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日別アーカイブ: 2025年11月25日

**佐賀県 I様 CONVERSE ALL STAR(コンバース オールスター) かかとコーナー修理 & 滑り部分革当て修理レポート**

**佐賀県 I様

CONVERSE ALL STAR(コンバース オールスター)
かかとコーナー修理 & 滑り部分革当て修理レポート**

今回ご紹介する修理事例は、佐賀県のI様よりお送りいただいた **CONVERSE ALL STAR(コンバース オールスター)**の修理です。
コンバースといえば、世界中で愛されるスニーカーの定番中の定番。シンプルなデザイン、クセのないフォルム、合わせる服を選ばない柔軟さ。履き潰してもまた買い直してしまう、そんな魅力のある靴です。

しかし、今回お預かりしたオールスターはまだ捨てるには惜しい状態。ソールやアッパーはまだ充分使用可能ですが、「かかと部分の減り」と「内部の滑り部分破れ」が気になる、とのご相談でした。

日常的に履きやすいスニーカーだからこそ、かかとは減りやすく、そして履き口やヒール内部は擦れて破れが生じやすい部分です。
放置すれば靴の歩行バランスが崩れ、内部の破れは靴下を巻き込んだり、靴擦れの原因にもなります。

今回は、靴全体の寿命を延ばしつつ、履き心地を改善し、見た目にも自然な修理を施しました。


■ 修理前状態

まず、修理前に状態を確認します。

❏ かかと部分(コーナー)

  • すり減りが進行

  • まだ穴は開いていないものの、もう少し履けば外側に大きく崩れる可能性あり

  • 靴底の角が丸くなり歩行の安定性が低下

歩行時の体重のかけ方にもよりますが、特にオールスターはソールがフラットなため、かかとの片減りが顕著に現れやすい傾向があります。

❏ ヒール内側(滑り部分)

  • 内張りの合成皮革が破れておりスポンジ・カウンターが露出

  • 擦れにより黒い粉状のカスが発生

  • 履き口の違和感あり

この部分は意外と見落とされがちですが、最も修理が必要となる箇所のひとつです。破れを放置すると ヒールカウンター(かかと芯材)が変形し、靴の形が崩れるため、早めの対処が望ましい状態でした。


■ 修理内容の方向性

今回の修理方針は次の通りです。

  1. かかとの減り → コーナー修理

    • フランス TOPY社製の傾斜板を使用し、磨耗部に合わせて角度調整。

    • 高さ補正により元の履き心地へ戻す。

  2. 内部滑り部分(内張り破れ)→ 本革補修

    • 靴内部から革を縫い込み、耐久性と摩擦強度を改善。

    • 八方ミシンで縫製し、構造に負担をかけず自然な仕上がりに。


■ 材料選定

修理に使用した主な素材はこちらです。

用途 素材 特徴
かかとの補修 TOPY(トピー社製)傾斜板 柔軟性あり、摩耗に強い、高品質ラバー
内部滑り補修 本革(牛革) 耐久性・フィット感に優れ、再破損しにくい

TOPY社はフランスの老舗製造メーカーで、靴底用ラバーでは世界的評価があります。グリップ性に優れながら柔らかく足に馴染む性質があり、今回はコーナー修理として最適な素材と言えます。


■ 修理工程

ここからは実際の作業工程を詳しくご紹介します。


① かかと修理範囲のマーキング

まずは元の削れ具合を確認し、必要な削り・補填範囲を正確にマーキングします。
左右の高さ差が出ると歩行バランスを崩すため、ミリ単位で調整します。


② 傾斜加工・整形

TOPY社製のラバー傾斜板を靴底形状に合わせて削り込みながらフィット加工。
その後、失われた高さを補うように貼り合わせます。

この工程により、自然な曲線・高さ・接地角度を再現できます。


③ 圧着・バフ掛け(仕上げ)

