オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年11月23日

浅口市 鴨方町 M様 和ゾーリ かかとゴム交換修理

浅口市 鴨方町 M様 和ゾーリ かかとゴム交換修理

— いずみ靴店 修理事例 —

今回ご紹介するのは、浅口市鴨方町にお住まいの M様よりご依頼いただいた和ゾーリのかかとゴム交換修理です。草履は日本の伝統的な履物であり、四季を通して履かれる方もいらっしゃいますが、特に夏場の外出用として愛用されている方も多いアイテムです。

和ゾーリは一般的なスニーカーや革靴とは異なり、構造や素材、製法が特殊です。そのため修理する際も、靴とは違った知識と技術が必要になります。
今回お預かりした草履は、長年大切に履かれてきたもので、かかとのゴム部分だけが劣化し割れている状態でした。特に湿気や経年変化による劣化でゴムが硬化し、歩行時にカチカチと滑るような感触が出てしまっていたとのことです。


■ 修理前の状態

お預かりした時点では、かかとのゴムがひび割れ、部分的に欠けてしまっていました。
和ゾーリに使われているかかとゴムは、通常の靴底素材と違い、クッション性・摩耗耐性・見た目のバランスが重視されています。しかしながら、長期間使用されたり、湿度の高い場所に保管されると、ゴムは次第に硬化し弾力を失ってしまいます。

さらに、ゴム部分に負荷が集中する 着地ポイントから崩れることが多く、今回もまさにその典型的な症状でした。

歩行していると気づかないうちにゴムが削れ、気付いた時には修理が必要な状態になってしまうケースは少なくありません。


■ 修理方法について

和ゾーリの修理は、ただ古いゴムを剥がして新しいものを取り付けるだけではありません。
使用されている台の材質、縫製方法、底材の接着方式などをみながら、元の構造にできるだけ負担をかけず修理を進める必要があります。

今回の修理では、まず古いかかとゴムを丁寧に剥がし、底面のバランスが崩れないよう形状を整えました。その後、和履きの草履に適した柔らかめの新しいゴムを選び、強力な接着処理を施し取り付けています。

接着後は圧着しながら固定し、完全に乾燥させるため一定時間置く必要があります。これによって使用中に剥離するリスクを大幅に減らすことができます。


■ 修理後の状態

交換後のかかとゴムは新品のようにきれいな仕上がりとなり、これまでよりも安定した歩行ができるようになりました。

草履の場合、かかとまで踏み込む歩き方をする方もいれば、前重心で歩く方もおられ、摩耗の進み方に個性が出ます。
M様の場合は歩行時にかかとがしっかり接地するタイプでしたので、今回の交換により履き心地が改善し、また長くご使用いただける状態になったと思われます。


■ 和ゾーリ修理の重要性

和ゾーリは修理できないと思われる方も多いですが、実は 多くの箇所が修理可能です。

例えば、

  • 鼻緒の交換や調整

  • かかとゴム交換

  • 底面補修(滑り止め加工など)

  • 表面素材の補強

など、適切な素材を選ぶことで、履き慣れた草履を長く履き続けることができます。

特に、今回のようなかかとゴム交換は草履修理の中でも依頼が多く、**「滑りやすい」「歩くと硬く感じる」「音がカツカツする」**といった症状が出てきたタイミングが交換の目安です。


■ 修理納期・費用について

和ゾーリのかかとゴム交換は、靴修理に比べ作業工程が特殊なため、状態や素材に応じて納期が変わります。
一般的には数日~1週間程度をいただいておりますが、お急ぎの場合は可能な範囲で対応いたしますので、ご相談ください。

費用については、素材・サイズ・構造により異なりますが、今回の修理では標準的な価格帯での施工となりました。


■ 最後に

靴や草履は消耗品ではありますが、直しながら丁寧に使うことで、より長く愛着を持って履き続けることができます。
特に和装用品や思い出の品、履き慣れたものは買い替えるより修理する方が良い場合も多くあります。

このたび修理をご依頼いただいたM様、誠にありがとうございました。
今後もお困りの際はお気軽にお持ち込みください。


■ キーワード

#いずみ靴店
#倉敷市
#浅口市
#鴨方町
#和ゾーリ
#草履
#かかとゴム交換

長野県 A様 NIKE エアフォース・ワン ソール内クッション交換修理

 

長野県 A様 NIKE エアフォース・ワン ソール内クッション交換修理

今回修理をご依頼くださいましたのは、長野県A様のNIKE・Air Force 1(エアフォースワン)です。
ナイキを代表する名作モデルであり、長年愛用される方の非常に多いスニーカーですが、その構造上避けられないトラブルのひとつが「ミッドソール内部のクッション素材の加水分解」です。

