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日別アーカイブ: 2026年3月14日

東京都 H様 ニューバランス576 ヒールカップ交換 加水分解 本革 八方ミシン

東京都にお住まいのH様よりお預かりした ニューバランス576 の修理事例をご紹介いたします。今回は、スニーカーのかかと部分に取り付けられている「ヒールカップ」の交換修理を行いました。長年愛用されてきたお気に入りの一足を、これからも安心して履き続けたいというH様のご希望にお応えする形で、丁寧に修理を進めさせていただきました。この度は大切な靴をお任せいただき、誠にありがとうございました。

今回の修理のきっかけとなったのは、かかと外側に取り付けられている樹脂製ヒールカップの破損でした。ヒールカップとは、靴のかかと部分を保護しながら形状を保つための重要なパーツで、特にスニーカーではデザイン面と機能面の両方を担っていることが多い部材です。かかと部分は歩行時に最も衝撃を受けやすい場所でもあり、このヒールカップがあることで靴の構造が安定し、かかとのホールド感も向上します。

しかし今回お預かりしたニューバランス576では、このヒールカップが劣化して割れてしまっていました。原因は、樹脂素材特有の「加水分解」です。加水分解とは、空気中の水分や湿気と素材が反応し、分子構造が徐々に分解されてしまう現象のことです。靴の部品として使われるポリウレタン系や樹脂系の素材は、軽量で成形しやすくデザインの自由度が高いというメリットがありますが、長い年月が経過するとこの加水分解によって劣化してしまうことがあります。

加水分解が進行すると、最初は素材が柔らかくなったりベタついたりしますが、さらに劣化が進むとひび割れが発生し、最終的には今回のように割れてしまいます。特にかかと部分は歩行時の負荷が集中する場所であるため、劣化が進んだ状態で使用を続けると破損が起こりやすくなります。

H様のニューバランス576も、まさにそのような状態でした。ヒールカップに亀裂が入り、部分的に割れてしまっていたため、見た目にもダメージが目立つ状態になっていました。このまま使用を続けると、割れた部分がさらに広がり、靴全体のバランスにも影響が出てしまう可能性があります。そこで今回は、このヒールカップを新しいものへ交換する修理を行うことになりました。

ところが、ここで一つ問題がありました。元と同じ樹脂製ヒールカップの部品が入手できないのです。スニーカーの外装パーツはメーカー独自の形状で作られていることが多く、修理用部品として一般には流通していないケースがほとんどです。そのため、同じ素材や同じ形状の部品をそのまま取り寄せて交換するという方法が取れない場合があります。

しかし、そのような場合でも修理を諦める必要はありません。靴修理の現場では、既製品の部品が手に入らない場合、職人の技術で代替パーツを作製するという方法があります。今回の修理でも、その方法を採用することにしました。

今回使用した素材は「本革」です。本革は靴作りにおいて非常に優れた素材であり、耐久性と柔軟性を兼ね備えています。さらに、樹脂素材のように加水分解することがないため、長期的に安定した状態を保つことができます。適切にケアを行えば、長い年月をかけて味わいが増していく素材でもあります。

まず最初に行う作業は、破損した樹脂製ヒールカップの取り外しです。劣化した樹脂は脆くなっているため、周囲の素材を傷めないよう慎重に取り外していきます。ヒールカップを外した後は、接着剤の残りや細かな破片を取り除き、取り付け部分をきれいに整えます。この下準備を丁寧に行うことで、新しいパーツをしっかりと取り付けることができます。

次に、本革を使って新しいヒールカップの代用品を作製します。靴のかかと部分は立体的な形状をしているため、革をそのまま貼るだけではうまくフィットしません。革をカットし、曲線に合わせて成形しながら、靴の形状にぴったり合うように調整していきます。

この工程では、靴のデザインやバランスを考慮することが非常に重要です。ニューバランス576は、スポーティーでありながら落ち着いた雰囲気も持つスニーカーです。そのため、修理後も違和感のない仕上がりになるよう、革の厚みや形状を細かく調整していきました。

