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日別アーカイブ: 2025年9月7日

愛知県Y様 PUMA(プーマ)バスケットボールシューズ ソール剥がれ修理事例

今回ご紹介するのは、愛知県にお住まいのY様よりお預かりした、PUMA(プーマ)のバスケットボールシューズ「1OF1」モデルの修理事例です。

PUMAは世界的なスポーツブランドで、サッカーや陸上をはじめとした様々な競技用シューズを展開していますが、バスケットボールの分野でも確固たる地位を築いています。特に近年はNBA選手とのコラボモデルや、限定生産の希少モデルも多く、そのデザイン性や機能性の高さからコレクターや愛好家にとって特別な存在になっています。

Y様がお持ち込みくださったのは、その中でも限定的に展開された1OF1モデル。まさに“一点物”ともいえる特別なシューズで、普段の練習や試合に使うだけでなく、所有する喜びや愛着も大きな一足です。

しかし、長年の使用により靴底の接着剤が劣化し、ソールの剥がれが発生してしまっていました。


ソール剥がれの原因 ― ボンド劣化

バスケットボールシューズに限らず、近年の多くのスニーカーやスポーツシューズは、接着剤(ボンド)による接着構造を採用しています。縫い付けではなく接着によってアッパーとソールを一体化する製法は、軽量化と柔軟性を実現する一方で、長年の使用によってどうしても劣化が避けられません。

接着剤は経年により硬化や分解が進み、使用環境によっては熱や湿気の影響で剥離が起こります。特にバスケットボールのように激しいジャンプや横方向のステップが繰り返される競技では、ソールへの負担が大きいため、剥がれが一気に進行してしまうこともあります。

Y様のPUMAシューズもまさにその状態で、アウトソールが部分的に浮き、プレー中の安定性や安全性に不安を感じるレベルになっていました。


修理方針:接着+縫い付け補強

今回の修理では、単純に再接着するだけでは再び剥がれるリスクが高いため、接着+縫製による補強を行う方針をとりました。

具体的には、

  1. ソールを一度剥がし、古い接着剤を除去

  2. 新しいボンドで接着

  3. さらに**側面からつま先にかけて周囲をぐるりと縫い付ける「オパンケ縫い」**で補強

という流れです。

オパンケ縫いとは、ソールの縁をアッパーに貫通させながら糸で縫い付ける技法で、古くから登山靴やワークブーツの補強としても用いられてきました。単なる装飾ステッチとは異なり、縫製そのものが強度を担保する役割を果たすため、糸が切れない限りソールが剥がれることはほぼなくなります。


修理工程の詳細

1. 分解とクリーニング

まずはソールを完全に分解。接着剤が劣化しているため、無理に引き剥がすとアッパーの素材を傷めてしまうリスクがあるため、専用工具を使って慎重に進めました。剥がした後は残った古いボンドを削り落とし、接着面をきれいに整えます。

2. 新しい接着剤で圧着

下処理が終わったら、新しいボンドを均一に塗布し、圧着機でしっかりと固定します。この段階で既に一度ソールは密着しますが、ここで終わらせると再び剥がれてしまう可能性があるため、次の工程が重要です。

3. オパンケ縫いによる補強

靴の周囲、特に負荷の大きいつま先から側面にかけて、専用の縫製機を用いてソールとアッパーを貫通させながら縫い合わせました。オパンケ縫いは非常に手間と技術を要する作業ですが、その分強度は抜群。糸が切れない限りは再剥離の心配がありません。

4. 仕上げ

縫い付けた部分の糸端処理を丁寧に行い、アッパーとソールの境目を磨いて整えます。外観を損なわず、むしろ補強跡がデザインのように見えるよう工夫しました。


修理後の仕上がりと特徴

修理後のPUMAシューズは、外観を大きく損なうことなく、しっかりとした補強が施されています。ソールの剥がれが再発する心配はほとんどなくなり、競技中の急な方向転換やジャンプ着地でも安定性を確保できます。

