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ニューバランス576 ウェッジヒール修理事例(岡山県赤磐市 M様)加水分解による

こんにちは。靴修理専門店として、日々さまざまな一足と向き合っている私たちですが、今回ご紹介するのは、岡山県赤磐市にお住まいのM様からお預かりした「ニューバランス576」の修理事例です。

ニューバランス576といえば、クラシックなランニングシューズの代表格として、長年にわたり多くのファンに愛されてきたモデルです。上質なスエードとメッシュの組み合わせ、程よいボリューム感のあるシルエット、そして履き心地の良さ。単なるスニーカーという枠を超え、生活の一部として日常に寄り添ってくれる存在だと言えるでしょう。M様もまた、この576を長年大切に履き続けてこられたとのことでした。

しかし、どれほど大切に履いていても、経年劣化だけは避けられません。今回お預かりした576で最も深刻だったのは、ウェッジヒール部分の「加水分解」です。ミッドソールやヒールに使われる素材の中には、空気中の水分や湿気と反応することで、内部から劣化が進んでしまうものがあります。特にポリウレタン系素材は、この加水分解を起こしやすく、見た目はそれほど傷んでいなくても、突然ボロボロと崩れてしまうことが少なくありません。

M様の576も、まさにその状態でした。ヒール部分を軽く触っただけで、表面が粉を吹くように崩れ、歩行時には安定感が失われてしまう危険な状態です。このまま履き続けるのは難しく、修理が必須でした。

今回の修理方針として私たちが選んだのは、「EVAスポンジを使用したウェッジヒール部分のみの交換」です。アウトソール全体を交換する方法もありますが、M様はオリジナルの雰囲気や履き心地をとても大切にされていました。そのため、必要な部分だけを的確に直し、元のスタイルをできる限りキープすることを重視しました。

まずは、劣化したウェッジヒール部分を丁寧に取り除きます。加水分解した素材は非常にもろく、無理に剥がすと周囲の健全な部分まで傷めてしまう恐れがあります。状態を見極めながら、少しずつ、慎重に分解していきました。その後、新たにEVAスポンジを成形し、元の高さや角度、シルエットを忠実に再現します。EVAスポンジは軽量でクッション性が高く、加水分解にも強い素材のため、今後も安心して履いていただける仕様です。

接着後は、見た目の違和感が出ないよう、細部まで調整を行います。横から見たときのライン、地面との接地感、左右のバランス。どれか一つでもズレてしまうと、履き心地に大きな影響が出るため、ここは職人として最も神経を使う工程です。仕上がったウェッジヒールは、オリジナルと見比べても遜色ない自然な仕上がりとなりました。

さらに今回、もう一つ重要な修理ポイントがありました。それが「ヒールカップ」です。ニューバランス576のヒールカップは樹脂製ですが、こちらも経年劣化により硬化が進み、ひび割れの兆候が見られました。純正の樹脂製パーツは、すでに入手が非常に困難な状況です。そこで私たちは、丈夫な本革を使用し、代用品となるヒールカップを一から製作することにしました。

本革は、適切に加工・縫製することで高い耐久性を発揮します。まずは型取りを行い、足をしっかりとホールドできる形状を設計。その後、革を成形し、靴本体に丁寧に縫い付けていきます。ミシンの入れ方や糸のテンション一つで、仕上がりの強度が大きく変わるため、ここでも細心の注意を払いました。

完成した本革ヒールカップは、見た目にも自然で、むしろオリジナル以上に高級感のある印象です。何より、かかとをしっかりと支えてくれる安心感があり、長時間の歩行でも疲れにくい仕様となっています。

すべての工程を終え、最終チェックを行った576は、再び日常で活躍できる一足へと生まれ変わりました。加水分解によって「もう履けないかもしれない」と思われがちなスニーカーでも、適切な修理を行えば、まだまだ現役で使い続けることができます。

M様からは、「また安心して履けるようになって本当に嬉しいです」とのお言葉をいただき、私たちも大きなやりがいを感じました。お気に入りの靴には、その人の思い出や生活の歴史が詰まっています。それを次の時間へとつなぐお手伝いができることこそ、靴修理の醍醐味だと改めて感じさせていただいた事例でした。

加水分解してしまったウェッジヒール、割れてしまったヒールカップ、他店では断られてしまった修理内容でも、まずは一度ご相談ください。素材や構造を見極め、お客様にとって最善の方法をご提案いたします。

お気に入りの一足を、これからも長く、快適に。私たちは、そんな想いを込めて、今日も一足一足と向き合っています。

千葉県I様ご依頼|Reebok インスタポンプフューリー 前後分割ソールの弱点を克服

オパンケ縫いによる「剥がれない」ソール修理事例

今回ご紹介するのは、千葉県にお住まいのI様よりご依頼いただいた、
Reebok(リーボック)インスタポンプフューリーのソール修理事例です。

インスタポンプフューリーは、1990年代に登場して以来、
革新的なデザインと機能性でスニーカーファンを魅了し続けている名作モデルです。
空気でフィット感を調整する「ポンプシステム」、
そして最大の特徴でもある前後に分割された独特のソール構造は、
今なお色褪せることのない存在感を放っています。

しかし、その個性的な構造ゆえに、
ソール剥がれというトラブルが起こりやすいモデルであることも、
多くのオーナー様が直面する現実です。


インスタポンプフューリー特有の「剥がれやすさ」の正体

インスタポンプフューリーのソールは、
一般的なスニーカーとは大きく異なり、
前足部と踵部が完全に分離した構造になっています。

この構造は、

・着地時の衝撃分散
・足の動きに合わせた柔軟な屈曲
・独特のビジュアルデザイン

といったメリットをもたらしますが、
修理の視点で見ると、明確な弱点も存在します。

それが、
接着面積が少なく、負荷が一点に集中しやすいという点です。

歩行時や着地の瞬間、
前後のソールそれぞれに強い力がかかり、
特に屈曲やねじれが発生する部分では、
接着剤だけに頼った構造では限界が生じやすくなります。

I様のインスタポンプフューリーも、
まさにこの構造的な弱点によって、
ソールの剥がれが目立つ状態となっていました。


「接着だけでは不安」という正直な不安

スニーカー修理において、
ソール剥がれ=ボンド接着、
というイメージをお持ちの方は多いかと思います。

もちろん、適切な下処理と接着剤を使えば、
ボンド接着だけでも十分なケースはあります。

しかし、
インスタポンプフューリーのような分割ソール構造の場合、
「再び同じ箇所が剥がれてしまうのではないか」
という不安を完全に拭い去るのは難しいのが現実です。

I様からも、
「できるだけ長く、安心して履きたい」
というご要望をいただいていました。

そこで今回選択したのが、
オパンケ縫いミシンによる縫い付け修理です。


オパンケ縫いとは何か?

