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日別アーカイブ: 2025年12月14日

倉敷市y様 Paraboot サイドゴアゴム交換修理 詳細レポート

倉敷市 Y様 Paraboot(パラブーツ)サイドゴアブーツ ゴム交換修理

今回ご紹介するのは、倉敷市よりご来店いただいたY様の Paraboot(パラブーツ)サイドゴアブーツのゴム交換修理事例です。パラブーツは堅牢な作りと実用性の高さで知られるフランスの老舗ブランドで、サイドゴアブーツにおいてもその耐久性と履き心地の良さは多くのファンに支持されています。しかし、どれほど作りの良い靴であっても、消耗する部位は必ず存在します。その代表例が、今回修理をご依頼いただいた「サイドゴアゴム」です。


ご来店時の状態とお悩み

お持ち込みいただいたサイドゴアブーツは、アッパーの革やソールの状態自体は比較的良好で、全体としてはまだまだ現役で使えるコンディションでした。一見すると大きな破損や劣化は見当たりませんが、Y様からお話を伺うと、「履くことはできるものの、脱ぐときにかなり苦労する」というお悩みがあるとのことでした。

サイドゴアブーツは、その名の通り、両サイドに配されたゴムの伸縮性によって着脱を行う構造です。このゴムが適度に伸び縮みすることで、靴紐やファスナーがなくてもスムーズに履いたり脱いだりすることができます。しかし今回のブーツでは、ゴム自体が伸びたように見える一方で、実際には弾力が失われ、ほとんど伸びなくなっている状態でした。

このような状態になると、足を入れる際は体重をかけたり無理に押し込んだりして何とか履けるものの、脱ぐ際にはゴムが広がらないため、かかとが引っ掛かり、非常に脱ぎにくくなります。日常的に履く靴でこのストレスが続くと、次第に出番が減り、「まだ履けるのに履かなくなる靴」になってしまいがちです。


サイドゴアゴム劣化の特徴

サイドゴアに使われているゴムは、見た目以上に過酷な条件下で使用されています。歩行のたびに伸縮を繰り返し、さらに汗や湿気、気温変化の影響も受けます。その結果、年数が経つと次第に弾力が失われ、今回のように「伸びなくなる」「戻らなくなる」といった症状が現れます。

表面上は裂けていなくても、内部のゴム組織が劣化しているケースは多く、見た目だけでは判断しにくいのが特徴です。Y様のブーツも、外観上は大きな破れがないため、「まだ使えそう」と感じてしまう状態でしたが、機能面ではすでに限界を迎えていました。


交換用ゴムの選定と事前確認

今回の修理では、交換用として「石目ゴム」を使用します。石目ゴムは、表面に独特の凹凸模様があり、クラシックな雰囲気を損なわず、パラブーツのような重厚感のあるブーツとも相性の良い素材です。

いきなり縫い付け作業に入るのではなく、まずはこの石目ゴムを実際に手で伸ばし、伸縮性と戻り具合を確認します。新品のゴムはしっかりと伸び、かつ元の形に素早く戻る弾力があります。この確認作業によって、交換後に着脱がスムーズになることを事前に確かめたうえで、作業に取り掛かります。


旧ゴアゴムの取り外し作業

サイドゴアゴムは、アッパーの革と裏側のパーツにしっかりと縫い込まれています。Y様のブーツでは、片足につき上下2か所、左右合計で4か所の縫い目で固定されていました。

まずは、この4か所の縫い目を一つひとつ慎重に切り、元のゴアゴムを取り外します。この工程では、周囲の革を傷つけないことが最優先です。パラブーツの革は厚みがあり丈夫ですが、一度傷を付けてしまうと修復が難しくなるため、細心の注意を払って作業を進めます。

ゴムを外した後は、縫い跡や内部の状態を確認し、必要に応じて微調整や下処理を行います。ここでの下準備が、仕上がりの美しさと耐久性を大きく左右します。


新しい石目ゴムの仮止めと縫製

次に、新しい石目ゴムを元と同じ位置に合わせ、仮止めを行います。サイドゴアゴムは、位置や張り具合が非常に重要で、少しでもズレると左右のバランスが崩れたり、履き心地に違和感が出たりします。

仮止めの段階で、ゴムの張りを適切に調整し、履いたときに自然に足にフィットする状態を作ります。その後、八方ミシンを使用して本縫いを行います。八方ミシンは、立体的な靴の構造に対応できる特殊なミシンで、サイドゴアのような箇所を縫い付ける際には欠かせない存在です。

4か所すべてを丁寧に縫い付け、縫い目の強度と見た目を確認したら、ゴム交換作業は完了です。


修理後の変化と今後について

ゴアゴム交換後は、手で触っただけでも明らかに弾力の違いが分かります。実際に着脱を想定して確認すると、ゴムがしっかりと伸びるため、脱ぐ際の引っ掛かりが解消され、非常にスムーズになりました。

Y様のお悩みだった「脱ぐのが大変」という問題は解消され、このブーツの使用頻度も自然と上がることが期待できます。履き心地が改善されることで、再び日常の一足として活躍してくれるでしょう。

