続けたい」という強いお気持ちが伝わってきました。
その想いに応えるべく、今回は内部構造まで踏み込んだ本格的な修復作業を行いました。


■ 症状の原因|エアークッションの加水分解

エア・ジョーダン1のソール内部には、クッション性を高めるためにポリウレタン系素材やエアークッション構造が使用されています。
これらの素材は、使用頻度に関わらず「時間の経過」そのものによって劣化が進むという特性を持っています。

特に日本のような高温多湿な環境では、

  • 空気中の湿気

  • 保管中の温度変化

  • 長期間の未使用

といった条件が重なることで、ポリウレタンは加水分解を起こし、
・弾力を失う
・粉状、またはスポンジ状に崩壊する
といった状態になります。

今回のジョーダン1も例外ではなく、アウトソール自体は形を保っているものの、内部のエアークッションが完全に崩壊し、歩行に耐えられない状態となっていました。


■ 修理工程①|慎重なソール分解作業

まず最初に行うのは、ソールの分解作業です。
エア・ジョーダン1は、一見シンプルな構造に見えますが、実際には複数の素材が積層され、接着剤で強固に固定されています。

無理に剥がすと

  • アッパーの革を傷める

  • ソール形状が歪む

といったリスクがあるため、温度管理を行いながら、時間をかけて丁寧に分解していきます。

分解後、内部を確認すると、予想通りエアークッション部分は加水分解により粉々になっており、本来のクッション機能は完全に失われていました。


■ 修理工程②|劣化素材の完全除去

次に重要なのが、劣化した素材を徹底的に取り除く作業です。
加水分解したポリウレタンが少しでも残っていると、
・新しい素材との接着不良
・再劣化の原因

となってしまいます。

そのため、

  • ブラッシング

  • 削り

  • 表面処理

を繰り返し、内部を“ゼロの状態”に戻すことを意識して下地処理を行いました。
この工程は見えない部分ですが、仕上がりと耐久性を大きく左右する、非常に重要な作業です。


■ 修理工程③|EVAスポンジによる新クッション製作

内部構造を整えた後、新しいクッション材としてEVAスポンジを採用しました。

EVAスポンジは

  • 軽量

  • 適度な弾力

  • 加水分解しにくい

  • 長期使用に強い

といった特性を持ち、今回のような修理には最適な素材です。

オリジナルの履き心地を意識しながら、
・厚み
・硬度
・足当たり

を微調整し、A様の足に自然に馴染むクッション形状を一から作り直しました。


■ 修理工程④|接着とオパンケ縫いによる補強

新しいクッションをセットした後は、高強度の専用接着剤を使用して圧着します。
しかし、スニーカー修理において接着のみでは、将来的な剥がれのリスクがゼロにはなりません。

そこで今回は、側面にオパンケ縫いを施しました。

オパンケ縫いとは、
ソール側面からアッパーと底材を直接縫い合わせる技法で、

  • 接着だけに頼らない構造

  • 剥がれにくさ

  • 見た目のアクセント

を同時に実現できる、非常に高度な修理技術です。

一針一針、ミシンのテンションと針角度を調整しながら、ジョーダン1のデザインを損なわないよう慎重に縫製しました。


■ 仕上がりと履き心地

すべての工程を終え、最終チェックを行った結果、

  • ソールの剛性感

  • クッションの反発力

  • 歩行時の安定性

いずれも良好で、実用に耐える一足へと完全に復活しました。

見た目はオリジナルの雰囲気を保ちつつ、内部構造は現代的で耐久性の高い仕様へと生まれ変わっています。


■ 最後に|大切な一足を、これからも

スニーカーは消耗品である一方、思い出や時間が詰まった「相棒」のような存在でもあります。
「もう履けないかもしれない」と感じた靴でも、適切な修理を行えば、再び日常で活躍させることが可能です。

A様のエア・ジョーダン1も、これからまた新しい時間を共に刻んでいくことでしょう。

加水分解やソール劣化でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
職人の技で、あなたの大切な靴に新たな息吹を吹き込みます。

ホームページを公開しました!

