ブログ|いずみ靴店

オフィシャルブログ

神奈川県 H様ご依頼 JOYA(ジョーヤ)ウォーキングシューズ 加水分解 EVAスポンジ マッケイ縫い TOPY クロコ柄ソール

加水分解したソールのオールソール交換修理

このたび神奈川県在住のH様よりご依頼いただいたのは、スイス発のコンフォートブランド「JOYA(ジョーヤ)」のウォーキングシューズの修理です。ジョーヤは、その柔らかさとクッション性の高さから、中高年層を中心に絶大な支持を得ているブランドです。

特に膝や腰への衝撃を軽減してくれるという設計思想から、日常のウォーキングや長時間の立ち仕事に最適な一足。しかし、その一方で柔らかいソール材質は経年劣化しやすく、「加水分解」によるダメージが生じることが少なくありません。

今回は、まさにその典型的な症例である「ソールの加水分解による破損」への対応として、EVAスポンジを使用したオールソール交換修理を実施いたしました。以下、工程を詳しくご紹介いたします。


■ ご依頼の経緯と状態の確認

H様は長年こちらのジョーヤシューズをご愛用で、ウォーキングや日常のお出かけなど、週に数回ペースでご使用されていたとのこと。しかしある日、靴底に違和感を感じて確認したところ、ソールの一部が割れて剥がれ始めていたとのことでした。

ご自身で調べられた結果、「加水分解による劣化ではないか」と推測され、当店にご相談くださいました。

実際にお預かりした靴を確認すると、アウトソールおよびミッドソールに使用されているウレタン素材が部分的にひび割れ、崩壊を起こしている状態でした。特にヒール部分の損傷が大きく、元のソール形状も不明瞭なほどでした。


■ 加水分解とは?

加水分解(hydrolysis)とは、ウレタンなどの合成樹脂素材が、空気中の水分と化学反応を起こすことで分解・劣化していく現象のことです。湿気や温度の変化、保管環境によって進行速度が異なりますが、特に数年放置されたシューズや長期間履かずに保管されていた靴によく見られます。

加水分解が進むと、靴底が柔らかく崩れたり、表面にひび割れが生じたりし、最終的にはソールが剥がれたり割れたりして使用不能になります。


■ 修理方針の決定

この状態に対して、単純な部分修理では再発のリスクが高く、見た目の仕上がりにもムラが出てしまうことが想定されたため、今回は「オールソール交換」による全面的なリフレッシュを選択しました。

今回の修理でのポイントは以下の3点です:

  1. 元のソールに近い柔らかさと厚みを再現する

  2. 歩行時のローリング感(前後の反り)を損なわない曲線設計

  3. ジョーヤらしい「美観」と「高級感」を両立させる素材選定


■ 修理工程の詳細

① ソールの完全除去

まずは加水分解した元のソール全体を取り除く作業から始めます。
ジョーヤのソールは複数の層で構成されており、特にミッドソールとアウトソールの接着が強力なため、専用の剥離工具を用いて慎重に分離していきます。

加水分解が進んでいるとはいえ、部分的には固着している箇所もあり、アッパー(靴本体)を傷つけないよう慎重を期します。すべての旧素材を剥がし終えたあと、底面を平滑に整え、新たなミッドソールの取り付け準備に入ります。


② EVAスポンジのミッドソールをマッケイ縫いで接合

次に、EVAスポンジ素材のミッドソールを新たに取り付けます。
EVAは軽量かつ弾力性に優れており、ジョーヤの柔らかい履き心地を再現するのに最適な素材です。

今回のモデルは、ウレタンソールを接着してあるモデルでしたが、新たなミッドソールはマッケイ縫いを施しました。マッケイ縫いとは、アッパー・インソール・ミッドソールを一度に貫通するように縫い上げる手法で、しなやかな履き心地と一体感をもたらします。


③ EVAスポンジの積層と削り出しによる厚底再現

ミッドソールの取り付けが完了したら、さらにEVAスポンジを積み重ねて厚みを確保し、元のジョーヤのソールに近い「ラウンド形状(曲面)」を作り出します。

この作業は一足ごとに異なる感覚が求められる繊細な工程です。特にジョーヤのシューズは、前足部と踵部の高低差が絶妙に設計されており、それを忠実に再現するには熟練した削り出し技術が不可欠です。

