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日別アーカイブ: 2026年3月10日

NIKE エアフォース1 ソール内部クッション交換修理|加水分解したエアバッグ・ポリウレタンをEVAスポンジで再生(大阪府K様)

今回は、大阪府にお住まいのK様よりお預かりした NIKE エアフォース1(Air Force 1) の修理事例をご紹介いたします。

長年履き込まれてきたお気に入りのスニーカーでしたが、ソール内部のクッション素材が加水分解を起こし、内部がボロボロになってしまったため修理をご依頼いただきました。

エアフォース1は世界中で愛されている定番スニーカーですが、内部に使用されている素材の経年劣化によって履けなくなってしまうケースも少なくありません。しかし、適切な修理を行うことで再び履ける状態にすることが可能です。

今回は、ソールを分解して内部の劣化した素材を取り除き、新たにEVAスポンジで作ったクッション材を組み込む修理を行いました。


NIKE エアフォース1とは

ナイキのエアフォース1は、1982年に登場したバスケットボールシューズです。

「AIR(エア)」と呼ばれるクッションシステムを初めて搭載したバスケットシューズとして知られており、その優れたクッション性と安定感によって瞬く間に人気モデルとなりました。

現在ではバスケットシューズとしてだけでなく、ストリートファッションの定番スニーカーとしても世界中で愛されています。

シンプルで飽きのこないデザインと丈夫な作りが魅力で、長年履き続ける方も多いスニーカーです。

しかし、その構造上どうしても避けられない問題があります。それが ソール内部の加水分解です。


エアフォース1に多いトラブル|ソール内部の加水分解

スニーカーのミッドソールや内部クッションには、ポリウレタン素材が使用されていることがあります。

ポリウレタンはクッション性に優れた素材ですが、時間が経つと湿気などの影響で 加水分解 を起こしてしまうことがあります。

加水分解が起こると

・素材が粉状になる
・ボロボロと崩れる
・ベタベタする

といった症状が発生します。

今回K様のエアフォース1も、ソール内部のクッション素材が完全に加水分解してしまい、靴の内部で崩れている状態でした。

さらに、内部のエアバッグ周辺の素材も劣化しており、このまま履き続けると歩行時のクッション性が失われるだけでなく、ソールの破損につながる可能性もありました。

そのため今回は、ソール内部を完全に分解して修理する方法を行うことになりました。


ソールを分解して内部構造を確認

まず最初に行うのは、ソールの分解作業です。

エアフォース1のソールは

・アッパー
・ミッドソール
・アウトソール

といった構造になっています。

接着されているソールを慎重に剥がし、内部の状態を確認していきます。

この工程は靴修理の中でも非常に重要な作業です。無理にソールを剥がしてしまうと、アッパーを傷めてしまう可能性があるため、慎重に少しずつ作業を進めていきます。

ソールを分解すると、内部には加水分解したクッション素材が粉状になって残っていました。

このままでは新しいクッション材を入れても安定しないため、内部を完全に清掃します。


劣化した素材を徹底的に除去

加水分解した素材は、靴の内部に細かい粉となって残っていることが多くあります。

この粉を残したまま修理を行うと、接着不良や履き心地の悪化につながる可能性があります。

そのため

・崩れたポリウレタン
・劣化したクッション材
・古い接着剤

などを丁寧に取り除き、内部をきれいな状態にしていきます。

この作業をしっかり行うことで、修理後の耐久性が大きく変わります。


EVAスポンジで新しいクッションを製作

内部の清掃が終わったら、新しいクッション材を作成します。

今回使用したのは EVAスポンジ です。

EVA素材はスニーカーのミッドソールにも広く使用されている素材で

・軽量
・クッション性が高い
・耐久性がある

という特徴があります。

