ブログ|いずみ靴店

オフィシャルブログ

東京都N様ご依頼|NIKE エアフォース・ワン ソール内部クッション(加水分解)交換修理事例

― 白・黒2足を同時修理。履き心地と耐久性を両立した再生修理 ―

今回ご紹介するのは、東京都のN様よりご依頼いただいた「ナイキ エアフォース・ワン」2足(ホワイト・ブラック)の修理事例です。
長年愛用されてきたエアフォース・ワンですが、見た目はまだきれいな状態にもかかわらず、「歩くと違和感がある」「クッションが沈みすぎる」「履き心地が明らかに悪くなった」という症状が出始めたとのことで、当店にご相談くださいました。

スニーカーは外観がきれいでも、内部構造が劣化しているケースが非常に多いのが特徴です。特にナイキのスニーカーに多く採用されているエアーバッグやウレタン系クッション素材は、経年によって「加水分解」という劣化現象を起こします。
今回の2足もまさにその典型例でした。


■ 加水分解とは?スニーカー内部で起きている問題

加水分解とは、空気中の水分や湿気と反応して、ウレタン系素材が分子レベルで崩壊していく現象です。
この現象が起こると、

  • クッション材がボロボロと崩れる

  • 粉状になって内部に溜まる

  • 弾力を失い、沈み込む

  • エアーバッグが破裂・変形する

といった症状が現れます。

エアフォース・ワンは丈夫なスニーカーというイメージがありますが、内部のクッション構造は消耗品です。
N様の2足も、アウトソールやアッパーはまだ十分使用できる状態である一方、ソール内部のクッションが完全に寿命を迎えていました


■ 修理方針:エア構造を廃し、EVAスポンジへ置き換え

 

今回の修理では、単なる「部分補修」ではなく、内部クッションを根本から再構築する修理を行っています。

劣化したエアーバッグやウレタン素材は、再利用が不可能です。
そのため当店では、

  • 劣化したクッション材をすべて除去

  • 内部を完全にクリーニング

  • 耐久性と安定性に優れたEVAスポンジを新たに成形・組み込み

という工程を採用しました。

EVAスポンジは、
✔ 軽量
✔ クッション性が安定している
✔ 加水分解しにくい
✔ 長期間性能が変わりにくい

という特長を持ち、「これから長く履く」ことを前提とした修理に非常に適した素材です。


■ ソール分解作業:慎重さが求められる工程

エアフォース・ワンは、見た目以上にソール構造が複雑です。
特に内部にエア構造を持つモデルは、熱を加えすぎても、逆に足りなくても分解が難しいため、経験と感覚が問われます。

今回も、
ソール全体に適切な温度管理を行いながら、アッパーを傷めないよう慎重に分解しました。

内部を確認すると、
白・黒どちらのペアも、エアーバッグは変形・劣化し、ウレタン素材は粉状になっている状態。
歩行時の違和感は、この劣化が原因で間違いありません。


■ EVAスポンジの成形と接着

内部を完全に清掃した後、
エアフォース・ワンの元の履き心地とシルエットを損なわないよう、厚み・硬さ・反発力を計算したEVAスポンジを成形します。

この工程で重要なのは、

  • 単に「柔らかくしすぎない」こと

  • 長時間歩行でも沈み込みすぎないこと

  • 左右差が出ないよう精密に合わせること

当店では、ボンド接着前に何度も仮合わせを行い、足裏全体で均等に体重を受け止められる構造を作ります。

その後、専用の強力接着剤を使用して圧着
この時点で、すでに履き心地の改善は明確に感じられます。


■ オパンケ縫いによる最終仕上げ

接着のみで終わらせず、今回はオパンケ縫いを施しました。

オパンケ縫いとは、
ソールとアッパーを一体化させる伝統的かつ非常に強度の高い縫製方法で、

  • 接着剤の劣化を補う

  • ソール剥がれを防止

  • 修理後の耐久性を大幅に向上

といったメリットがあります。

スニーカーにこの工程を取り入れることで、
「見た目はそのまま、内部構造は大幅に強化された一足」へと生まれ変わります。


■ 修理完了後の仕上がり

修理後のエアフォース・ワンは、

  • 見た目の違和感なし

  • クッションは安定感があり、フワフワしすぎない

  • 長時間履いても疲れにくい

  • 加水分解の心配が大幅に軽減

という、実用性重視の仕上がりになりました。

N様からも
「新品のときより安心して履けそう」
「また長く使えるのが嬉しい」
とのお言葉をいただいています。


■ スニーカー修理は「捨てる」前にご相談を

スニーカーは消耗品というイメージがありますが、
実際には修理によって寿命を大きく延ばすことが可能です。

特に、

  • 思い入れのある一足

  • 廃盤モデル

  • もう手に入らないカラー

  • 足に馴染んでいる靴

こういったスニーカーほど、修理の価値があります。

当店では、
「ただ直す」のではなく、
これからも安心して履ける状態へ再生する修理を心がけています。


■ お手持ちの靴でお困りの方へ

・歩くと違和感がある
・クッションが効いていない
・ソールが崩れてきた
・加水分解が心配

そんな時は、ぜひ一度ご相談ください。
長年培ってきた職人の技術で、あなたの大切な一足を、再び現役へと蘇らせます

お気に入りの靴を、これからも末永く楽しんでいただくために。
私たちが全力でお手伝いいたします。

新潟県 I様 ブランドストーン 加水分解したソールをオールソール交換修理 Vibram528Kにて

新潟県のI様よりお預かりした、ブランドストーンのサイドゴアブーツ


オーストラリア発祥のこのブーツは、シンプルで無駄のないデザインと高い実用性から、天候を問わず日常使いできる定番モデルとして、多くのファンに支持されています。I様も長年愛用されてきた一足とのことで、今回の修理には「また安心して履き続けたい」という強い想いが込められていました。