ベルトサンダーを使い、数ミリ単位で削り込むことで、自然なローリング歩行ができる形状を形成していきます。


④ アウトソールにTOPY社製クロコ柄ソールを装着

ソール形状が整ったら、仕上げとしてフランスのTOPY(トピー)社製のクロコ柄ラバーソールを装着します。

TOPY社は世界的に評価されているソールメーカーで、耐摩耗性・防滑性・デザイン性のバランスが非常に優れています。特にこのクロコ柄は、シックで大人っぽい印象を与えるため、コンフォートシューズのような実用靴にも「上品な雰囲気」を与えてくれます。

今回のモデルでは、ソールの張り出しが少ないため、側面の巻き込み処理は不要でした。仕上がりは非常にスマートで、まるで元々このソールがついていたかのような自然な完成度となりました。


■ 修理後の状態とお客様の声

修理後、H様にお届けしたところ、

「新品のように蘇っていてびっくりしました」
「履き心地も以前の柔らかさそのままで、安心しました」
「クロコ柄がとても気に入りました」

との嬉しいお声をいただきました。

実用性を追求するだけでなく、「履いていて気分が上がる」というのも靴にとって大切な要素です。そうした面でも、ご満足いただける仕上がりとなったことを私たちも嬉しく思っております。


■ まとめ:高機能靴にも対応する熟練の技術で「再生」を

今回のように、JOYAやMBTなど「特殊構造の機能系シューズ」は、修理対応が難しいとされるケースも少なくありません。しかし、当店では構造や製法をしっかりと理解し、マッケイ縫い・積層成形・意匠素材選定など、多角的な技術で一足一足に対応しております。

他店で断られてしまった靴も、ぜひ一度ご相談ください。ソールの再生から履き心地の調整まで、お客様の「もう一度履きたい」を叶えます。


■ 店舗情報

  • いずみ靴店

  • 岡山県倉敷市玉島

  • 全国からの配送修理受付中

広島県 H様ご依頼:BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)サンダルのバックルを美錠ホックに改造

このたび、広島県在住のH様よりご依頼をいただきましたのは、ドイツの有名サンダルブランド「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」の一足についての改造でした。

ご相談内容は、「カシメで固定されているバックルを取り外し、美錠ホックに改造して脱ぎ履きの手間を軽減したい」というものでした。

ビルケンシュトックのサンダルは、その堅牢な構造と整形外科的観点から設計されたフットベッドにより、長時間履いても疲れにくいと多くのユーザーに愛されています。ところが、構造がしっかりしている分、ベルトの締め付け・調整も堅牢で、場合によってはそれが「脱ぎ履きの煩わしさ」につながってしまうこともあります。

今回のように、バックルの使い勝手に不便を感じているお客様に対して、「美錠ホック」への改造をご提案・施工することで、利便性を格段に向上させることが可能になります。


■ ご相談のきっかけ

H様は、普段からビルケンシュトックのサンダルを愛用されている方で、特に春夏の季節にはほぼ毎日のようにご使用とのこと。しかし、足の甲を固定するためのベルトが「バックル式」になっており、着脱のたびに一度バックルを外し、また締め直す必要があるのが大きなストレスになっていたとお聞きしました。

特に外出先や仕事の場面で、素早く脱ぎ履きすることが求められる場面では、バックルの仕様が不便に感じられることが多かったようです。


■ ビルケンシュトックの構造とバックル部

今回お預かりしたサンダルは、一般的なBIRKENSTOCKの定番モデルに見られる「二本ベルト」のタイプで、両足甲の部分に金属製のバックルがカシメ留め(リベット固定)されていました。

このカシメ構造は、強度面では非常に優れている一方で、簡単に取り外したり交換したりすることができません。バックルのベルト穴に毎回通す操作も、手先の細かな作業が必要になります。

これを「ワンタッチで開閉可能なホック式」にすることで、サンダルの使用感を大幅に改善できると考えられます。


■ 美錠ホックとは?