スニーカー修理における“切り札”

オパンケ縫いとは、
靴底とアッパーを直接ミシンで縫い付ける製法・修理技術のことです。

この縫製を行うためには、
通常のミシンでは対応できず、
専用のオパンケ縫いミシンが必要となります。

最大の特徴は、
接着剤に頼らず、
物理的にソールを固定できるという点です。

・剥がれにくい
・ねじれや屈曲に強い
・経年劣化の影響を受けにくい

これらのメリットがあり、
特に構造的に負荷が集中するスニーカーには、
非常に相性の良い修理方法です。


今回の修理工程|見えない部分こそ丁寧に

今回の修理では、
まず既存の接着状態を確認し、
ソールとアッパーの間を丁寧に処理しました。

劣化した接着剤や汚れを除去し、
縫製に適した状態へと下準備を行います。

その後、
オパンケ縫いミシンを使い、ソール全周をしっかり縫い付け

この工程により、

・前足部
・踵部

それぞれが独立して動く構造でありながら、
アッパーとの結合強度を大幅に高めることができます。

見た目だけでなく、
実際に履いたときの安心感が、
接着修理とは明らかに異なります。


縫い付け修理がもたらす「安心して履ける」という価値

縫い付けによるソール修理は、
単に「剥がれを直す」ためだけのものではありません。

・歩行時の不安がなくなる
・力強く踏み込める
・スニーカー本来の性能を取り戻せる

こうした体感的な変化が、
日常使いの中で大きな差となって現れます。

特にインスタポンプフューリーは、
デザイン性だけでなく、
アクティブな動きにも対応できるモデルです。

だからこそ、
構造そのものを強化する修理が重要なのです。


思い出と共に履き続けるために

靴は、ただの履き物ではありません。
一緒に出かけた場所、
過ごした時間、
積み重ねてきた思い出が詰まっています。

「もう剥がれてしまったから仕方ない」
そう諦めてしまう前に、
修理という選択肢があることを知っていただけたらと思います。

今回のI様のインスタポンプフューリーも、
縫い付け修理によって、
再び安心して履ける状態へと生まれ変わりました。


インスタポンプフューリーのソール剥がれでお悩みの方へ

・何度も剥がれてしまう
・接着修理に不安がある
・長く履き続けたい

そんな方には、
オパンケ縫いによるソール修理という選択肢を、
ぜひ知っていただきたいと思います。

お持ちの靴が、どんな状態でも構いません。
一足一足、構造を見極め、
最適な修理方法をご提案いたします。

青森県K様ご依頼|Clarks デザートトレック 生ゴムソールからVibram4014へ

「耐久性」を徹底的に高めたオールソール交換修理事例

今回ご紹介するのは、青森県にお住まいのK様よりご依頼をいただいた、
Clarks(クラークス) デザートトレックのオールソール交換修理事例です。

デザートトレックは、クラークスを代表する名作モデルのひとつで、
独特のスクエアトゥと、カジュアルながらも上品さを併せ持つデザインが特徴です。
年齢やスタイルを問わず長く愛されてきた一足ですが、
その一方でソールの耐久性については、使用環境や履き方によって
悩みを抱える方も少なくありません。

今回K様からは、
「履き心地はとても気に入っているが、ソールの劣化が進み、この先も安心して履ける状態にしたい」
というご相談をいただきました。


オリジナルの生ゴム(クレープ)ソールが抱える耐久性の課題

デザートトレックのオリジナルソールには、
天然生ゴムを使用したクレープソールが採用されています。

クレープソールの最大の魅力は、

・柔らかく足当たりが良い
・屈曲性が高く、歩行時のストレスが少ない
・独特の風合いと雰囲気がある

といった点です。

しかしその反面、耐久性という視点で見ると、
いくつかの弱点も存在します。

まず、摩耗が非常に早いこと。
アスファルトやコンクリートの上を日常的に歩く日本の生活環境では、
クレープソールは削れやすく、
気付いた時にはソールが薄くなっている、というケースも珍しくありません。

