オフィシャルブログ

日別アーカイブ: 2025年8月29日

東京都 T様 NIKE Zoom UpTempo(ナイキ ズームアップテンポ)ソール剥がれ修理事例

東京都 T様 NIKE Zoom UpTempo(ナイキ ズームアップテンポ)ソール剥がれ修理事例

東京都にお住まいのT様より、NIKE(ナイキ) Zoom UpTempo(ズームアップテンポ) の修理依頼を承りました。
バスケットボールファンには馴染み深い名作シリーズの一つであり、機能性とデザイン性を兼ね備えた人気モデルです。しかし今回お持ち込みいただいた一足は、靴底のボンドが経年劣化し、ソールが大きく剥がれてしまっていました。

ソール剥がれはスポーツシューズ全般に起こりやすいトラブルですが、特にナイキ製のシューズは接着の仕様や素材の関係で、一度剥がれが生じると単なるボンド補修だけでは十分な強度を確保できません。そこで当店では、縫製による補強 を加えることで、修理後も安心して激しいプレーができるように仕上げています。

今回はその修理工程を詳しくご紹介します。


1. 修理前の状態確認

お預かりしたズームアップテンポを拝見すると、ソール全体がアッパーから浮き上がり、つま先部分やサイドに大きな隙間ができていました。

これは典型的な 加水分解や接着剤の経年劣化 によるトラブルです。
ナイキをはじめとするスポーツブランドの多くは、靴底の組み立てに強力な接着剤を用いていますが、時間の経過とともに接着剤が硬化し、弾性を失うことで剥がれが生じます。特にズームシリーズは、ソール内部に「ズームエア」ユニットを搭載しているため、屈曲時に負担が集中しやすく、接着面が弱りやすい構造となっています。

バスケットボールは横方向のステップや急停止・急加速が多いため、靴への負荷は日常靴の比ではありません。剥がれを放置すれば、プレー中に完全にソールが外れてしまう危険性もあるため、早めの修理が欠かせません。


2. 修理方針の決定

T様からは「練習や試合でもしっかり使えるように強度を上げたい」とのご希望をいただきました。

当店では、ナイキのシューズ修理において以下の方針を基本としています。

  1. 単なるボンド接着ではなく縫製を併用する
    → 接着剤だけでは再び剥がれる可能性が高いため、縫いによる補強を加える。

  2. 八方ミシンによる側面縫い付け
    → アウトソールとアッパーを横方向から縫い込むことで、強度を飛躍的にアップ。

  3. つま先部分にはオパンケ縫い
    → 前足部はプレー時に最も負荷がかかるため、縫製をしっかり施す。

  4. プレーヤーには底縫い(マッケイ縫い)を推奨
    → ソール全体を底から貫通させて縫うことで、最大限の強度を確保できる。

これらを組み合わせることで、オリジナル以上に耐久性の高い一足へと生まれ変わらせます。


3. 分解と下処理

まずはソールを完全に分解します。剥がれかけた状態を放置して上からボンドを塗るだけでは、内部に残った古い接着剤や劣化した素材が邪魔をして密着しません。そのため、アッパー側・ソール側ともに徹底的にクリーニングと下処理を行います。

古いボンドを削り落とし、表面を均した後、新しい接着剤がしっかり定着するように目荒らし(細かい傷を付けて接着強度を上げる処理)を施します。この工程を怠ると、どれだけ強い接着剤を用いても再剥離のリスクが高まります。


4. ボンド接着

下処理を終えた後、専用の強力接着剤を塗布し、圧着機を用いて均一な圧力をかけて固定します。
この段階で一応は履ける状態になりますが、冒頭で触れた通り、バスケットボールという競技特性を考えると「接着だけ」では十分ではありません。

ここからさらに縫製工程を加えていきます。


5. 八方ミシンによる側面縫い付け

ここで登場するのが 八方ミシン です。
八方ミシンは、靴の側面や立体的な箇所を縫い付けられる特殊な業務用ミシンで、靴修理の現場では欠かせない存在です。

ソールの周囲をアッパーごと縫い付けることで、横方向への剥離を防ぎます。特にバスケットシューズはサイドステップやクロスオーバーなどで横方向に強い力がかかるため、この補強は非常に効果的です。

糸には摩耗に強い専用の靴用糸を用い、強度を最大限に高めています。


6. つま先部分のオパンケ縫い

次に、つま先の「まくり部分」を オパンケ縫い で補強します。
オパンケ縫いとは、ソールの縁をぐるりと縫い付ける技法で、特につま先部の剥がれを防止するのに有効です。