専用圧着機でしっかりと接着。
その後、切断面・段差・傾斜角を整え、元からあったかのような自然なラインに仕上げます。


④ 内張り修理(滑り部分)

次に内部の破れへの処置です。

  • 破れた合成皮革を除去

  • 露出したカウンターの状態確認

  • 必要最小範囲で補強・形状整形

その後、本革を裏面から当て、靴内部とのなじみを確認しながら縫製します。

ここで活躍するのが 八方ミシンです。
一般的なミシンでは入り込めない立体構造の靴内部も縫える専用機で、靴修理には欠かせない存在です。

今回のオールスターは内部に元々半円型ステッチが存在しなかったため、
縦の縫製ラインを利用して自然な取り付けラインを形成しました。

これにより強度を保ちながらも見た目に違和感のない仕上がりとなります。


■ 修理後の状態

修理後は以下の効果が期待できます。

◎ かかと磨耗の再発防止
◎ 歩行バランスが改善
◎ 靴内部の擦れや違和感が解消
◎ 靴下の破れ防止
◎ 履き心地の向上
◎ 使用寿命の大幅延長

修理した箇所だけが新しい印象にならず、全体の雰囲気に馴染む仕上がりになりました。


■ まとめ

項目 内容
修理箇所 かかとコーナー / 滑り部分補修
使用素材 TOPY ラバー / 本革
縫製方法 八方ミシン
修理目的 高さ補正・耐久性向上・快適性改善

今回のように、靴底や内部が傷んできても、まだアッパーがしっかりしている場合は 修理によって寿命を延ばすことが可能です。
特にコンバースのような定番シューズは、履き込むほどに足に馴染むため、買い替えだけが選択肢ではありません。


■ ハッシュタグ

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**埼玉県 K様 Timberland(ティンバーランド) フィールドブーツ 履き口スポンジ 表皮本革張替え修理レポート**

 

**埼玉県 K様 Timberland(ティンバーランド) フィールドブーツ

履き口スポンジ 表皮本革張替え修理レポート**

今回ご紹介するのは、埼玉県にお住まいのK様よりご依頼いただいた Timberland(ティンバーランド)フィールドブーツの修理事例です。
アウトドアからタウンユースまで幅広く愛用されているティンバーランドですが、中でもこのフィールドブーツは定番モデルとして長年人気があります。見た目の無骨さとは裏腹に、履き心地の柔らかさや耐久性の高さが特徴で、長期間履き続けている方も多い靴です。

しかし今回修理対象となったのは、ソールやアッパーではなく、意外と劣化が早く進行してしまう 履き口(履き口パッド部分)のスポンジ表皮。この部分が 経年劣化によって加水分解し、ボロボロと剥がれてしまっている状態でした。


■ 修理前の状態確認

お預かりしたフィールドブーツは、アッパーのレザーはまだ良好で、靴全体としては十分これからも履ける状態でした。ところが履き口部分の表皮だけが劣化し、指で触れるだけで粉状の破片が落ちてくるほどでした。

劣化の原因は素材特有の性質である 加水分解です。
ティンバーランドを含む多くのメーカーは、履き口の表皮や内部素材に **合成皮革(PU・PVC系)**を採用していることが多く、これは新品時には柔らかく快適ですが、空気中の湿度と反応して 時間とともに内部から崩壊が始まるという弱点があります。

特に履き口は、以下の理由で劣化が進みやすい箇所です:

  • 汗・皮脂が直接触れる部分

  • 着脱時の摩擦が大きい

  • 湿気が溜まりやすい

  • 冬場の保管で固くなり、春にひび割れが進行する

今回もまさにその典型的な症状で、合成皮革は役目を終え、スポンジ内部がむき出しになっている状態でした。放置するとスポンジ自体が裂け、履き心地が悪くなるだけでなく、靴内部にも削れた粉が入りやすくなります。