さらに、
・ベタつき
・汚れの付着
・経年による硬化やひび割れ

といった症状も起こりやすく、
長期間履き続けるには、どうしてもメンテナンスや交換が必要になります。

K様のデザートトレックも、
履き込まれたことでソール全体が薄くなり、
耐久面・安定性の低下が見受けられる状態でした。


今回の修理方針|「長く、安心して履ける一足へ」

今回のオールソール交換修理で最も重視したポイントは、
デザインを損なわずに、耐久性を大幅に向上させることです。

そこで選択したのが、
Vibram(ビブラム)4014ソール

Vibram4014は、
・高い耐摩耗性
・安定したグリップ力
・適度なクッション性
を兼ね備えた、非常にバランスの良いラバーソールです。

特に、日常使い・街履き・長時間歩行を想定した場合、
クレープソールと比較して圧倒的な耐久性を発揮します。


ソール交換だけでは終わらせない

中底(インソール)も本革へ交換

今回の修理では、アウトソール交換に加え、
中底(インソール)もフェルトから本革へ交換しています。

オリジナルのフェルト中底は、
軽量で柔らかい反面、

・ヘタリやすい
・湿気を溜め込みやすい
・長期使用で形状が崩れやすい

といった特徴があります。

そこで今回は、
耐久性・安定性に優れた本革中底を新たに作成し、交換しました。

本革中底のメリットは、

・踏み込むほどに足に馴染む
・型崩れしにくい
・長期間使用しても腰が抜けにくい
・靴全体の剛性が向上する

という点にあります。

これにより、
ソールだけでなく、靴の「土台」そのものが強化され、
安心して長く履き続けられる一足へと生まれ変わりました。


白いVibram4014が生む、爽やかで上品な印象

今回K様が選ばれたのは、
ホワイトカラーのVibram4014

デザートトレックの明るいアッパーカラーと非常に相性が良く、
全体の印象を重くすることなく、
むしろ軽快で清潔感のある仕上がりになっています。

耐久性重視の修理というと、
「ゴツくなる」「雰囲気が変わる」と心配される方もいますが、
Vibram4014はシンプルなデザインのため、
デザートトレック本来の魅力を損なうことがありません。


オールソール交換で得られる、本当の価値

今回のようなオールソール交換修理は、
単に「底を新しくする」だけではありません。

・耐久性の向上
・歩行時の安定感アップ
・靴全体の寿命延長
・愛着のある靴をこれからも履き続けられる安心感

これらすべてが揃って、
初めて本当の価値が生まれます。

K様のデザートトレックも、
これから先、数年単位で活躍してくれる一足になることでしょう。


お気に入りの靴を「消耗品」で終わらせないために

靴は、履けば必ず消耗します。
しかし、適切なタイミングで、適切な修理を施すことで、
その寿命は大きく伸ばすことができます。

「もう履けないかもしれない」
そう思った靴でも、
オールソール交換という選択肢によって、
再び主役として足元に戻ってくることは珍しくありません。

大切な一足を、
これからも長く、安心して履き続けたい方は、
ぜひ一度ご相談ください。

東京都S様のジャーマントレーナー/加水分解によるオールソール交換修理事例

東京都S様 ジャーマントレーナー

加水分解したソールをオールソール交換で再生した修理事例

今回ご紹介するのは、東京都にお住まいのS様よりお預かりした、ジャーマントレーナーのオールソール交換修理事例です。
シンプルで無駄のないデザイン、そして軍用トレーニングシューズをルーツに持つ機能美で、長年多くのファンに愛されてきたジャーマントレーナー。S様もまた、この一足を大切に履き続けてこられたとのことでした。

しかし、見た目にはまだ履けそうに見える状態でありながら、靴底内部では深刻な劣化が進行していました。その原因が、多くのスニーカーやカジュアルシューズに見られる「加水分解」です。


見えないところで進行する「加水分解」という劣化

ジャーマントレーナーをはじめ、現代の靴に多く使用されているミッドソール素材には、ポリウレタンが使われていることが少なくありません。
このポリウレタンは、軽さやクッション性に優れる反面、水分や湿気、経年によって化学的に分解される性質を持っています。

これがいわゆる「加水分解」と呼ばれる現象です。

加水分解が進行すると、

  • ソールが硬化する

  • 内部がボロボロと崩れる

  • 靴底が剥がれる、割れる

  • 履いていないのに劣化が進む

といった症状が現れます。
S様のジャーマントレーナーも、まさにこの状態でした。表面上はまだ形を保っていましたが、実際に分解してみると、ミッドソール部分は指で触れるだけで崩れてしまうほど脆くなっていたのです。

この状態では、部分的な補修や接着だけでは対応できません。
そこで今回は、オールソール交換修理をご提案しました。


劣化したソールを完全に取り除く分解工程

オールソール交換修理の第一歩は、既存のソールをすべて取り外すことです。
加水分解したソールは、見た目以上に内部が弱くなっているため、慎重に分解作業を進めます。

無理な力をかけると、アッパー(甲革)側を傷めてしまう恐れがあるため、

  • 接着面を少しずつ剥がす

  • 劣化した素材を丁寧に除去する

  • 古い接着剤を完全に取り除く

といった工程を、時間をかけて行います。

特にジャーマントレーナーは、アッパーのラインが美しく、側面の処理が仕上がりに大きく影響します。
この下準備をどれだけ丁寧に行うかで、最終的な完成度が決まると言っても過言ではありません。


側面の接着跡を本革でカバーする理由

今回の修理で特徴的なのが、側面の接着跡処理です。
オールソール交換を行うと、どうしても元のソールを剥がした痕跡が側面に残りやすくなります。

そこで今回は、側面全体に本革を縫い付ける処理を施しました。

この方法には、いくつものメリットがあります。

  • 接着跡を自然に隠せる

  • 見た目に高級感が出る

  • 靴全体の耐久性が向上する

  • 修理後のデザインとして完成度が高い

単に「直した靴」ではなく、**「ひとつ上の仕上がり」**を目指すための重要な工程です。
縫い付ける位置や革の厚み、色味のバランスにも細心の注意を払い、ジャーマントレーナー本来の雰囲気を損なわないよう仕上げています。


EVAスポンジで作るウェッジソール

新しく作成するミッドソールには、EVAスポンジを使用しました。
EVAは、軽量でクッション性が高く、さらに加水分解を起こしにくい素材として知られています。

今回は、EVAスポンジを積み上げることで、

  • 元のシルエットに近い厚み

  • 自然な傾斜を持つウェッジ形状

  • 長時間歩いても疲れにくい履き心地

を実現しています。

削り出しによって細かなラインを整え、横から見た時のフォルムにも妥協はありません。
見た目と機能性、その両方を高いレベルで成立させることを意識しました。


アウトソールはVibram1220で最終仕上げ

アウトソールには、Vibram1220を採用しています。
このソールは、

  • 適度なグリップ力

  • 街履きに適した耐摩耗性

  • ジャーマントレーナーと相性の良いデザイン

といった特長を持ち、日常使いから長時間の歩行まで幅広く対応できます。

EVAミッドソールとの相性も良く、軽快な履き心地を損なうことなく、安心感のある足取りをサポートしてくれます。


「もう履けない」から「まだまだ履ける」へ

修理完了後のジャーマントレーナーは、見た目にも、履き心地にも、新しい命が吹き込まれました。
加水分解によって寿命を迎えかけていた一足が、これから先も長く履き続けられる靴へと生まれ変わった瞬間です。