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

福岡県 D様 Joya ジョーヤ ウォーキングシューズ 加水分解しポリウレタンソール EVAスポンジで作り直す

福岡県のD様よりお預かりしたのは、独自の履き心地で根強いファンを持つJoya(ジョーヤ)のウォーキングシューズです。
ジョーヤといえば、足への衝撃を和らげるクッション構造と、長時間歩いても疲れにくい設計で知られており、日常のウォーキングから旅行、立ち仕事まで幅広く活躍する一足として高く評価されています。

今回ご依頼いただいた内容は、オールソール交換修理。
症状を確認すると、ジョーヤ特有の厚みのあるポリウレタン製ミッドソールが加水分解を起こし、弾力を失って崩れ始めている状態でした。

■ ポリウレタンミッドソールの宿命「加水分解」

ポリウレタン素材は、
・軽量
・クッション性が高い
・成形自由度が高い
といった優れた特性を持つ一方で、湿気や経年によって加水分解を起こしやすいという弱点があります。

特にウォーキングシューズは、
毎日の使用頻度が高く、
汗や雨、路面からの湿気を受けやすいため、
数年経過すると見た目がきれいでも内部から劣化が進んでいることが少なくありません。

D様のシューズも、アッパー(甲革)の状態は良好で、
「まだまだ履けるのに、ソールだけがダメになってしまった」
という、まさにオールソール交換に最適な状態でした。

■ 修理の方向性:EVAスポンジで再構築するミッドソール

今回の修理では、劣化したポリウレタンミッドソールを完全に除去し、
代わりにEVAスポンジを積み重ねてミッドソールを新たに構築する方法を採用しました。

EVAスポンジは、

  • 加水分解しにくい

  • 軽量で安定したクッション性

  • 加工がしやすく、形状再現性が高い

といった特徴があり、修理靴において非常に信頼性の高い素材です。

ただし、単純に平らなEVAを貼るだけでは、
ジョーヤらしい独特の丸みと曲線的なフォルムは再現できません。

■ 「積み重ね」と「削り」で元の曲線を再現

まずは複数枚のEVAスポンジを積層し、
オリジナルソールの高さ・傾斜・前後バランスを意識しながら接着します。

その後、
グラインダーや手作業を併用して丁寧に削り込み、
元のジョーヤに近い自然なカーブとボリューム感を作り出していきます。

この工程は見た目以上に繊細で、
削りすぎればクッション性が損なわれ、
削りが足りなければ野暮ったい印象になってしまいます。

「履き心地」と「外観」の両立を目指し、
一足ごとに状態を見極めながら調整を重ねていきます。

■ アウトソールにはTOPY社クロコ柄ソールを採用

ミッドソールが完成した後、アウトソールにはTOPY社製のクロコ柄ソールを取り付けました。

このソールは、

  • 適度なグリップ力

  • 安定感のある接地感

  • ウォーキング用途に適した耐摩耗性

を備えており、実用性とデザイン性のバランスに優れています。

クロコ柄の型押しは、
スポーティーになりすぎず、
かといって重たい印象にもならないため、
ジョーヤの落ち着いたデザインとも相性が良く、
オリジナルに近い雰囲気を保ちながら仕上げることができました。

■ 修理完了:歩くための靴として、再び現役へ

すべての工程を終えたジョーヤのウォーキングシューズは、
見た目にも履き心地にも、新しい命が吹き込まれた一足となりました。

EVAスポンジによるミッドソールは、
適度な反発力と安定感を備え、
長時間歩行時でも足裏への負担をやさしく受け止めてくれます。

また、アウトソールのグリップ性能により、
街歩きや旅行、日常の外出でも安心して使用できる状態です。

■ 修理するという選択がもたらす価値

お気に入りの靴を修理することは、
単に「直す」という行為以上の意味を持っています。

  • 足に馴染んだ履き心地を維持できる

  • 廃棄を減らし、環境負荷を抑えられる

  • 思い出や愛着をそのまま次の時間へつなげられる

特にウォーキングシューズは、
「自分の足と一緒に時間を重ねてきた道具」だからこそ、
修理によって再び活躍できる喜びは格別です。

■ 足元から、また新たな一歩を

D様のジョーヤは、
これからまた日々のウォーキングやお出かけの相棒として、
しっかりと役目を果たしてくれることでしょう。

靴が生まれ変わる瞬間に立ち会えることは、
私たち修理を行う側にとっても大きなやりがいです。

「まだ履きたい」
「この靴じゃないとダメ」
そんな想いを、これからも形にしていけるよう、
一足一足、心を込めて修理を行っていきます。

お気に入りの靴のことでお困りの際は、
どうぞお気軽にご相談ください。
足元から始まる新しい一歩を、全力でサポートいたします。

富山県 S様 FootJoy フットジョイ アイコンモデル 加水分解によりソフトスパイク交換式にて オールソール交換修理

富山県のS様よりお預かりしたのは、ゴルフシューズの中でも不動の評価を得ているフットジョイ「アイコン」モデル。
上質な天然皮革をふんだんに使用し、履き心地・フィット感・安定性のすべてにおいて一流と呼ぶにふさわしい一足です。