しかし、お預かりした時点でのブーツの状態は決して良好とは言えませんでした。
最大の問題はソールの加水分解です。ブランドストーンに多く採用されているポリウレタン系のミッドソールは、クッション性に優れる反面、長期間の使用や保管環境によって水分と反応し、内部から劣化が進行します。見た目にはまだ履けそうに見えても、実際にはソールが脆くなり、歩行中に突然崩れてしまうリスクを抱えている状態でした。

I様のブーツも例外ではなく、アウトソールの縁から劣化が進み、ソール全体が浮いたような感触になっていました。このまま接着のみで補修を行っても、根本的な解決にはなりません。そこで今回は、オールソール交換修理をご提案し、ブーツを土台から作り直す形で再生を図ることにしました。

まず行うのは、既存ソールの完全分解作業です。
加水分解したポリウレタンは粉状になって崩れやすく、靴本体側に残りやすいため、ここをいかに丁寧に除去できるかが仕上がりを大きく左右します。中途半端に残してしまうと、新しいミッドソールの接着や縫い付けに悪影響を及ぼすため、時間をかけて慎重に清掃と下地処理を行いました。

靴本体が本来持っている形状を崩さないよう、左右のバランスを確認しながら作業を進め、次の工程へと移ります。

今回、新たに採用したミッドソール素材はEVAスポンジです。
EVAは軽量でありながら適度な反発力を持ち、歩行時の衝撃をしっかり吸収してくれる素材です。また、ポリウレタンと比べて加水分解のリスクが低く、日常使いのブーツには非常に相性が良いのも特徴です。

このEVAスポンジを、靴の底面形状に合わせて成形し、マッケイ縫いによって靴本体へしっかりと縫い付けていきます。接着だけに頼らず、縫製を併用することで、耐久性と安定感が大幅に向上します。サイドゴアブーツは脱ぎ履きの際に負荷がかかりやすいため、この「縫い」の工程は非常に重要です。

ミッドソールが安定したところで、次に取り付けるのがアウトソールです。
今回I様にお選びいただいたのは、Vibram528K。Vibramソールの中でも、日常使いに優れたバランス型のモデルで、耐摩耗性とグリップ力の高さが特徴です。路面状況を選ばず、雨の日でも安心して履けるため、ブランドストーンのブーツとの相性は抜群と言えるでしょう。

Vibram528Kは、適度な厚みと柔軟性を兼ね備えており、歩行時の安定感を高めつつ、ゴツすぎないシルエットを保てる点も魅力です。ブーツ全体の雰囲気を損なわず、オリジナルのイメージを尊重した仕上がりを目指しました。

アウトソールの貼り付け後は、圧着・乾燥工程を経て、最終的な仕上げ作業に入ります。
コバ周りのラインを整え、余分な接着剤を除去し、全体のバランスを再確認。さらに、アッパー部分にはクリーニングと保湿を施し、革本来の艶を引き出すための磨きを行いました。

長年履き込まれたブーツだからこそ、革には独特の表情があります。その風合いを消してしまわないよう、過度な磨きは避けつつ、自然な光沢を与えることを意識しています。

こうして完成したブランドストーンのサイドゴアブーツは、見た目にも機能面にも、新たな命が吹き込まれました。
加水分解による不安は解消され、EVAミッドソールとVibram528Kの組み合わせによって、これからの日常をしっかり支えてくれる一足へと生まれ変わっています。

靴修理は、単に壊れた部分を直す作業ではありません。
お客様がその靴とともに歩んできた時間や思い出を受け取り、これから先の時間へとつなげていく仕事です。新品を買えば簡単かもしれませんが、履き慣れた靴、足に馴染んだ靴には代えがたい価値があります。

「まだ履けるだろうか」「修理して意味があるだろうか」
そんな迷いがある靴こそ、一度ご相談ください。状態を見極め、その靴にとって最適な修理方法をご提案いたします。

今回のI様のブランドストーンのように、適切な修理を施すことで、靴は再び日常の相棒として活躍してくれます。
足元から始まる毎日を、これからも安心して楽しんでいただければ幸いです。

大切な靴を、もう一度輝かせたい方。
私たちは、心を込めてそのお手伝いをいたします。

大阪府m様 フットジョイ・アイコン フルリニューアル修理事例  加水分解を原因に

こんにちは。今回は、大阪府にお住まいのM様よりお預かりした、フットジョイの名作ゴルフシューズ「アイコン(ICON)」モデルのフルリニューアル修理事例をご紹介します。

クラシックな佇まいと上質な作りで、長年多くのゴルファーに愛されてきたフットジョイ・アイコン。しかし、どれほど完成度の高い靴であっても、経年劣化だけは避けて通れません。今回お預かりした一足も、外観は比較的きれいな状態を保っていたものの、内部では素材の劣化が静かに、しかし確実に進行していました。