S様にも仕上がりをご確認いただき、大変喜んでいただくことができました。


思い出の詰まった靴を、これからも

靴は、ただの履物ではありません。
歩いてきた時間、過ごしてきた日常、そのすべてが刻まれています。

私たちは、そんなお客様の思い出が詰まった一足一足を大切に、丁寧に修理しています。
加水分解してしまったからといって、諦める必要はありません。

「これはもう無理かも…」
そう思う前に、ぜひ一度ご相談ください。

福岡県T様のECCO婦人ショートブーツ・オールソール交換修理事例 加水分解しました

福岡県よりお預かりしたT様のECCO(エコー)婦人用ショートブーツの修理が、無事に完了いたしました✨
このたびは大切な一足をお任せいただき、誠にありがとうございます。

今回ご依頼いただいたECCOのショートブーツは、上品なシルエットと安定感のある履き心地が魅力のモデルで、日常使いからお出かけまで幅広く活躍してくれる一足です。T様も長年ご愛用されていたとのことで、アッパーの革はとても良い状態を保っており、「まだまだ履き続けたい」というお気持ちが伝わってくるブーツでした。

しかし、靴底を確認させていただいたところ、ミッドソール部分のポリウレタン素材が加水分解を起こしており、全体的に劣化が進んでいる状態でした。


ポリウレタンは、軽さやクッション性に優れた素材で、多くの靴に使用されていますが、空気中の湿気や経年によって分子構造が壊れ、ひび割れや崩れが起きてしまう特性があります。特に、履く頻度が少なかった靴ほど、気づかないうちに加水分解が進行しているケースも少なくありません。

T様のブーツも、見た目では大きな損傷がないように見えましたが、実際にソールを触診すると内部から劣化が進んでおり、このまま履き続けると突然ソールが割れてしまう可能性が高い状態でした。
そこで今回は、部分修理ではなく、オールソール交換修理をご提案させていただきました。

まずは、元のソールを丁寧に分解・除去する作業からスタートします。
加水分解したポリウレタンは粉状になりやすく、無理に剥がすとアッパーを傷めてしまうため、慎重に状態を見極めながら作業を進めていきます。靴本体側に残った劣化素材や接着剤もきれいに取り除き、次の工程へ備えます。

新しいソール構成には、EVAスポンジ素材を使用しました。
EVAスポンジは、軽量でありながら適度な弾力があり、耐久性にも優れた素材です。ポリウレタンのように加水分解しにくく、長く安心して履いていただけるのが大きなメリットです。歩行時の衝撃をやわらかく吸収し、足への負担を軽減してくれるため、婦人靴との相性も非常に良い素材と言えます。

さらに、アウトソールにはペダラ柄のゴム入りソールを採用しました。
このソールは、グリップ力と安定感に優れており、特に冬場の路面や少し濡れた地面でも安心して歩いていただけます。見た目にも主張しすぎず、ECCOらしい上品で落ち着いた印象を損なわない点も、今回のブーツにぴったりでした。

ソールの厚みやヒールの高さについては、T様のご希望も踏まえ、オリジナルのデザインをできる限り忠実に再現しています。
修理後に「雰囲気が変わってしまった」と感じることがないよう、横から見たシルエットや履いたときのバランスにも細心の注意を払いながら仕上げました。婦人用ショートブーツは、わずかな高さやラインの違いで印象が大きく変わるため、特に慎重な調整が求められます。

接着・圧着工程を経て、最終仕上げでは全体のバランスを確認し、細部までチェックを行います。アッパーとソールの境目も自然に馴染み、修理跡が目立たない美しい仕上がりとなりました✨
完成したブーツは、見た目はほぼ元のまま、それでいて中身はより丈夫で快適な仕様へと生まれ変わっています。

今回の修理によって、T様のECCOショートブーツは、これから迎える冬の季節にも安心して履いていただける一足になりました☃️✨
ブーツは、寒い季節のおしゃれを支える大切なアイテム。お気に入りの靴を修理して履き続けることは、見た目の満足感だけでなく、足に馴染んだ快適さをそのまま維持できるという大きなメリットがあります。

「もう履けないかもしれない」と思っていた靴が、修理によって再び日常に戻ってくる瞬間は、私たちにとっても大きな喜びです。
靴は単なる消耗品ではなく、履いた時間や思い出が積み重なった大切な存在。だからこそ、一足一足と丁寧に向き合い、最適な修理方法をご提案しています。

ECCOをはじめ、加水分解してしまった靴底の修理やオールソール交換をご検討中の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください🛠️😊
「まだ履けるか分からない」「修理できる状態か見てほしい」といったご相談も大歓迎です。

お気に入りの靴と、これからも長く、心地よい毎日を。
新しく生まれ変わった一足で、T様の冬のおしゃれがさらに楽しいものになりますように✨

長野県o様 クラークス ネイチャー2 オールソール交換修理事例

長野県よりご来店いただいたO様より、長年ご愛用されているクラークスの名作モデル「ネイチャー2」のオールソール交換修理をご依頼いただきました。

クラークス ネイチャー2といえば、足を包み込むような柔らかな履き心地と、シンプルで飽きのこないデザインが特徴の定番モデルです。発売から長い年月が経った現在でも、根強いファンが多く、「一度履くと手放せない」とおっしゃるお客様が非常に多い靴でもあります。O様の一足もまさにその典型で、長年にわたり日常使いとして大切に履き続けられてきたことが、靴全体の表情からしっかりと伝わってきました。