しかし、どれほど優れたシューズであっても避けて通れない経年劣化があります。
今回の症状は、ゴルフシューズでは比較的よく見られるソールの加水分解。アウトソールおよび内部素材が湿気や経年によって化学変化を起こし、弾力を失って崩れてしまう現象です。

■ 一流シューズでも起こる「加水分解」という現実

S様のアイコンモデルも、見た目は非常にきれいな状態を保っていましたが、アウトソールに触れると違和感があり、実際に確認するとソール内部が脆くなり、剥離と崩壊が始まっている状態でした。

ゴルフシューズは、
・歩行
・スイング時の体重移動
・踏ん張り
といった複雑な動きを繰り返し受け止めるため、ソールへの負担が非常に大きい履物です。
そのため、加水分解が進んだ状態で使用を続けると、プレー中に突然ソールが剥がれたり、スパイクが効かなくなる危険性もあります。

「まだ履けそうだから」と我慢して使い続けるよりも、状態の良いうちにしっかりとした修理を行うことが、結果的にシューズを長持ちさせる最善策になります。

■ 今回の修理方針:本革ソール+ソフトスパイク交換式

S様とご相談のうえ、今回は本革ソールをベースにしたソフトスパイク交換式のオールソール交換修理を行うことになりました。

本革ソールを採用する最大のメリットは、

  • 足裏への当たりが柔らかく、長時間のラウンドでも疲れにくい

  • ゴルフシューズらしいしなやかな屈曲性を確保できる

  • 適切なメンテナンスを行えば、非常に長寿命

といった点にあります。

さらに、ソフトスパイク交換式にすることで、
スパイクが摩耗した際にはソール全体を交換する必要がなく、スパイクのみの交換で性能を維持できます。
これは、今後も長くこの一足を愛用したい方にとって、大きなメリットです。

■ 分解作業と下地処理

まずは、加水分解を起こしている既存ソールを完全に分解・除去します。
この工程が不十分だと、新しいソールを取り付けても接着不良や早期トラブルの原因になります。

劣化した素材はボロボロと崩れやすく、きれいに除去するには根気と経験が必要です。
中底の状態も慎重に確認し、必要な補修と下処理を施したうえで、次の工程へ進みます。

■ メスネジのセットとマッケイ縫い

今回の修理の大きなポイントが、ソールおよびヒール部分へのメスネジの設置です。

ソフトスパイク仕様にするためには、
スパイクをしっかり固定できる土台が不可欠です。
本革ソール内部に正確な位置でメスネジをセットし、スパイクの脱着を繰り返しても緩みにくい構造を作ります。

その後、マッケイ縫いによって本革ソールを靴本体に直接縫い付けます。
マッケイ製法は、ソールとアッパーをダイレクトにつなぐため、

  • 軽量

  • 屈曲性が高い

  • 足裏感覚が良い

という特徴があり、ゴルフシューズとの相性も抜群です。

ヒール部分にも同様にメスネジをしっかりと設置し、歩行時・スイング時の安定感を確保しました。

■ 修理完了:新しい命を得たアイコンモデル

すべての工程を終えたフットジョイ アイコンは、
見た目にも機能面にも完全に生まれ変わった一足となりました。

しなやかな本革ソールは足の動きに自然に追従し、
スイング時には地面をしっかりと捉え、安定した体重移動をサポートします。

ソフトスパイク仕様のため、
・グリップ力
・交換のしやすさ
・ランニングコスト
のバランスも非常に優秀です。

■ 修理という選択が、ゴルフライフを豊かにする

お気に入りのゴルフシューズを修理することは、単なる延命ではありません。
自分の足に馴染んだ一足を、最高の状態で使い続けるための前向きな選択です。

今回のS様のように、
「良いものを、きちんと直して長く使う」
という考え方は、ゴルフそのものの楽しみ方にも通じるものがあります。

新しい命を得たフットジョイ アイコンとともに、
これからもゴルフコースで思い切りスイングし、快適な歩行と安定したプレーを楽しんでいただければと思います。

次回のラウンドが、より楽しく、より充実したものになりますように。
このたびは大切な一足をお任せいただき、誠にありがとうございました

東京都y様 New Balance576 シュータンスポンジ交換修理事例

東京都にお住まいのY様よりご依頼いただいた、New Balance(ニューバランス)576のシュータン(立ちベロ)スポンジ交換修理事例をご紹介します。

今回お預かりしたのは、ニューバランスの定番モデルとして長年高い人気を誇る「576」。英国製モデルを中心に、履き心地・安定感・デザイン性のバランスに優れ、愛用者の多いスニーカーです。Y様も長年この576を履き続けてこられたとのことで、全体的に履き慣れた風合いはあるものの、アッパーの革や縫製自体はまだまだ使用に耐える良好な状態でした。