サイドゴアブーツは、ゴムさえ適切にメンテナンスすれば、アッパーやソールを長く使い続けることができます。履きにくさを感じた段階で早めにご相談いただくことで、革への負担を減らし、結果的に靴全体の寿命を延ばすことにつながります。


お気に入りのブーツが「履きにくい」という理由だけで眠ってしまうのは非常にもったいないことです。今回のようなゴム交換修理によって、快適さを取り戻し、再び活躍の場を広げることができます。


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倉敷市u様 紳士革靴 オールソール交換修理 詳細レポート

倉敷市 U様 紳士革靴 オールソール交換修理

今回ご紹介するのは、倉敷市よりご来店いただいたU様の紳士革靴、オールソール交換修理の事例です。長年にわたり大切に履き続けてこられた一足で、全体的に履き込みの跡がはっきりと見て取れる状態でした。革の風合いにはまだ十分な魅力が残っている一方で、靴底は限界を迎えており、修理によって今後も安心して履ける状態へと再生していきます。


修理前の状態について

お預かりした時点で、アウトソールには明確な穴あきが確認できました。特につま先から土踏まずにかけての摩耗が進行しており、地面との直接接触が避けられない状態です。このまま履き続けると、雨水の侵入や中底・本底へのダメージがさらに広がり、靴の寿命を大きく縮めてしまいます。

また、外からは見えにくいものの、歩行時の違和感や底の柔らかさから判断すると、内部構造にも影響が出ている可能性が高いと考えられました。そのため、部分的な補修ではなく、オールソール交換修理をご提案し、ご了承をいただきました。


ソール分解と内部状態の確認

既存のソールを慎重に分解していくと、やはり予想どおり、靴本体側の吊り込み部分にも穴あきが見られました。吊り込みとは、アッパー(甲革)を中底に引き込み、靴の形状を固定する重要な工程・部位です。この部分にダメージが及んでいる場合、単に新しいソールを取り付けるだけでは不十分で、必ず補強処置が必要になります。

吊り込み部分の革が薄くなり、部分的に欠損している状態でしたので、耐久性のある補強用の革を新たに用意し、傷んだ箇所に貼り付けて補修を行いました。この工程によって、靴本体の強度を回復させ、今後の使用に耐えられる下地を整えます。


新しく取り付けるソールについて

今回使用したアウトソールは、Vibram(ビブラム)430です。Vibram430は、紳士靴やワークブーツなど幅広いジャンルで使用されている定番ソールで、耐摩耗性とグリップ力のバランスに優れています。過度にゴツくなりすぎず、革靴の雰囲気を損なわない点も、大きな魅力の一つです。

まずは、補強を施した靴本体に対して、ボンド接着を行い、確実に密着させます。接着が安定した後、マッケイ縫いミシンを使用して縫い付けを行いました。マッケイ製法は、ソールとアッパーを直接縫い合わせる構造で、返りの良さと軽快な履き心地が特徴です。U様の靴にもともと適した製法であり、仕上がりの違和感もありません。


ヒール交換と全体のバランス調整

ヒール部分には、アウトソールと同じくVibram430のヒールを取り付けました。ソールとヒールの素材を統一することで、見た目の一体感が生まれるだけでなく、摩耗の進み方も均一になります。高さや角度も元の靴のバランスを確認しながら調整し、歩行時に違和感が出ないよう仕上げています。


滑り革(すべり革)の補修について

今回の修理依頼内容には含まれていませんでしたが、作業の途中で靴内部の状態を確認したところ、かかと内側の滑り部分が破れており、ヒールカウンターがむき出しになっていることが分かりました。

滑り革とは、かかと内側に貼られている革のことで、足入れを良くし、歩行時の摩擦から靴本体を守る役割を担っています。この部分が破れてしまうと、見た目の問題だけでなく、かかとが擦れて痛くなったり、靴下が傷みやすくなったりします。また、内部にあるヒールカウンターが露出すると、そこからさらに内装が傷み、修理範囲が広がってしまう原因にもなります。

そこで今回は、靴を長く履いていただくことを優先し、サービス対応として滑り革の補修を行いました。新しい滑り革を適切な形に成形し、内側にしっかりと貼り込みます。これにより、かかとのフィット感が回復し、見えない部分ではありますが、履き心地と耐久性の両面で大きな改善が得られます。


修理後の状態と今後の注意点

すべての工程を終え、全体をチェックしたところ、ソールの安定感、返りの良さ、ヒールの接地感ともに良好な仕上がりとなりました。補強を行った吊り込み部分もしっかりと支えられており、通常使用であれば当分の間、安心して履いていただける状態です。

ただし、今回のようにソールに穴が開くまで履き込んでしまうと、靴本体へのダメージは避けられません。結果的に補修工程が増え、修理費用や作業時間もかかってしまいます。理想としては、アウトソールが薄くなってきた段階、もしくはヒールの減りが目立ってきた時点で修理に出していただくことです。そうすることで、靴本体を傷めることなく、より良い状態を長く保つことができます。


革靴は、適切なタイミングで修理とメンテナンスを行えば、何年、何十年と履き続けることができます。今回のU様の一足も、オールソール交換と各部の補強・補修によって、再び現役として活躍できる状態へと生まれ変わりました。これからも大切に履いていただければ幸いです。


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