お預かりした時点での状態を確認すると、アッパーの革は大きな破れや致命的なダメージはなく、定期的にお手入れされてきたことが分かる良好なコンディションでした。一方で、アウトソールは経年と使用による摩耗がかなり進行しており、特に接地面は滑りやすくなっている状態でした。クラークス ネイチャー2は履き心地の良さが魅力である反面、オリジナルソールは摩耗が進むとグリップ力が低下しやすく、安全面でも不安が出てきます。

今回はO様より「これからも安心して長く履きたい」というご要望をいただき、オールソール交換修理をご提案しました。単なる修理ではなく、これからの使用シーンや履き心地も考慮した“リフレッシュ”を目指した内容です。

まずは既存のソールを丁寧に分解・除去していきます。長年履き込まれた靴の場合、ソールとアッパーの接着部分に負担がかかっていることも多いため、革を傷めないよう慎重に作業を進めます。分解後は、中底や内部の状態を細かくチェックし、必要な補強や調整を行います。

今回の修理では、中底に本革素材を使用しました。本革の中底は、耐久性に優れているだけでなく、履き込むほどに足型に馴染んでいくという大きなメリットがあります。合成素材に比べて通気性も良く、長時間の歩行でも快適さを保ちやすいのが特徴です。O様のネイチャー2も、この本革中底によって、より一層“育てる楽しみ”のある一足へと生まれ変わります。

アウトソールには、Vibram(ビブラム)2060を採用しました。カラーはサンドベージュをお選びいただき、オリジナルの雰囲気を活かしつつも、さりげなく個性を感じさせる仕上がりを目指しています。Vibram 2060は、軽量性とクッション性、そして適度なグリップ力のバランスに優れたソールで、日常使いから長時間の歩行まで幅広く対応できるモデルです。

特にネイチャー2のようなカジュアルシューズとの相性が良く、見た目の違和感が少ない点も大きな魅力です。サンドベージュカラーを選択することで、全体の印象が重くなりすぎず、柔らかく軽やかな雰囲気に仕上がりました。冬場の落ち着いたコーディネートから、春先の軽快なスタイルまで、季節を問わず活躍してくれる一足になると思います。

ソールの取り付け後は、接地バランスや反り具合を細かく調整し、実際に履いた際の歩行感をイメージしながら最終仕上げを行います。見た目だけでなく、履き心地や安全性も含めて完成度を高めることが、オールソール交換修理では非常に重要です。

完成したネイチャー2は、これまで歩んできた時間の“味”を残しつつ、新しい命を吹き込まれたような佇まいになりました。アッパーに刻まれたシワや風合いは、O様がこの靴と共に過ごしてきた年月そのものです。そこに、新しいソールと中底が加わることで、これから先の時間をまた一緒に歩んでいける状態へと生まれ変わりました。

靴は消耗品である一方、きちんと手を入れれば何年、何十年と履き続けることができる道具でもあります。特に、ネイチャー2のような作りの良い靴は、オールソール交換という選択によって、快適さと安心感を取り戻すことができます。

O様、この度は長野県から足を運んでいただき、誠にありがとうございました。新しくなったネイチャー2で、これからもたくさんの時間と景色を共に歩いていただければ幸いです。

皆様も、「まだ履けるけれど、ソールが気になる」「滑りやすくなってきた」「お気に入りだからこそ、長く使いたい」と感じている靴がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。靴の状態やご希望に合わせて、最適な修理・ご提案をさせていただきます。

岡山市 N様 joyaウォーキングシューズ 加水分解したソールの修理事例

岡山市の皆様、こんにちは。靴修理専門店として日々さまざまな一足と向き合っている私どもですが、今回は多くのファンを持つ〈Joya(ジョーヤ)〉のウォーキングシューズ修理事例をご紹介いたします。

Joyaといえば、独自構造によるクッション性と安定感で「長時間歩いても疲れにくい靴」として高い評価を受けているブランドです。医療・健康分野からの支持も厚く、ウォーキングや日常使いはもちろん、立ち仕事の方にも愛用者が多いのが特徴です。その一方で、構造上ミッドソールにポリウレタン素材が使用されているモデルも多く、経年による“加水分解”という避けられない問題を抱えています。

■ ご相談内容 ― 加水分解によるソール崩壊
今回お預かりした岡山市のお客様のJoyaウォーキングシューズも、まさにその加水分解が進行している状態でした。見た目は一見まだ履けそうに見えるものの、ソール側面には細かなひび割れが入り、指で触れるとポロポロと崩れ落ちてしまうほど。歩行時には不安定さを感じ、いつ完全に壊れてもおかしくない状況でした。

お客様からは「履き心地がとても気に入っているので、できれば買い替えではなく修理でまた履きたい」というご相談をいただきました。この言葉こそ、私ども靴修理職人にとって何より嬉しい瞬間です。そこで、靴の状態を細かくチェックし、オールソール交換による修理をご提案しました。

■ 修理方針 ― オリジナルの履き心地を目指して
Joyaの修理で最も重要なのは、“ただソールを新しくする”のではなく、オリジナルが持つ独特の履き心地をいかに再現するか、という点です。クッション性、厚み、足運びの自然さ、そのすべてが絶妙なバランスで成り立っています。

まずは劣化したポリウレタン製ミッドソールを完全に取り除く作業からスタートします。加水分解を起こした素材は非常にもろく、無理に剥がすとアッパー(靴本体)を傷めてしまう恐れがあります。そのため、状態を見極めながら、時間をかけて丁寧に分解していきました。

■ EVAスポンジによるミッドソール再構築
次に行うのが、新しいミッドソールの製作です。今回は耐久性と軽さ、そしてクッション性に優れたEVAスポンジを使用しました。単に一枚貼るのではなく、複数層を積み上げながら厚みと曲線を調整していきます。

Joya特有の“揺りかごのようなローリング構造”を意識し、前足部から踵にかけてのラインを何度も確認。削っては合わせ、また削るという工程を繰り返しながら、できる限りオリジナルに近いフォルムを再現しました。この工程こそが、履き心地を大きく左右する職人技の見せどころです。