バスケットプレーではつま先で踏ん張る動作が非常に多く、剥がれやすい箇所でもあります。オパンケ縫いを加えることで、より安心して試合に臨んでいただけます。


7. 底縫い(マッケイ縫い)の推奨

さらに、実際にバスケットボールをプレーされる方には マッケイ縫い(底縫い) を強くおすすめしています。

マッケイ縫いは、アッパーと中底、アウトソールを底面から一気に縫い上げる方法です。縫い糸がアウトソールを貫通するため、摩耗による糸切れのリスクはありますが、それでも「縫っていない場合」と比べれば格段に強度が高くなります。

プレー中にソールが外れるという最悪の事態を防ぎ、最後まで安心して集中できるシューズへと仕上げることができます。


8. 修理後の仕上がり

すべての工程を終えたズームアップテンポは、見た目はオリジナルのままに、内部はしっかりと補強された一足に仕上がりました。

接着+八方ミシン+オパンケ縫い+(必要に応じてマッケイ縫い)という多層的な補強により、バスケット特有の激しい動きにも耐えられる強度を確保。これでT様も、練習や試合で安心してプレーに集中していただけるはずです。


9. 修理を終えて

T様からは「新品のように安心して履ける」「これで試合に思い切って臨めます」と喜びの声をいただきました。

ナイキのズームアップテンポをはじめとするバスケットボールシューズは、機能性が高い反面、ソール剥がれや接着面のトラブルが起こりやすいのも事実です。しかし、適切な修理を行えば、再び現役として活躍できるシューズに蘇ります。

大切な一足を長く履き続けるために、私たちは単なる修理ではなく「強度を高め、安心して使える状態にする」ことを意識して作業しています。


まとめ

  • ナイキ ズームアップテンポのソールがボンド劣化で剥がれ

  • ボンド接着だけでは強度不足のため、縫製を追加

  • 八方ミシンで側面を縫い付け → 横方向の剥がれを防止

  • つま先部分をオパンケ縫いで補強 → 踏み込み時の強度アップ

  • 実際にプレーする方にはマッケイ縫い推奨 → 最大限の耐久性

  • 見た目はそのままに、内部は新品以上の強度に

これで安心してコートに立ち、プレーに集中していただけます。


#いずみ靴店
#倉敷市
#東京都
#ナイキ
#NIKE
#ズームアップテンポ
#オパンケ縫い
#マッケイ縫い

倉敷市K様 FootJoy ICON ソフトスパイク交換式オールソール修理事例

倉敷市K様 FootJoy ICON ソフトスパイク交換式オールソール修理事例

ゴルフシューズの最高峰ブランドのひとつとして知られる FootJoy(フットジョイ)。その中でも「ICON(アイコン)」シリーズは、多くのゴルファーから支持される伝統的なモデルです。今回、倉敷市にお住まいのK様より、このフットジョイ・アイコンの修理依頼を承りました。

K様のシューズは、長年の使用によりソールが加水分解を起こし、靴底全体に多数の亀裂が入っている状態でした。ゴルフシューズは芝や土の上を歩くため、耐水性とグリップ力が非常に重要ですが、経年劣化でソールが弱ると滑りやすくなるだけでなく、ラウンド中の安定性やスコアにも悪影響を及ぼします。

K様からは「スパイクレスではなく、従来のようにソフトスパイク交換式の仕様でオールソール修理をお願いしたい」とのご要望をいただきました。今回はその工程を詳しくご紹介いたします。


1. 修理前の状態確認

まず靴の状態を確認したところ、アウトソールに無数の亀裂が走っており、踏み込み部分には剥離も見られました。典型的な加水分解による劣化であり、部分補修では再発する可能性が高いため、オールソール交換が必須と判断しました。

フットジョイ・アイコンは一体型のソール構造を採用しており、元々ボンドによる接着で組み立てられています。そのため、分解作業自体は比較的スムーズに行うことが可能です。


2. 分解工程

まずはソールを慎重に剥がします。アイコンモデルは接着構造のため、切り離し自体は容易ですが、アッパーに傷を付けないように細心の注意を払いながら作業を進めます。

この段階で、アッパーの縫い糸やミッドソールの状態も確認します。長年履き込まれているため、縫い糸の劣化や革の乾燥も見受けられました。必要に応じて補強やクリーニングを行い、次の工程に備えます。