■ ご依頼のきっかけと靴の状態

M様からのご相談内容は「ソールが劣化してきたので、これからも安心して履けるように修理したい」というもの。詳しく拝見すると、ミッドソールに使用されているポリウレタン素材が加水分解を起こしており、内部ではボロボロと崩れ始めている状態でした。

ポリウレタンは、クッション性や軽さに優れる一方で、水分や湿気の影響を受けやすく、一定の年数が経過すると加水分解によって劣化してしまう性質があります。特にゴルフシューズは、芝生の水分や雨、保管環境の影響を受けやすいため、こうした症状が出やすいジャンルの靴でもあります。

今回は部分修理では根本的な解決にならないと判断し、思い切ってオールソール交換によるフルリニューアルをご提案しました。

■ スパイクレス化という選択

もうひとつの大きなポイントが「スパイクレス化」です。オリジナルはスパイク付きのゴルフシューズですが、M様からは「普段の練習やラウンドで、より歩きやすく、汎用性の高い仕様にしたい」というご要望がありました。

そこで今回は、スパイクを使わないスパイクレス仕様に変更することに。これにより、ゴルフ場はもちろん、移動時や練習場でも扱いやすく、現代的な使い方ができる一足へと生まれ変わります。

■ ソール分解作業

まずは既存ソールの分解から作業を開始します。フットジョイ・アイコンは、比較的一体型の構造で、ソールはボンド接着が主体となっています。

この構造のおかげで、熱を加えながら慎重に作業を進めることで、比較的スムーズにソールを分解することができました。ただし、内部のポリウレタンは想像以上に劣化が進んでおり、触れると粉状になって崩れ落ちる状態です。

加水分解した素材を中途半端に残してしまうと、再接着や縫い付けの強度に悪影響を及ぼすため、劣化部分は徹底的に除去します。地味ですが、仕上がりと耐久性を左右する非常に重要な工程です。

■ EVAスポンジミッドソールの製作とマッケイ縫い

次に、新しいミッドソールの製作に入ります。今回採用したのは、加水分解の心配がほとんどないEVAスポンジ素材です。

EVAは、軽量でクッション性に優れ、なおかつ経年劣化に強いという特性を持っています。ゴルフシューズのように長時間歩行する靴には、非常に相性の良い素材です。

このEVAスポンジを靴の形状に合わせて成形し、マッケイ縫いで靴本体に直接縫い付けていきます。マッケイ縫いは、足裏の感覚がダイレクトに伝わりやすく、屈曲性にも優れる製法です。

見た目はシンプルですが、ミシンの角度やテンション管理が難しく、確かな技術が求められます。クラシックな靴の雰囲気を損なわず、かつ実用性を高めるために最適な選択と言えるでしょう。

■ ヒール部のEVA成形

ミッドソールに続いて、ヒール部分もEVAスポンジで新たに製作します。既製品をそのまま使うのではなく、元のシルエットやバランスを意識しながら、丁寧に削り出して高さや形状を調整しました。

ゴルフシューズにおいてヒールの安定感は非常に重要です。スイング時の体重移動や歩行時のバランスを考慮し、過不足のないボリュームに仕上げています。

■ Vibram 419C スパイクレスソールの装着

アウトソールには、Vibram(ヴィブラム)社の419Cスパイクレスソールを採用しました。このソールは、グリップ力と耐久性のバランスに優れ、ゴルフ用途としても非常に評価の高いモデルです。

芝生の上でもしっかりとした安定感を発揮しつつ、スパイク特有の硬さがないため、歩行時の快適性も向上します。クラシックなアイコンの雰囲気とも相性が良く、違和感のない仕上がりになりました。

接着後は、全体のバランスや接地感を細かくチェックし、必要に応じて微調整を行って完成です。

■ 修理を終えて

こうして完成したフットジョイ・アイコンは、見た目こそクラシックなままですが、中身は現代的で実用性の高い一足へと生まれ変わりました。加水分解の不安から解放され、これからも長く安心して履いていただけます。

M様にも仕上がりをご確認いただき、「これならまた何年も使えそうですね」と嬉しいお言葉を頂戴しました。職人として、これ以上ない瞬間です。

古き良きものに新たな命を吹き込み、持ち主の思い出とともに未来へつなぐ。それこそが、私たち靴修理職人の使命だと改めて感じた一足でした。

長野県A様ご依頼|NIKE エア・ジョーダン1 加水分解によるエアークッション崩壊 ― オパンケ縫いで蘇らせた一足

長野県にお住まいのA様より、大切に履き続けてこられたNIKE エア・ジョーダン1の修理をご依頼いただきました。
今回お預かりした一足は、外観こそ比較的良好な状態を保っていたものの、経年劣化によるソール内部の深刻な加水分解が進行しており、歩行時には靴底から細かな粉が吹き出すような状態となっていました。

エア・ジョーダン1は、スニーカー史において極めて重要なモデルであり、単なる履き物以上の価値を持つ存在です。A様にとっても、長年履き込んできた思い入れのある一足であり、「可能な限り長く履き続けたい」という強いお気持ちが伝わってきました。
その想いに応えるべく、今回は内部構造まで踏み込んだ本格的な修復作業を行いました。


■ 症状の原因|エアークッションの加水分解

エア・ジョーダン1のソール内部には、クッション性を高めるためにポリウレタン系素材やエアークッション構造が使用されています。
これらの素材は、使用頻度に関わらず「時間の経過」そのものによって劣化が進むという特性を持っています。