さらに、縫い付けによる補強は見た目にも力強さがあり、「修理した靴」ではなく「カスタムされた一足」のような雰囲気をまとっています。Y様にとっても、再び安心してコートに立てる心強い存在になったのではないでしょうか。


オパンケ縫いの魅力

今回採用したオパンケ縫いは、一般的なスポーツシューズにはなかなか施されない特別な修理方法です。量産のスニーカーではコストや効率の面から接着が主流ですが、修理の場面では**「縫う」という古典的な技法が最も信頼できる補強手段**となります。

オパンケ縫いの大きなメリットは、

  • 強度が飛躍的に向上する

  • 見た目にも独特の存在感が出る

  • 縫製によってソール交換も容易になる

といった点にあります。長く履きたい大切な靴にこそ、最適な方法だといえます。


まとめ:プレーに集中できる安心感を

今回の修理を通じて、Y様のPUMAバスケットボールシューズは再び実用に耐えうる状態へと蘇りました。
「糸が切れない限りソールは剥がれない」という確実な補強によって、もう靴の不安に気を取られることなく、プレーそのものに集中していただけるはずです。

特別な「1OF1」モデルという希少性に加え、修理によって付加価値が加わったことで、より一層愛着を持って履き続けられるのではないでしょうか。

当店いずみ靴店では、今回のような修理困難とされるスニーカーやスポーツシューズにも対応しております。大切な一足を「まだ履ける靴」から「これからも履きたい靴」へと蘇らせるお手伝いをいたします。ソール剥がれなどでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。


いずみ靴店

  • 岡山県倉敷市にて営業

  • スニーカー・ブーツ・革靴など幅広く修理対応

  • オールソール交換・縫製修理・接着補強など実績多数

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福井県N様 Joya(ジョーヤ)ウォーキングシューズ カスタムオールソール交換修理

福井県にお住まいのN様より、スイス発のコンフォートブランド「Joya(ジョーヤ)」のウォーキングシューズ修理をご依頼いただきました。Joyaといえば、独自の厚みのあるソールによる「柔らかく、前へ前へと進んでいくような感覚」で人気を集めているブランドです。長時間のウォーキングや旅行のお供として愛用される方も多く、「一度履いたら他の靴に戻れない」という声も少なくありません。

しかし、その一方でJoyaに限らず多くの靴で共通の問題が存在します。それがソールの加水分解です。今回お預かりしたシューズも、ウレタン素材のソール部分が経年劣化によって割れ、使用が困難な状態になっていました。

「もう修理は無理なのでは…?」と諦めてしまう方も多いのですが、当店いずみ靴店では、こうした修理困難とされる靴でも、工夫と技術を凝らすことで蘇らせることができます。今回はオリジナルのウレタンソールをそのまま再現することは不可能なため、加水分解しないEVAスポンジ素材を用いたカスタムオールソール交換を実施しました。その詳細を、工程ごとにご紹介していきます。


Joyaのソールと加水分解の問題

まず、今回の修理に至った背景を少し掘り下げてみましょう。

Joyaの特徴は、厚みのあるウレタン素材を主体としたソール構造にあります。一般的なスニーカーやウォーキングシューズよりもはるかに分厚いソールを備え、そのクッション性とローリング感(前へ進むようなカーブ形状)が歩行を楽にしてくれるのです。

ところが、このウレタン素材の弱点は「加水分解」という現象にあります。空気中の水分と反応して化学的に分解が進み、ある日突然、表面がベタついたり、ボロボロと崩れたり、真っ二つに割れてしまうのです。これは使用頻度にかかわらず発生するため、「あまり履いていなかったのに久しぶりに出してみたら靴底が壊れていた」というケースも珍しくありません。

今回のN様のJoyaもまさにこの状態で、ソールが割れ、しかも側面から跡形が大きく露出してしまっていました。修理屋としてもかなり難易度の高い案件です。


修理方針:オリジナル再現は不可能、だからこそカスタム

ウレタンソールをそのまま修復することは不可能です。専門の工場レベルであれば金型を起こして成形できますが、靴修理店のレベルでは現実的ではありません。そこで今回は、加水分解の心配がないEVAスポンジを積み重ねてソールを再現するという方針を立てました。