■ Topy社クロコ柄ソールで仕上げ
アウトソールには、信頼性の高いTopy(トピー)社製のクロコ柄ソールを採用しました。適度なグリップ力があり、日常のウォーキングに最適な素材です。デザイン面でも高級感があり、Joyaの上品なアッパーと非常によくマッチします。

ミッドソールとアウトソールをしっかりと接着・圧着し、細部を整えたら仕上げ工程へ。コバ周りを美しく整え、全体のバランスを確認して、ようやく完成となります。

■ 修理後 ― 再び始まるウォーキングライフ


完成した一足は、見た目にも美しく、何より安心して履いていただける状態へと生まれ変わりました。加水分解の心配が少ない素材構成に変更したことで、これからも長くご愛用いただけます。

お引き渡しの際、お客様から「またこの靴で歩けるのが嬉しい」というお言葉をいただき、私どもも胸が熱くなりました。靴は単なる消耗品ではなく、思い出や日常に寄り添う大切な相棒。その価値を修理によってつなぐことが、私たちの使命だと改めて感じさせていただいた事例です。

■ 買い替えではなく“修理”という選択肢


Joyaに限らず、加水分解で履けなくなった靴を「もう寿命だ」と諦めてしまう方は少なくありません。しかし、構造を理解した上で適切な修理を行えば、履き心地を保ったまま再生することは十分可能です。

岡山市で靴修理をご検討の方、特にウォーキングシューズや健康靴でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。状態を確認し、最適な修理方法をご提案いたします。

愛用の靴を、もう一度あなたの足元へ。
快適な履き心地とともに、新しいウォーキングライフをお楽しみいただければ幸いです。

#岡山靴修理
#Joyaシューズ
#オールソール交換
#ウォーキングシューズ修理
#加水分解修理
#靴好きな人と繋がりたい

岐阜県S様よりお預かりしたブランドストーン・サイドゴアブーツ ――加水分解したソールを一新し、再び“履ける相棒”へ――

今回ご紹介するのは、岐阜県にお住まいのS様よりお預かりした
Blundstone(ブランドストーン)サイドゴアブーツのオールソール交換修理事例です。

ブランドストーンといえば、オーストラリア発祥のワークブーツブランドとして世界的に知られ、
・脱ぎ履きのしやすさ
・タフな使用環境への耐久性
・シンプルで飽きのこないデザイン

これらを兼ね備えたブーツとして、長年多くのファンに愛され続けています。
S様の一足も、日常使いからアウトドアシーンまで幅広く活躍してきたことが、ブーツ全体の表情からしっかり伝わってきました。

しかし今回、大きな問題となっていたのが――
ソールの加水分解による深刻な劣化です。


見た目はまだ履けそう…しかし内部では崩壊が進行

お預かりした時点で、アッパー(甲革)やゴア部分の状態は比較的良好でした。
ところが、ブーツを手に取って軽く曲げた瞬間、違和感がはっきりと伝わってきます。

ソールの一部には亀裂が入り、
さらに内部ではポリウレタン素材が崩れ、粉を吹くような状態に。

これはブランドストーンに限らず、
・ポリウレタンミッドソール
・長期保管
・使用頻度の低下

といった条件が重なることで起こる、典型的な加水分解症状です。

「ある日突然、歩いていたらソールが割れた」
「久しぶりに履こうとしたら、ボロボロ崩れた」

S様もまさに、そんな不安とショックを感じられていたのではないかと思います。


なぜ部分修理ではなく、オールソール交換なのか

この状態でよくあるご質問が、
「割れた部分だけ直せませんか?」というものです。

結論から言うと、加水分解が始まったソールは部分修理が不可能です。

✔ 表面だけ補修しても内部は劣化したまま
✔ 接着しても、周囲が次々と崩れる
✔ 結果的にすぐ再修理が必要になる

そのため今回は、ソールを完全に分解し、ゼロから作り直すオールソール交換修理を選択しました。

これはコストも手間もかかる修理ですが、
「これからも安心して履ける一足にする」ためには、最も確実な方法です。


ソール分解作業 ―― ブーツを傷めないための慎重な工程

まずは既存のソールを慎重に取り外します。

ブランドストーンは一見シンプルな構造に見えますが、
実際にはソール側面にPU素材が回り込むように成形されており、
無理に剥がすとアッパーを傷めるリスクがあります。

そこで、

・熱をかけながら接着層を緩め
・革へのダメージを最小限に抑えつつ
・ミッドソール、アウトソールを完全に除去

この工程は、経験と感覚がものを言う作業です。

無事に分解が完了すると、内部の劣化状態がはっきり確認できました。
やはりポリウレタンは原形をとどめておらず、
このままでは歩行に耐えられない状態でした。


EVAスポンジミッドソールで「加水分解しない構造」へ

今回の修理で最も重要なポイントが、
新しく作り直すミッドソール素材の選定です。

私たちが選んだのは、
👉 EVAスポンジ(エチレン酢酸ビニル)