また今回は、H様からのご要望により「黒色の革」を使用しています。ニューバランス576のデザインに黒革を組み合わせることで、全体の印象が引き締まり、スタイリッシュな雰囲気がより際立つ仕上がりになります。

革のパーツが完成した後は、それを靴のかかと部分に取り付けていきます。接着剤で固定したうえで、さらに縫い付けを行い、しっかりと補強します。縫い付けを行うことで、歩行時の負荷がかかっても外れにくくなり、耐久性が大きく向上します。

縫製作業では、靴のラインを崩さないよう細心の注意を払いながら作業を進めます。縫い目の位置や糸のテンションを調整し、見た目にも美しく仕上がるよう心掛けました。こうした細かな作業の積み重ねによって、修理後も自然な仕上がりを実現することができます。

すべての工程が完了すると、ヒールカップ部分は新しい革のパーツによってしっかりと補強され、見た目にも美しく生まれ変わります。樹脂製のパーツとはまた違った雰囲気ですが、本革ならではの高級感が加わり、スニーカー全体の印象がより引き締まったものになります。

今回の修理によって、H様のニューバランス576は再び安心して履ける状態になりました。お気に入りの靴を修理して長く履き続けることは、単に物を大切にするだけでなく、その靴と共に過ごしてきた時間や思い出を大切にすることにもつながります。

履き慣れた靴は足に馴染んでおり、新品にはない安心感があります。修理によって再び履けるようになると、まるで靴が新しい命を吹き込まれたかのように感じられるものです。

これからH様には、このニューバランス576とともに、またスタイリッシュに歩いていただけることでしょう。お気に入りの一足が再び活躍する姿を想像すると、私たちもとても嬉しく思います。

H様、この度は大切なスニーカーの修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。これからも足元のおしゃれを楽しみながら、この一足とともに素敵な日々をお過ごしください。

靴のトラブルや修理のご相談がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。大切な靴を長く履き続けるお手伝いができれば幸いです。👟✨

北海道 F様 NIKE ナイキエアフォースワン ソール内クッション交換 加水分解 EVAスポンジ オパンケ縫い

本日は、北海道にお住まいのF様よりお預かりした NIKEエアフォース1 の修理事例をご紹介いたします。長年愛用されてきたスニーカーには、その人だけの思い出や時間が刻まれています。履き慣れた一足は単なる靴ではなく、日常を共に歩んできた相棒のような存在です。今回お預かりしたエアフォース1も、まさにそんな特別な一足でした。お気に入りのスニーカーをもう一度快適に履きたいというF様の想いにお応えするため、私たちは心を込めて修理を行いました。

今回のご依頼内容は、ソール内部のクッション材が劣化してしまったことによる不具合の修理です。外から見ると大きな破損があるわけではありませんが、靴底の内部では思いのほか深刻なダメージが進行していました。ソール内部に組み込まれているエアバッグやクッション材が劣化し、粉のようになってしまっていたのです。このような状態になる原因の多くは「加水分解」と呼ばれる素材の化学的な劣化現象です。

加水分解とは、空気中の水分や湿気と素材が化学反応を起こし、素材の構造が分解されてしまう現象のことです。スニーカーのミッドソールや内部クッションには、ポリウレタン系素材が使用されていることが多く、この素材は軽くてクッション性が高い反面、時間の経過とともに加水分解が起きやすいという性質を持っています。

加水分解が進行すると、最初はクッション性が低下し、次第に素材が柔らかく崩れていきます。やがて内部でボロボロと崩れ、粉のような状態になってしまいます。今回のエアフォース1も、靴底の中でクッション材が崩れ、歩くたびに粉が出てくるような状態になっていました。このまま使用を続けると、履き心地が悪くなるだけでなく、靴底の構造自体が崩れてしまう恐れもあります。