EVAスポンジは軽量で柔軟性に富み、衝撃吸収性も優れています。スポーツシューズやサンダルのソールにも広く使われている素材で、長期使用でも加水分解しないのが大きなメリットです。

ただし、オリジナルのウレタンソールに比べると若干固めの着地感になります。そこで積層を工夫し、厚みを持たせつつ、Joya特有の「前に前に進むようなカーブ」を可能な限り再現することを目指しました。


修理工程の詳細

1. 分解作業

まずは残っているソールを丁寧に剥がします。ウレタンが劣化しているため、無理に引きはがすとアッパー側まで傷んでしまう恐れがあるので、ここは慎重に進めます。加水分解でボロボロになった部分は完全に除去し、土台を整えました。

2. 側面処理:本革で覆う

オリジナルのソールが崩れると、側面にはどうしても跡形がむき出しになります。これを隠すために、本革を幅広く縫い付けました。本革を使うことで見た目が美しくなるだけでなく、補強としての強度も増します。縫製方法はオパンケ縫いを応用し、しっかりと固定しました。

3. EVAスポンジの積層と成形

次に、EVAスポンジを何層にも積み重ね、厚みを確保します。ただ積むだけではなく、曲線的なフォルムを削り出していく作業が重要です。Joya特有の「前傾したカーブ」を意識し、着地から蹴り出しまでの流れがスムーズになるようバランスを調整しました。

4. アウトソールの仕上げ

接地面には耐摩耗性に優れたソール素材を使用。今回はTOPY社製のクロコ柄ソールを採用し、機能性とデザイン性を兼ね備えた仕上がりにしました。TOPY社は世界的にも信頼されるソールメーカーで、当店でも多くの修理で活用しています。クロコ柄は高級感もあり、ウォーキングシューズの雰囲気を損なうことなく自然に馴染みます。


修理後の仕上がりと使用感

完成したシューズは、オリジナルとは素材が異なるものの、しっかりとした厚みと前進性を備えています。EVAスポンジ特有のやや固めの着地感はあるものの、歩行時には「前に押し出される感覚」を味わっていただけるはずです。

また、側面に縫い付けた本革のおかげで、加水分解の跡形が目立たず、美しい外観に仕上がりました。むしろ「カスタムシューズ」のような雰囲気が加わり、世界に一足だけの特別な靴になったといえるでしょう。


加水分解に悩む方へ

今回のようなケースはJoyaに限らず、さまざまなブランドの靴で起こります。特にウレタン素材を使ったソールは、経年劣化が避けられません。「まだ履けると思っていたのに、久しぶりに出したら壊れていた」という声も多く、非常に残念な気持ちになる方が多いのです。

しかし諦める前に、ぜひ靴修理店へご相談ください。オリジナルと全く同じ形状や素材を再現するのは難しくても、EVAスポンジなど代替素材を用いて、より長持ちする形にカスタムする方法があります。

特に当店では、マッケイ縫いやオパンケ縫いなど伝統的な製法を活かしながら、現代の素材を組み合わせることで、オリジナル以上に実用的な修理を実現することを目指しています。


まとめ:歩く楽しみをもう一度

今回の修理で、N様のJoyaウォーキングシューズは再び履ける状態に蘇りました。確かにオリジナルの柔らかさとは少し異なりますが、それを補って余りある「丈夫さ」と「前へ進む推進力」を備えています。

「楽しく歩いていただきたい」という思いを込めて、丁寧に仕上げました。これからも長くN様の足元を支え、毎日のウォーキングやお出かけのお供として活躍してくれることを願っています。

もし同じようにソールの加水分解でお困りの方がいらっしゃれば、ぜひ一度いずみ靴店にご相談ください。靴にはまだまだ可能性があります。私たちは、その一足を大切に蘇らせるお手伝いをいたします。


いずみ靴店

  • 岡山県倉敷市にて営業

  • オールソール交換・ヒール修理・縫製修理など幅広く対応

  • Joyaをはじめ、NIKE、Clarks、Timberlandなど修理困難な靴も実績多数

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