「美錠ホック」とは、見た目は通常のバックルとほとんど変わらず、構造的にはスナップホックのような機能を持った部品のことを指します。

ベルトに取り付ける「メス側」と、土台に取り付ける「オス側」に分かれており、押し込むだけでカチッと留まり、外す際も軽く引くだけで解除できる優れものです。これにより、通常のバックルのようなベルト穴への通し作業が不要となり、着脱が大変スムーズになります。

また、美錠ホックは見た目にもシンプルでスマートな印象があり、サンダルのデザイン性を損なうこともありません。


■ 改造の手順

以下は、今回の施工における作業の流れとなります。


① カシメの取り外し

まず、既存のバックルを本体から取り外すために、カシメ部分を慎重に削り取りました。
ビルケンシュトックのようにしっかりと作られた製品では、リベットの取り外しにも力と技術が必要です。革にダメージを与えないよう、専用工具を使用しながら一つずつ丁寧に作業を進めました。


② 美錠ホックの取り付け

次に、バックルの裏側に「美錠ホックのメス側」を加工取り付けします。このとき、ホックの位置が元のベルトの可動範囲と合うよう、細かく微調整を行います。ずれが生じると装着時に違和感が出るため、何度も仮組みを行いながら慎重に調整しました。


③ 本体へのホックオスの設置

バックルがもともと固定されていた位置には、美錠ホックの「オス側」をしっかりと取り付けます。こちらも金属製のパーツを専用工具とともに用いて、抜けやガタつきがないよう確実に固定しました。


④ 最終確認と仕上げ

全体のバランスを確認し、左右での高さや締め具合に差がないかをチェックします。実際にサンダルを履いた状態を再現し、ホックの開閉がスムーズかつ確実に行えることを最終確認。

すべての工程が終わったら、レザー部分に軽くオイルを入れて仕上げを施し、完成です。


■ 改造後の使用感とメリット

美錠ホックに改造したことで、サンダルの脱ぎ履きが劇的に簡単になりました。

  • 片手でのワンタッチ開閉が可能

  • ベルト穴に通す必要がないため、時短

  • 見た目がほとんど変わらず、違和感がない

  • 手の力が弱い方や高齢の方にも優しい構造

特に「履いたり脱いだりの回数が多い方」「靴の着脱にストレスを感じていた方」には、非常におすすめのカスタムです。


■ まとめ:使いやすさを追求する修理・改造のご提案

いずみ靴店では、靴の修理だけでなく「使いやすさを向上させるためのカスタム」や「お客様の生活に寄り添った実用的な改造」にも力を入れています。

BIRKENSTOCKのような信頼あるブランドサンダルであっても、使用シーンや個人の好みによって「もっとこうだったら便利なのに…」というご要望は必ずあります。そうした声に丁寧に向き合い、一足一足に最適な方法をご提案いたします。


もしお手持ちのサンダルやシューズで同じようなお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。全国からの修理依頼・配送受付も可能です。


■ 店舗情報

  • いずみ靴店

  • 岡山県倉敷市玉島

  • #靴修理 #美錠ホック #ビルケンシュトック改造 #いずみ靴店 #倉敷市玉島#BIRKENSTOCK #サンダルリメイク

富山県K様よりご依頼|POLO デッキシューズ オールソール修理

富山県K様よりご依頼|POLO デッキシューズ オールソール修理

このたび、富山県にお住まいのK様より、POLO(ポロ)ブランドのデッキシューズの修理をご依頼いただきました。

長年ご愛用されていた一足ということで、靴本体には履き込んだ味わいと愛着が滲んでおり、「なんとかもう一度履けるようにしたい」という強い想いを感じ取ることができました。ご依頼の内容は、ソールの硬化と割れによる歩行困難の改善と、ご本人のデザイン要望に応えた意匠の再構築です。

今回はオリジナルの構造が特殊であったこと、そして代替となる既製パーツが存在しないという点において、修理の難易度はやや高めでしたが、丁寧に対応させていただきました。


◆ 修理前の状態:ソールの劣化と構造上の課題

今回お預かりしたPOLOのデッキシューズは、長年にわたり使用されたことでアウトソールが著しく劣化し、硬化から割れを起こしている状態でした。

劣化したソールの素材は、おそらくEVA(エチレン酢酸ビニル)やTPR(熱可塑性ゴム)といった軽量で柔軟な合成樹脂系で、時間の経過や温度・湿度の影響により加水分解や樹脂の硬化・脆化が進行していたと考えられます。これらは構造上の崩壊を招きやすく、ある時突然ひび割れたり崩れ落ちたりするという事例が少なくありません。

加えて、このデッキシューズのソールは靴本体にマッケイ縫いで直接縫い付けられている特殊構造であり、一般的な接着剤だけで取り付けられたソールとは一線を画していました。つまり、ソールが単体のパーツではなく、アッパーと構造的に一体化しているため、単純な貼り替えでは修理が成立しないのです。