しかし、今回ご相談いただいたのは「シュータン(立ちベロ)の違和感」です。見た目には大きな破れなどはないものの、触ってみると内部のスポンジが完全に劣化しており、押すとスカスカ、指でつまむと粉状のカスが出てくる状態でした。これはニューバランス576で非常に多く見られる症状で、原因は内部に使用されているスポンジ素材の「加水分解」です。

加水分解とは、空気中の水分や湿気、経年変化などによって、ポリウレタン系素材が分解・劣化してしまう現象です。ミッドソールの崩壊で知られる現象ですが、実はシュータンや履き口、ヒール周りのスポンジにも同様に起こります。特に576の立ちベロは、厚みがありクッション性を重視した構造のため、長年の使用や保管環境によって内部スポンジがボロボロになってしまうケースが少なくありません。

 

スポンジが劣化すると、単に履き心地が悪くなるだけでなく、シュータンが自立せず、左右に倒れたり、履くたびに位置がズレたりします。その結果、甲への当たりが不均一になり、靴擦れや圧迫感の原因にもなります。Y様も「履いた瞬間にフワフワ感がなく、ベロがクタッとしてしまう」と違和感を覚え、今回の修理をご依頼くださいました。

作業はまず、シュータンを靴本体から丁寧に取り外すところから始まります。ニューバランス576のシュータンは、本体としっかり縫い付けられているため、周囲の革やライニングを傷めないよう慎重に縫い糸を解いていきます。無理に引き剥がすと革が裂けたり、後の再縫製に影響が出るため、この工程は非常に重要です。

シュータンを単体にした後、側面の縫い合わせ部分を解き、中に入っている劣化したスポンジをすべて取り除きます。今回の個体では、内部の恋ベージュ色のスポンジが完全に粉砕され、触れるだけでボロボロと崩れ落ちる状態でした。劣化スポンジのカスが残っていると、新しい素材を入れても均一な厚みが出ず、再劣化や異音の原因になるため、内部は可能な限り徹底的に清掃します。

内部を空の状態にしたら、新しいスポンジ素材を用意します。今回使用したのは、EVAスポンジ系の素材です。EVAは軽量でクッション性に優れ、加水分解しにくい特性を持つため、今後長く安心して履いていただけます。元のシュータンの厚みや形状を考慮しながら、スポンジを適切なサイズと厚みに加工し、違和感のない自然なフィット感を目指します。

新しいスポンジを挿入した後、シュータン側面を縫い合わせていきます。ここでは、見た目だけでなく、履いた際の足当たりや耐久性も意識し、縫い代やテンションを細かく調整します。縫製が甘いとスポンジが中で動いてしまい、逆に強すぎると革にシワや歪みが出るため、長年の経験が求められる工程です。

スポンジの入れ替えと側面の縫製が完了したら、いよいよシュータンを靴本体へ戻します。ここでは八方ミシンを使用し、元の縫製ラインに沿って丁寧に縫い付けていきます。八方ミシンは立体物の縫製に適した特殊なミシンで、スニーカー修理には欠かせない機械です。アッパー革やライニングを傷めないよう、慎重に位置を合わせながら作業を進めます。

すべての工程が完了した状態がこちらです。内部にしっかりとしたEVAスポンジが入ったことで、シュータンのフワフワ感が見事に復活しました。指で押しても適度な弾力があり、立ちベロとして本来の形状をしっかり保っています。履いた際も、シュータンがきちんと自立するため、甲全体を均一に包み込む感覚が戻りました。

Y様にも完成後の状態をご確認いただき、「新品の時のような感触に戻った」「これならまた安心して履ける」と大変ご満足いただけました。ソールやアッパーがまだ使える状態であれば、このように部分的な修理を行うことで、お気に入りの一足を長く履き続けることが可能です。

ニューバランス576をはじめ、シュータンや履き口、ヒール周りのスポンジ劣化でお困りの方は非常に多くいらっしゃいます。加水分解は避けられない経年劣化ではありますが、適切な素材選びと修理を行うことで、履き心地を大きく改善することができます。

いずみ靴店では、倉敷市を拠点に、スニーカーのシュータン修理やスポンジ交換、オールソール交換など幅広い修理に対応しております。遠方の東京都をはじめ、全国からのご依頼も承っておりますので、お気に入りの靴でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