EVAスポンジの特徴は、

・軽量でクッション性が高い
・耐久性に優れる
・加水分解しにくい
・長期間の使用・保管に強い

まさに、今後長く履くために最適な素材です。


縫い付けによる強固なミッドソール構造

EVAスポンジを適切な厚みに調整した後、
今回は接着のみではなく、しっかりと縫い付ける構造を採用しました。

✔ 歩行時のねじれに強い
✔ 接着剥がれのリスクを軽減
✔ 長期使用でも安心感が段違い

ブランドストーン本来の履き心地を損なわないよう、
足当たりや反り具合にも細心の注意を払いながら仕上げています。


Vibram1136アウトソールで実用性を最大化

アウトソールには、
Vibram(ヴィブラム)1136を使用しました。

このソールは、

・グリップ力が高い
・摩耗に強い
・タウンユースからアウトドアまで対応
・見た目がゴツすぎず、サイドゴアと相性が良い

という特長を持ち、ブランドストーンの雰囲気を壊さない優秀なモデルです。

EVAミッドソールとの相性も良く、
クッション性と安定感のバランスが非常に優れた一足に仕上がりました。


仕上がり ――「また履ける」から「また出かけたい」へ

すべての工程を終え、完成したブーツを手に取ると、
見た目にも、履き心地にも、明らかな変化を感じます。

・安定感のある接地
・不安のない踏み出し
・それでいて重くなりすぎない軽快さ

まさに、
「新しい命が吹き込まれた」
そんな表現がぴったりの仕上がりです。

S様の大切な一足が、
また新しい冒険に出かけられる状態へと生まれ変わりました👞✨


靴は直せば、また活躍できる

今回の修理を通して改めて感じるのは、
靴は消耗品でありながら、再生できる道具でもあるということです。

思い出が詰まった靴
足に馴染んだ靴
もう同じものが手に入らない靴

そんな一足だからこそ、
「捨てる」ではなく「直す」という選択肢を、ぜひ知ってほしいと思っています。


私たちの使命は、靴に“次の時間”を与えること

どんなに傷んだ靴でも、
状態を見極め、適切な方法を選べば、
もう一度、安心して履ける一足へと生まれ変わります。

ブランドストーンに限らず、
・加水分解
・ソール剥がれ
・クッション劣化
・履き心地の悪化

どんな靴のトラブルでも、まずはお気軽にご相談ください🛠️
お客様の笑顔と、「また履けるようになった」という一言が、
私たちにとって何よりのやりがいです😊

埼玉県e様 ジョーヤ ウォーキングシューズ オールソール交換修理事例

埼玉県のE様よりお預かりした、ジョーヤ(Joya)のウォーキングシューズのオールソール交換修理事例をご紹介いたします。

ジョーヤといえば、「足にやさしい靴」として世界的にも知られているスイス発祥のブランドで、独自構造のソールによるクッション性と安定感が大きな特徴です。特にウォーキングシューズとして愛用されている方が多く、長時間歩いても疲れにくい履き心地を評価されています。E様もこのジョーヤの履き心地を大変気に入られており、「できることなら、これからもずっと履き続けたい」という思いから、今回の修理をご依頼くださいました。

■ ご依頼時の靴の状態

お持ち込みいただいた靴は、見た目には比較的きれいな状態でした。実はアウトソールについては、過去に一度交換修理を行っているとのこと。底面の摩耗自体は大きな問題ではなく、「なぜか最近、履き心地が急に悪くなった」「柔らかさがなくなり、歩くと違和感がある」というのがE様のお悩みでした。

そこで靴を詳しく確認すると、原因はミッドソール部分にありました。ジョーヤの多くのモデルでは、ミッドソールにポリウレタン素材が使用されています。ポリウレタンは軽量でクッション性に優れた素材ですが、経年劣化により“加水分解”という現象を起こすことがあります。

加水分解とは、空気中の水分などの影響で素材が化学的に分解され、弾力を失ったり、ボロボロと崩れたりする現象です。見た目では分かりにくくても、内部ではスポンジ状の組織が壊れてしまい、本来のクッション性能を発揮できなくなります。今回のジョーヤも、まさにその状態でした。

■ オールソール交換修理を選択した理由

ミッドソールが加水分解している場合、部分的な補修では根本的な改善ができません。表面だけを直しても、内部の劣化が進行していれば、再び不具合が出てしまいます。そのためE様とご相談のうえ、アウトソール・ミッドソールを含めた「オールソール交換修理」を行うことになりました。

ジョーヤの履き心地の要となるのは、やはりソール全体のバランスです。ただ単に新しい底を付ければ良いわけではなく、「柔らかさ」「安定感」「自然な体重移動」をいかに再現するかが重要になります。

■ 既存ソールの分解作業

まずは、現在付いているソールを丁寧に分解していきます。過去に一度アウトソール交換がされているため、接着層や素材の状態を慎重に見極めながら作業を進めました。

分解してみると、ミッドソールのポリウレタンは予想通り、指で触ると崩れるほど劣化していました。これでは、いくらアウトソールが新しくても、快適に歩くことはできません。劣化したポリウレタンを完全に取り除き、靴本体側をきれいな状態に整えます。この下処理が、仕上がりと耐久性を大きく左右する重要な工程です。

■ EVAスポンジによる新しいミッドソール作成

今回、新しいミッドソール素材として採用したのは「EVAスポンジ」です。EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)は、軽量でありながら耐久性とクッション性のバランスが非常に良く、近年のスニーカーやウォーキングシューズでも広く使用されている素材です。

EVAスポンジの大きな利点は、加水分解を起こしにくい点にあります。ポリウレタンと比べると経年劣化が緩やかで、長期間にわたって安定した履き心地を保ちやすいのが特徴です。長く履き続けたいE様のご要望にも、非常に適した素材だと判断しました。

今回はEVAスポンジを3層構造で貼り合わせ、しっかりとした厚みを持たせています。ただ厚くするだけではなく、ジョーヤ特有の曲線的なソール形状を再現するため、層ごとに微調整を行いながら削り出しました。

歩行時には、かかとから着地し、足裏全体へ体重が移動し、つま先で蹴り出すという一連の流れがあります。この体重移動が自然に行えるよう、前後の高さや丸み、土踏まず周辺のボリューム感を意識しながら、立体的に仕上げていきました。

■ アウトソールにはTOPY社クロコ柄ソールを採用

ミッドソールが完成した後、仕上げとしてアウトソールを取り付けます。今回使用したのは、TOPY(トピー)社製のクロコ柄ソールです。

このソールは、耐摩耗性に優れているだけでなく、グリップ力も高く、ウォーキング用途に非常に適しています。また、クロコダイル調の模様が施されており、機能性だけでなくデザイン性も兼ね備えているのが特徴です。

シンプルになりがちなウォーキングシューズですが、足元にさりげない表情が加わり、「修理した靴」ではなく「生まれ変わった靴」という印象に仕上がりました。E様にも、見た目の変化を大変喜んでいただけました。