◆ オリジナルソールの問題点と代替手段の選定

今回の修理で大きな課題となったのは、オリジナルのような「マッケイ縫いが可能なデッキソール」が市販されていないという点でした。

一般に流通しているデッキシューズ用のソールは、ほとんどが接着用で、縫い付けを前提としていません。これでは従来の構造を再現することができず、通常のリペア手法では対応が難しいケースといえます。

そこで採用したのが、「ミッドソールを新たに縫い付けて基礎を作る」という方法です。


◆ 修理内容の詳細:ミッドソールを追加し、機能と意匠を両立

① ミッドソールの取り付け(マッケイ縫い)

まず、オリジナルの劣化したソールを丁寧に除去し、アッパーの下部を整形したうえで、新たにレザー製のミッドソールを取り付けます。これをマッケイ縫いにより本体と一体化させ、接着だけでは得られない安定性と耐久性を確保しました。

この工程により、靴本体がしっかりとした「土台」を取り戻し、次に取り付けるアウトソールを安定して受け止める構造が完成します。


② アウトソールには Vibram 2303(茶系)を採用

アウトソールには、Vibram(ビブラム)2303を採用しました。Vibram 2303は、デッキシューズやボートシューズに最適な設計で、以下のような特長があります:

  • フラットで柔軟性があり、屈曲性が高い

  • グリップ性能に優れ、濡れた甲板や街中でも滑りにくい

  • 軽量で足への負担が少なく、長時間の歩行にも適する

  • 耐摩耗性に優れており、日常使用に安心

お客様のご希望として、「オリジナルは白系のソールだったが、今回は茶系で仕上げたい」とのリクエストがありました。そのため、2303の中でも落ち着きのあるブラウン系カラーを選定。アウトドア・カジュアルにも馴染みやすい、温かみのある仕上がりとなりました。


③ ウェルトには白系パーツを使用し、デザインバランスを調整

完全な茶系ソールにするのではなく、オリジナルの面影を残すために、ウェルト部分(縫い合わせのフチ)には白系の素材を使用。これにより、全体の印象が重くなりすぎることなく、元の雰囲気を程よく残したカスタム修理となっています。

ウェルトの白がアクセントとして映え、靴全体の立体感を引き出してくれる効果もあります。ブランドの持つ「クリーンで爽やかな印象」を再構築するという点でも、このデザイン選定は非常に効果的でした。


◆ 仕上がりの印象と歩行性能

修理後のデッキシューズは、見た目の印象を損なわず、むしろ落ち着きと高級感を加えた仕上がりとなりました。しっかりとしたミッドソールによって構造的な安定性が生まれ、Vibram2303のソールが滑りにくさ・屈曲性・快適性を提供しています。

デッキシューズ特有の「軽やかさ」や「足との一体感」を保ちつつ、オリジナルの問題点であった耐久性の不安や滑りやすさが大きく改善され、実用性が高まりました。

今回の修理は、構造上の難点を乗り越えつつ、デザイン性・履き心地・安全性を総合的に向上させる内容となりました。


◆ POLOブランドの持つ魅力を再発見する修理

POLO(ポロ)は、ラルフ・ローレン氏が立ち上げたアメリカン・カジュアルの象徴ともいえるブランドで、その製品にはスポーツマインドとクラシカルな美意識が融合しています。今回のデッキシューズも、そのDNAを色濃く反映しており、「単なる靴」ではなく、着こなしの一部としての完成度を感じさせてくれる一足でした。

しかし、機能面での限界を感じた際に、ただ手放すのではなく、「修理して履き続ける」という選択をされたK様のご判断は、まさに物を大切にし、共に過ごした時間を尊重する心の表れだと感じます。


◆ まとめ:マッケイ縫いの特殊構造に対応した、デザイン重視の修理事例

今回の修理は、以下のようなポイントで構成されていました:

  • ソール割れ・加水分解による構造劣化への対応

  • オリジナル構造(マッケイ縫い直付け)に対し、ミッドソール追加による対応策

  • Vibram2303による滑りにくく柔軟なアウトソールへの変更

  • お客様のご要望に応じた色味カスタム(白ウェルト+茶系ソール)