■ 修理内容の方向性

K様には修理方法として、

  1. 新品時と似た合成皮革で張り替える方法

  2. 耐久性の高い本革で張り替える方法

の2種類をご提案しました。

合成皮革は見た目が元に近くなる反面、再び数年後に同じ症状が起きるリスクが高い素材です。
一方本革は強度・耐久性・質感すべてにおいて優れています。履き込むほどに風合いが増し、靴の雰囲気とも馴染んでいきます。

じっくり比較いただいた結果、K様は **「長く履ける本革仕上げ」**を選択されました。
ティンバーランドのようにエイジングを楽しむ靴には、この選択が非常に合っています。


■ 使用革の選定

次に革の色味の選定ですが、ティンバーランドのブランド特有のカラーは完全一致する革の入手が非常に難しいという問題があります。同じ色に見えても、光沢・吟面の質感・染料の深さが異なるため、「似ているけれど違和感が出る色」になってしまうことが少なくありません。

そこで当店にある複数の革サンプルをお見せしながら、
・色馴染み
・経年変化後の色の深まり
・他パーツとの調和

を考慮して候補を検討。

最終的にK様がお選びになったのは、深みのある コーヒーブラウンでした。

「ただ元に戻すのではなく、靴に新しい表情を与える色」。
その選択はセンスの良い判断で、実際仕上がりも非常に自然で上質な印象となりました。


■ 作業工程

修理作業は以下の工程で進めました。


① 履き口パーツ取り外し

靴本体から履き口パーツを慎重に外します。無理に引き剥がすと、本体革や履き口ステッチが切れてしまうため、接着剤の層を熱で緩めながら丁寧に分解しました。


② 劣化表皮の除去とスポンジ補修

劣化した合成皮革を完全除去し、粉状の表皮や残った樹脂膜を丁寧に取り除きます。必要に応じて内部スポンジの形状も再整形し、部分的に補修。


③ 本革張り込み

選定したコーヒーブラウンの本革を成型しつつ張り込みます。履き口は曲線が多く縫製も立体構造のため、革の厚み・テンション・伸ばし方のバランスが重要です。


④ 八方ミシンで本体へ縫い付け

張り替えた履き口パーツを靴本体に戻し、八方ミシンを使用して縫い付けます。
八方ミシンは立体物を縫う専用ミシンで、靴修理では欠かせない機材です。

縫い幅のズレや革の寄りを防ぎながら、元の縫製ラインに極力合わせて縫っていきます。


⑤ 仕上げ・磨き・最終チェック

革の表面を軽くオイルケアし、余分なバリを処理して完成です。ステッチの均一性、革とスポンジの沈み込み、履き口の曲線とフィット感などを確認し、問題がないことを最終チェック。


■ 修理後の仕上がり

コーヒー色の本革が加わったことで、靴全体の雰囲気が引き締まり、より上品で落ち着いた印象に仕上がりました。既存のフィールドブーツカラーとも自然に馴染んでおり、「修理した」というより **「ワンランクアップした仕様になった」**と言える出来栄えです。

今後は本革のため、適度なメンテナンスを行うことでより味わい深く変化し、靴全体のバランスにもさらに馴染んでいくことでしょう。


■ 今回のまとめ

内容 詳細
修理内容 履き口スポンジ部分 表皮張替え
原因 合成皮革の加水分解・経年劣化
仕上げ素材 本革(コーヒーブラウン)
加工方法 分解 → 張替え → 八方ミシン縫製
メリット 耐久性UP・経年変化が楽しめる・再発リスク低減

■ 最後に

ティンバーランドやクラークス、レッドウィングなど、アウトドア系ブーツは素材や製法がしっかりしているため、部分修理や素材交換を行えば 長年履き続けることができる靴です。

特に今回のような履き口部分は、見た目・快適性・耐久性に大きく関わる重要なパート。
「他はまだ履けるのにココだけ傷んできた…」という方は、買い替える前にぜひ修理をご検討ください。


■ ハッシュタグ

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