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日別アーカイブ: 2026年1月11日

福岡県 D様 Joya ジョーヤ ウォーキングシューズ 加水分解しポリウレタンソール EVAスポンジで作り直す

福岡県のD様よりお預かりしたのは、独自の履き心地で根強いファンを持つJoya(ジョーヤ)のウォーキングシューズです。
ジョーヤといえば、足への衝撃を和らげるクッション構造と、長時間歩いても疲れにくい設計で知られており、日常のウォーキングから旅行、立ち仕事まで幅広く活躍する一足として高く評価されています。

今回ご依頼いただいた内容は、オールソール交換修理
症状を確認すると、ジョーヤ特有の厚みのあるポリウレタン製ミッドソールが加水分解を起こし、弾力を失って崩れ始めている状態でした。

■ ポリウレタンミッドソールの宿命「加水分解」

ポリウレタン素材は、
・軽量
・クッション性が高い
・成形自由度が高い
といった優れた特性を持つ一方で、湿気や経年によって加水分解を起こしやすいという弱点があります。

特にウォーキングシューズは、
毎日の使用頻度が高く、
汗や雨、路面からの湿気を受けやすいため、
数年経過すると見た目がきれいでも内部から劣化が進んでいることが少なくありません。

D様のシューズも、アッパー(甲革)の状態は良好で、
「まだまだ履けるのに、ソールだけがダメになってしまった」
という、まさにオールソール交換に最適な状態でした。

■ 修理の方向性:EVAスポンジで再構築するミッドソール

今回の修理では、劣化したポリウレタンミッドソールを完全に除去し、
代わりにEVAスポンジを積み重ねてミッドソールを新たに構築する方法を採用しました。

EVAスポンジは、

  • 加水分解しにくい

  • 軽量で安定したクッション性

  • 加工がしやすく、形状再現性が高い

といった特徴があり、修理靴において非常に信頼性の高い素材です。

ただし、単純に平らなEVAを貼るだけでは、
ジョーヤらしい独特の丸みと曲線的なフォルムは再現できません。

■ 「積み重ね」と「削り」で元の曲線を再現

まずは複数枚のEVAスポンジを積層し、
オリジナルソールの高さ・傾斜・前後バランスを意識しながら接着します。

その後、
グラインダーや手作業を併用して丁寧に削り込み、
元のジョーヤに近い自然なカーブとボリューム感を作り出していきます。

この工程は見た目以上に繊細で、
削りすぎればクッション性が損なわれ、
削りが足りなければ野暮ったい印象になってしまいます。

「履き心地」と「外観」の両立を目指し、
一足ごとに状態を見極めながら調整を重ねていきます。

■ アウトソールにはTOPY社クロコ柄ソールを採用

ミッドソールが完成した後、アウトソールにはTOPY社製のクロコ柄ソールを取り付けました。

このソールは、

  • 適度なグリップ力

  • 安定感のある接地感

  • ウォーキング用途に適した耐摩耗性

を備えており、実用性とデザイン性のバランスに優れています。

クロコ柄の型押しは、
スポーティーになりすぎず、
かといって重たい印象にもならないため、
ジョーヤの落ち着いたデザインとも相性が良く、
オリジナルに近い雰囲気を保ちながら仕上げることができました。

■ 修理完了:歩くための靴として、再び現役へ

すべての工程を終えたジョーヤのウォーキングシューズは、
見た目にも履き心地にも、新しい命が吹き込まれた一足となりました。

EVAスポンジによるミッドソールは、
適度な反発力と安定感を備え、
長時間歩行時でも足裏への負担をやさしく受け止めてくれます。

また、アウトソールのグリップ性能により、
街歩きや旅行、日常の外出でも安心して使用できる状態です。

■ 修理するという選択がもたらす価値

お気に入りの靴を修理することは、
単に「直す」という行為以上の意味を持っています。

  • 足に馴染んだ履き心地を維持できる

  • 廃棄を減らし、環境負荷を抑えられる

  • 思い出や愛着をそのまま次の時間へつなげられる

特にウォーキングシューズは、
「自分の足と一緒に時間を重ねてきた道具」だからこそ、
修理によって再び活躍できる喜びは格別です。

■ 足元から、また新たな一歩を

D様のジョーヤは、
これからまた日々のウォーキングやお出かけの相棒として、
しっかりと役目を果たしてくれることでしょう。

靴が生まれ変わる瞬間に立ち会えることは、
私たち修理を行う側にとっても大きなやりがいです。

「まだ履きたい」
「この靴じゃないとダメ」
そんな想いを、これからも形にしていけるよう、
一足一足、心を込めて修理を行っていきます。

お気に入りの靴のことでお困りの際は、
どうぞお気軽にご相談ください。
足元から始まる新しい一歩を、全力でサポートいたします。

富山県 S様 FootJoy フットジョイ アイコンモデル 加水分解によりソフトスパイク交換式にて オールソール交換修理

富山県のS様よりお預かりしたのは、ゴルフシューズの中でも不動の評価を得ているフットジョイ「アイコン」モデル
上質な天然皮革をふんだんに使用し、履き心地・フィット感・安定性のすべてにおいて一流と呼ぶにふさわしい一足です。