■ 仕上げと最終チェック

ソールを接着後、圧着・乾燥の工程を経て、最終仕上げに入ります。接地面のバランスを確認し、左右差やガタつきがないかを細かくチェック。実際の歩行を想定しながら、細部を微調整して完成となります。

完成後のジョーヤは、クッション性がしっかりと戻り、足を入れた瞬間に「ふわっとした安心感」が感じられる仕上がりになりました。それでいて、沈み込みすぎない安定感も確保できており、長距離歩行でも疲れにくい構造です。

■ 修理を終えて

E様からは、「新品のときよりも、むしろ今の方が歩きやすい気がする」「また安心して長く使える」と嬉しいお言葉をいただきました。大切に履いてこられた靴を、もう一度現役としてお返しできることは、私たち修理職人にとって何よりの喜びです。

ウォーキングシューズは、日々の健康を支える大切な道具です。ソールの劣化を我慢して履き続けると、足や膝、腰への負担にもつながります。「最近、履き心地が変わった」「柔らかさがなくなった」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

今回のように、EVAスポンジを用いたオールソール交換修理によって、お気に入りの靴を再び快適に履き続けることが可能です。これからも、お客様の足元を支えるお手伝いができれば幸いです。

兵庫県Y様ご依頼|Clarks(クラークス)ナタリー オールソール交換修理事例

EVAスポンジ×Vibram1030で履き心地と耐久性を両立

今回は兵庫県のY様よりご依頼をいただいた、
Clarks(クラークス)ナタリーのオールソール交換修理について、詳しくご紹介いたします。

クラークス ナタリーは、長年にわたり多くのファンに愛され続けている定番モデルです。
カジュアルでありながら上品さも併せ持ち、普段履きから少しきれいめなスタイルまで幅広く活躍する一足として知られています。

しかし、その独特な履き心地を生み出しているクレープソールは、
・摩耗が早い
・加水分解や劣化が起きやすい
・ベタつきや剥がれが出やすい
といった弱点もあり、長く履き続けるうえではオールソール交換修理が必要になるケースが少なくありません。


クラークス ナタリーのソール劣化について

今回お預かりしたY様のクラークス ナタリーも、
長年の使用によりアウトソールの摩耗が進み、グリップ力の低下や歩行時の不安定さが見られる状態でした。

ナタリー特有のクレープソールは、柔らかく足当たりが良い反面、
・地面との摩擦で削れやすい
・汚れやすく見た目が悪くなりやすい
・日本の気候では劣化が進みやすい
という特徴があります。

「気に入っている靴なので、できるだけ元の履き心地を残しつつ、もっと丈夫にしたい」
というのが、Y様のご要望でした。


修理方針|オリジナルのフィーリングを損なわないことを最優先

当店では、クラークス ナタリーの修理において
**「見た目」だけでなく「履き心地の再現」**を非常に重要視しています。

単純に硬いゴムソールを貼ってしまうと、
・クッション性が失われる
・歩き心地が別物になってしまう
・ナタリーらしさがなくなる
といった問題が起こりがちです。

そこで今回は、
EVAスポンジを使用してウェッジソールを一から作成し、
その上にフラット系のVibramアウトソールを組み合わせる構成をご提案しました。


EVAスポンジを使ったウェッジソール製作

EVAスポンジは、
・軽量
・クッション性が高い
・耐久性に優れる
という特性を持つ素材で、スニーカーやウォーキングシューズのミッドソールにも広く使われています。

今回の修理では、このEVAスポンジを積み上げながら削り出し、
**オリジナルのクレープソールに近い厚みと傾斜(ウェッジ形状)**を再現しました。

特にナタリーは、
・つま先側の丸み
・土踏まずからヒールにかけての自然な高さ
といったシルエットが重要なため、
左右のバランスを見ながら細かく成形していきます。

この工程を丁寧に行うことで、
見た目だけでなく、履いたときの感覚も「ナタリーらしさ」を残すことができます。


Vibram1030を採用|耐久性とグリップ力を大幅向上

アウトソールには、Vibram(ビブラム)1030を使用しました。

Vibram1030は、
・フラット系で癖が少ない
・地面をしっかり捉えるグリップ力
・摩耗に強く長持ち
といった特徴を持つソールです。

クラークス ナタリーのカジュアルなデザインとも相性が良く、
街歩き・普段使い・旅行など、さまざまなシーンで安心して履いていただけます。

また、クレープソール特有の
「雨の日に滑りやすい」
「減りが早い」
といった不満点も、Vibram1030に交換することで大きく改善されます。


本革を使用したデザイン再現へのこだわり

今回の修理では、つま先とヒール部分の独特なデザインを再現するため、
本革を使用して仕上げを行いました。

クラークス ナタリーは、
ソール周りのボリューム感や立体感もデザインの一部です。

単にソールを貼り替えるだけでは、
・のっぺりした印象になる
・純正とは違う安っぽさが出る
ことがあります。

そこで、本革を使ってラインを整え、
違和感のない自然な仕上がりになるよう工夫しました。


修理後の仕上がりと履き心地

修理完了後のナタリーは、
・見た目はオリジナルの雰囲気をしっかり維持
・クッション性はEVAスポンジで向上
・耐久性とグリップ力はVibram1030で大幅アップ
という、非常にバランスの取れた一足に生まれ変わりました。

Y様からも
「履き心地が良く、安心して歩けるようになった」
と嬉しいお言葉をいただいております。


クラークス ナタリーは修理で長く履ける靴です

クラークス ナタリーは、
オールソール交換修理を行うことで、まだまだ長く履き続けることができる靴です。

・ソールがすり減ってきた
・ベタつきや剥がれが気になる
・純正クレープソールに不満がある
といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

当店では、
靴の状態やお客様のご希望に合わせて、
最適なソール構成をご提案いたします。

お気に入りの一足を、これからも快適に履き続けるために。
クラークス ナタリーのオールソール交換修理は、ぜひ当店にお任せください。

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