こうした総合的な判断と施工によって、K様のPOLOデッキシューズはかつての雰囲気を残しながらも、より履きやすく、タフな一足へと再生しました。

いずみ靴店では、このような特殊な構造やブランド特有の意匠を大切にしながら、「履く人の望む履き心地とスタイル」に寄り添う修理を目指しております。


【関連タグ】

#いずみ靴店
#倉敷市玉島
#富山県
#POLO
#ポロ
#デッキシューズ
#オールソール修理
#ソール割れ
#加水分解
#マッケイ縫い
#EVAスポンジ
#ミッドソール
#Vibram2303
#靴修理専門店
#カスタム修理
#靴底張替え

神奈川県 T様ご依頼|asics PEDALA(アシックス ペダラ)スニーカー ソール張替え修理

神奈川県 T様ご依頼|asics PEDALA(アシックス ペダラ)スニーカー ソール張替え修理

このたび神奈川県のT様より、アシックスが誇る高機能コンフォートスニーカー「PEDALA(ペダラ)」のソール張替え修理をご依頼いただきました。

「歩きやすい靴」として多くのファンを持つペダラは、日本の靴作りの技術力と機能性を象徴する一足です。足に負担の少ない履き心地、安定感のある構造、そしてどんな服装にも合わせやすいデザイン。長時間の歩行でも疲れにくいことから、旅行や街歩き、日常の移動用として多くの方に愛されています。

しかし、どれほど優れた靴であっても、使い込めば靴底(アウトソール)は必ず摩耗します。今回のご依頼でも、まさにその「ソールの摩耗」がきっかけでした。以下に、修理前の状態から施工内容、仕上がりのポイントまでをご紹介いたします。

◆ 修理前の状態:ソール面の摩耗と滑りやすさ

ご依頼いただいたペダラは、全体として非常に大切に履かれていた印象で、アッパー(靴の上部分)や中敷き、ライニング(内張り)にはほとんどダメージが見られませんでした。ただ一点、靴底の接地面が大きく摩耗して滑りやすい状態になっていることが確認されました。

ペダラのアウトソールはモデルによって異なりますが、今回のスニーカーには硬質ウレタン素材のソールユニットが採用されていました。軽量で衝撃吸収性に優れた素材ですが、摩耗や滑りにはそれほど強くないため、特にアスファルトやマンホールのような滑りやすい場所では不安を感じやすくなります。

特に、T様からも「滑る感覚がある」「街歩き中の安心感を高めたい」というご相談をいただきました。


◆ 構造チェック:ソール全体に問題なし、表面のみの張替え対応へ

靴を分解せずに、アッパーやミッドソール(中間層)、ソールの本体部分を確認したところ、内部構造には特段の劣化は見られず、ソール本体は健全な状態を保っていました。ヒビ割れや加水分解の兆候もなく、クッション性や安定感も保たれていたため、全面オールソール交換ではなく、「ソール面のみの張替え」で対応可能と判断いたしました。

この判断には理由があります。オールソール交換はコストも手間もかかる反面、接地面のみの摩耗であれば、部分的に張り替えるだけで十分機能性が回復します。靴の寿命を延ばすうえでも、こうした**「最小限で最大限の修復効果」を得る修理**は非常に有効です。


◆ ソール整形:滑らかに平面化し、新しいソールを貼れるように

まずは、摩耗した靴底の表面をミリ単位で均一に削り込み、新しいソールを貼るための「下地」を作成します。これは非常に重要な工程で、表面に段差や凸凹があると、新しいソールがしっかりと密着せず、剥がれやズレの原因になります。

特に硬質ウレタンのような硬めの素材は、滑らかに整えるのに高い技術が求められます。丁寧に削り込むことで、元のアウトソールと新しいラバーソールが完全に一体化するような自然な仕上がりが可能になります。

この下準備を経て、いよいよ新しいソールを接着・圧着する工程に入ります。


◆ 使用素材:Vibram 1030 ― 薄く、強く、滑りにくい理想の素材

今回の張替えには、世界的ソールブランドVibram(ビブラム)社の1030ソールを採用しました。

この1030ラバーソールは、以下の特徴を備えています:

  • **厚みは非常に薄手(約4mm)**で軽量。靴の重心や高さを変えずに張替え可能。

  • 柔軟性が高く、足の曲がりに自然に追従するため、スニーカーやカジュアル靴との相性が抜群。

  • 耐摩耗性に優れ、長持ちしやすい。

  • 滑り止め効果が非常に高く、濡れた路面やタイルでもグリップが効くパターンデザイン。

特に、今回のように街歩きを目的とした靴においては、この「薄くて滑りにくい」というポイントが非常に重要です。歩き心地を損なわずに、足元の安心感を何倍にも高めてくれる素材として、多くの修理店でも高評価を得ています。

色もブラックで、もともとのソール色と大きくかけ離れることなく、外観的な違和感もありません。


◆ 仕上がりの印象と使用感

施工後の仕上がりは、元のデザインやフォルムを崩さない自然な印象を保ちつつ、接地感と滑り止め効果が格段に向上した一足となりました。

T様が普段から感じていた「ソールのツルツル感」は、Vibram1030の高い防滑性によってしっかりと解消され、街歩きにおける安心感が大幅に向上することが期待されます。また、薄手のソールを採用しているため、歩行感覚が変わらず、クッション性や重心バランスも維持されています。

ペダラの持つ軽やかで快適な履き心地を保ちつつ、より現代的な路面環境に適応させた修理となりました。


◆ まとめ:信頼のスニーカーを、もっと長く快適に

asicsのペダラシリーズは、その機能性と品質から「一度履くと手放せない」と言われるスニーカーです。しかし、靴底が摩耗してくると、その歩きやすさも徐々に失われてしまいます。

今回のように、靴底の表面のみを張り替えることで、見た目の印象や履き心地をほとんど変えることなく、滑りにくく、安心して履ける靴へと生まれ変わらせることが可能です。

  • アッパーに傷みがない

  • クッション性がまだ生きている

  • でも「滑る感覚」「摩耗」が気になる

そんな状態の靴であれば、オールソールではなく、部分張替えによるリフレッシュという選択肢が非常に有効です。

靴を「捨てる」前に、「もう一度活かす」方法があるということを、ぜひ多くの方に知っていただければ幸いです。


いずみ靴店では、お客様の使用目的・足の状態・靴の素材や構造に応じて、一足ごとに最適な修理方法をご提案しております。

T様、このたびは大切な一足をお預けいただき、誠にありがとうございました。再び快適な街歩きをお楽しみいただけますよう、心より願っております。


【関連タグ】

#いずみ靴店
#倉敷市玉島
#神奈川県
#asics
#アシックス
#pedala
#ペダラ
#スニーカー修理
#Vibram1030
#滑り止めソール
#靴底張替え
#ソール補修
#街歩き用スニーカー

神奈川県 T様 REGAL Walker リーガルウォーカー オールソール修理 出し縫い ステッチダウン EVAスポンジミッドソール Vibram2668

神奈川県のT様のご依頼で、リーガルウォーカーのオールソール修理を承りました。こちらの靴は独特な厚手かつ深いパターンの靴底が特徴的ですが、使用の過程で底がすり減ってきていました。

靴を分解してみると、通常の中底が存在せず、靴本体が直接靴底と縫い合わせられていました。

そのため、インソールが中底の代わりをしている状況でした。しかし、この構造は靴の内側の空間を狭くしてしまうため、インソールの裏側にあるウレタンを取り除いて少しでも空間の余裕を確保するよう工夫しました。

修理では、元の靴底の厚みに合わせるために、EVAスポンジのミッドソールを挟み、

最後にクッション性と耐久性に優れたVibram2668で仕上げました。この修理により、履き心地が向上し、見た目もほぼ元通りになったかと思います。

しかし、最近の円安の影響で材料の価格が上がっており、修理コストが上昇しています。このような状況下でも可能な限り質を保ち続けるよう努力しております。T様、ご依頼いただきありがとうございました。

東京都 H様 PRADA SPORT プラダスポーツ オールソール修理 加水分解 側面処理 オパンケ縫い 本革 マッケイ縫い EVAスポンジ Vibram2668

東京都にお住まいのH様からご依頼を受けたPRADA SPORTのスニーカーのオールソール修理を行いました。

プラダスポーツの特長でもある、スタイリッシュで高品質な靴ですが、時間の経過によって靴底が加水分解し、修理が必要となりました。

修理の際、靴の側面に広く張り出している靴底を取り外すと、接着跡が露わになることがあります。この問題を解決するために、取り外した箇所に本革を縫い付け、もとの状態を隠しました。