特に日本のような高温多湿な環境では、

  • 空気中の湿気

  • 保管中の温度変化

  • 長期間の未使用

といった条件が重なることで、ポリウレタンは加水分解を起こし、
・弾力を失う
・粉状、またはスポンジ状に崩壊する
といった状態になります。

今回のジョーダン1も例外ではなく、アウトソール自体は形を保っているものの、内部のエアークッションが完全に崩壊し、歩行に耐えられない状態となっていました。


■ 修理工程①|慎重なソール分解作業

まず最初に行うのは、ソールの分解作業です。
エア・ジョーダン1は、一見シンプルな構造に見えますが、実際には複数の素材が積層され、接着剤で強固に固定されています。

無理に剥がすと

  • アッパーの革を傷める

  • ソール形状が歪む

といったリスクがあるため、温度管理を行いながら、時間をかけて丁寧に分解していきます。

分解後、内部を確認すると、予想通りエアークッション部分は加水分解により粉々になっており、本来のクッション機能は完全に失われていました。


■ 修理工程②|劣化素材の完全除去

次に重要なのが、劣化した素材を徹底的に取り除く作業です。
加水分解したポリウレタンが少しでも残っていると、
・新しい素材との接着不良
・再劣化の原因

となってしまいます。

そのため、

  • ブラッシング

  • 削り

  • 表面処理

を繰り返し、内部を“ゼロの状態”に戻すことを意識して下地処理を行いました。
この工程は見えない部分ですが、仕上がりと耐久性を大きく左右する、非常に重要な作業です。


■ 修理工程③|EVAスポンジによる新クッション製作

内部構造を整えた後、新しいクッション材としてEVAスポンジを採用しました。

EVAスポンジは

  • 軽量

  • 適度な弾力

  • 加水分解しにくい

  • 長期使用に強い

といった特性を持ち、今回のような修理には最適な素材です。

オリジナルの履き心地を意識しながら、
・厚み
・硬度
・足当たり

を微調整し、A様の足に自然に馴染むクッション形状を一から作り直しました。


■ 修理工程④|接着とオパンケ縫いによる補強

新しいクッションをセットした後は、高強度の専用接着剤を使用して圧着します。
しかし、スニーカー修理において接着のみでは、将来的な剥がれのリスクがゼロにはなりません。

そこで今回は、側面にオパンケ縫いを施しました。

オパンケ縫いとは、
ソール側面からアッパーと底材を直接縫い合わせる技法で、

  • 接着だけに頼らない構造

  • 剥がれにくさ

  • 見た目のアクセント

を同時に実現できる、非常に高度な修理技術です。

一針一針、ミシンのテンションと針角度を調整しながら、ジョーダン1のデザインを損なわないよう慎重に縫製しました。


■ 仕上がりと履き心地

すべての工程を終え、最終チェックを行った結果、

  • ソールの剛性感

  • クッションの反発力

  • 歩行時の安定性

いずれも良好で、実用に耐える一足へと完全に復活しました。

見た目はオリジナルの雰囲気を保ちつつ、内部構造は現代的で耐久性の高い仕様へと生まれ変わっています。


■ 最後に|大切な一足を、これからも

スニーカーは消耗品である一方、思い出や時間が詰まった「相棒」のような存在でもあります。
「もう履けないかもしれない」と感じた靴でも、適切な修理を行えば、再び日常で活躍させることが可能です。

A様のエア・ジョーダン1も、これからまた新しい時間を共に刻んでいくことでしょう。

加水分解やソール劣化でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
職人の技で、あなたの大切な靴に新たな息吹を吹き込みます。

倉敷市 A様 加水分解した ブランドストーンの靴底をオールソール交換修理しました

倉敷市にお住まいのA様より、ブランドストーン(Blundstone)サイドゴアブーツの修理をご依頼いただきました。


日常使いから街歩きまで幅広く活躍するブランドストーンのサイドゴアブーツは、履きやすさと耐久性を兼ね備えた人気モデルです。A様も長年このブーツを愛用されており、日々の生活の中で欠かせない一足として大切に履かれてきたそうです。

今回のご相談内容は、靴底の剥がれ
確認させていただいたところ、アウトソールだけでなく、内部のポリウレタン製ミッドソールが加水分解を起こしている状態でした。ポリウレタン素材は、クッション性や軽さに優れる一方で、経年や保管環境によって劣化が進みやすいという特性があります。

加水分解とは、空気中の湿気と化学反応を起こすことで、素材の分子構造が壊れてしまう現象です。
この症状が進行すると、ソールがボロボロと崩れたり、今回のように接着が効かなくなって剥がれてしまったりします。履いていなくても劣化が進む場合があるため、「久しぶりに履こうとしたら突然壊れた」というご相談も少なくありません。

A様のブーツも、外見上は比較的きれいな状態でしたが、内部では確実に劣化が進んでいました。
このようなケースでは、部分的な貼り替えや応急処置では根本的な解決にはなりません。そのため今回は、劣化したソールをすべて取り除き、新たに作り直すオールソール交換修理をご提案しました。

まずは既存ソールの分解作業から始めます。
加水分解したポリウレタンは非常に脆く、粉状になったり、粘ついたりと状態が安定しません。無理に剥がすとアッパー(甲革)を傷めてしまう恐れがあるため、状態を見極めながら、慎重に取り外していきます。