さらにポリウレタンと比べて加水分解のリスクが低いため、長く使用できる素材でもあります。

靴の内部構造に合わせてEVAスポンジを加工し、クッション材として組み込んでいきます。

この工程では、元の靴のバランスを崩さないように厚みや硬さを調整することが重要になります。


ソールを再接着

クッション材の組み込みが完了したら、ソールを元通りに接着していきます。

靴修理では、専用の接着剤を使用し、圧着機を使ってしっかり固定します。

接着作業は見えない部分ですが、仕上がりの耐久性を左右する重要な工程です。

ソールの位置がずれないように注意しながら、丁寧に圧着していきます。


オパンケ縫いで側面を縫い直し

エアフォース1のソールは、接着だけでなく 側面の縫製(オパンケ縫い) によっても固定されています。

オパンケ縫いとは、アッパーとソールを直接縫い合わせる製法で、スニーカーの耐久性を高める役割があります。

今回の修理ではソールを分解しているため、この縫製もすべて縫い直しました。

専用の靴用ミシンを使用し、元の縫い目に沿って丁寧に縫製していきます。

この縫製によって

・ソールの剥がれ防止
・靴の耐久性向上

といった効果が期待できます。


修理完了|再び履けるエアフォース1に

こうしてすべての工程が完了し、エアフォース1の修理が完了しました。

内部のクッション素材が新しくなったことで、履き心地も改善され、安心して履いていただける状態になりました。

長年履き込まれたスニーカーには、新品にはない魅力があります。

お気に入りの靴を修理して履き続けることは、環境にも優しく、何より愛着のある一足を長く楽しむことができます。

K様のエアフォース1も、これからまた活躍してくれることでしょう。


エアフォース1の修理もご相談ください

スニーカーは消耗品と思われがちですが、今回のように

・ソール内部クッション交換
・ソール剥がれ修理
・ソール交換
・加水分解修理

などを行うことで、再び履ける状態にすることができます。

特にエアフォース1のような人気モデルは、修理して履き続けたいという方も多いスニーカーです。

もし

・歩くとソールが崩れる
・靴の内部から粉が出てくる
・クッションが効かなくなった

といった症状がありましたら、加水分解の可能性があります。

そのような場合は、ぜひ一度ご相談ください。

大切な一足を、これからも長く履き続けていただけるよう、丁寧に修理させていただきます。

ニューバランス575 ヒールカップ交換修理|加水分解した樹脂パーツを本革で作り直し(岩手県O様)

今回は、岩手県にお住まいのO様よりお預かりした ニューバランス575(New Balance 575) の修理事例をご紹介いたします。

長年履き込まれてきたお気に入りの一足ですが、かかと外側に取り付けられている樹脂製ヒールカップが加水分解によって劣化してしまったため、本革を使用して新たに作り直す修理を行いました。

スニーカーは消耗品と思われがちですが、適切な修理を行えば長く履き続けることができます。特にニューバランスのように作りの良いスニーカーは、ソール交換や各パーツの修理によって寿命を大きく延ばすことが可能です。

今回はそんな修理の一例として、ニューバランス575のヒールカップ交換修理の工程をご紹介します。


ニューバランス575とは|長年愛されるクラシックモデル

ニューバランス575は、1988年に登場したクラシックランニングモデルで、500番台シリーズの中でも人気の高いスニーカーです。もともとはオフロードランニング用として開発されたモデルで、安定感のある丸みのあるシルエットとグリップ力の高いアウトソールが特徴です。

上質なレザーやヌバックを使用したモデルも多く、履き心地の良さと高級感を兼ね備えたスニーカーとして、現在でも多くのファンに愛されています。

今回お預かりしたO様の575も、長年履き込まれており、アッパーの革には良い風合いが出ていました。スニーカーは履き込むほど足に馴染みますので、新品にはない履き心地が生まれます。そうした理由から、「傷んでも修理して履き続けたい」という方が多いモデルでもあります。