その後、ミッドソールはマッケイ縫いでしっかりと取り付けられ、

最後にVibram2668を使用して仕上げました。このプロセスを通じて、スニーカーはもとの美しさを取り戻し、さらに耐久性のある仕上がりとなっています。

質の高い修理を行うことで、大切なスニーカーを末永くお使いいただけるよう、一つ一つのステップに心を込めて作業しています。

福島県 T様 FootJoy ICON フットジョイ アイコンモデル ソフトスパイク交換式オールソール修理 マッケイ縫い 本革ソール

福島県のT様からお預かりしたFootJoyのICONモデル、ソフトスパイクのオールソール修理を行いました。

このモデルは、多くのゴルファーに愛用されている一方、経年劣化によるソールの加水分解が問題となることがあります。今回のT様の靴もそのような状態で、ソールには亀裂が入り、メスネジ部分も脱落していました。

一般的にはスパイクレスへの交換が選ばれることが多いですが、T様のご希望により、ソフトスパイク交換式での修理を行いました。

ソールを分解した後、防水性能を確保するためにミッドソールを確実に接着。

さらに、本革にメスネジを設置してから縫い付け、強度を高めました。

ヒール部分も積み上げ式で修理し、ヒールトップゴムにもメスネジを組み込みました。

完成後、ソフトスパイクを取り付け、T様が再び充実したゴルフライフを送れるよう願っています。

修理が施されたこの一足が、新たなラウンドでのパフォーマンスを支えてくれることを期待しております。

千葉県 T様 NIKE Air Force1 ナイキエアフォースワン ソール内クッション交換 加水分解 EVAスポンジ オパンケ縫い

千葉県のT様からご依頼いただきましたナイキ エアフォース1のメンテナンスを承りました。長年のご使用により、靴底内部のクッションやエアバッグが加水分解し、劣化が見受けられました。

そこで、新たにEVAスポンジを用いて代用品を設計し、内装を入れ替える作業を行いました。まず、靴底を慎重に分解してみると、クッション素材が粉々になっているのが確認できました。

EVAスポンジを加工し、新たなクッションを靴底へ挿入します。

その後、靴底を確実に接着した上で、しっかりとオパンケ縫い技術を用いて側面を縫い付けました。

最後に、靴の形状に合わせて浮きがある箇所を微調整し、見事に修復が完了しました。

お客様には、再び快適な履き心地を楽しんでいただけることを心より願っております。

千葉県 T様 ドルチェ・ガッバーナ オールソール交換修理 マッケイ縫い Vibram700 積み上げヒール 

千葉県のT様からお預かりしました、ドルチェ・ガッバーナの紳士ブーツのオールソール交換修理についてです。

このブーツは、イタリアの高級ブランドらしい洗練されたデザインが魅力ですが、長年の使用により本革ソールが剥がれてしまっていました。

修理のためにブーツを分解してみると、ヒール部分は珍しく木製で、外周にスタック革をあしらった凝った仕様でした。

T様のご要望により、滑りにくさとクッション性の向上を図るため、Vibram700ソールを使用しました。

また、ヒールに関しては、安全で快適な履き心地を提供するため、EVAスポンジを一段積み上げました。

ソールの取り付けはマッケイ縫いを採用し、細部にまでこだわって強度と美観を両立しました。

この修理により、T様のブーツは新たな命を吹き込まれ、再びタフでエレガントな相棒として活躍することでしょう。

栃木県 O様 Clarks クラークス デザートカーン オールソール修理 出し縫い 本革中底 Vibram528K

栃木県のO様よりご依頼いただいたClarksのデザートカーンのオールソール修理を行いました。

このモデルはデザートブーツに似たデザインで、オリジナリティあふれるクラシックな趣があります。

今回の修理では、分解したソールの代替として本革の中底を使用しました。もともとのフェルト素材は経年劣化のリスクがあるため、

耐久性を考慮して本革に交換することを標準仕様としています。

中底の取り付けには出し縫いを用いたステッチダウン製法を採用し、頑丈さを確保しました。また、お客様のご希望により、

靴底はVibram528K黒を使用しました。これはVibram1136のデザインを基にしたスポンジ系素材で、耐久性とデザイン性の両立が図られています。仕上がりにご満足いただけることを願っております。ぜひ、リフレッシュしたデザートカーンで快適な歩行をお楽しみください。

Translate »