ソールを完全に除去した後は、靴底全体の下処理を行います。
劣化した素材の残りや古い接着剤を丁寧に取り除き、次に取り付けるミッドソールがしっかり密着するよう、底面を整えていきます。この工程は完成後には見えなくなる部分ですが、耐久性と履き心地を左右する非常に重要な作業です。

新たなミッドソールとして採用したのは、EVAスポンジ素材
EVAスポンジは軽量でクッション性が高く、加水分解のリスクが低い素材として知られています。歩行時の衝撃を和らげ、長時間歩いても疲れにくいため、街歩きや日常使いのブーツには非常に相性の良い素材です。

このEVAミッドソールは、接着だけに頼らず、マッケイ縫いによって靴本体にしっかりと固定しています。
マッケイ縫いは、インソールからアウトソールまでを一気に縫い通す製法で、軽さと屈曲性に優れるのが特徴です。サイドゴアブーツのように、脱ぎ履きが多く、歩行時の柔軟性が求められる靴には最適な構造と言えます。

アウトソールには、Vibram(ビブラム)528Kソールを使用しました。
このソールは、軽量でありながら耐摩耗性に優れ、安定したグリップ力を持つモデルです。街中のアスファルトやタイル路面でも安心して歩けるため、日常使いを想定した今回の修理内容にぴったりの選択となりました。

仕上がりは、見た目にも自然で、ブランドストーン本来のシンプルで実用的な雰囲気を損なうことなく完成しました。
履き心地も軽やかで、修理前よりも歩きやすく感じていただける仕上がりになっています。

靴は、私たちの日々の歩みを支える大切な道具です。
消耗品であることは確かですが、適切なタイミングで修理やメンテナンスを行えば、驚くほど長く使い続けることができます。特に今回のように、構造から見直したオールソール交換は、靴に新たな寿命を与える修理と言えるでしょう。

新品に買い替えるのではなく、履き慣れた靴を修理して使い続けることは、経済的なメリットだけでなく、環境への配慮にもつながります。
そして何より、足に馴染んだ一足をこれからも履き続けられるという安心感は、何ものにも代えがたいものです。

A様のブランドストーンも、今回の修理によって再び安心して街へ出かけられる相棒として生まれ変わりました。
これからも、日々の歩みを支える一足として、存分に活躍してくれることと思います。

この度は、大切なブーツの修理をご依頼いただき、誠にありがとうございました。
靴の修理やメンテナンスについて、気になる点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

ホームページを公開しました!

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

倉敷市 A様 Rossi ロッシ サイドゴアブーツ 加水分解したソールを オールソール交換修理した

倉敷市にお住まいのA様より、大切に履き続けてこられた Rossi(ロッシ)サイドゴアブーツ の修理をご依頼いただきました。


今回のご相談内容は、ブーツのソール部分に起きた 加水分解による深刻な劣化。見た目以上に内部が傷んでおり、部分的な補修では対応が難しい状態だったため、オールソール交換修理を行うことになりました。

このRossiのサイドゴアブーツは、長年にわたりA様の日常を支えてきた一足。
通勤や外出、時には多少ハードな環境でも履かれていたとのことで、ブーツとしては「本来あるべき使われ方」をしてきた靴だと感じました。履きジワや革の表情からも、単なるファッションアイテムではなく、生活の中にしっかりと溶け込んだ相棒であることが伝わってきます。

しかし、どんなに大切に履いていても避けられないのが、ソール素材の経年劣化です。
特に今回のように、ソール内部にポリウレタン系素材が使われている場合、空気中の湿気と化学反応を起こし、時間の経過とともに分子構造が壊れていきます。これが「加水分解」と呼ばれる現象で、外見上は問題がなさそうでも、突然ボロボロと崩れたり、接着が効かなくなったりするのが特徴です。

A様のブーツも、アウトソールだけでなく、その下のミッドソール部分まで劣化が進行していました。
この状態では、表面だけを貼り替えても長くは持ちません。そこで今回は、劣化したソール一式を完全に取り除き、構造から作り直すオールソール交換を行う判断をしました。

まず最初の工程は、既存ソールの分解作業です。
加水分解した素材は、通常のゴムや革と違い、非常に脆く、かつ粘つきが残ることがあります。そのため、力任せに剥がすとアッパー(甲革)を傷めてしまう危険があります。
状態を確認しながら、熱を加え、少しずつ、革に負担をかけないよう慎重に除去していきました。

ソールを取り外した後は、靴底全体のクリーニングと下処理を行います。
劣化した素材の残骸や古い接着剤を丁寧に取り除き、次に取り付けるミッドソールがしっかりと密着するよう、底面を整えていきます。この工程は見えない部分ではありますが、仕上がりの耐久性を大きく左右する非常に重要な作業です。

今回、新たにミッドソールとして使用したのは EVAスポンジ素材
EVAは軽量でクッション性が高く、加水分解のリスクが低い素材です。歩行時の衝撃をしっかり吸収しつつ、長時間履いても疲れにくいため、日常使いのブーツには非常に相性が良い素材と言えます。

