FootJoy ICONのゴルフシューズでソールが加水分解により亀裂・劣化した一足を、本革ソールへのオールソール交換とソフトスパイク交換式への仕様変更で再生した修理事例。座繰り加工・メスネジ・マッケイ縫いまで、職人の実際の修理工程を解説します。
京都府のN様よりご依頼いただいたのは、FootJoy(フットジョイ)ICONモデルのゴルフシューズです。ソールが加水分解によって劣化し、亀裂が発生していました。今回は、劣化したソールを取り外し、本革ソールを使用したソフトスパイク交換式へのオールソール交換修理を行いましたので、工程とあわせてご紹介します。

ご依頼いただいたICONは、FootJoyの中でも本革を使用したハイスペックモデルで、長く愛用される方の多い一足です。しかし、どんなに丁寧に使っていても、ソール素材の加水分解という劣化は避けられない場合があります。
今回のお靴は、ソールに加水分解による硬化と亀裂が発生していました。アッパーは比較的きれいな状態だったため「まだ履ける」と思われがちですが、劣化したソールをこのまま使い続けると、ラウンド中のソールの剥がれや破損、グリーン上での滑りなど、思わぬトラブルにつながる恐れがあります。見た目に大きな傷みがなくても、素材の劣化が静かに進んでいるのがソール加水分解の怖いところです。

加水分解とは?ゴルフシューズのソールが劣化する原因
加水分解とは、ポリウレタンや合成ゴムなどの素材が、湿気や経年変化によって分解され、硬化・ひび割れ・崩れが起こる現象です。軽量で高性能な合成素材は靴づくりに広く使われていますが、この加水分解という宿命を抱えています。
特にゴルフシューズは、雨や朝露、芝の湿気に触れる機会が多く、シューズバッグやクローゼットの中で湿気を抱え込みやすい靴です。「使用回数は少ないのにソールがボロボロになった」というご相談も少なくありません。ソールは使用頻度ではなく経過年数で劣化していくため、購入から数年経ったゴルフシューズは、見た目がきれいでも一度ソールの状態を確認することをおすすめします。
修理内容:本革ソールへのオールソール交換+ソフトスパイク交換式
- ✅ 加水分解したソールを取り外し
- ✅ 本革ソールへのオールソール交換
- ✅ 本革ソールの内側に座繰り加工
- ✅ ソフトスパイク用のメスネジをセット
- ✅ マッケイ縫いによるソールの取り付け
- ✅ ヒール部分にも加工したゴム板を取り付け
それぞれの工程をご説明します。
加水分解したソールを取り外し まず、亀裂が入って崩れかけていた劣化ソールをすべて取り外します。劣化部分をきれいに除去しておかないと、新しいソールを付けても接着面や縫い目の強度が出ません。修理の土台づくりとして最も重要な工程です。

本革ソールへのオールソール交換 取り外し後の面に、本革ソールを新品で取り付けます。加水分解を起こさない本革をソールに採用することで、同じ劣化の繰り返しを抑えられる一足を目指します。
本革ソールの内側に座繰り加工 ここからがゴルフシューズ修理ならではのポイントです。本革ソールの内側に「座繰り(ざぐり)」と呼ばれる掘り加工を施します。これは、後から取り付けるソフトスパイク用のメスネジがソール表面に飛び出さず、正しく収まるようにするためのものです。座繰りの深さや位置がズレると、スパイクがうまく付かなかったり、踏み心地に段差が出たりします。職人の手作業で、スパイク位置に合わせて正確に仕上げていきます。

ソフトスパイク用のメスネジをセット 座繰り加工を施した部分に、ソフトスパイクを取り付けるためのメスネジ(受け側のねじ穴部品)をセットします。このメスネジをソール内部にしっかり組み込むことで、今後はご自身でスパイクの交換・メンテナンスができる仕様になります。
マッケイ縫いによるソールの取り付け ソールの取り付けは「マッケイ縫い」という製法で行いました。マッケイ縫いは、アッパーとソールを内側から糸で直接縫い合わせる伝統的な製法です。糸で縫い留めることで接着だけに頼らない強靭な構造になり、ソールが剥がれにくい丈夫な仕上がりになります。

ヒール部分にも加工したゴム板を取り付け かかとの部分にも、同じように座繰り加工を施したゴム板を取り付けました。これで、かかと側にもソフトスパイクを取り付けられる構造が整います。

今回の修理で重要なのは、ソールを交換するだけでなく、ソフトスパイクを取り付けられる構造に仕上げることです。座繰り加工からメスネジ、マッケイ縫い、ヒールのゴム板まで、靴の構造に合わせて細かな加工を施すことで、加水分解で傷んだFootJoy ICONを、ソフトスパイク交換式のゴルフシューズとして再生させました。
本革ソール×ソフトスパイク交換式にしたメリット

加水分解を繰り返しにくいソールへ 合成素材のソールは、保管中であっても加水分解による経年劣化が進むことがあります。一方、本革ソールは加水分解を起こさない素材です。オールソール交換を機に本革へ切り替えることで、ソール全体を新しく、劣化しにくい素材へと作り替えられます。
スパイクを自分で交換できる仕様に ソフトスパイクは、使用頻度や芝の状態によって消耗します。メスネジを組み込んだソールにしておけば、スパイクが摩耗した際に専用工具でご自身で交換でき、一足を長く快適に使えます。ソール交換と同時に、将来を見据えて靴の仕様そのものを見直せるのが、オールソール交換修理の大きな魅力です。

ゴルフシューズのソール修理でお困りではありませんか?
- FootJoyのソールに亀裂が入っている
- ゴルフシューズのソールが加水分解している
- お気に入りのゴルフシューズを修理して履き続けたい
- ソール交換と同時に仕様も見直したい
このようなお悩みも、靴の状態や構造を確認したうえで、最適な修理方法をご提案いたします。ゴルフシューズはモデルによって構造が異なるため、すべての靴が同じ方法で修理できるわけではありません。まずはお気軽にご相談ください。
修理ご相談の流れ
- お問い合わせ:お靴の状態をお写真やメッセージでお知らせください。
- お預かり・診断:実物を確認し、構造と劣化の程度を診断します。
- ご提案・お見積り:修理方法と費用をご説明し、ご了承いただいてから作業に入ります。
- 修理・仕上げ:座繰り加工やマッケイ縫いなど、工程に沿って丁寧に仕上げます。
- お渡し:仕上がったお靴をお手元へお届けします。
よくあるご質問(FAQ)
Q. ソールに亀裂があっても修理できますか? A. 加水分解による亀裂・劣化でも、オールソール交換で再生できるケースがあります。まずはお靴の状態を拝見させてください。
Q. ソール交換と同時にスパイク交換式にできますか? A. 今回のように、座繰り加工とメスネジのセット、ヒール部分のゴム板加工により、ソフトスパイク交換式へ変更できるケースがあります。
店舗情報|いずみ靴店
📍 いずみ靴店 岡山県倉敷市玉島阿賀崎 靴修理・ゴルフシューズのオールソール交換修理のご相談を承っております。FootJoy ICONをはじめ、ソール加水分解でお困りのゴルフシューズの修理まで、まずはお気軽にご相談ください。
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