お預かりした状態を確認しますと、まず靴底の縫い目部分が浮き上がり、触れると白い粉状のものが溢れてくる状態でした。この症状は、外から見ただけではわかりにくいものの、内部クッションが崩壊している典型的なサインです。

加水分解は湿気や経年によって起こる化学反応で、ウレタン素材が空気中の水分と結合し、次第に柔軟性を失って破断→粉化していきます。ナイキのエアソール搭載モデルでは特に多く見られる症状で、内部構造が崩れてしまうと元のエアーバッグやクッション素材を再利用することはほぼ不可能になります。

今回も例外ではなく、内部を開いてみるとクッション部分は完全に粉状となり、本来の形状を保てていませんでした。ただ、エアバッグが使用されていた痕跡となる透明ビニール膜の一部が残っており、元々の構造が想像できる状態ではありました。


■ 分解工程 ― 内部損傷の原因確認

まずはソールとアッパーを慎重に分離し、ミッドソール内部へアクセスします。エアフォースワンは構造的に接着と縫製(オパンケ縫い)が併用されているため、ただ剥がすだけではなく縫製部分の処理が重要になります。

縫い上げ糸を切りながらソールを剥がしていくと、中から大量の粉が出てきました。クッション素材は完全に崩壊し、握れば崩れる程度の状態。これは、湿気・劣化・気候差などによる加水分解が進行し、素材本来の性能を失った典型例です。

ソール内部の粉を完全に除去する必要があるため、エアバッグ残骸・分解したクッション・接着剤片・埃まで、全てきれいに取り除きます。ここで掃除が甘いと新しい素材の密着性や内部安定性に影響が出るため、慎重に作業を進めます。

内部がすべて露出した段階で、今後どのような方法でクッション再構築を行うかを判断します。


■ 代替クッション素材 ― EVAスポンジの採用理由

オリジナルのエアバッグを再現することは構造上不可能ですが、重要なのは「履き心地を極力近づけること」と「今後同じ箇所が劣化しにくいこと」です。

そこで今回採用したのがEVAスポンジ素材

EVA素材には以下のメリットがあります:

  • 加水分解しない

  • ほどよいクッション性と反発性を持つ

  • 劣化がゆっくりで寿命が長い

  • 左右差・加重差に応じカット調整がしやすい

元のエアバッグとは構造は違いますが、実際の履き心地としては充分柔らかく、また歩行時の沈み込みや衝撃吸収性を確保できます。

内部構造は靴ごとに微妙な差があるため、ただスポンジを入れる訳ではありません。厚み調整・成形・屈曲ポイントの加工を行い、靴が元々持っている踏まずラインや踵のホールド性を損なわないよう調整します。

ここでミリ単位の加工が必要となるため、ハンドで削りながらフィッティングを調整。最終的に、歩行時の沈み込み・返り・荷重バランスが自然になるよう仕上げています。


■ 再セット・接着工程

成形したEVAクッションをミッドソール内部にセットした後、ソールを戻して接着固定します。接着剤の種類・塗布量・圧着時間などは靴の素材・用途に応じて変えています。焦って圧着すると後々の剥がれや履きジワの偏りが出るため、しっかり時間を置いて定着させます。

元通りソールが固定できたら、空気抜け・段差・縫いアタリをチェックし、構造的な問題がないことを確認します。


■ 縫製仕上げ ― オパンケ縫いによる補強

最後に、エアフォースワンを象徴する構造であるオパンケ縫いを施します。
外周をぐるりと囲むこの縫製は見た目の特徴でもありますが、構造的には強度のための縫いです。

接着のみでは経年で剥がれる可能性がありますが、このオパンケ縫いがあることでソール全体がしっかり固定され、 長期使用でも剥がれにくくなります。

縫い目の間隔・幅・縫いのテンションを調整しながら、元々の雰囲気を損なわないよう自然に仕上げています。


■ 修理完了 ― 再び歩けるスニーカーへ

修理前は粉化・内部崩壊で歩行時に沈み込みが生じ、履くこと自体難しい状態でしたが、修理後は内部構造が安定し、歩き心地も大きく改善されました。

オリジナルのエア構造とは異なるものの、実用性・耐久性はむしろ高くなっています。

「中身が崩れているスニーカーは修理できない」
そう思われる方は多いですが、適切な方法を選べばまだまだ履けます。

A様にもぜひ、また長く快適に履いていただければ嬉しく思います。


#いずみ靴店
#倉敷市
#長野県
#NIKE
#ナイキエアフォースワン
#ソール内クッション交換
#加水分解
#EVAスポンジ
#オパンケ縫い

Translate »