このEVAミッドソールは、単に接着するだけでなく、マッケイ縫いによって靴本体にしっかりと固定しました。
マッケイ縫いは、インソールからアウトソールまでを一気に縫い通す製法で、軽さと屈曲性に優れるのが特徴です。サイドゴアブーツのように、歩きやすさと足馴染みが重要な靴には非常に適した構造となります。

縫製後、最終仕上げとして取り付けたアウトソールは Vibram(ビブラム)1136ソール
このソールは、耐摩耗性に優れ、グリップ力と安定感のバランスが非常に良いモデルです。日常的にガシガシ履く方や、舗装路・多少ラフな路面を問わず使用される方には特におすすめできるソールです。

見た目にもRossiの無骨さと相性が良く、ブーツ全体の雰囲気を損なうことなく、むしろより「道具感」のある佇まいに仕上がったのではないかと思います。
新品のように生まれ変わりながらも、長年履き込まれたアッパーの表情はそのまま残り、まさに「再生された一足」となりました。

修理後は、構造的にも強度が向上しており、これから先も安心して履き続けていただけます。
新品を買い替えるという選択肢もある中で、思い入れのある靴を修理して使い続けるという決断は、決して簡単なものではありません。しかし、その選択には、ものを大切にする気持ちや、履き慣れた一足への愛着が詰まっています。

靴修理という仕事をしていて感じるのは、「修理=延命」ではなく、「修理=価値の再発見」だということです。
今回のRossiサイドゴアブーツも、オールソール交換によって、これから先の時間を再びA様と共に歩んでいく準備が整いました。

ぜひ、これからも遠慮なく、ガシガシ履いていただければと思います。
履き込んで、またソールが減ったら、その時は再び手を入れればいい。そうやって付き合っていけるのが、良い靴、そして修理できる靴の魅力です。

この度は、大切なブーツの修理をお任せいただき、誠にありがとうございました。
また何かございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

Foot Joy ドライプレミアム スパイクレス化オールソール交換修理事例(東京都i様)

こんにちは。岡山県倉敷市で靴修理を行っております。当店では、革靴からスニーカー、ブーツ、ゴルフシューズまで、幅広いジャンルの靴修理を承っております。今回は、東京都よりご依頼をいただいた I様の FootJoy(フットジョイ)ドライプレミアム の修理事例をご紹介いたします。

今回の修理は、ハーフソールラバーおよびソフトスパイク部分の加水分解が進行してしまったことをきっかけに、スパイクレス化を含むオールソール交換修理を行った内容となります。ゴルフシューズならではの構造や、修理にあたっての注意点、仕上がり後の変化についても詳しくご紹介していきますので、同様のお悩みをお持ちの方はぜひ参考になさってください。


ご依頼の靴について

今回お預かりしたのは、FootJoyの中でも高い評価を受けている「ドライプレミアム」シリーズのゴルフシューズです。防水性・フィット感・安定性に優れ、長時間のラウンドでも疲れにくい設計が特徴で、多くのゴルファーに愛用されているモデルです。

I様もこの靴を大変気に入っておられ、長年大切に履かれてきたとのことでした。しかし、ある時から歩行時に違和感を覚えるようになり、ソール周りを確認したところ、ハーフソールラバーとソフトスパイクが劣化し、ボロボロと崩れてきている状態に気づかれたそうです。


加水分解によるトラブル

ゴルフシューズに多く使用されているラバーやポリウレタン系素材は、経年や保管環境の影響により「加水分解」を起こすことがあります。加水分解とは、空気中の水分と化学反応を起こし、素材が分解・劣化してしまう現象です。

今回のドライプレミアムも例外ではなく、ハーフソールラバーは弾力を失い、触ると崩れ落ちる状態でした。ソフトスパイクも固定力が低下し、プレー中の安定性に影響が出る恐れがある状況です。この状態では部分修理では対応が難しく、オールソール交換修理が最善と判断しました。


スパイクレス化という選択

I様とのご相談の中で話題に上がったのが、「スパイクレス化」という選択肢です。従来のソフトスパイク仕様は、芝生でのグリップ力に優れる反面、スパイク部分の劣化や交換の手間が発生します。

一方、スパイクレスソールは、

  • 軽量で足運びが楽
  • 歩行時の違和感が少ない
  • メンテナンス性が高い
  • 普段履き感覚で使いやすい

といったメリットがあります。最近ではプロ・アマ問わずスパイクレスを選ぶゴルファーも増えており、実用性の高さが評価されています。

I様も「これを機に履き心地を重視したい」とのご希望をお持ちだったため、スパイクレス仕様でのオールソール交換をご提案し、施工することとなりました。


修理工程のご紹介

まずは、劣化したアウトソール・ハーフソールラバー・スパイク関連部材をすべて取り外します。加水分解した素材は非常にもろく、無理に剥がすとアッパーを傷めてしまうため、状態を見極めながら慎重に分解作業を進めます。

次に、靴底全体の下地処理を行います。古い接着剤や劣化素材の残りを丁寧に除去し、平滑な状態を作ることで、新しいソールとの接着強度を高めます。この工程を怠ると、せっかく新しいソールを取り付けても剥がれの原因となるため、非常に重要な作業です。

下地が整った後、選定したスパイクレスソールを取り付けます。接着には専用の強力な接着剤を使用し、圧着・乾燥を十分に行うことで、ゴルフシューズとして求められる耐久性と安定性を確保します。