以前にウェッジヒール交換を行った一足

実はこのニューバランス575、以前にも当店で修理を行った靴でした。

数年前、ミッドソールのウェッジヒール部分が加水分解を起こしたため、ウェッジヒール交換修理を行っています。

スニーカーのミッドソールにはポリウレタン素材が使用されていることが多く、この素材はクッション性に優れている反面、湿気などの影響で経年劣化を起こすことがあります。

一般的にはポリウレタン素材は製造から3~5年ほどで加水分解が始まるとされており、日本のような湿度の高い環境では劣化が早まる場合もあります。

そのため、長年履いているスニーカーではミッドソールの交換修理を行うことも珍しくありません。

当時の修理では、ヒールカップはまだ健全な状態でしたので交換は行わず、ウェッジヒール部分のみの修理で対応しました。


今回の不具合|ヒールカップの加水分解

その後数年が経過し、O様より

「かかとの外側のパーツがボロボロになってきた」

というご相談をいただきました。

靴を確認すると、かかと外側に取り付けられている樹脂製ヒールカップが加水分解を起こしており、表面が割れたり崩れたりしている状態でした。

ヒールカップとは、スニーカーのかかと外側に取り付けられている樹脂製の補強パーツです。

このパーツには

  • かかとの形状を保護する

  • 靴の安定性を高める

  • デザインのアクセント

といった役割があります。

特にニューバランスのクラシックモデルでは、ヒールカップの存在がデザイン上の特徴の一つにもなっています。

しかし、このパーツは樹脂素材で作られていることが多いため、長い年月が経つと加水分解によって劣化してしまうことがあります。

今回の575も、長年の使用によってヒールカップが硬化し、触ると崩れてしまう状態になっていました。


劣化したヒールカップの取り外し

まずは劣化したヒールカップを取り外します。

この作業は見た目以上に慎重さが必要です。ヒールカップは接着や縫製で固定されていることが多く、無理に剥がすとアッパーの革を傷めてしまう可能性があります。

さらに、加水分解した樹脂は非常にもろくなっているため、粉状に崩れてしまうこともあります。

そのため、

  • 周囲の革を傷つけない

  • 残った樹脂を完全に除去する

という点に注意しながら、丁寧に取り外していきます。

パーツを取り外した後は、接着剤や劣化した素材をきれいに取り除き、次の工程に備えます。


本革で新しいヒールカップを製作

今回の修理では、元の樹脂パーツの代わりに本革を使用してヒールカップを作成しました。

本革を使用する理由はいくつかあります。

まず耐久性です。本革は非常に丈夫で、適切に使用すれば長期間にわたって形状を維持することができます。

また、天然素材のため樹脂のような加水分解の心配がありません。

さらに、本革は履き込むほどに柔らかくなり、靴の形に馴染んでいくという特徴もあります。そのため、履き心地の面でも非常に優れた素材です。

靴の形状に合わせて型取りを行い、本革を裁断し、立体的な形状になるよう成形していきます。

ヒール部分はわずかな形状の違いでも仕上がりに影響するため、靴に合わせて細かな調整を繰り返しながら作業を進めていきます。


八方ミシンでしっかり縫い付け

新しく作成した本革ヒールカップは、八方ミシンを使用して縫い付けました。

八方ミシンとは、靴のような立体物を縫製するための特殊なミシンです。通常のミシンでは縫えない場所でも、靴の形状に合わせて自由な角度から縫うことができます。

ヒール部分は曲面になっているため、通常の平面ミシンでは縫うことができません。

しかし八方ミシンを使用することで、靴の形状を保ったまま正確に縫製することが可能になります。

縫い目の位置や糸のテンションにも注意しながら、丁寧に縫い付けていきます。


修理完了|安心して履ける状態に

こうして本革ヒールカップの取り付けが完了しました。

修理後の靴は、かかと部分がしっかりと保護され、見た目も自然な仕上がりになっています。

本革を使用しているため、履き込むことでさらに靴に馴染み、味わい深い雰囲気へと変化していくことでしょう。

以前行ったウェッジヒール交換修理に続き、今回のヒールカップ交換によって、このニューバランス575は再び安心して履いていただける状態になりました。


スニーカーは修理すれば長く履ける

スニーカーはソールだけでなく、今回のようにさまざまなパーツが経年劣化することがあります。

しかし、

  • ソール交換

  • ミッドソール修理

  • ヒールカップ交換

  • アッパー補修

など、適切な修理を行うことで、お気に入りの靴を長く履き続けることができます。

長年履いてきた靴には、新品にはない履き心地と愛着があります。

O様のニューバランス575も、これからまた長く活躍してくれることでしょう。

もしお手持ちのスニーカーで

  • ソールが崩れてきた

  • パーツが割れてしまった

  • 加水分解してしまった

などの症状がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

大切な一足を、これからも長く履き続けていただけるよう、丁寧に修理させていただきます。

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