しかし、どれほど優れたシューズであっても避けて通れない経年劣化があります。
今回の症状は、ゴルフシューズでは比較的よく見られるソールの加水分解。アウトソールおよび内部素材が湿気や経年によって化学変化を起こし、弾力を失って崩れてしまう現象です。

■ 一流シューズでも起こる「加水分解」という現実

S様のアイコンモデルも、見た目は非常にきれいな状態を保っていましたが、アウトソールに触れると違和感があり、実際に確認するとソール内部が脆くなり、剥離と崩壊が始まっている状態でした。

ゴルフシューズは、
・歩行
・スイング時の体重移動
・踏ん張り
といった複雑な動きを繰り返し受け止めるため、ソールへの負担が非常に大きい履物です。
そのため、加水分解が進んだ状態で使用を続けると、プレー中に突然ソールが剥がれたり、スパイクが効かなくなる危険性もあります。

「まだ履けそうだから」と我慢して使い続けるよりも、状態の良いうちにしっかりとした修理を行うことが、結果的にシューズを長持ちさせる最善策になります。

■ 今回の修理方針:本革ソール+ソフトスパイク交換式

S様とご相談のうえ、今回は本革ソールをベースにしたソフトスパイク交換式のオールソール交換修理を行うことになりました。

本革ソールを採用する最大のメリットは、

  • 足裏への当たりが柔らかく、長時間のラウンドでも疲れにくい

  • ゴルフシューズらしいしなやかな屈曲性を確保できる

  • 適切なメンテナンスを行えば、非常に長寿命

といった点にあります。

さらに、ソフトスパイク交換式にすることで、
スパイクが摩耗した際にはソール全体を交換する必要がなく、スパイクのみの交換で性能を維持できます。
これは、今後も長くこの一足を愛用したい方にとって、大きなメリットです。

■ 分解作業と下地処理

まずは、加水分解を起こしている既存ソールを完全に分解・除去します。
この工程が不十分だと、新しいソールを取り付けても接着不良や早期トラブルの原因になります。

劣化した素材はボロボロと崩れやすく、きれいに除去するには根気と経験が必要です。
中底の状態も慎重に確認し、必要な補修と下処理を施したうえで、次の工程へ進みます。

■ メスネジのセットとマッケイ縫い

今回の修理の大きなポイントが、ソールおよびヒール部分へのメスネジの設置です。

ソフトスパイク仕様にするためには、
スパイクをしっかり固定できる土台が不可欠です。
本革ソール内部に正確な位置でメスネジをセットし、スパイクの脱着を繰り返しても緩みにくい構造を作ります。

その後、マッケイ縫いによって本革ソールを靴本体に直接縫い付けます。
マッケイ製法は、ソールとアッパーをダイレクトにつなぐため、

  • 軽量

  • 屈曲性が高い

  • 足裏感覚が良い

という特徴があり、ゴルフシューズとの相性も抜群です。

ヒール部分にも同様にメスネジをしっかりと設置し、歩行時・スイング時の安定感を確保しました。

■ 修理完了:新しい命を得たアイコンモデル

すべての工程を終えたフットジョイ アイコンは、
見た目にも機能面にも完全に生まれ変わった一足となりました。

しなやかな本革ソールは足の動きに自然に追従し、
スイング時には地面をしっかりと捉え、安定した体重移動をサポートします。

ソフトスパイク仕様のため、
・グリップ力
・交換のしやすさ
・ランニングコスト
のバランスも非常に優秀です。

■ 修理という選択が、ゴルフライフを豊かにする

お気に入りのゴルフシューズを修理することは、単なる延命ではありません。
自分の足に馴染んだ一足を、最高の状態で使い続けるための前向きな選択です。

今回のS様のように、
「良いものを、きちんと直して長く使う」
という考え方は、ゴルフそのものの楽しみ方にも通じるものがあります。

新しい命を得たフットジョイ アイコンとともに、
これからもゴルフコースで思い切りスイングし、快適な歩行と安定したプレーを楽しんでいただければと思います。

次回のラウンドが、より楽しく、より充実したものになりますように。
このたびは大切な一足をお任せいただき、誠にありがとうございました

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