そこで今回は、ソールを分解して内部の劣化した素材をすべて取り除き、新たなクッション材へ交換する修理を行いました。まず最初に行うのは、ソールの丁寧な分解作業です。スニーカーのソールは複数の層で構成されているため、無理に剥がしてしまうとアッパーやソールを傷めてしまいます。そのため、接着部分を慎重に確認しながら、少しずつ分解していきます。

ソールを開いて内部を確認すると、エアバッグ周辺のクッション材は予想通り完全に加水分解していました。触れるだけで崩れるほど劣化しており、本来の形状を保っていない状態です。まずはこの劣化した素材をすべて取り除き、内部をきれいに清掃していきます。粉状になった素材が残っていると、新しく入れるクッション材がしっかり固定されないため、この工程は非常に重要です。

内部をきれいに整えた後、次に行うのが新しいクッション材の作製です。今回使用したのは EVAスポンジ という素材です。EVAは軽量で弾力性があり、スニーカーのミッドソールなどにも広く使用されている素材です。そして最大の特徴は、ポリウレタンのように加水分解しにくいという点です。そのため、今回のような修理では非常に適した素材と言えます。

EVAスポンジは既製品をそのまま使用するのではなく、靴の内部構造に合わせて一から加工していきます。厚みや形状を微調整しながら、元のクッション構造に近づけていく作業は、まさに職人の手作業です。わずかな寸法の違いでも履き心地に影響が出るため、慎重に調整を重ねながら最適な形状に仕上げていきます。

こうして作製したEVAスポンジを靴底内部に組み込み、元の構造に近い状態を再現していきます。クッション材をしっかりと配置した後、ソールを再び組み立てる工程へ進みます。ソールはまず専用の接着剤を使用してしっかりと接着しますが、当店ではそれだけでは終わりません。

スニーカーの修理では、接着だけでなく「縫い」による補強を行うことで、より高い耐久性を実現しています。今回もソールを接着した後、オパンケ縫いミシンを使用してソールを縫い付けました。オパンケ縫いとは、ソールとアッパーを直接縫い合わせる特殊な製法で、スニーカーの修理において非常に強度の高い固定方法です。

この縫製を行うことで、歩行時の負荷にも強くなり、ソール剥がれのリスクを大幅に減らすことができます。接着と縫製の両方を行うことで、修理後の耐久性と安心感が大きく向上するのです。

すべての工程が完了した後、仕上がりを最終チェックします。ソールの接着状態、縫製の強度、クッションのバランスなどを丁寧に確認し、問題がないことを確認してから修理完了となります。こうして、F様のエアフォース1は再び快適に履ける状態へと生まれ変わりました。

長く履いているスニーカーは、どうしても劣化が避けられません。しかし、適切な修理を行うことで、その寿命を大きく延ばすことができます。特に今回のような内部クッションの加水分解は、外からは見えにくいトラブルですが、修理によってしっかりと改善することが可能です。

お気に入りのスニーカーは、新しいものに買い替えることも一つの方法ですが、修理によって再び履けるようになる喜びはまた格別です。履き慣れた靴は足に馴染んでおり、新品にはない安心感があります。

私たちの靴修理店では、お客様の大切な一足をできる限り長く履いていただけるよう、状態に合わせた最適な修理方法をご提案しています。今回のようなスニーカーの内部クッション修理やオールソール交換、ソール剥がれの補修など、さまざまなご相談に対応しております。

「もう履けないかもしれない」と思われた靴でも、修理によって再び活躍できる可能性があります。思い入れのある靴、長く履き続けたい靴がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。

F様、この度は大切な NIKEエアフォース1 の修理をお任せいただき、誠にありがとうございました。これからもこの一足が、F様の日常の中で再び活躍してくれることを願っております。

私たちはこれからも、一足一足に向き合いながら、靴の新たな物語を紡ぐお手伝いをしていきたいと思います。

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#お気に入りをもう一度 👟✨

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