仕上がりと履き心地の変化

修理完了後のドライプレミアムは、見た目にもすっきりとした印象に生まれ変わりました。スパイクがなくなったことで、ソール全体の一体感が増し、非常にスマートな仕上がりです。

実際に履いた際の変化として、

  • 靴全体が軽く感じられる
  • 歩行時の動きがスムーズ
  • 足裏の当たりが柔らかい

といった点が挙げられます。I様からも「以前よりも足が自然に前に出る感じがする」「ラウンド後の疲れが軽減されそう」と嬉しいご感想をいただきました。


修理で得られるもう一つの価値

靴修理の魅力は、単に「壊れた部分を直す」だけではありません。今回のように仕様を変更することで、履き心地や使い勝手を向上させることができる点も大きなメリットです。

お気に入りの靴を買い替えることなく、自分のライフスタイルや用途に合わせてアップデートできる。それこそが、修理ならではの価値だと私たちは考えています。


最後に

今回ご紹介した FootJoy ドライプレミアムのスパイクレス化オールソール交換修理は、加水分解によるトラブルを解消すると同時に、履き心地を大きく向上させる結果となりました。

ゴルフシューズのソール劣化や、スパイクのトラブルでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。状態やご希望に応じて、最適な修理方法をご提案いたします。

倉敷市の靴修理店として、これからも一足一足と真摯に向き合い、**「安心して長く履ける靴」**をお届けしてまいります。お気に入りの一足を、もう一度快適に蘇らせてみませんか。

福岡県 D様 Joya ジョーヤ ウォーキングシューズ 加水分解しポリウレタンソール EVAスポンジで作り直す

福岡県のD様よりお預かりしたのは、独自の履き心地で根強いファンを持つJoya(ジョーヤ)のウォーキングシューズです。
ジョーヤといえば、足への衝撃を和らげるクッション構造と、長時間歩いても疲れにくい設計で知られており、日常のウォーキングから旅行、立ち仕事まで幅広く活躍する一足として高く評価されています。

今回ご依頼いただいた内容は、オールソール交換修理
症状を確認すると、ジョーヤ特有の厚みのあるポリウレタン製ミッドソールが加水分解を起こし、弾力を失って崩れ始めている状態でした。

■ ポリウレタンミッドソールの宿命「加水分解」

ポリウレタン素材は、
・軽量
・クッション性が高い
・成形自由度が高い
といった優れた特性を持つ一方で、湿気や経年によって加水分解を起こしやすいという弱点があります。

特にウォーキングシューズは、
毎日の使用頻度が高く、
汗や雨、路面からの湿気を受けやすいため、
数年経過すると見た目がきれいでも内部から劣化が進んでいることが少なくありません。

D様のシューズも、アッパー(甲革)の状態は良好で、
「まだまだ履けるのに、ソールだけがダメになってしまった」
という、まさにオールソール交換に最適な状態でした。

■ 修理の方向性:EVAスポンジで再構築するミッドソール

今回の修理では、劣化したポリウレタンミッドソールを完全に除去し、
代わりにEVAスポンジを積み重ねてミッドソールを新たに構築する方法を採用しました。

EVAスポンジは、

  • 加水分解しにくい

  • 軽量で安定したクッション性

  • 加工がしやすく、形状再現性が高い

といった特徴があり、修理靴において非常に信頼性の高い素材です。

ただし、単純に平らなEVAを貼るだけでは、
ジョーヤらしい独特の丸みと曲線的なフォルムは再現できません。

■ 「積み重ね」と「削り」で元の曲線を再現

まずは複数枚のEVAスポンジを積層し、
オリジナルソールの高さ・傾斜・前後バランスを意識しながら接着します。

その後、
グラインダーや手作業を併用して丁寧に削り込み、
元のジョーヤに近い自然なカーブとボリューム感を作り出していきます。

この工程は見た目以上に繊細で、
削りすぎればクッション性が損なわれ、
削りが足りなければ野暮ったい印象になってしまいます。

「履き心地」と「外観」の両立を目指し、
一足ごとに状態を見極めながら調整を重ねていきます。

■ アウトソールにはTOPY社クロコ柄ソールを採用

ミッドソールが完成した後、アウトソールにはTOPY社製のクロコ柄ソールを取り付けました。

このソールは、

  • 適度なグリップ力

  • 安定感のある接地感

  • ウォーキング用途に適した耐摩耗性

を備えており、実用性とデザイン性のバランスに優れています。

クロコ柄の型押しは、
スポーティーになりすぎず、
かといって重たい印象にもならないため、
ジョーヤの落ち着いたデザインとも相性が良く、
オリジナルに近い雰囲気を保ちながら仕上げることができました。