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埼玉県 H様 ASICS XXIO スパイクレスシューズ オールソール交換修理

埼玉県にお住まいのH様より、ASICS(アシックス)製 XXIO(ゼクシオ)スパイクレスゴルフシューズのオールソール交換修理をご依頼いただきました。

今回お預かりしたのは、アシックスが展開するゴルフラインの中でも人気の高いゼクシオのスパイクレスモデルです。軽量性と安定性のバランスに優れ、歩行量の多いゴルフプレーにおいても足への負担が少ない構造が特徴の一足ですが、その反面、アウトソールの摩耗が進むと性能低下が顕著に表れてしまうという側面もあります。

実際に拝見した状態は、かなり履き込まれており、スパイクレスシューズ特有のアウトソール底面の突起パターンが、全体的にすり減ってしまっている状況でした。特に母趾球から前足部、そしてかかと外側にかけては、突起がほぼ消失している箇所もあり、スパイクレス本来のグリップ性能が十分に発揮できない状態と判断しました。

スパイクレスシューズは、金属スパイクがない分、アウトソールの形状とゴム素材の性能によって、芝生の上でのグリップ力を確保しています。そのため、突起が摩耗してしまうと、スイング時の踏ん張りや斜面での安定性に不安が生じやすくなります。H様も「滑りやすさを感じるようになった」とのことで、今回はオールソール交換修理をご希望されました。

アウトソールには、Vibram(ヴィブラム)社製の「Vibram 419C」を使用します。Vibram 419Cは、スパイクレスゴルフシューズ向けに設計された高性能ラバーソールで、芝生・土・濡れた路面など、さまざまな環境下でも安定したグリップ力を発揮するのが大きな特徴です。ソールパターンも非常に緻密で、体重移動やスイング時の横方向の力にも強く、プレー中の足元のブレをしっかりと抑えてくれます。

まずは、既存のソールを分解する作業から始めます。接着されているアウトソールを、熱を加えながら慎重に剥がし、靴本体を傷めないように分離していきます。ゴルフシューズは、内部構造が複雑なものも多く、無理な力を加えるとアッパーや中底に歪みが出てしまうため、状態を確認しながら丁寧に進めます。

ソールを取り外した後は、劣化した接着剤や残留物をきれいに除去し、次工程に備えて下地処理を行います。この下処理が不十分だと、どれだけ良いソールを使っても耐久性が落ちてしまうため、時間をかけて丁寧に仕上げます。

次に、EVAスポンジ製のミッドソールを新たに作製し、靴本体に縫い付けていきます。今回は、マッケイ縫いによる縫い付け構造を採用しています。マッケイ縫いは、靴の中底からアウトソールまでを一体で縫い込む製法で、接着だけに頼らない分、剥がれにくく、実用性の高い修理方法です。特にゴルフシューズのように、横方向の力が頻繁にかかる靴には非常に相性の良い製法と言えます。

EVAスポンジは、軽量でクッション性に優れており、長時間の歩行でも足への負担を軽減してくれます。さらに、加工性が高いため、ヒール部分の高さや形状を細かく調整することが可能です。今回は、元のバランスを大きく崩さないように注意しながら、安定感を重視したヒール形状に整えています。

ミッドソールの縫い付けが完了したら、ヒール部分をEVAスポンジで成形し、全体のバランスを確認します。ゴルフシューズは、立った状態だけでなく、前傾姿勢での安定性も重要になるため、前後の高さや接地感を細かくチェックしながら調整を行います。

その後、Vibram 419Cアウトソールを接着・圧着し、最終仕上げへと進みます。圧着後は十分な時間を置き、接着が完全に安定してから、ソール周りの仕上げ作業を行います。側面のラインを整え、見た目にも違和感のない自然な仕上がりになるよう丁寧に削り出します。

完成した状態を確認すると、見た目はもちろん、機能面でも大きく生まれ変わった一足となりました。Vibram 419Cならではの高い滑り止め効果により、芝生の上でもしっかりと地面を捉え、スイング時の安定感が格段に向上しています。スパイクレスでありながら、安心して踏み込める感覚を得られる仕上がりです。

H様のXXIOスパイクレスシューズは、今回のオールソール交換修理によって、まだまだ現役で活躍できる状態へと再生しました。足元を気にすることなくプレーに集中できるのは、ゴルフにおいて非常に大きなメリットです。お気に入りの一足を長く使い続けたい方にとって、オールソール交換修理は非常に有効な選択肢だと改めて感じさせてくれる事例となりました。

このたびは、いずみ靴店に修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。

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