倉敷市 Y様 Paraboot(パラブーツ)サイドゴアブーツ ゴム交換修理

今回ご紹介するのは、倉敷市よりご来店いただいたY様の Paraboot(パラブーツ)サイドゴアブーツのゴム交換修理事例です。パラブーツは堅牢な作りと実用性の高さで知られるフランスの老舗ブランドで、サイドゴアブーツにおいてもその耐久性と履き心地の良さは多くのファンに支持されています。しかし、どれほど作りの良い靴であっても、消耗する部位は必ず存在します。その代表例が、今回修理をご依頼いただいた「サイドゴアゴム」です。
ご来店時の状態とお悩み

お持ち込みいただいたサイドゴアブーツは、アッパーの革やソールの状態自体は比較的良好で、全体としてはまだまだ現役で使えるコンディションでした。一見すると大きな破損や劣化は見当たりませんが、Y様からお話を伺うと、「履くことはできるものの、脱ぐときにかなり苦労する」というお悩みがあるとのことでした。
サイドゴアブーツは、その名の通り、両サイドに配されたゴムの伸縮性によって着脱を行う構造です。このゴムが適度に伸び縮みすることで、靴紐やファスナーがなくてもスムーズに履いたり脱いだりすることができます。しかし今回のブーツでは、ゴム自体が伸びたように見える一方で、実際には弾力が失われ、ほとんど伸びなくなっている状態でした。
このような状態になると、足を入れる際は体重をかけたり無理に押し込んだりして何とか履けるものの、脱ぐ際にはゴムが広がらないため、かかとが引っ掛かり、非常に脱ぎにくくなります。日常的に履く靴でこのストレスが続くと、次第に出番が減り、「まだ履けるのに履かなくなる靴」になってしまいがちです。
サイドゴアゴム劣化の特徴
サイドゴアに使われているゴムは、見た目以上に過酷な条件下で使用されています。歩行のたびに伸縮を繰り返し、さらに汗や湿気、気温変化の影響も受けます。その結果、年数が経つと次第に弾力が失われ、今回のように「伸びなくなる」「戻らなくなる」といった症状が現れます。
表面上は裂けていなくても、内部のゴム組織が劣化しているケースは多く、見た目だけでは判断しにくいのが特徴です。Y様のブーツも、外観上は大きな破れがないため、「まだ使えそう」と感じてしまう状態でしたが、機能面ではすでに限界を迎えていました。
交換用ゴムの選定と事前確認
今回の修理では、交換用として「石目ゴム」を使用します。石目ゴムは、表面に独特の凹凸模様があり、クラシックな雰囲気を損なわず、パラブーツのような重厚感のあるブーツとも相性の良い素材です。
いきなり縫い付け作業に入るのではなく、まずはこの石目ゴムを実際に手で伸ばし、伸縮性と戻り具合を確認します。新品のゴムはしっかりと伸び、かつ元の形に素早く戻る弾力があります。この確認作業によって、交換後に着脱がスムーズになることを事前に確かめたうえで、作業に取り掛かります。
旧ゴアゴムの取り外し作業

サイドゴアゴムは、アッパーの革と裏側のパーツにしっかりと縫い込まれています。Y様のブーツでは、片足につき上下2か所、左右合計で4か所の縫い目で固定されていました。
まずは、この4か所の縫い目を一つひとつ慎重に切り、元のゴアゴムを取り外します。この工程では、周囲の革を傷つけないことが最優先です。パラブーツの革は厚みがあり丈夫ですが、一度傷を付けてしまうと修復が難しくなるため、細心の注意を払って作業を進めます。
ゴムを外した後は、縫い跡や内部の状態を確認し、必要に応じて微調整や下処理を行います。ここでの下準備が、仕上がりの美しさと耐久性を大きく左右します。
新しい石目ゴムの仮止めと縫製

次に、新しい石目ゴムを元と同じ位置に合わせ、仮止めを行います。サイドゴアゴムは、位置や張り具合が非常に重要で、少しでもズレると左右のバランスが崩れたり、履き心地に違和感が出たりします。
仮止めの段階で、ゴムの張りを適切に調整し、履いたときに自然に足にフィットする状態を作ります。その後、八方ミシンを使用して本縫いを行います。八方ミシンは、立体的な靴の構造に対応できる特殊なミシンで、サイドゴアのような箇所を縫い付ける際には欠かせない存在です。
4か所すべてを丁寧に縫い付け、縫い目の強度と見た目を確認したら、ゴム交換作業は完了です。
修理後の変化と今後について

ゴアゴム交換後は、手で触っただけでも明らかに弾力の違いが分かります。実際に着脱を想定して確認すると、ゴムがしっかりと伸びるため、脱ぐ際の引っ掛かりが解消され、非常にスムーズになりました。
Y様のお悩みだった「脱ぐのが大変」という問題は解消され、このブーツの使用頻度も自然と上がることが期待できます。履き心地が改善されることで、再び日常の一足として活躍してくれるでしょう。
サイドゴアブーツは、ゴムさえ適切にメンテナンスすれば、アッパーやソールを長く使い続けることができます。履きにくさを感じた段階で早めにご相談いただくことで、革への負担を減らし、結果的に靴全体の寿命を延ばすことにつながります。
お気に入りのブーツが「履きにくい」という理由だけで眠ってしまうのは非常にもったいないことです。今回のようなゴム交換修理によって、快適さを取り戻し、再び活躍の場を広げることができます。
#いずみ靴店 #倉敷市 #Paraboot #パラブーツ #サイドゴアブーツ #ゴム交換 #石目ゴム #八方ミシン