■ 修理完了:歩くための靴として、再び現役へ

すべての工程を終えたジョーヤのウォーキングシューズは、
見た目にも履き心地にも、新しい命が吹き込まれた一足となりました。

EVAスポンジによるミッドソールは、
適度な反発力と安定感を備え、
長時間歩行時でも足裏への負担をやさしく受け止めてくれます。

また、アウトソールのグリップ性能により、
街歩きや旅行、日常の外出でも安心して使用できる状態です。

■ 修理するという選択がもたらす価値

お気に入りの靴を修理することは、
単に「直す」という行為以上の意味を持っています。

  • 足に馴染んだ履き心地を維持できる

  • 廃棄を減らし、環境負荷を抑えられる

  • 思い出や愛着をそのまま次の時間へつなげられる

特にウォーキングシューズは、
「自分の足と一緒に時間を重ねてきた道具」だからこそ、
修理によって再び活躍できる喜びは格別です。

■ 足元から、また新たな一歩を

D様のジョーヤは、
これからまた日々のウォーキングやお出かけの相棒として、
しっかりと役目を果たしてくれることでしょう。

靴が生まれ変わる瞬間に立ち会えることは、
私たち修理を行う側にとっても大きなやりがいです。

「まだ履きたい」
「この靴じゃないとダメ」
そんな想いを、これからも形にしていけるよう、
一足一足、心を込めて修理を行っていきます。

お気に入りの靴のことでお困りの際は、
どうぞお気軽にご相談ください。
足元から始まる新しい一歩を、全力でサポートいたします。

富山県 S様 FootJoy フットジョイ アイコンモデル 加水分解によりソフトスパイク交換式にて オールソール交換修理

富山県のS様よりお預かりしたのは、ゴルフシューズの中でも不動の評価を得ているフットジョイ「アイコン」モデル
上質な天然皮革をふんだんに使用し、履き心地・フィット感・安定性のすべてにおいて一流と呼ぶにふさわしい一足です。

しかし、どれほど優れたシューズであっても避けて通れない経年劣化があります。
今回の症状は、ゴルフシューズでは比較的よく見られるソールの加水分解。アウトソールおよび内部素材が湿気や経年によって化学変化を起こし、弾力を失って崩れてしまう現象です。

■ 一流シューズでも起こる「加水分解」という現実

S様のアイコンモデルも、見た目は非常にきれいな状態を保っていましたが、アウトソールに触れると違和感があり、実際に確認するとソール内部が脆くなり、剥離と崩壊が始まっている状態でした。

ゴルフシューズは、
・歩行
・スイング時の体重移動
・踏ん張り
といった複雑な動きを繰り返し受け止めるため、ソールへの負担が非常に大きい履物です。
そのため、加水分解が進んだ状態で使用を続けると、プレー中に突然ソールが剥がれたり、スパイクが効かなくなる危険性もあります。

「まだ履けそうだから」と我慢して使い続けるよりも、状態の良いうちにしっかりとした修理を行うことが、結果的にシューズを長持ちさせる最善策になります。

■ 今回の修理方針:本革ソール+ソフトスパイク交換式

S様とご相談のうえ、今回は本革ソールをベースにしたソフトスパイク交換式のオールソール交換修理を行うことになりました。

本革ソールを採用する最大のメリットは、

  • 足裏への当たりが柔らかく、長時間のラウンドでも疲れにくい

  • ゴルフシューズらしいしなやかな屈曲性を確保できる

  • 適切なメンテナンスを行えば、非常に長寿命

といった点にあります。

さらに、ソフトスパイク交換式にすることで、
スパイクが摩耗した際にはソール全体を交換する必要がなく、スパイクのみの交換で性能を維持できます。
これは、今後も長くこの一足を愛用したい方にとって、大きなメリットです。

■ 分解作業と下地処理

まずは、加水分解を起こしている既存ソールを完全に分解・除去します。
この工程が不十分だと、新しいソールを取り付けても接着不良や早期トラブルの原因になります。

劣化した素材はボロボロと崩れやすく、きれいに除去するには根気と経験が必要です。
中底の状態も慎重に確認し、必要な補修と下処理を施したうえで、次の工程へ進みます。

■ メスネジのセットとマッケイ縫い

今回の修理の大きなポイントが、ソールおよびヒール部分へのメスネジの設置です。

ソフトスパイク仕様にするためには、
スパイクをしっかり固定できる土台が不可欠です。
本革ソール内部に正確な位置でメスネジをセットし、スパイクの脱着を繰り返しても緩みにくい構造を作ります。

その後、マッケイ縫いによって本革ソールを靴本体に直接縫い付けます。
マッケイ製法は、ソールとアッパーをダイレクトにつなぐため、

  • 軽量

  • 屈曲性が高い

  • 足裏感覚が良い

という特徴があり、ゴルフシューズとの相性も抜群です。

ヒール部分にも同様にメスネジをしっかりと設置し、歩行時・スイング時の安定感を確保しました。

■ 修理完了:新しい命を得たアイコンモデル

すべての工程を終えたフットジョイ アイコンは、
見た目にも機能面にも完全に生まれ変わった一足となりました。

しなやかな本革ソールは足の動きに自然に追従し、
スイング時には地面をしっかりと捉え、安定した体重移動をサポートします。

ソフトスパイク仕様のため、
・グリップ力
・交換のしやすさ
・ランニングコスト
のバランスも非常に優秀です。

■ 修理という選択が、ゴルフライフを豊かにする

お気に入りのゴルフシューズを修理することは、単なる延命ではありません。
自分の足に馴染んだ一足を、最高の状態で使い続けるための前向きな選択です。

今回のS様のように、
「良いものを、きちんと直して長く使う」
という考え方は、ゴルフそのものの楽しみ方にも通じるものがあります。

新しい命を得たフットジョイ アイコンとともに、
これからもゴルフコースで思い切りスイングし、快適な歩行と安定したプレーを楽しんでいただければと思います。

次回のラウンドが、より楽しく、より充実したものになりますように。
このたびは大切な一足をお任せいただき、誠にありがとうございました

Translate »