3. ソール素材の選定 ― 本革ソールを選ぶ理由

今回の修理で重要なのは、ソフトスパイク交換用のメスネジを確実に取り付けられるアウトソールを用意することです。

一般的なラバーソールやEVAスポンジでは、強度が不足してスパイク取り付け部が摩耗・破損してしまいます。そのため、今回は耐久性と加工精度に優れた 本革ソール を採用しました。

本革ソールは、ゴルフ場の芝や土にしっかりと対応できる上、座刳り(ネジを埋め込むための穴あけ加工)を施す際にも適度な硬度と保持力を発揮します。まさに、ソフトスパイク交換式の仕様にするには「一択」と言える素材です。


4. 座刳り加工とメスネジの取り付け

続いて、本革ソールに 座刳り加工 を行います。専用のドリルを用いて、ソフトスパイクを取り付けるための窪みを正確に掘り込みます。

加工位置は、元のソールの配置を参考にしつつ、踏み込み時の力のかかり具合を考慮して慎重に決定します。ズレが生じると、スイング時のバラン

スに影響するため、ミリ単位の精度が求められる作業です。

加工後、それぞれの座刳り部分に金属製のメスネジを埋め込み、強力に固定します。これにより、今後ソフトスパイクを何度も交換できる耐久性が確保されます。


5. ソール接着とマッケイ縫い

メスネジの取り付けを終えた本革ソールを、アッパーと接着します。強力なボンドを用いて圧着し、乾燥させた後、さらに マッケイ縫い を施します。

マッケイ製法は、アッパー・中底・アウトソールを一体化させる縫い付け方法で、強度を高めるだけでなく、靴全体の返り(柔軟性)も良くなります。ゴルフシューズにおいては、歩行時の快適さとスイング時の安定性の両立が重要ですので、この工程が非常に意味を持ちます。


6. ヒール部分の積み上げと加工

次にヒール部分の修理です。まず本革を積み上げて形を整え、トップリフト(かかと部分のゴム)に座刳り加工を行います。ここにもメスネジを埋め込み、しっかりと固定しました。

仕上げに、ヒール全体をボンドで接着し、釘を打ち込んで強度を確保します。これにより、ソール全体が一体化し、ゴルフラウンドでの激しい動きにも耐えられる仕様となりました。


7. ウェルトの仕上げ

今回はウェルト(靴底周囲の縁部分)を 革色のまま 残す仕上げを選択しました。これによりクラシックな風合いが引き立ち、さりげないお洒落感を演出しています。

ゴルフシューズはどうしてもスポーティーな印象になりがちですが、本革ウェルトのナチュラルな色味が加わることで、大人の落ち着きを感じさせる一足となりました。


8. 修理後の状態と履き心地

完成したシューズは、外観こそオリジナルに近いものの、内部構造とソールの強度は新品同様に蘇っています。

ソフトスパイク交換式にすることで、今後スパイクの摩耗があっても簡単に交換が可能になり、長期にわたり愛用いただけます。

本革ソール特有のしなやかさと堅牢さにより、歩行時には自然な屈曲が得られ、スイング時にはしっかりとした安定感を実感していただけるはずです。


9. 修理を終えて

K様には「これでまた安心してゴルフを楽しめます」と大変ご満足いただけました。

今回のように、フットジョイ・アイコンのような高級ゴルフシューズは、単なる消耗品ではなく「相棒」として長く付き合いたい一足です。ソールの劣化で諦めてしまう方も多いのですが、適切な修理を行えば再びラウンドで活躍してくれます。

私たち靴修理店としても、ただ履けるようにするだけでなく、「より快適に」「より長持ちするように」という観点で最適な方法をご提案しています。

ゴルフシューズに限らず、靴のトラブルでお困りの際にはぜひご相談ください。


まとめ

  • フットジョイ・アイコンのソールが加水分解し亀裂多数

  • ご要望により「ソフトスパイク交換式」でオールソール修理を実施

  • 本革ソールに専用の座刳り加工を施し、メスネジを埋め込み

  • ボンド接着+マッケイ縫いで強度と柔軟性を確保

  • ヒールも積み上げ加工し、トップゴムにメスネジを取り付け

  • ウェルトは革色のままで、クラシックな雰囲気を演出

仕上がったシューズは、新品同様の安定感と履き心地を取り戻しました。これからもK様のゴルフライフをしっかり支えてくれる一足となるでしょう。


#いずみ靴店
#倉敷市
#フットジョイ
#FootJoy
#ICON
#アイコン
#ソフトスパイク交換式
#本革ソール
#座刳り加工
#メスネジ
#マッケイ縫い

Translate »